プロローグ
ある時、今生きている世界に満足できずにいる者達がいた。その者達は、自分たちが理想とする世界を創り上げた。この物語は誰の身にも起こりうることだ。それを忘れないでほしい。これから紡がれる物語は創造主(厨二病)達による冒険録(妄想)である。
「ホームルーム始めるぞ~」
紅葉していた木々の葉はとっくに散り、もうすぐ冬本番がくる頃、先生のダルそうな声が響く教室で、僕達は何気ない高校生活を送っていた。
「…それじゃ、ホームルームを終わりま~す。みんな気をつけて帰れよ~」
『は~い』
みんなは足早に教室を出ていく。そして、教室に残っていいるのは僕、そして…
「おい鳴波ー。いつまでボーと座ってんだよ。早くこっち来いよ」
僕の一番の友達たちだ。
僕の名前は鳴波藍音。高校2年生。両親は二人でカフェを営んでいる。なかなかに繁盛していて僕も手伝いをするときがある。
「ねぇ、今日金曜だしどっか行かない?」
「私!駅の近くにあるパフェの新作食べたい!」
「いいね!でも由希、あんた確かこの前体重が~って言ってなかったけ?」
「ギク…まあ細かいことは気にしない!パフェ行こうよ!」
「俺はアニメショップに行きたい。嫁が俺を待っているからな!」
「はいはい、叶はちょっと黙てて。てか1人で行けば?」
「酷くない!?」
僕の友達はいつもこうだ。仲がいいから誰も気にしないんだよね。
僕たちはいつも8人でつるんでいる。僕、華蓮、すず、由希、叶、綿毛、毅、幽がメンバーだ。僕達は小学生の時から仲が良くて、いまでもそれは続いている。
「あのさ、永さん誘いたい子が1人いるんだけど、いいかな?」
「全然いいよ!綿毛が仲良くしている子なら悪い子じゃないからね」
いつもの会話、いつもの教室、僕達は何の変哲もない日常を過ごしている。明日も同じような日になることを疑わず、退屈だ、と思っていた。
「鳴波、また退屈だ~とか思ってたんでしょ?」
華蓮がにやりと笑って言ってきた。華蓮はよく周りを見ている。
「いや~、やっぱりいつも通りじゃ刺激がなくてさ~…なんか面白いことおこらないかな~って…」
「まあね。俺も考えることあるよ!嫁が画面から出てきて、叶くん!やっと触れた…!って感じで、グフフフフフフ」
「キモさマックスで本当に気持ち悪い。離れて」
華蓮の罵声をもろともせず、叶は妄想に浸っているようだ。
こんな日常も悪くないからいっか。みんながいればそれだけで退屈は吹っ飛ぶのだから。
「そろそろ教室出ようよ。パフェに行く時間なくなるよ」
気が付けばもう5時になろうとしていた。
「そうだね。それじゃあ行こうか!」
そして、僕達が足を踏み出した途端…
足元が光った。
「なに!?これ!?」
人生に絶対ということは無いことを僕達はこの時知った。そして、退屈だった日常が崩れていくことを悟った。このときの僕達はまだ知らない。この時から既に、僕達は、弄ばれていることに。
眩い光が視界を遮る。光りが収まり、目を開くとそこは…
教室ではなく、だれか知らないおじさんたちに囲まれている、見知らぬ場所だった。
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