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即攻略を目指しにつき!②

▶︎あ…そうか。


天を仰いで考え込んでいると、何かに気付いたのか魅玖が小さく声をあげた。



「ん?どうした?」


▶︎いや、よく考えれば、この子の主は四天王の一人ですよ。


「うん。そうだね。」


▶︎その四天王の主なら、ここにいるじゃないですか。


「あ、そうか!魅玖は前魔王本人じゃないか!」


▶︎そうです。私が指示すれば、或いは……。旦那様、その子に再度触れて見てください。できれば、服の上ではなく肌に直接が理想です。


「分かった。」



俺は魅玖に言われるまま、手を伸ばすとゴーレムちゃんの頬に手を伸ばす。


「……?……っ!?……???」


ゴーレムはキョトンとした顔で俺を見つめ返していたが、徐々に目を丸める。その目には明らかな戸惑いの色が浮かんでいた。

しばらく、そうしているとゴーレムはコクリと頷いてみせる。

目に見えて、戦意が消失したことが伺える……。



「これは、分かってくれた感じかな?」


▶︎はい。戦闘の中止は了承されました。解放しても大丈夫ですよ。



「ありがとう、魅玖!」



▶︎いえいえ!旦那様のお役に立てて何よりですよ♡



ーパキーン!



「あっ……。」



魅玖の許可を受けて、鎖を握りしめて砕くように断ち切るとバランスを崩したゴーレムちゃんがポスン!と胸に収まってくる。

俺を見上げて、自身の状況に気付いたゴーレムちゃんはキッ!と睨むと両手で俺を突き飛ばした。



「ぬわぁっ!?」


「……排除!」



突き飛ばされた反動でゴロゴロと転がると、観月とシルクの元に戻ってくる。

おい、排除って言ってるぞ!?

話が違うんじゃないか、魅玖ちゃん!


▶︎あ、あれぇ~~?


「おかえり、ユーちゃん。」


「うー……。」


「おーう、ただいま。」



大の字に寝転び、突き飛ばされた理由が分からずに混乱した頭で二人を見上げていると観月が苦笑してしゃがみこむ。



「フラれちゃったね。」


「あー、やっぱり、フラれたのか。でも、なんで?」


「ふふ……。まぁ、今のはユーちゃんが悪いかなー。」


「うーうー。」


「と言うと……?」



観月とシルクが俺を励ますように頭を撫でると、ゴーレムの方を向いて小さく息を吐いた。



「だって、あの子にはご主人様がいるんだよ?心から信頼する親のような人がいるのに、その人を差し置いて、赤の他人に抱きしめられたら誰だってびっくりするよー。警戒レベルも爆上がりになっちゃうって。」


「あー……たしかに。そうだよな。今のは俺が悪かったな。」



俺は理由を気付かせてくれた、観月とシルクのショーツに心で感謝を述べると、ムクリと起き上がる。



「あー、ごめんね?今のは、決してやましい気持ちがあったわけじゃなくてね?」


「は、排除っ!」



ードンッ!

ーズサー!



誤解を解こうと近付くと、また両手を突き出して突き飛ばされる。


俺は再び、転がるように観月とシルクの足もとのに戻ってきた。



「……おかえり、ユーちゃん。」


「うーうー……。」


「……何故だろうか?向こうさんが話を聞いてくれないのだが。」


「んー。まぁね。ユーちゃん、一度ハレンチしてるからね。パンツ見たでしょ?」


「パンツは履いてなかったけどね。」


「……いや、余計悪いって。とりあえず、誠心誠意謝った方がいいよ。好きでもない人に、服を捲られてパンツどころか中まで見られちゃったら、誰だって怒るって。」


「だよねー。ありがとう。」



俺は再び、観月とシルクのショーツに感謝を述べると起き上がり、ゴーレムちゃんに歩み寄る。



「まず、キミに謝らないとな!許可なく、キミの大切な場所を見てしまったこと心から謝罪するよ!ごめん!あと、凄く綺麗な形だっ……」


「は、排除ぉー!!!」



ー ドーン!

ー ズサーー!!



