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女神に代わってお仕置よん!につき②

ラファは《ゆりかご》に戻ると、駆け足である場所へと戻る。

考えてみれば、侵入者の狙いは分かりきっているのだ。

美神教(カリテス)と天使の真実を暴くためにこの施設に侵入したとすればその証拠を探っているはず。


その証拠はどこにあるのか。


それはもちろん、この教会のトップの部屋にしかない。

つまり、司教の部屋だ。



「失礼するよ!」


「わ!?ど、どうしたんです!?」



入室許可を取ることなく、ラファは部屋に飛び込むと狼狽する司教に詰め寄る。

先程はあまり気にならなかったが、その表情はかなり優れないようだった。



「やっぱりか……。この部屋も、賊にやられてるんだね?」


「ぐっ……!?えぇ……。」



ラファの様子から状況を知ったことを悟っとた司教は、少しの驚きの後に観念したように頷いた。



「一体、何を取られたんだい?」


「全てですよ。《天使の育成計画書》さらに《経過報告書》《 美神教(カリテス)への資金援助リスト》《貴族たちへの“貢物”のリスト》等、教会の闇に関するモノ全てです。あれを見れば、この教会で何が行われていたか、全て丸わかりになる……。」


「ん……!?思ったよりも最悪の事態だね。」



意気消沈した様子の司教に、ラファは苦い顔を向けると頭を抱える。


思い出されるのは一か月前の事件。


魔王と名乗るモノが天使を殺害し、美神教(カリテス)の行いは悪であると、世に訴えかけた事件があった。


多くの信者が真偽を確かめるために、教会に押し寄せたが、相手が魔王という得体のしれない存在だったことが逆に功を奏した。


魔王の自作自演であると言えば、皆、ほっと胸を撫で下ろして帰って行ったのだ。


得体の知れない存在がもたらす疑念よりも、目の前にある信仰と真実を人々は選んだ。


一時的な混乱はあったものの、今では教会もすっかりと落ち着いたものだったのに……またしても、あの混乱が起きようとしているのか……。



「しかも、今回は明確な証拠付きだろ?世に公表されれば、明らかに世間の目はオレたちに厳しいものになる……。魔王の件も再燃して、あの件を疑う者も出てくるようになるぞ。天使や教会は間違いなく、この街から追い出されることになる……。それどころか、これが上に知られれば、ここの皆は間違いなく“処罰”の対象にされてしまう。切り捨てられるぞ。」


「おしまいだ……。もう、どうすることもできない……。消えた紙切れ一つも見つけられないんだ。消えた証拠を探し出す方法なんて、どこにもない。」


「たしかに、足取りは教会で消えていた……。ん……待てよ?教会中の書類がなくなったんだよね?」


「え、えぇ。全て盗られました。」



ふと、何かに気付たラファは顔を上げると窓の外に目を向ける。



「じゃあ、聖書も?」


「えぇ。」


「そうか、そうか。まだ手は残ってたね。」


「え?」


「任せてよ。オレが全部、見つけてあげる。」



窓に手を当て、ラファは薄ら笑いを浮かべると静かに羽根を広げた……。



~ 所変わって、ワルフォイ邸 ~



「これが、見つけた裏取引の帳簿です。あと、これが大体の金の流れ。真っ黒くろの、ひどいもんですよ。」


「はー……。まさか、本当にこの短時間で戻ってくるとはね。大丈夫かい?無茶したんじゃないか?」


「ふふ……!えぇ。結構、無茶しました。たぶん、足が着いてると思います。」


「えぇ!?それはマズイんじゃ……。」


「大丈夫ですよ。迷惑にならないように、元の宿は引き払いました。偽装もしときましたので、しばらくは大丈夫です。」



手に入れたヤバい資料をハロルド様に手渡す。資料に関して、俺ができるのはここまでだ。

政務的なことは、ハロルド様にお願いしよう。

残りの仕事は、天使や教会との大喧嘩だが、そっちは準備万端である。



「しかし、まさか教会が子供を売買していたとはな……。上の階で身寄りのない子供たちを育て、地下で天使を養育すると。」



中の資料を読んで、みるみる内にハロルド様の顔が青ざめていく。


それも当然だ。それほどまでに、子供たちの未来も酷いもんだったからだ。



子供たちのほとんどは最低限の教養を身に付けさせられ、そのまま裏ルートへ流されていた。

臓器売買を目的として買い取られる子供。

家事や仕事を手伝わせるために奴隷として買い取られる子供。

慰みものとして買い取られる子供。

沢山……沢山いた……。沢山の子供たちが、その未来を奪われていたのだ……。


このことを知った時、俺は怒りが込み上げすぎて、吐き気を催した……。


司教が……同じ人間が当たり前のように、私利私欲のために、子供たちを犠牲にして私腹を肥やしていたのだ。


司教。お前だけは絶対に許してはいけない……。そう、心から思った……。



「“買い手がつかない子は、天使のための贄にされる?”この一文の意味がよく分からないのだが……。」


「天使の能力を引き出すための、実験対象にするそうです。今は地下で《精神干渉》の練習相手をさせられているそうです。また……この先の予定では“初めての相手”をさせられるとか。」


「……サカエくん。お願いがあるのだが。」


「分かっています。今日中に教会は壊滅させます。天使も“教育”が未完なら“再教育”を施します。子供たちも皆、解放するつもりです。」


「そうか……。」



ハロルド様は小さく息を吐くと口元に笑みを浮かべ、よろしく頼む……と軽く頭を下げるのだった。


ハロルド様の了解も得た。

では、大手を振って【お仕置き】するとしよう!!


あ、ハロルド様には迷惑がかからない程度にね♡


俺はニッコリと笑うと、強く頷き返した。




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