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その男、色欲魔王につき!~みんな逃げて!超逃げて!~  作者: 黒崎黒子
第一章 ~ 色欲魔王転生 ~
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そのステータスチェック、ハレンチにつき

眩さに目を閉じた俺たちは、辺りの雰囲気が変わったことに気付き、ゆっくりと目を開ける。



「…ユーちゃん、ここって?」


「そうだなー。神様の言っていた場所から察するに、レイナスのどこかにある遺跡の中らしいけどね。」


「へぇ…。なんか、石のお家みたいだね!」


「まぁ、見たまんまだわな。」


「もう…。もっと反応欲しいなぁ。」



周りを見渡すと石造りの一室のようだ。


藁と布で作られたベッドと、水瓶が部屋にはある。


あとは部屋に一つしかない扉だ。



「この簡素な部屋になんてコメントすりゃいいんだよ。それより、あの扉から出れば遺跡の内部または完全な外に出られるはずだ。」


「そっか!それじゃ、外見てみようよ!」


「…待て待て、観月さん。その前に現状を把握しようじゃないか。ここが本当に新世界レイナスだとしたら、剣と魔法の世界だ。だから、当然、遺跡の中はモンスターがいると思うんだ。万全の態勢で挑まないと即ゲームオーバーだぞ?」


「…うん。それじゃあ、どうしよう?」


「うん…。そのベッドに寝てみろ、観月。」


「え?私、眠くないよ?」


「知ってるよ。そうじゃなくて、ステータスを確認するんだよ。異世界に着いたら、まず初めにやらなきゃいけない通過儀礼だな。」


「そうなんだ…。知らなかった。」


「異世界もの読んだことないのか?常識だぞ?」


「ごめん、あんまりそういうの読まないんだ。」



知ってる。観月がそうした、ファンタジーものには興味はないことは重々知っている。


だから俺は、これを機会に観月に教えてあげようと思ったのだ。



「そうか。知らないのか。じゃあ、教えるよ。」



教えてあげよう…“俺流のステータスチェック”を!!



「よいっしょ…。これでいい?」



ベッドの上に登った観月は疑う様子もなく、俺の言葉に従いベッドに横になる。



「なんか、寝てるところを見られるのって恥しさがあるの、なんでだろうね?」


「たぶん、人間が行える一番、無防備な態勢だからだろうな。あと、私生活を想像させるからかも…。」


「そっか…。ふふ…なんか、意識したら余計に恥ずかしくなってきた…。」



観月のブラウンの瞳が俺を見つめ、少し照れた表情ではにかんだ…。


大丈夫だ、観月。


今からそんなこと気にならなくなるくらい、もっと恥ずかしことするからな!



「そうか。でも、いい兆候だぞ。心拍数が高い方が、ステータスは確認しやすいんだ。つまり、恥ずかしいことはむしろ望ましい状態だよ。」



「そうなんだ…。よかった。これで、ステータスを見れるようになるんだね?」



いやいや、なにやら安堵してるが、それで済むわけがないだろ?観月さん。


俺がこんな所で満足するわけないのは、幼なじみである君がよく分かっているはずでしょうに。


俺は更なる、ステータスチェックの新境地を開拓すべく、さらに一歩踏み込む!


ただのステータス。

されど、ステータスチェック!


転生最初の何の変哲も“変態”もない通過儀礼のような、このイベントに革命を起こしてやる!


もちろん、ハレンチな方向になっ!!!



「いや、まだ、準備段階だよ。それじゃあ、次は《《服を脱ごうか》》。」



そうこれこそ!


〈 ハレンチ♡ステータスチェック!! 〉



「……え?」


「服があると、情報が遮断される。正確な情報を知るために、肌を露出させる方がいいんだ。幼なじみなら慣れたもんだろ?昔は一緒に風呂にも入ってたし。」


「えぇ!?慣れてるわけないじゃん!それ、子供時の話でしょ!?うぅ…肌を露出って、本気で言ってるの?そんなのやだよぉ~。いくら幼なじみでも、恥ずかしいよぉ~!いつもの冗談だよね?」


「観月。冗談じゃないよ。正確に自分の状態が分からないと、いざと言う時に、対処できない。俺は真剣にお前の全てをみたいんだ。」


「そ、そんなこと言って…私が知らないのをいい事に、本当は私の裸をみたいだけなんじゃないの…?」



珍しく、鋭いな…。

そりゃもちろん!裸を見たいだけですとも!



