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勇者、悪夢にうなされた果てにつき・漆

食事を終え、再びベッドで休むように言い渡されたミラは、ベッドの縁に腰を下ろすと、ダルさの残る身体に喝を入れ、通信魔道具“MagiPad”を取り出し仲間へ連絡を行う。



「戻るのが、たぶん遅くなると思うんだ。」


『 そうか・・・。まぁ、体調不良なら仕方ないね・・・。というか、むしろ、ミラが風邪ひいたことの方が驚いたよ。君も人間だったんだねー。』



通信機の向こうでは、上半身裸の男がバスタオル姿で笑っていた。



「いや、勇者だって人間なんですけど?それより、服を着なよ。アークスくんこそ、風邪ひくよ?」


『ふふ!この僕が風邪ひくなんて、ありえないよ。むしろ、少し寒いくらいが、身体にはいいんだよ?だから、そう。ミラも服を脱ごう。きっと、今より強くなれるよ!』


「なんで、そうなるんだい。いつもいつも、私を裸にしようとしないでよね。何度確かめても、僕は男だよ?」


『知ってるさ。たしかに、昨日までは男だったけどね。今日は女の子かもしれないでしょ?』


「そ、そんなわけないでしょ!私は何年経とうが男だよ!バカ言ってないで、そっちは任せたからね!体調が回復しだいすぐに戻るから!」


『はーい。任せて、任せて。王都には、スライム一匹すら、侵入させやしないさ。』



小さく笑みを浮かべて、手を振るとアークスは通信を切る。


アークスの後ろのベッドで、すやすやとゼーンが眠っていたが、大丈夫なのだろうか?

彼女もまた、見えた背中は裸だったけど・・・。



「なんで二人とも服を着てないの?風邪ひくよ?」


※ミラはピュアなのです。


二人の体調を心配するも、通信はもう切れていた。



「ぷるん。」



ポスポス!と、プチシルクが枕を叩いて、寝るように誘う。



「んんー、眠れって・・・?」


「ぷるん!」



ポスポス!と頷くように、プチは再び枕を叩いた。

しかし、ミラは少し渋い顔をすると首を振る。



「また、あんな夢を見ると思うとね。確かに、疲れもあるけど、今は遠慮したいかな。」


「ぷるん?」


「たぶん、次眠ったら、もう、ヤバいことになると思うんだ。それこそ、自我を保ってられないような状態になるかもしれない。」



一度目、二度目の夢は正直内容はそれほど覚えていない。

ただ、この二回で分かったのは、自分の中にサカエが強く印象づけられているという事実だ。

出会った頃は、確かに憧れに近い感情だったものも、一度目の夢では、憧れとは別の親友に抱くような感情だと気付かされた。


二度目の夢では、親友というより、恋にも似た感情だと気付かされる。


そしてついに先程の三度目の夢は・・・とても、そんな淡い恋心などとはかけ離れたことが行われようとしたのだ。



「男同士でキスなんて、鳥肌ものだよ・・・。アークスくんが相手だと、想像するだけで逃げ出したくなるのに、サカエくんが相手だとむしろ、この身を差し出したい気持ちになる。それほど、彼は性別のことなど忘れるくらいとても魅力的なんだ。」



