魔狂の森 破
前回までのあらすじ!
魔境の森に逃げ込んだ鳴波一行。
しかし森に入って早々に知性を持つ魔物、魔獣の群れと出会ってしまう。
絶体絶命の危機に瀕した時、突如として現れた謎の意識が藍音に宿り、圧倒的な力で魔獣の群れを押し返した。
しかし、安心したのも束の間、鳴波達はまたしても魔物に囲まれてしまった。
今度こそヤバいと思ったころ死骨の鮫が現れ由希とすずを逃す為、捨て身の覚悟で突っ込んで行った。…………が!!
なんと死骨の鮫には物理攻撃が効かないことをすずから伝えられ死を確信するも、かつて助っ人として入っていたパーティメンバーのディラさんに間一髪のところで助けてもらった。しかし、ディラさんは気配を消したもう一体の死骨の鮫に食べられてしまったのだった。
・・・
そんな………あのディラさんが……食べられた……………?
「ディラ~!!」
ダルシュさんの叫び声が響く。だが、誰も動けない。
「よくもディラを…許さねぇ!!」
そう言うなり、ダルシュさんは死骨の鮫に突っ込んでいった。
「…!?、ま、待って下さい!」
すずが急いでダルシュさんを止めるために叫び、ダルシュさんの手首を掴んだ。
「なんで止めるんだよ!」
ダルシュさんは見たことないほどに目を血走らせていた。
「早くしないとアイツが逃げちまうだろ!!」
ダルシュさんは焦燥感に駆られるように喚き散らした。
そんなダルシュさんにすずが一言。
「見て下さい!動いてませんよ」
その一言で僕も目線をあの鮫に移す。すると、
死骨の鮫は完全に動きを止めていた。
「なにが起こって……」
そんな呟きにも近い問いに答えるように、
死骨の鮫が弾け散った。
「闇刺術第五条、縛糸硬殺」
鮫が弾け飛ぶのと同時にそんな声が辺りに響き渡った。
そして、死骨の鮫の骨が舞い散る奥に見えたのは、
ディラさんを抱える翼の生えた獣人だった。
「………永さん助かったの…?」
恐る恐る目を開けたディラさんがそう口にした。
「いや~!あの状況で助かるとは!まさか二体いるとはねぇ…油断した油断した!」
一同が唖然となる中、ディラさんは元気に喋っている。
それに………
今さっき、永さんって…言った、よね…?
僕は自分の記憶と照らし合わせている中、ダルシュさんはディラさんに駆け寄っていた。
「ディラ…ぶ、無事だったんだな!」
泣くのを我慢しているのか、声を震わせ目を赤く腫らせながら語りかけていた。
「おうよ!ピンピンしてるゼ!」
そんな人の気も知らずにディラさんは元気に答える。陽気にピースもしながら。
「……えっと、ありがとうな獣人の嬢ちゃん!仲間を助けてくれて!」
ダルシュさんは死骨の鮫を倒した獣人に向き合ってお礼を述べていた。
しかし、獣人の反応は予想外で……
「わ・た・し・は!嬢ちゃんじゃない!ミュゲだ!そして!私は立派な大人の20歳だ!!間違えるな!!」
案外ご立腹の模様。喚き出しました。
そんな光景を見ている中、由希が言った。
「な~んかどこかで見たことがあるような…?……あ!!」
獣人を見るなりブツブツと呟いていた由希が、自身の中で合致がいったのか、いきなり大きな声で叫んだ。
「由希、あの獣人のことも知ってるの?」
僕が尋ねる。
黒っぽい肩なしドレスの上半身にプリーツミニスカート、袖は和服チックで、黒いハイソックスでストラップシューズを履いているあの獣人のことを…。
てかめっちゃ美形だな!
「うん!私の命の恩人だよ!盗賊に襲われてたところを助けてもらったの!確か名前は……そう!ミュゲ!ミュゲさんだ!」
由希は獣人改め、ミュゲさんを指さしながら言った。
そして指をさされた当人はというと…
「あ~、あの時のおチビさんね。ホークレットに行ったんじゃなかったの?」
と、なんか嫌なことを思い出すかのように吐き捨てた。
てか、由希なんか知り合い多くない?
たまたま……かな…。
「今思ったんですけど…反応が私の時と同じですね。そんなに嫌なんですか?お子ちゃまに見られるの……」
由希はミュゲさんの質問をあっさりと流してまたも自分の質問を投げつけた。
「……あんたも変わってないと思うけど…。やっぱ疲れるし…」
ミュゲさんは溜め息と共に言い放った。そして後半の言葉を聞いたものは誰も居なかった。
僕は僕で考え…というか、とある可能性を確かめようと思っている。
それは………
「ディラさん。さっき、永さんって、言いましたよね?」
こっそり後ろに回り込み話しかける。
「ギクっ!?」
まさしく怪しい反応。
「それ口にするところが余計にポイですね。あなたのほんみょ…じゃないや。貴方の本当の名前って、永原綿毛じゃない?」
「「「「「「え?」」」」」」
すずと由希が固まる。横に居たダルシュさんの当たり前に。そして何故かミュゲさんもフリーズしてしまっている。
すずと由希が固まるのは分かるよ?
なんせ赤羽根幽同様、行方知らずの友達の名前だったからだ………
「……バレた?」
と、舌をペロッと出しながら答える。正しくテヘッ、っと効果音が付きそなほど完璧な「テヘペロ」である。
「ぐはッッッ…」
ん?どこからか攻撃を食らった様な声がしたけど…気のせいかな?
「そりゃ、永さんって一人称は綿毛しかしないでしょ……」
「アハハ………」
僕の突っ込みにディラこと綿毛は、ぎこちなく笑みを浮かべながら乾いた笑い声をあげた。
「…とりあえず森を出ない?そのあとちゃんと話すから……ね?」
なんかミュゲさんが少し離れてストーカーみたいになってるような気がするけど……
もしかして………さっきの食らった声って…。
いや、変な詮索は止めよう。怒られたくないしね。
そして、とりあえず僕達は、この魔狂の森を出ることにしたのだった。
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