「観月。俺は真剣だぞ?(真剣に観月の裸が見たい!の意。)」


「…う、うん。ごめん。なんか、勘違いしてた。そうだよね。ユーちゃんは真剣に私の状態を確認したいだけなんだよね?(※むしろそれが、勘違いです。)」



観月は胸の前で拳を握ると、コクリと強く頷き胸元のリボンをシュルりと解く。


リボンを脇に置いて、ガン見している俺を困ったように見上げた。



「ぬ、脱ぐとこ見られ続けると、恥ずかしから後ろ向いてて?」


「…あぁ、分かった。準備が出来たら、呼んでくれ。(これくらいは妥協しておくことにするか。変に見過ぎれば怪しまれるし。)」



俺は頷くと、スッと後ろを向いて観月が服を脱ぎ終わるのを待つことにする。



「うぅ…。」



小さな吐息と共に、シュルリ、シュル…パサリと、官能的な音が背後から聞こえてる。



恥ずかしながらも、観月はちゃんと服を脱いでいるようだった。


しかも、ちゃんと、服を畳んでいる音まで聞こえる。


ここは観月の几帳面な性格だな。


昔から、見ていてとても気持ちのいい性格だ。


きっと、良い奥さんになると思う。


問題は…その騙されやすい純粋さだよ、観月。


これは絶対に、悪い男に捕まらないように…



「俺がしっかりと、観月を護らないとな。」


「え?ユーちゃんが護ってくれるの?」


「あぁ、俺が護るよ。」


「そっか…。えへへ…///」



と、悪い男が自分のことはちゃっかりと、棚上げにしたところで、観月の脱衣も終わったようだ。



「準備できた?」


「う、うん…。あ、あのね!あんまりガン見しないで…恥ずかしから。」


「ガン見しないで、ステータスは見れません。諦めなさい。あんまり恥ずかしいなら、目をつぶった方が楽だよ。」


「うぅ…。そうなの?じゃあ、そうする…。」



俺は振り返ると、ベッドの上に腰を下ろした観月に目を向ける。



「よ、横たわった方がいい?」


「…いや、そのままでいいよ。」



目を閉じた観月が、その豊満な胸元を腕で隠してベッドの縁に座っている。


流れるような明るい髪が肩から胸元に流れ、白い肌との対比が更に色香を漂わせていた。


観月…お前、いつの間にそんなに魅力的な女性になったんだよ。


若くてハリのある透き通るような肌。

程よく引き締まり、出るところは出ている女性らしい肉体美。

可愛いらしい顔立ちと相反して、その身体はしっかりと、男を誘えるほど美しさと魅力を兼ね備えいた。



「ごくり…。」



あー、やべ。何もかも忘れて、抱き締めたくなる…。こんなにいい女になってたのか…。いつも近くにいると気付かないことも多くなっていくな。



「ユーちゃん…なんか、目を閉じてると、余計に恥ずかしんだけど。」


「開けるなら、目は開けてもいいぞ?」


「本当?」


「その代わり、見てる俺も視界に入るけどな?」


「っ…!?そ、それは余計に恥ずかしいかも…。」


「なら、やめとこうな。」


「うん…。」



たぶん、目が合ったら俺も保たないから…。


そりゃもう飛びついて、幼なじみとかそんなの関係ないくらい、ただの男と女になる自信がある。


でも、それはダメだ。

今じゃない…それはもっと後…。

観月の身体を堪能してからだ…ムフフ…。



「それじゃあ、見ていくな。少し触れるけど我慢してくれよ?」


「うん。え?触るの!?見るだけじゃないの!?」


「触診だよ。触った方が、より情報がハッキリと明確に分かる。常識だね。」


「そ、そうなんだね。分かった!いいよ!私、分からないから、ユーちゃんに任せる!はい、どうぞ!」



観月は綺麗に姿勢を正すと、目を閉じたまま真っ赤な顔で俺を見上げた。



「…うん。なるほど。」


「ひゃ!く、くすっぐっ…たい…。」



張りのある美しい肌だな。シミひとつない。



「ふむふむ…ここは…。」