だから・・・きっと次があるとすれば、自分は間違いなく自分を差し出してしまうと、感じていた。


そして、それをしてしまえば・・・。



「もう、戻れなくなる・・・。絶対に。」



男と男同士の友情を育みたかった当初の感情とはかけ離れた場所に、一気に連れていかれる。

そして、もう、きっと彼を純粋な憧れの気持ちで見ることはできなくなる。

そんな確信がその胸にはあった。



「・・・あ、あれ?」



ミラは自身の胸に手を当て、首を傾げる。

なんだか・・・少し、痛みがある。

少し腫れているのか、膨らみも出てきている。



「え・・・?もしかして、本当に何か病に罹っていた?」



これは、マズいと思ったミラは、この村の医師に相談することにした・・・。


しかし・・・。



「おかえり。どうだった?」


「うん。あのね・・・お医者さんから、お薬もらったんだけど、さ・・・。これ・・・。」



診療を終え、帰ってきたミラをリアは笑顔で迎える。

医者に相談することで、気持ちだけでも、少し元気になればと思ったが、帰ってきたミラは、出ていった時よりも輪をかけて真っ赤になっていた。



「へぇ。良かったじゃないか・・・。どうしたの?薬苦手?あはは・・・お子さまだなー。」


「いや、苦手というか、戸惑ってる・・・。」


「薬に?なに、量が多いの?まぁ、ミラは勇者だし、薬にすらも耐性ありそうだけどね・・・。」


「うぅ・・・!!」




差し出された薬袋を受け取ると、表紙を確認する。無記名だ・・・。

あれ?普通なら、中に入っている薬の名前が書いてあるはずだけど?と首を捻りつつ、袋を開けて、中を確認したリアは絶句した・・・。



「え、えー・・・?」



大きな紙袋から出てきたのは、可愛らしいワンポイントのリボンの着いた『ブラジャーとショーツのセット』だった。

それを見たミラはさらに顔を赤くして、地面に崩れるように倒れ込む・・・。



「わたし・・・そんな・・・そんなの貰っても・・・どうしたらいいか分からないよおぉー・・・!そんな耐性ついてないよぉー!!」


「あー、うん。ごめん。軽率な発言でした。許して、ミラ・・・ちゃん。」


「ちゃん付けしないでよぉぉー!!」



真っ赤になって泣叫ぶミラを、リアはどう励ましていいか分からず、とりあえず、背中を撫でることしかできなかった・・・。


「とりあえず、ブラジャーを着けなさい!違和感あるかもしれないけど!アンタのためだから!」


「やぁーだぁッッッ!」


「恥ずかしいのは分かるけど、放っておいてもいいことないよ!?私も初めは恥ずかしかったけど、動けば胸は擦れて痛くなるし、形も崩れるしで、いいことないんだから!!」


「やぁーだぁー!!どこの世界に、ブラジャー着けて、戦う勇者がいるんだよぉー!しかも、私は男なんだよ!?」


「過去には居たかもしれないじゃない!?歴史書に載ってないだけで!」


「いないよ!歴代勇者初だよ!むしろ、本当にいたら、私は勇者辞めるよ!そんな変態に救われた世界なんて、生きてられない!というか、逆に魔王に申し訳なくなる!ブラジャー着けた変態に倒される魔王って・・・!そんな、そんな、魔王が可哀想すぎるよぉー!」


「急に、勇者が魔王の擁護を始めんな!あんた、そんなの聞かれたら、人類の敵扱いされるよ!」


「もう、ブラジャー着けた時点で、勇者失格だよぉー・・・。ぐすん!」


「はぁ・・・あーもう。埒が明かないなぁ。」



病かと思って医者の元に行ったら、ブラジャーを持って帰らされるなんて珍事に遭遇したことがなかったリアは、さすがに何かの間違いだろうと単身で医者のところに乗り込んだ。



「リアさん。冗談ではなく、真面目に言ってるんですよ。勇者様の胸は女性のそれと同じになっているんです。まるで、思春期の少女のようにです。ちゃんと処置してあげないと、後で苦労することになりますよ?」


「え、えー・・・。本当の話なんだ・・・。」



女性の大変さをもちろん知っている、リアさん。

家に帰ってきたリアの第一声が当然ながら、『ブラを着けろ!』になるのも仕方ないわけだが、ミラからすれば冗談ではない。


勇者として男として、 断固として断るべき案件に、ミラは寝室へと飛び込むと徹底抗戦の構えを見せた。


かれこれ小一時間、こんな問答が行われているのである。



「あー、もう。わかった。とりあえず、ここに置いとくから覚悟が決まったら着けなさい。大きくなってきたもんは仕方ないんだから、対策しないと後で苦労するよ・・・?それにもしかしたら、サカエも気に入ってくれるかもしれないぞ?」



さすがにリアも疲れが出てきたのか、小さく息を吐くとリビングへと帰って行った。



「サカエくんが、気に入ってくれる?いやいや・・・まさかぁ・・・。」



少しの間のあと、僅かに空いた隙間からミラは顔を覗かせると部屋の前に置かれた包み紙をサッと奪うように部屋に戻る・・・。



「い、いやぁー。さすがにこれは・・・。」


紙袋から、下着セットを取り出すと、しげしげと眺めて苦笑を浮かべる・・・。



「これは、さすがにないな。」



ミラはナイナイ!と首を振ると、下着を紙袋にしまい、机の上に放り投げた。



「まったく、ひどい話しだよ。病に詳しくないからって、バカにして。お医者さんには悪いけど、ヤブだね。ヤブ。男が急に女になるなんて、あるわけないじゃん。え・・・ないよね?」



ミラは自身のズボンの中を確認して、ほっと胸を撫で下ろす。

大丈夫・・・。男の印は確かにあった。



「この腫れた胸も、安静にしてれば元に戻るはずだよ。うんうん・・・。少し怖いけど、やっぱり寝よう。しっかり体を休めないと、治るものも治らないや。」


「うーうー。」



ポスポス!と枕を叩くプチシルクに今度は素直に従うと、布団に潜り込み目を閉じる。


疲れからか、すー・・・と引き込まれるようにミラは眠りの中へと落ちていった・・・。


そして、彼が目を醒ます・・・。


「ウキー・・・キィー・・・きぃー・・・!」

〈アスモデウスの悪夢〉がミラに襲いかかった!


ーピコン!