俺は再び、観月とシルクの(ry



「……反省してないでしょ。」


「うー……。(それな……。)」


「反省はしている!だが、後悔はしていない!あんな可愛い女の子の秘密の花弁を拝めたんだ!これ以上の幸運があるものか!( ゜д゜)クワッ!」


「……はぁ。もういいから、とりあえず何もかも謝ってきなよ。心から、生まれてきてごめんなさいって……。」


「うー……。(それな……。)」


「ぐぐぐっ!心から謝罪したい!だが、何を謝るべきか、全く思い当たらないんだ!」



全力で顔を顰めると歯を食いしばって、彼女のお怒りの理由を探るが全くといっていいほど理由が見つからず頭を抱える。

分からない!本当に分からないんだ!

なんで、女の幸せを願って行動しているのに、彼女は享受してくれないんだ!?



「遊助……アンタ病気なんかー?一度、医者に連れていこかー?それとも、転生をもう一回やり直した方がええかー?あと、さっきから私とシルクちゃんのスカート覗いてんのいい加減にやめろなー?」


「ぎにゅー!?」



観月はショーツを観察していた俺の顔面をぐりぐりと踏みつけると、俺の襟を掴んで引き起こす。



「もう!遊んでないで、さっさとキメて来てよ。ハーレムに加えるつもりなら、誠心誠意自分の気持ちを伝えないとダメだよ!ハレンチじゃなくて、本当の気持ちだよ?彼女をどうしたいの?ハレンチしたいだけなの?そうじゃないでしょ?」


「決まってる!俺は助けたいんだ。彼女をこの遺跡(役目)から解放したい。彼女を解放してここから連れ出して色んなモノをみせて、生きている意味を教えてあげたい。こんな人工物の光じゃなくて、外の光をみせてあげたいんだ!世界の温かさを教えたいんだよ!」


「うん!それでこそ、私の大好きなユーちゃんだよ。頑張れ!ユーちゃん!」


「俺も観月を愛してるぞ!」


「……もう///分かってるから!ほら!頑張れ!ユーちゃん!」



俺は強く頷くと観月の励まし背中に受けて駆け出す。



「は、排除ぉ!」


ーパシン!


「話を聞け!ゴーレム!」


「っ……!?」



俺は排除しようと突き出された手を掴み返すと、真剣な表情で目の前のゴーレムちゃんを見つめる。俺の気持ちを伝えるために、真剣に彼女と向き合うことを決めた。



「……君は美しい。それに、この俺を三度ぶっ飛ばすほど力強い。何より、この場所でいつまでも主のために動き続ける忠誠心は見上げたものだ。俺はそんなキミが好きになった!俺のハーレムに来てくれ!頼む!」



胸に手を当て、ゴーレムに叫ぶように自身の言葉をぶつける。目の前の相手へ如何に魅力を感じているのか、全力で訴えかけた。



「……理解不能です。私はゴーレムであり、この場所の守護者(ガーディアン)です。この場所を護るのが私の役目。それが、私の主様との約束です。だから、突然現れた貴方に好意を寄せられても困ります。」


「……この場所はもう機能していないんだろう?百年前に閉鎖されてから、キミは何回くらい目を覚ましたんだ?今回が初めてじゃないのか?」



百年もの間、この場所は入口を塞がれ、誰の目にも晒されないようにされていた。

魅玖によれば、彼女の主は言っていたそうだな?『最高傑作ができた』と。


恐らくは彼女を誰にも触れさせないためにこの場所に封じたのは、紛れもなく彼女の創造者だろう。



曲がりなりにも、魔王を名乗る俺を三度ぶっ飛ばす程の力があるのだ。単純な腕っ節しなら、十分に冒険者A級くらいあるはず。


本気を出せば、街ひとつくらい制圧できそうな能力を秘めているかもしれない。

創造者がそんな力を他者に利用されることを恐れたという可能性も考えるられるが、彼女をここに隠した理由はそれだけではないと俺は思っている。



「たしかに、この施設が閉鎖されて目覚めたのは今回が初めてです。ですが、それがなんだというのですか?たとえここが砂に還ろうとも、私の役目は変わりません。『この場所を護れ。』という命令は絶対です。主様が戻り、この地を踏むまで私の役目は終わりません。」