「ユーちゃん…ちょっと…くすぐった…い…。」



観月の背後に回り込むと、手を滑らせるように、その白い肌を撫で回していく。


頬、こめかみ、うなじ、首、肩、鎖骨、背中、腰、太もも、膝、脚、足先。


全てを、手のひら全体で感じるように、丹念に撫で、揉み、弾き、突っつき、また撫でる。


優しく、優しく。痛がらないように。

怖がらせないように…。



「んん!はぁ、はぁ、ユーちゃん…なんか…これ…へん、だよ…。ん、んんん……あんっ!……っ!?へ、変な声、出ちゃった…。」


「変じゃない…。可愛い声だよ、観月…。」


「ユウちゃん…ねぇ!んん! ユーちゃん…。なんか…今日…変かも…。チェックは、また、別の日にしない?」



段々と、くすぐったさから快感へと変わってきたのか、観月は肌を火照らせながら息を荒らげはじめる。


スリスリと、その細く長い脚をすり合わせ、切なげな吐息を漏らした観月は遂に我慢できなくなったのか、撫でる俺の腕にしがみついてきた。


変だって?そりゃ、そうだ。俺がそうなるように触ってるからな。


どうしても達成したい目的があって、今日はあえて執拗に触れるような流れを組んだんだよ。


……この幼なじみの関係(拗れ尽くした呪い)に終止符を打つためにな!



「んん!はぁ、はぁ、まだ?まだ、分からないの?ここまでしてるのに…。」


「…ん?あぁ、もう、見え初めてるよ。けど……観月、このまま果ててくれ。」


「…え?果て…んん!ちが、そうじゃないでしょ!これって、そんなんじゃ…はぁ!んあぁ!」



観月のしがみつく腕を外すと、敏感になった肌を、くまなく触れていった。


観月が快感に必死に抗い、ついには隠すことも忘れた胸元が目の前にさらけだされる。


俺はその乳房へ背後から手を伸ばし、力を込めて揉みしだいた。


それが、きっかけとなったのだろう。


観月は目を開けると、後ろから回り込んで、身体をまさぐる俺に目を向けて必死に首を振り続ける。



「ユーちゃん…!ユーちゃん…!んん!待って!これ以上は!だめ!だめだよぉ!本当…!壊れちゃう…!幼なじみじゃなくなっちゃう…。私とユーちゃん、幼なじみじゃなくなっちゃう!」


「……観月。」



観月は必死に抵抗し、俺の服を掴んで首を振り続ける。


ようやく見えてきた。


スターテスが?そんなもの、この情事で見えるわけない。


見えてきたのは、観月の心だ…。


観月の抱えていた苦しみだ。


拗れに拗れた糸…。

絡みに絡みつくし、がんじ絡めになった呪いと化した赤い糸…真っ赤な有刺鉄線…。


その奥で身動きが取れなくなった心が、ようやく変化を恐れて脈動を始めた…。



「ユーちゃん、やめて…んん!怖いの!壊れちゃうの、怖い…はぁ、あん!ユーちゃんとの幼なじみの関係が壊れちゃうの怖いよぉ…。」


「…怖いか。同じだな、俺と。」


「んん…そ、そうだよね?なら、ここでやめよう?いつもどおり、冗談で終わろう?ちょっと喧嘩して、うやむやにして、ね?そしてまた幼なじみとして、毎日、隣で過ごそう?」



幼なじみとして過ごす毎日が楽なのは俺も同じだ。


目の前の観月と同じように感じていた…。


拗れた呪いはいつの間にか、心を守る有刺鉄線の檻のようになり、環境の変化を恐れるその純粋な心は頑なに耳を塞ぎ続けた。


それはもう拷問器具と一緒だ。


アイアン・メイデンのように、硬く冷たく、僅かな心の身動ぎで自身を鉄の針で傷付けながら、それでも決して周りからの干渉は受けない。


観月との、この気兼ねない幼なじみという関係が壊れるのは、何よりも怖いと感じていた。


だからこそ、手を出しあぐねていた。


誰よりも欲しているのに、誰よりも近くにいたいのに怖かった。


踏み込んだ先で、相手にどう思われるのか、もしも拒絶されたらと思うと、何もできなくなっていた。


だから…だからこそ、ここで変わらなきゃならない!