▷アスモデウススキル【 淫夢 】が発動しました。


Lv3を達成。Lv4へ移行します。


〈 対象に淫らな夢を見せる。内容を指定でき、現実と遜色ない快感が身体と心に深く刻まれる。 〉



「んっ!・・・ふーっ!ふーっ!んん゛!ん゛ん!!」



夢から覚めたミラは、身体に残る快感にうち震える。胸の先端はシャツの上からでも分かるほど立っており、下腹部の奥の奥には、じわりとした感覚が熱く広がる。


何度も何度も、身をふるわせる程の快楽が、寄せては返し、また寄せて来る。



「はぁ!はぁ!んん!やら!らめっ!まっれ~~♡」



その度に、身体を悦びに捩らせ、その小さな足先でシーツに線を引く。

まるで、全身が性感帯になったような感覚に、ミラは舌を出してうつ伏せに悶える。

呼吸と共に、唸るような音が漏れ聞こえてきた。



「んん!んお゛ぉぉ・・・!ハヒィ・・・!ハヒィ・・・!あ!あ!らめ、まら、まらくるうぅ~♡」



少しずつ階段を昇るように、一段一段、着実に、快感が強くなっていく。

絶頂を迎えたのは何回目だろうか・・・。


夢から覚めても、快楽は収まらず、むしろ増加し、感覚が短くなっていく。

終わらない快楽に恐怖を抱きながらも、抵抗する術などなく、ミラはただもがき苦しみながら絶頂を繰り返していた。


ドクン!ドクン!と心臓が脈打つ度に、胸がジンジンと刺激に歓喜した。尖端を服が擦れる度に、その刺激が何倍にも膨れ上がり、頭を駆け巡る。



「あ!あん!あん!ら、らめ!くる・・・くるくるくるくるうぅー!!」



胸にも、股にも、触れているわけではない。だというのに、ミラは布団を掻きむしりながら、全身を揉まれ、吸われて、弾かれ、摘まれ、撫でられ、厭らしく淫らに、味わい尽くされる感覚に頭も身体も魂すらも蕩けていく。



「あぁ!たすけて・・・サカエ・・・くん・・・。」



もう抵抗することも出来ず、されるがまま、快感に頭が蕩けきった時だった。


ふと、自分の前に一匹の猿が降り立った・・・。



「ウキー・・・。」


「はぁ・・・はぁ・・・んん!あん!」



どことなく、サカエに似ている気がする・・・。


ミラの虚ろな眼差しを受けた猿は、トコトコと近付くと、にっかりと笑って、頭に手を置いた。



「ウッキー・・・キィー・・・きぃー・・・。いい顔だ・・・ミラウェイド。もう少しだ。もう少し頑張ってくれ。」


「はぁ・・・はぁ・・・んん!キミは・・・だれ?」


「きぃー・・・。普通ならとっくに終わっていただろうに・・・逆に耐性の強さが、裏目に出たね。だけど、大丈夫。必ず、君は堕ちるさ。堕ちりサルさ。我が前では、全てが暴かれ曝される。そして、全てをさらけ出した時、現実と夢の間に横たわる壁は脆くも崩れ去り、夢と現実は混沌と化すだろう・・・。そしたら、また会える。」


「現実?夢?混沌?分からない・・・。わからないよ・・・。」



押し寄せる快感に身を委ねながら、何度も途切れそうになる意識を必死につなぎ止めて、ミラは目の前の猿を見つめる。


嫌な感じはしない・・・。むしろ、彼を目の当たりにしているような安心感と、話せた喜びだけが胸を支配していた。



「今は分からなくていいよ。大丈夫。すぐに会えるさ・・・。」


「サカエく・・・んんんッ!」


「さぁ、もうすぐ、キミの願いは叶う。キミの願いはなんだい?」


「わらし、わらしのねがいはぁ・・・。」



そこで、ふっ・・・とミラは意識を手放し布団に倒れ込む・・・。



「おや?気を失ったか・・・。もう少し話してもよかったが、まぁ、次もある。焦らずいこう、ミラウェイド・・・。さぁ!最後の〈悪夢〉が始まるよ!ウキー・・・!キィー!きぃー・・・!」



猿は両手を広げ、ミラを祝福するように、まるで洗礼を与えるように、大袈裟に振る舞うと、チラリと脇で震えるプチシルクに目を向ける。



「・・・シルク。」


「ぷ、ぷるん!」



名前を呼ばれ、ビクリと震えると、プチシルクは猿の前に擦り寄る。



「・・・彼を頼むよ。今は彼にとって、とてもツラい時期だ。キミのヒンヤリとした身体は、確かに効果がある。熱で浮かされた身体を、冷ましてあげなさい。特に頭は冷やしてあげること。あと、身体も拭いてあげなさい。少し、気分が楽になるはずだ。」


「ぷるん!」



猿は最後に『頼むよ・・・』と優しく微笑むと、霞にように消えた・・・。



残されたプチシルクは、布団に潜り込むと、少しの間、モゾモゾと服の中を這い回り最後に胸の谷間からニョロンと這い出てくる・・・。


※得意のクリーニングで、全身を綺麗に掃除しただけです。決して、やましいことはしてません・・・。



「うー・・・。」



プチシルクはミラの首に巻き付くと、ヒンヤリとした身体で、熱の篭った身体を冷やし始める。



「気持ちいい・・・。」


「うー・・・。すー・・・すぴー・・・。」



少し、落ち着いたミラの顔を見て、プチは満足気に微笑むと、自身も眠りに落ちていった・・・。



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