「守護する対象が砂に帰ろうとも、か。本当にその忠誠心は見上げたものだ。脱帽するよ。だけど、この場所が砂に還るほどの年月が経ったとしても、その依頼を達成することは不可能だ。その事にキミは気づいていない。」


「……どういうことです?」


「……キミの主は死んでいるんだよ。約百年前にこの遺跡が封じられた際にキミの主は、勇者によって倒されている。」


「っ……!?」



彼女にとってツラい現実ではあるが、あえて俺は口にする。彼女がここに居る理由を断ち、止まったままの時計の針を進めるために彼女を縛る鎖を一つずつ破壊していくことにした。



「主様が亡くなった?何を馬鹿なことを。ゴーレムは術者である主様の魔力を供給して動いているんです。私の魔力はこの身体に満ちている。これは主様が生きている何よりの証拠ではありませんか。」


ありえないと首を振り突き付けられた現実をバッサリと切り捨て、自身の存在が証であると自信を持って反論してくる。


だけど……。


▶︎それは、違いますね。

▷えぇ。残念ですが、その答えは既に出ています。


「あぁ、俺もその答えには気付いていた。」


「え?」



俺は天井を指差すとゴーレムに更なる現実を突きつける。


天井には大きな宝石が取り付けられ、ここが地下であることも忘れる程の光量が俺たちに降り注いでいる。

その光は燦々と降り注ぎ、とても温かみを感じた。

それと同時に……。



「微弱ではあるが、光に魔力を感じるんだ。キミはこの状況に慣れているから気付かなかっただろうが、初めてここに来た者なら必ず気付く違和感だ。そして恐らく、これがキミが稼働できる理由だ。長くこの場にいた事で、キミの体内に魔力が充填されていたんだと思う。」


「そんな……。」



▷貴女の主が貴女のために設置したのでしょう。あなた自身にも周りから魔力を吸収する機能が備わっているはずですよ?


▶︎その機能も、彼は嬉しそうに言っていました。しかし、それも僅かだとも。“この場所”でなら、魔力が供給され続ける限り貴女は未来永劫稼働することが可能でしょう。



「キミはこの場所を動くなと言われていた。主人の目的はキミにこの場所の守護をさせるのではなく、ここに留めておくためだったんだよ。キミにいつまでも、生きていて欲しいから。その証拠にキミの主は言ったんだ。“キミは最高傑作だ”って。きっと、キミがただ守護者として機能し、土に還る日がくることをとても惜しく感じたはずだ。」



▶︎最高傑作……そう思うのなら、勇者との戦いの折に投入するべきです。ですが、彼はそうしなかった。きっと……貴女のことを生み出し、共に過ごす中で、まるで自分に娘が産まれたような気持ちになったんでしょうね。


▷だから、貴女をここに封じた。上の魔物は恐らく、魔力を補充するために設置されたものでしょう。魔物はそこにいるだけで、微弱に魔力を放出していますから。その遺跡自体が、貴女を生かすために造られた建物と考えるのが自然です。



「そんな……主様。う、うぅ……主様ぁ……。」



ゴーレムは力なくその場に膝から崩れ落ちると、肩を震わせ涙を流す。


全ては彼女を生かすために用意された遺跡。


優しい光に包まれたその場所は、まるで彼女の主の心を表しているようだった……。


しばらくゴーレムが落ち着くまで、観月とシルクに側に居てもらうことにする。


ゴーレムの背中を摩る観月を通して、魅玖が語りかけているようだった。



▷マスター、ちょっとよろしいですか?


