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「…こいつか?」




2時間ほど走り続けたレイは山の奥地で探していた魔力に追いついた。

しかし、そこにいたそいつは思っていた姿とは程遠い状態で死にかけていた。




「戦闘のあとがあるようにも見えないが…。寿命で死にかけているわけでもあるまいし…。」



【黒龍フェルニーゲシュ】

この世界に住む龍で最高格と謳われる10体の龍のうちの1体。

伝説では赤、青、緑、紫、黄、黒、茶、白、金、銀の十彩龍と呼ばれ、フェルニーゲシュは黒を司るとされている。




レイが感じていた魔力は目の前で倒れているフェルニーゲシュのもので間違いないが、明らかに漏れ出す魔力は少ない。


状況がうまく掴めないレイは不思議に感じながら辺りを見渡す。



(もう少し先にも同じ魔力を感じる…。どこから来たんだ?)




『転移したんじゃない?』



「ヘカテもそう思うか?」



『確信はないけどね。何かと戦ってそれから逃げてきたくらいしか想像つかないけど。』



レイもヘカテも考えることは一致しているようで、どこか別の場所で戦っていたフェルニーゲシュは寸前で逃げ出してきたと予想する。


1vs1でやり合うならリヴァイアサンとも互角に戦える相手だ。その黒龍がここまでボロボロで逃げてきたと考えると敵はかなり強力である。




「感じた強い魔力はこいつが逃げてきた時のだろうな。一気に魔力を使い切った感じか。」



『そうでしょうね。追いかけてくるんじゃないかしら?魔力探知くらいできる相手でしょうし。』



「余計なこと言うなよ。考えないようにしてたんだから。」



すると2人の立てた旗をすぐに回収するかのように魔力の渦が現れる。





「ほら言わんこっちゃない。」



『レイだって気づいてたでしょ?アタシのせいにしないで欲しいんだけど』



「仕方ない。選んでいいよ。正々堂々戦うか、出てきたところを撃ち抜くか。」



『せっかくだしちゃんと戦わない?アタシ最近運動不足だから体動かしたいのよね。』



「わかったよ。…レヴィも戻ってきたか。おかえり、ありがとうな。休んでてくれ。」



『なんかすごい魔力感じるんだけど!ご主人大丈夫?』



「問題ないさ。水の力が必要だったらレヴィが頼りだからな、念のためいつでも出られるようにしていてくれ。」



『はいはーい!いつでも呼んでね!ご主人!』




レイがそういうとレヴィはすぐに姿が見えなくなる。





「準備だけはさせてもらうとするか。ヘカテ、精霊真装」



『ほいっと!』




どんどん強くなる魔力の渦を尻目にレイとヘカテは精霊真装で武装する。

黒よりも黒い漆黒の剣がレイの手に握られていた。



『ほんと、久しぶりね!簡単に終わる相手じゃないと嬉しいわ!』



「普段からそのくらいやる気見せてくれると嬉しいんだけどな」



『仕方ないじゃない。アタシの力は燃費悪いんだから。』



「どんな相手かわからない時はお前の力はちょうどいいからな。できる限り出力は抑えるから今日限りとかはやめてくれよ?」





「聞き間違いか?人間。我の前で手を抜くだと?そこのトカゲのあとに殺してやろうと思ったが…辞めだ。先ずはお前から殺すとしよう。」



レイとヘカテが話を盛り上げていると、魔力の

渦からついに本体が姿を現す。


そこにいたのは美しい蒼色の身体に血走った3つの目、大きな体に大きな三叉の槍を携えた、この世のものと呼ぶにはあまりに禍々しい魔力をまとった男だった。




「あー、悪いな。別に舐めてるわけじゃないんだ。後々のことを考えると本気でやりたくてもできない時だってあるだろ?

お前を相手にするより厄介なことがあるんだよ察してくれ。」



「ほう?面白いな人間。我を前にしても動じぬその肝っ玉。実に多くの修羅場を潜り抜けてきたのだろう。少し脅せばすぐに平伏すかと思ったが、検討違いだったらしい。

だが、我とて舐められたまま好きに言わせておくわけにもいかぬ。

我が名はシヴァ。四大魔神が1柱炎獄のシヴァである。

本命はそこに転がっているトカゲだが、気が変わった。お前を殺して魔界への手土産としよう。」



【シヴァ】と名乗った大男は未だに平然としているレイに感嘆の声を漏らすとすぐに戦闘体制ともとれる言動をとる。

仁王立ちのまま槍を構えるその姿は正しく魔神呼ぶに相応しい禍々しさであった。




「シヴァ?四大魔神?…あー、思い出したわ。昔そんなのいたなぁ。ティアマトだっけか?そいつの知り合いか?」



「ティアマトだと?あの女を知っているのか。こんなところを彷徨くとはつくづく暇な女よ。」



「やっぱり知っているのか。そいつも自分のことを四大魔神と名乗っててな。

お前も同じこと言うもんだから友達か何かかと思ったんだが?」 



「そうかそうか、ティアマトの名を口にする人間が生きているとはな。貴様は相当運がいいようだ。

して、あの女は何をしていた?」



「知るかそんなもん。あっていきなり襲ってきたから殺しただけだ。目的なんて聞いちゃいない。」




「なんだと?」



ここでシヴァの目つきが変わる。



「冗談は時と場所を選べ人間。我程とは言わんが、仮にも四大魔神の1柱だ。人間ごときが触れられるような存在ではない。

あまりイラつかせるなよ人間。こうして話に付き合ってやっていることに感謝して言葉を選べ。」



「嘘なんかついてねーよ。あんなにペットばかり連れてるメルヘン女ごときに俺らが負けるかよ。」



「はっはっはっはっはっ!!!!

面白い!!面白いぞ人間!!!そこまでいくと最早天晴れである。

ならば食らってみるがいい。破壊の神である我が力。【サハスラナーマ•トリシューラ】!!!!!!!」



シヴァが手に持つ槍を天に掲げるとその槍を起点に青白い炎が雷を纏ってレイに襲いかかる。



「頼むぞヘカテ!【黒喰】」



それに対してレイが剣を振るうと半径15メートルが漆黒の闇に覆われ、シヴァからはレイの姿が見えなくなる。


レイを囲う黒い世界はそのままシヴァが放った炎を飲み込みそこにはなにもなかったかのように無傷のレイが感情なく佇んでいた。



「こんなもんか?」



「ほう。ティアマトを倒したかどうかはわからないが、ティアマトをの目の前にして生きているのは運ではないらしい。

……何をした?」



「炎を喰っただけだ。別に大したことはしてない。それにお前も本気じゃないんだろ?

本気で来いよ。

お前があのメルヘン女より強いって言うならせめて抵抗してから死ね。」








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