ここで変われなきゃきっと、これからも俺たちはそのままだから!


そしたらきっと、後悔する!


俺たちは互いを許せなくなる!

そっちの方が、何倍も何十倍も悲しくて、寂しくて、苦しい想いをする!


観月にさせてしまう!



「いいや、観月…。壊そう。こんな拗れた関係はもう終わりにしよう。今日がいい機会なんだ。転生して生まれ変わったんなら、俺たちの関係もまた生まれ変わるべきなんだよ。」


「やだ!やだやだぁ!もっと、お喋りしたい!もっと、触れたい!もっと、側にいたい!もっと、もっともっと!ユーちゃんと一緒にいたいの!幼なじみでいたいの!」



俺の愛撫に負けないように、俺の言葉に負けないように観月は必死に抵抗をみせる。


俺と幼なじみで居続けるために、彼女は拒絶するのか、その俺を。


俺のこの気持ちを拒絶するのか…。


本当、拗れに拗れて何が正しいのか、何が筋なのか分からなくなってしまったんだな。


それもこれも、俺たちが悪い。

相手の心を信じきれず、自分の心に蓋をし続けて、互いに互いを傷付けないように過ごしてきた結果がこれだ。


ここまで拗れると、いっそ清々しいほど馬鹿らしい。

何をやっているんだ、俺は…俺たちは…。


こうなりゃ、もうヤケだ。


おもいっきり、自分の想いを真っ直ぐ、観月にぶつけて、この関係をぶっ壊したくなってきた。



「壊す。俺は壊すぞ。もう、無理だ。止まらない。止めない!」


「なんで!?んん!今までも、そうしてきたじゃん!これからも、あん!このまま…んーっ!」


「それはな…観月。お前を失う怖さを知ったからだ。落雷を受けて、死を覚悟した時、お前と離れ離れなることが頭を過ぎった。その時、思ったんだ。こんなことなら、告白しておけば良かったと!お前と離れるくらいなら、お前とイチャイチャ、ラブラブしたかったと思った!!」


「っ!!?それ、私も…思ってた…思ってたよぉ!んん!あん!あぁ!だめ!でちゃう!心の中、全部出ちゃう!!これ、だめ!変になる!本当にぃ…壊れるよぉー…!」


「だから、俺はお前に伝えるぞ!俺の気持ちを!ずっと持ってたお前への気持ちを!お前は、今日から俺の女になってほしい!“俺と結婚を前提に!お付き合いしてください!!”」