「ん?どうした?」



ふと、リライアに呼ばれ、目を閉じて意識を内側に向ける。

何やら言いにくそうに、リライアはモジモジと指遊びをしながら俺を見上げると少しの沈黙の後に口を開いた。



▷実はこのゴーレムの件に関して、重大な問題が発生しています。


「重大な問題?」


▷はい。先程もお話した通り、ゴーレムの彼女は魔力で稼働しているのですが、その力の源はこの遺跡の上階にいる魔物から漏れ出る魔力があの光る魔石に集められていました。


「上階の魔物……あっ、しまった!」



リライアの言葉の意味を理解した俺は一気に血の気が引いていく感覚に襲われ思わず天井を見上げる。

先程まで燦々と降り注いでいた光が僅かに弱まっているように感じた。



▷そうなんです。最初にこの遺跡に乗り込む際に、私たちはこの遺跡の上階のモンスターを一掃しているんです。つまり、魔力を送る存在がこの遺跡内に一切居ないということになります。数日のうちに、あの天井の光も消えるでしょう。



「まずいな。そうなると、ゴーレムちゃんも機能を停止するしかないわけか。俺が彼女に魔力を送ることはできないかな?」


▷不可能ではありませんが、そのためには条件があります。シルクさんと同じように、シンパ(共鳴)を感知し繋ぐ必要があるんです。身体の崩壊前にマスターと繋がりを結ばなくてはいけません。


「シルクと同じようにか……。分かった、やってみるよ。」



俺はリライアの頭を優しく撫でると目を開け、立ち直り始めたゴーレムに目を向ける。

彼女を救う方法は契約するしかないという。


そこで、ハッキリ言おう。

その契約の方法が俺には分からない。


契約って、どうするの?

シンパ(共鳴)を感じて……って何?


シルクの時はどうしたっけ?


たしか、出会い頭に切り付けてきたから戦闘になったよな。

結局、瀕死状態まで持ち込んでから、主従契約をしたはず。


思い返せば、当時は鎧に包まれて正体が分からなかったとはいえ、女の子に酷いことしてしまったなぁ。



「うー……?」



シルクに目を向けるとシルクは首を傾げ、すぐににっこりと微笑んだ。

俺とシンパ(共鳴)ができているためか、考えていることがお互いに分かることがある。


長年連れ添ってきた観月(ここはもはや別次元)ほどではないが、通過の仲(ツーカーの仲)にはなってきていた。


当然、今考えていることも伝わったようで、シルクは“気にしないで”というように微笑みを浮かべてくれたのだ。もう、ただ可愛い。



「よし。少し胸が痛むが少し耐えてもらうしかないな。《恋は痛みを伴う》もんだ。」


「恋というには一方的なのような気がしますが。」


「うぉっ!?復活したのか。気配を消して近付かないでくれよ。びっくりするから。」


「貴方の心臓はノミなのですね。なんなら、潰して差し上げましょうか?」


「俺に死ねと!?」


「それもいいですね。人の許可なく破廉恥する人はノミ以下です。本当、死ねばいいのに。」


「すごい辛辣!?」



いつの間にやら、俺の隣に立っていたゴーレムちゃんは俺をジト目で睨み上げてくる。


その表情は先程とは違い元気を取り戻しているようだった……。口から出てくる言葉はずいぶん辛辣だけど。



「冗談ですよ。私は石像なので人間のように呼吸もしなければ、筋肉や骨格の揺らぎもないので気配を発していないだけです。分からないのも無理はないでしょう。」



それより……と、ゴーレムちゃんは胸に手を当てると天井を見上げる。


魔力を集める装置から溢れる光が弱くなっていることに気付いたようだ。



「私は、このまま機能を停止するのですか?」


「あぁ、このままいけば、数日で停止する。」


「そうですか……。」



ふっ、と小さく笑うとゴーレムは光の一番当たる部屋の真ん中に歩みを進め、ゆったりと腰を下ろす。



「貴方は今代の魔王様なんですか?」


「いや、今代の魔王は別にいる。俺はイレギュラーな存在だ。」


「百年に一度の魔王様が、今代に二人ですか。今回の勇者は大変そうですね。ふふ!ざまぁありませんね。とことん、勇者を困らせてくださいね、魔王様。」



自身の主を倒したという“勇者”というものが、嫌いなのだろう。少し嬉しそうに笑うと部屋の奥にある扉に目を向ける。



「あそこは主様が使っていた魔導研究の部屋です。何か、必要なものがありましたら、持って行ってもらって構いません。」


「いいのか?」


「構いません。主様が亡くなったのなら、ここは砂に還るだけですから。」



ゴーレムは小さく笑うと、首からかけていた鍵を取り出し俺に手渡す。

本当に自由にしていいそうだ。



「守護者として大丈夫なのか、それ?」


「守護者だからですよ。主様が生み出した多くの知識と技術、それらはここで砂に埋もれるには惜しいものばかりです。彼の想いと共に貴方が抱えてくだされば、それはつまり、護ったことになるのです。」


