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反抗心には手加減無用につき

中に入ると、制服姿のリライアが立っていた。

その横では、プレートアーマーを着けたアホが盾を持って身構えている。



「リライアは、平常運転だな。今日も可愛いよ。」


「ふふ……ありがとうございます、マスター。」


「んで、お前はどうした。魅玖。今から戦争にでも行くのか?」


『過剰な破廉恥、反対!全裸、反対ー!魅玖ちゃんを、いじめるのはやめろー!ソフトな愛だけにしろー!イキグルイは、やめろー!』


「なるほど、ストライキね。じゃあ、君の要望に応えて……ジワジワと、なぶりイキさせてやるよ……。」


『へ!?え!?あ、あれ?ち、違います!主様!?そうじゃなくて、罰の軽減を!?ちょ!話が違いますよ!?リライアさん!?』


「あらあら、まぁまぁ……。」


「問答無用!」



ー パチン!


俺が指を鳴らすと、魅玖の手にしていた盾が忽然と姿を消す。



『えぇ!?あ、あわわ……!!?に、逃げ……逃げなきゃ!!』



手の中にあったはずの、最大の防御が一気に取っ払われ、慌てた魅玖はガチャガチャと後ずさると、逃げるように用意されていた机に隠れた。



「リライア?机、消してもいい?後で戻すから。」


「えぇ。大丈夫ですよ。想定内ですから。」


「サンキュー♪」


ーパチン!


『想定内?へ?あわわわ!?わぷっ!?』



リライアの確認を取れたところで再び指を鳴らすと、魅玖の隠れていた机が掻き消えた。


ガチャン!!と、音を立てて前のめりに倒れた魅玖は慌てて起き上がろうとするが、上手く立ち上がることが出来ないようだ。


中世の鎧はそれだけで、30kgくらいあるもんなー。女の子の……しかも、魅玖の細さでは容易に扱えないだろう。



「おんや~、立てないのかー?魅玖ちゃん。急がないと……どんどん、どんどん動けなくなってくよ~?ほ~ら……《 重力魔法:Heavy(重量増) 》だぁ~。」


ーズシッ!ギシギシ……!



『 重っもっ!?え、えぇ!?動けないぃ~!?』


「遊んでるから、その鎧、倍の重さにしてやった!まだ抵抗するなら、もっと重くしちゃうよ?」


『いつの間にか、重力魔法を覚えてる!?なんで!?前回から、魔法図書館には来てませんよね?』



総重量約60kg超になった鎧を身に纏ってしまった魅玖は、ジタバタともがきながら立ち上がろうとするが、今では胴体すら持ち上がらない。



「ふふ!うちの優秀な秘書を舐めないで貰おうか?俺の可愛いリライアは、如何なる場合でも先手を打って、念入りに準備してくれてるんだぜ?」


「ふふ!コソコソと教えておきました。」


『うぇッ!?なんで、そんなこと!?』


「私、できる秘書なので。(キランー☆)」


『答えになってないぃー!!』


「いい子だな~リライア。よしよし。ご褒美にたーんと、可愛がってあげるからな。」


「はぁ~……マスタ~///」


『え?あ、あぁ!まさか、この人!?』



リライアの肩を抱くと、髪から頬を指先で優しく撫でる。

そのまま、その唇を優しく指先でなぞると、リライアはふるふると歓喜に身を震わせ、甘い吐息を漏らした……。


紅く色付いた葉っぱのように、その頬は湿り気を帯びて艶やかに火照り始める。


そんな喜ぶリライアの姿を見て、魅玖は確信する。

『自分は嵌められたのだと!』


主の寵愛欲しさに、目の前の女狐に騙されたのだと悟った!