「けっこ…!!?んん!!あ、ああぁ…!!らめ!らめらめ!くる!くるぅ!きちゃう!溢れちゃう!私の気持ひ、気持ちぃ、きちゃう!んんっ!あああぁぁ!あっ…!」


「観月、好きだ!愛してる!誰よりもお前を、愛してるんだ!昔から!ずっと昔から好きなんだ!」


「わたし…わらしも、すき…すき…!だいしゅきぃぃぃい…!!あああぁぁ!!」



最後に強く、俺の想いをぶつけるように、観月の敏感な場所に力を入れて揉みしだくと、観月は大きく仰け反り、全身を痙攣させながら大きく息を吐く…。


いい香りの髪がサラリと共に靡き、俺の鼻腔をくすぐる。


そのまま、ビクビクと数度震えたと思えば、くったりと力尽きて、俺に垂れかかった…。


蕩けた顔で、観月は息も絶え絶えに肩越しに振り返る…。


そこには今まで見てきた幼なじみの顔ではなく、とても艶やかな『女』の顔があった…。



「…観月、愛してる。」


「…ユー…ひゃん…いいの…わたしで?本当、いいの?」


「あぁ、お前がいい。お前じゃなきゃ嫌だ。」


「ユーちゃん…私も…ユーちゃんがいい。ユーちゃんと恋人同士、うんん、ユーちゃんのお嫁さんにして?」


「俺たちは今日から恋人同士だ。お嫁さん前提の恋人同士だ。転生したての、な?」


「…うん♡」



背中から抱きつく俺の腕に、観月は嬉しそうにしがみつくと満面の笑顔で頷いた。



「ふふ…ユーちゃん…。すきぃ…。」


「観月…。」


「すー…すー…。」


「寝たか?まぁ、色々あって疲れたろ。今日はおやすみ。」



俺は疲れて眠ってしまった観月に布団をかけると、立ち上がる。



そうして、二回ほど腰を回すと…天に向かってガッツポーズを決めた!!



どうだああぁー!見たか!


転生希望者諸君!そして、神様!お姉さん!


ステータスチェックは、かようにも素敵なイベントなのだよ!


パパッ!とチェックして終わりなんて…そんなのもったいない。


せっかく転生したのなら、イベントはしっかりと回収していこうじゃないか!


例えば、一緒に転生した幼なじみが恋人になることもあるかもしれないんだから。


もっと、もっと、自分の気持ちに素直に行こう!


ゆくゆくはハーレムだ!!

観月を筆頭にハーレムを作ってやるぞー!!


女の子をたくさん、たくさん集めて、もみくちゃになって、姉妹丼、親子丼、従姉妹丼、ドンドンドンドンドンドドドドン♪


ハーレム丼だあぁぁー!!!



「ヤッフウゥゥー!!」


「ねぇ、ユーちゃん…。」



嬉しさに小躍りしていると、寝たと思っていた観月が布団から顔を出して、俺を見ていた。


おっと!?浮かれすぎたか?


俺はベッドの淵に腰を下ろすと、寝ている観月の髪を撫でる。


冷静に見えるが、頭の中は…


『今日から俺の女。何しても許される。今日から俺の女。ナニしても許される。今日から俺の女。絶対、ナニする。』と最低なことを考えていた。


我ながら、本当最低。

収まることを知らない欲望に、俺は心で苦笑した。



「寝れないか?」


「ふふ…。だって、ユーちゃん、うるさいもん。それより気になったのが、ステータスはどうなったのかなーって。実際のところ、私って脱ぐ必要あったの?」


「あー…ステータスか。さってと、ステータスチェックしよう。俺のは…。あ、すっげー。“ステータス”で反応して出てきたわ…。」


「あー…!やっぱり!うそだったんだ!!ばかぁ!すごく恥ずかしかったんだからね!」



俺の前でなんなく開いたステータス画面を見て、観月は顔を真っ赤にむくれるとポカポカと俺の頭を殴る。

いつもより優しめだな。



「悪かったって。でも、全てが嘘じゃない。どうしても、きっかけが欲しかったんだ。呪いにも似た幼なじみの関係をぶち壊すきっかけが。劇的な変化をもたらす、なにかが。」


「えっと……キスしてくれるだけでも、劇的に変わるものも…あると思うよ?」



観月は俺の手に手を重ねると、自身のその艶やかな唇をそっと指さす。



「そう、か…。それは思いつかなかったな…。」



その仕草は、先程の一方的な情事の比にならないほど強く胸を高鳴らせた。



「試してみる?」


「試してみよう。」


「それじゃあ。んー…。ちゅっ…。」


「んん…。」



俺たちはその日、初めてキスをした…。


とても、ソフトで優しいキスだ。

唇と唇を重ねるだけの優しいキス。



「っ…ちゅっ…はぁ…。」



名残惜しげに、もう一度、キスを重ねると俺たちはどちらともなく、ゆっくりと離れる。



「どう、だったかな?キスは?」



観月の真っ赤に染まった頬、濡れそぼった瞳と揺れるまつ毛を見た時、俺の胸はより一層、早く強く脈動するのを感じた。


きっと、観月も同じだろう。



「なるほど確かに…。」



それは…癖になるほど、劇的に刺激的なきっかけだった…。



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