「……人の想いは、技術や知識の中に永遠に生き続けると考えているのか。」


「はい……。」


「なるほど。確かに、キミの主の言うように、キミは“最高傑作”だな。」



俺は鍵をポケットにしまい込むと、座っているゴーレムの頭を優しく撫でる。


「どうしました……?」


「よくできたいい子にはご褒美をあげるのは当然だ。キミの主もしていただろう?」


「……そうですね。よく頭を撫でてくれました。最後に見た日も私の頭を撫でて、微笑んでくれました。でもある日……あの天井の灯りを灯すと、何処かに行ってしまわれた。」


「たぶん、その時に勇者が近くまで迫っていたんだろう。だから、ここに君を隠して離れたんだ。約百年、ここが見つからなかったのは、キミの主が巧妙に隠していたおかげだろう。」


ガーディアン(護る者)が護られるなんて……ふふ……お笑い草です。本当、情けない。守護者として、私ははるか昔に失格していたんですね。」



目じりに涙を溜め、ゴーレムは心から湧き上がる悔しさを滲ませて天を仰いだ。



「この光、温かいでしょ?主様の温もりによく似てて、私は主様を思い出す度にこの光に手を伸ばしていました。やがて、そのまま……意識が薄れて……私はたぶん眠りについたんです。結局、私が起きたのは、それから百年後だったみたいですね。本当……何をしていたんでしょう。」



俺たちが部屋に入った時、彼女はスリープモードに入っていた。この天井から零れる光に手を伸ばすような姿で立っていた。


思い返せば、その姿はまさに彼女の心のままの姿だったんだ。もう手に入らない温もりを心から欲するような、子供が親に手を伸ばし、抱擁を欲するようなそんな姿だ。



「っ……!」


「え……?魔王様?」



光を手に受けて寂しげな笑みを浮かべるゴーレムに、俺は堪らず抱き締める。



「……いい子にはご褒美だって言っただろ?本当、百年もの間よく頑張ったな。」


「え?はは……。頑張ったと言われても、私は今目覚めたばかりで……何もできなくて……。」


「いや、キミは戦っていた。心の中にあった寂しさと、キミはずっと戦ってたんだ。突然、生みの親が居なくなって、苦しくないわけがない。辛くないわけがない。悲しくないわけがない。寂しくないわけがない。そんな中で、キミはずっと戦い続けて来たんだ。自分の境遇とそこから生まれる感情とだ。どれだけ辛いか、どれだけ苦しかったか。想像するだけでも胸が苦しくなる。だけど、キミは護りきった。《この場所を護り抜け》という約束通り、俺たちが現れるまで使命から逃げず、孤独に立ち向かい、ずっとここに百年もの間、立ち続けたんだ。誰がなんと言おうと、キミは頑張った。紛うことなき、キミの勝ちだ。」



真っ直ぐに目を覗き込み、彼女へ賞賛と労いの言葉を贈る。

戸惑う彼女を、しかと抱き締めると親が子に愛情を伝えるように優しく頭と背中を撫でながら言葉をかけ続けると、ゴーレムもそっと抱き締め返してくる。

やがて、心の栓が抜けたのか胸の中で大声で泣き始めた。



「っ……う……うぅ……あああぁーん!」



それは部屋中に広がり、周りで見ていた観月やシルク、リライアと魅玖までの心を強く締め付けてたのだろう、そっと皆で寄り添い合い、明るい光の降り注ぐ部屋でゴーレムを抱き締め続けるのだった。



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