『う、裏切りましたねー!!?リライアさぁーん!?そういえば、この鎧を勧めて来たのも貴女でしたね!?こうなることを想定して……あぁ!?想定内って、そういうことかぁー!?』


「なんのことですか……コン?」



キツネの耳と、すすきのようなふさりとした尻尾を着けたリライアが可愛らしく小首を傾げて魅玖に答える。



『露骨にあざと可愛いぃーな、おい!主様!気をつけて!その女狐、実は結構腹黒いですよ!?』


「ははは!そんなところも含めて、可愛いんだよ、魅玖。女の子は多少の腹黒さがあった方が可愛いもんだ。それを許容できるかどうかは、男の度量の問題だよ。」


『多少なもんか!謀反をそそのかして、鎧着けさせて、裏で重力魔法を教えこんで、自分は体良く、主の信頼を勝ち取るなんて、孔明さんもびっくりの知略ですよ!?むしろ、危ないですって、その秘書!いつか主の座を奪いに来ますよ!?』


「それ、あなたが言います?乗っ取ろうとした張本人でしょ?」


『うぅー!?ぐうの音も出ない程、正論!魅玖ちゃん、泣きそう!泣こうかな!?』


「はは……。今回はしてやられたな、魅玖。それじゃ、ご褒美の時間だ、リライア。」


「あ……。マスター……ちゅ……。」



俺はリライアの腰に手を回すと、ギュッと抱きしめ、その艶やかな唇に唇を重ねる。

ゆっくりと、どちらともなく舌を絡めると気持ちが高まりあったところで名残り惜しげに口を離す……。



「んっ、ちゅ……あむ……ちゅ!はぁ……マスター……素敵です……。」


「可愛いよ、リライア。いつもありがとう。」


「はぁ……はぁ……。お役に立てて光栄です……///」



ブンブン!ブンブン!とキツネの尻尾をちぎれんばかりに振るライアは紅色に染まった頬に手を当て、悦びの声をあげる。


ほんと可愛いなぁー。



『うわぁー……。見てられんな。デレッデレじゃないですか……。凛とした日頃の面影なんて全然ないし。男の前では性格変わるタイプですか?』


「というより、好きな人には甘えたいタイプ……みたいな?」


「だまらっしゃい!」



ベッタリと床に這いつくばったまま、プレートアーマーの魅玖は、深く息を吐いて呆れた声を漏らす。

リライアは、少し考えるような仕草を見せたあと、顎に手を当てると小さく笑った。

うーんー!無邪気可愛い。



「でもまぁ、いつも頑張ってくれてるのは、魅玖も一緒だよな。」



ーパチン!


再び指を鳴らすと、アーマープレートの兜が消え、驚いた表情の魅玖が現れた。



「あ、主様あぁ~……。」


「魅玖にも、素直にご褒美はあげたいと思ってるんだよ?これでも。思いっきり、愛でたいとも思ってる。」


「うぅ~!主様ぁ!魅玖ちゃんの気持ちを分かってくれたんですね!?」


「あぁ!だから、お前には、最上級のお仕置をくれてやる!」


「なぁーー!!?全然、伝わってなかったぁー!!?いや、だから、あの!できれば、《露出》を外して頂いて、もっとソフトな性癖を……」



ーパチン!


「イキ狂え!魅玖!更に、腕と脚の鎧の重さを増やしてやる。絶頂しても動けない程になぁ!《 Heavy(重量増) 》」



魅玖が全てを言い終わる前に、俺は腕と脚だけを残し、胴体と腰部分の鎧を消し去る。

するとあら不思議……。

露出大好きの変態騎士の出来上がりだ。



「ふぁっ~!?あ、あぁ!?や、やめ……あぁ!!?」


「ふふ!一気に、丸見えになったぞ?胸も、可愛らしいお尻も丸見えだ……。紐パン、エッロ!」


「ん!んん!らめ!やめれ、おかひくなる!あたま蕩けゆぅー!」



まるで、四つん這いに拘束されたような格好で、魅玖はその長い黒髪を振り乱しながら、ビクビクと身体を快楽に振るわせる。


腰が小刻みに痙攣し、目は虚ろになって、だらしなく舌を出した唇から、ぬらぬらと光る唾液が零れ落ちる。


なんと、扇情的な光景だろうか。

俺の漢が一気に猛り来るってしまうじゃないか。



「気持ちよさそうだなー。魅玖……。」


「ごめんなひゃい、ごめんなひゃい、反抗してごめんなひゃい、もう抵抗なんてしまひぇんから、許ひてぇー!もう、許ひっ……いっ、イク……イクッ……!!?おかしくなるぅ!」


「んー。可愛いなぁー。そうして、見られて、恥ずかしさに身悶えながらも、身体が素直に快楽に振るえている、はしたなくて、ヤラしくて、艶やかで、トロトロに蕩けてる顔はすごく素敵だよ、魅玖。」


