⑦
今日ラストです。日付変わっちゃいましたが。
『ラファエル』
「ずるいです…。初めて自分より年下の人に負けてしまいました。」
ミカエルの回復術でダメージを回復しながら頬
を膨らませて抗議するアカリ。
ふだんの凛々しい生徒会長とは思えないくらいの仏頂面を披露しているが気持ちはわからなくもない。
「大体なんであんなに強いのにわざわざ戦ったりしたんですか?テストする意味もないでしょう?」
「今のレイの実力は知らなかったんだ。意味がなかったわけじゃない。それにあの天下の生徒会長の本気も見ることができたしな。」
「そうですよアカリさん、相性ももちろんあると思いますが私ですら本気のアカリさんに勝てるか怪しいです。
それだけあなたの実力は飛び抜けています。」
「ありがとうございます。今は何言われても惨めに感じるだけですよ。
ですが、貴重な体験ができました。こんなことを言うのはずるいかもしれませんが、レイさんがいれば精霊真祭の5連覇は間違い無いでしょう。
私は私のやるべきことに集中することができます。
私もこのままで終われるわけがありません。卒業までに必ず一撃与えられるように精進致します。」
『せいぜい頑張ってくださいね。』
「こらミカ。いい雰囲気なんだから水を刺すなよ。」
『どんな形であれ、レイ様に仇をなすのであれば然るべき対応をするだけです。』
「空気を読めって言ってるんだ。まぁ、いい。お疲れ様。戻ってていいよ。」
『ああん。いけずですぅ。』
そう言ってミカエルは姿を隠す。
「とはいえ…相変わらず無茶苦茶な精霊だな本当に。あんなのが存在してること自体どうかしてると思うが、あれを手懐けているレイもレイで異常だな。」
「強いだけで、他の精霊と変わらないよ。とても感情豊かで飽きたりすることもない。頼もしい相棒であることに変わりはない。」
「まぁこれで実力はわかった。レイ、クレア。久々に冒険者としての仕事だ。
古龍エンシェントドラゴンの封印が解かれそうとのことだ。急ぎではないが1年以内には再封印もしくは討伐が必要になる。
レイもクレアも今の本業は生徒と教師だ。本業を疎かにするわけにもいけないからスケジュールはこちらで調整するが近いうちにこなさねばならん。」
嫌そうな顔をするレイを置いておき、とんとん拍子に話が進んでいく。
精霊と違い、人間と契約することができない魔物という存在。
歴史上至る所で人間と争っては痛々しい傷を残してきた存在。
現在ではこれを討伐するために冒険者という職業が存在する。命がかなり軽い職業ではあるがやり甲斐が収入がいいため比較的人気な職業である。
「わかりました。エミリアさん。連絡お待ちしていますね。」
「理事長、もしその時までに私の実力もそこに達していたらお供してもよろしいでしょうか?」
「お前次第だな。今のままでは実力不足とは言わんが、お前は騎士団員志望だから魔物との戦闘経験が無さすぎる。
まずは実力よりも経験値をあげてからだな。」
「はい!わかりました!」
(俺はまだいいなんて言ってないんだけどなぁ。まぁ息抜きも大事だよな。)
明らかに1人だけ場違いなことを考えている者がいるが声には出ていないので誰も気にしない。
「ではレイさん。そろそろ戻りましょうか。」
「あ、はい。エミリアと会長はどうするんだ?」
「我々も一緒に戻ろう。もともと私もレイルークも本来は一緒に1年生の相手をする予定だったからな。」
エミリアはともかく、この会長の相手をさせられる1年生はかわいそうだなと思いつつもエリスの相手にはならないで欲しいと強く願うレイであった。
「もう終わりですか?」
「し、勝者フェリ・ティーナス!」
おおおおおおおおおおお!!!!!!
試合を観ていた観衆から大歓声があがる。
1年Sクラス主席。学年ランキング1位フェリ・ティーナス。
ピンク髪のツインテールを靡かせ、整いつつもどこか強気な印象を受ける顔でドヤ顔をかましている。
3年Sクラス。全生徒の中でもトップ10に入る去年の精霊真祭代表生徒に対して無傷の圧勝であった。
「生徒会長と戦えると思ったんだけどな。まぁいいや!選抜戦になれば嫌でも戦えるでしょ!」
切り替えること早く、彼女の目標はすでに先にある。