「やめれ……いわないれぇ!おおおぉー!壊れる!壊れひゃう!大きいの……クル!クル!来ちゃううぅー!主様に見られて……イッちゃううぅー♡」


「可愛いよ、魅玖。さぁ、俺の手で、イかせてやろう。せめても情けだ。俺に見られて、ヤラしく果てろ!魅玖!」


「っ!!んん!んあッああぁぁーっ♡♡♡」



仕上げにと、魅玖の背中を魔力を込めて、ツーッと撫でた。


腰を大きく振るわせた魅玖は、その細い身体を弓なりに反ると、絶叫に近い喘ぎ声を最後に漏らして、くったりと力尽きた……。



ビクビクと振るえる身体を、俺は指先で撫でると、その耳に口を寄せ、小さく愛を囁いた……。



「すごく可愛かったよ、魅玖。惚れ直した。」


「はぁ……はぁ……主様ぁ……♡」



その頬に口付けを添えると、パチン!と指を鳴らし、最後の鎧を消す。


両腕と両脚が解放された魅玖は、ゴロンと仰向けになると、胸に大きく息を吸って、呼吸を整える……。


その最中も、服を着させていないので、快感は絶えず襲ってくる。



「ん、んん!あ、主さま……んん!ごめんなさい、と、止まらない……です……。服を……服をおぉー……。」


「謀反を起こそうとした罰だ。そのまましばらく、快楽の海を漂い反省しなさい。」


「んん!しょ、しょんなぁ~!?」



俺はポンポンと魅玖の頭を撫でると、震える魅玖の前に椅子を用意しどっかりと腰を下ろした。



「しくしく……。また、弄ばれてしまった……。もう、お嫁に行けないぃ……。」



バスタオルをかけられた魅玖が顔を両手で覆い隠し、しくしくと泣いていた。



「安心しろ。もう、お前は俺のところにお嫁に来てるんだぞ。今では、俺の大切な女だからな。どこにもやるつもりはないし、誰にも渡さないよ。」


「本当?本当に?あんな、はしたない姿ばかり見せられて、嫌われてませんか?」


「嫌うわけないさ。むしろ、綺麗な姿をいつも見せてくれてる魅玖は、毎回惚れ直してるんだぞ?」


「……綺麗じゃありませんって、私。」



魅玖はバスタオルで身体を隠しながら俯くと、自身の身体を苦笑しながら眺める。

相変わらずの卑屈さだけど、前に比べれば、大分マシになった方かもしれない。

出会ったばかりの頃なんて、笑顔にすら影が差してたもんな……。

まぁ、少しずつ自信がついてきてるってことだろう。



「お前は可愛いよ。少しずつ自信をつけていけばいいさ。これからも俺は少しずつ、お前自身の魅力を伝えていくつもりだよ。」


「その少しが、過激すぎなんですけどー……?」


「あはは……。可愛いって、罪だよねー。」


「もう!……ふふ。」



魅玖に微笑みかけると、ようやく笑顔を取り戻した彼女に服を着せてリライアに向き直る。



「そういえば、リライア。シルフィの姿を見せる方法は分かった?」


「はい。シルフィさんが見えない理由は意外と簡単です。原因は彼女が無意識的にまとっている風魔法です。これにより、視覚が阻害されています。まるで、風の結界ですね。これを排除できれば、誰でも姿を見ることはできるのですが、そうすると、彼女自身に魔力が送られなくなってしまう上に、世界と彼女を遮断することになってしまうので、それはお勧めできません。」


「風の精霊だもんな。制御を失った風がどうなるかも、考えるだけで恐ろしいな。」


「ですね。司令塔を失った風の妖精たちが、各地で大暴れして、甚大な被害が出ることになるでしょう。」



シルフィたち、精霊と呼ばれる存在たちは世界の調和を図る役目を担っているため、シルフィと世界中にいる風の妖精たちとの繋がりが絶たれてしまうと、統率が乱れて大混乱に見舞われることになる。


風なら各地で台風やハリケーン、火なら火山や自然発火か?土なら地震か地割れ、水なら大雨と洪水といったところだろうか。


いずれにしても、そこに住む多くの生き物たちに甚大な被害を与えることになるだろう。


姿を見たいがために、そんなことを引き起こすわけにはいかないよなー、やっぱり……。



「なので今できるのは、マスターの視覚情報をお二人にも共有することで視る方法です。幸いなことに、不可視の結界は一度でも認識できた者には永続的に開放されるようですから、最初の一回だけ認識させれば大丈夫でしょう。」


「へぇー。意外と簡単な解決策があったな。」



なんだか、ご都合主義的な抜け道だな。

さすがに世界を作った女神さんも、誰にも見えないのは可哀想と思ってたのかな?


なんだ。優しいところあるじゃん、女神様。



「明日にでも、シルフィさんの紹介はするとして次の依頼についてですね。」


「あぁ、ギルマスの依頼だよね。まだ、詳しくは見てないけど確か、近くの沼で暴れているモンスターを討伐依頼だっけ。」


「はい。ニョーロンフロッグの討伐依頼ですね。」


「ニョーロン?ニョロン?ニョロン?」



……なんだろう、これはなんかハレンチなイベントが起こる予感がするぞ?


観月ちゃんが絶叫してる姿が目に浮かぶようだ……。



「よし、先頭は観月で行こう。」


「ふふ!きっと素敵なハレンチイベントが待ってると思いますよ?それで?私へのハレンチは、まだお預けですか?」



リライアは依頼を映し出していたウィンドーを閉じると俺の膝の上に向かい合うように跨り、首に手を回して甘えてくる……。



「ふふ……リライアも相当、ハレンチな娘になっちゃったな?」


「だ、誰が、こんなふうにしたと……。」


「さぁ?誰だろ?」


「私をこんな風にいやらしい秘書にしたのは、あなたですよ……ちゅ!」


「ん……そりゃ、光栄だな。」


「まったく……私のマスターはこれだから……。大好きですよ、マスター。」



恥ずかしさを誤魔化すようにリライアは俺の首に回していた手に力を込めると、それが自然であるように顔を近付けてキスを交わす。


それは、日々のお仕事へのご褒美であり、どんな紅茶やお菓子よりも甘く優しい一時……。


俺の可愛い秘書さん。

いつも、ありがとうね。



「ん!あ、あぁ!マスター……!」



感謝を込めた彼女へのプレゼントは、今日は少し濃厚だった……。




<< 観月side >>



「ユーちゃん、帰ってこないなー。長引いてるのかなー?って、あれ?もしかして、このまま本当に寝てない?」


「うー?」



観月は俯いて壁を背にベッドに座っているユースケを見て首を捻る。

風呂から上がってきたものの、ユースケは微動だにせず瞑想の縁に落ちたままだった。


自身の浴衣姿を褒めて欲しかったので、少し不満に思った観月はベッドの上のユースケに四つん這いになって近付く。


もう既に前がはだけ始め、色っぽくなっていることには気付いていないようだった。



「あ、まつ毛長いなー。羨ましい。女の子から嫉妬の嵐にあっちゃうよ?」



ちなみに、観月も十分にまつ毛は長い。

ユースケはいつも、その瞳を見て、可愛いと感じていたが口に出したことはなかった。


いってやれよー、魔王。



「……んー。起きないなら、仕方ないか。寝かしてあげよ。お昼も頑張ってたしね。」


「うぅー。」



さすがに、ずっとこの体勢はきつそうだということで、肩を掴んでベッドに横たえると、明らかに無理のある体勢になってしまった。


足を前に伸ばしながらも、腰から上は横にダラりと力なく垂れている。



「うー……?」


「あはは……。ごめん、ごめん。ちゃんとした姿勢をしてあげるから。楽に、楽に~ね。寝れるように。」



主人の体勢を真似して、シルクも足を伸ばして横に垂れる。

とても、楽そうにそのクリクリとした丸い目で観月を見つめ返していた。


スライムだからできる芸当に、観月は苦笑する。


頭に指を当て、考えこんだ観月は身体の動きを考えながら、何とか寝かせようと努力してみることにした。



「えーっと……。こうして……こうして。腕をこうして……足はこうすれば……はい!できた!」


「うぅ!?」



はい!!見事なヨガポーズのできあがり!


俗にいう、賢者マリーチのポーズ(マリーチャーサナ)と呼ばれるポーズ。


これにより、肩、ハムストリングス、腰、腹部、脚の付け根、腸、腎臓、肝臓、膀胱が刺激されます。


効能は消化機能アップ。便秘解消ですね。


その他の効果として、脳を休める、背骨と肩のストレッチ、肝臓や腎臓など腹部組織の活性化、消化機能の改善が期待できます。



「う!?うー?」



想像してたの大分違う!?と、驚きの表情でシルクは主人の姿を眺める。



「あー……あれぇ?あは……あはは……。間違えた。腕はこうだ。んでー、足はこう。ん?硬いなー。ユーちゃん、身体硬いよ?仕方ない、力技でいくか。……せーの!ふん!」


「うっ!?」


「はい!でき……た?」



はい!見事なヨガポーズその二。

鳩の王のポーズ(ラージャカポターサナ)。


主に腹部や女性なら子宮が刺激されます。


効能は姿勢の改善と背筋の強化ですね。


その他の効果として、胴体前側、足首、大腿と鼠蹊部、腹部と胸、のどのストレッチ ・深部股関節屈筋(腰筋)のストレッチ ・背筋の強化・姿勢の改善・腹部組織と首の活性化が期待されます。



「うぅー???」


「あ、あれー?ユーちゃん、こんな姿勢で寝てたっけ?違うよね?寝相悪いにしても、これは……あんまり……。って、違う、違う。ユーちゃん、寝相はすごくいい方だったよ。足が、こう!腕はこう!そして姿勢がこう!そう!!こんなふうに……綺麗に……ピシッと……。う、うぅ……うぅー……!!」


「うっ……????」



はい……。見事なヨガポーズその三。

支えのある頭立ちのポーズ(サーランバシールシャーサナ)


え……なんで?そうなるの?

なんで、三点倒立みたいになってるの?


うん、綺麗だけど……確かに綺麗だけど……ピシッとしてるけど……。


観月は両手で顔を隠し、ペタンと座り込んでポロポロと涙を零す。


全てが違う。やりたかったことと、違うのだと、全力で否定していた。



「違うのぉー……!そうじゃないのぉー……!」


「うー……。」



見事な三点倒立を決めている主人を見上げて、シルクは感動の眼差しを送る。

こんなにも綺麗な造形は見たことがない。

絶妙なバランスもさることながら、足先まで綺麗に伸ばされた身体。

まさに芸術!


「うーうー!!」



ードン!グラ……



あまりの感動に、たまらず飛びつくと、ぐらりと体勢を崩したユースケはベッドに倒れ込む。


するとどうだ。

見事に、ようやくいつも眠る姿勢といっていい状態になったではないか……。



「え?あ、あぁ!!やった!やったよ!ナイス!シルクちゃん!やっと、ユーちゃんが眠ってくれたよぉー!あのままにしてたら、絶対、怒られるところだったもん……。よかったぁ~。はぁ……。」


「う?うー……。」



シルクの見事なアシストで、一気に事態が好転したことで、観月はほっと胸を撫で下ろす。


普通の状態に戻ってしまった主人に、しょんぼりと俯くと、シルクは主人の胸に抱きついて寝息を立て始めた。


相変わらずの寝付きの良さだ……。



「あはは……。早いなー……。あ、でも、私も眠くなって来ちゃった……。明日は、どんなことがあるかなー……。ね、ユーちゃん……。きっと、楽しいことあるよね。ユーちゃんとなら、私、どんなことでも、楽しくなるよ。ユーちゃん、大好きだよ……。ちゅ!」



観月は寝ているユースケに口付けをすると、ベッドに潜り、静かに目を閉じる。


少し、イチャイチャできなかったことを寂しく思ったが、今日のところは手だけでも我慢しようと、寝ているユースケの手を繋ぐ……。



「恋人つなぎ~♪ふふ……。」



お幸せそう何よりです……。


観月は目を閉じると、深く、深く、眠りへと落ちていった……。



ーーーーーーーーーー

ーーーーー

ーー



バサ!バサ!バサ!……



皆が眠りに落ち、静かになった部屋に何者かの影が近付く……。


祝福を携えたそれは、“白く大きなツバサ”を広げて、部屋のベランダに静かに降りると、スーッと窓を開け、音もなく部屋の中へと入ってきた……。


彼が……白いツバサの子供が再びやってきたのだ……。



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