表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/177

勇者、悪夢にうなされた果てにつき・陸

リアが部屋の様子を覗くと、ミラが布団で丸まっている姿が見えた。



「起きてる?食欲はあるかい?」


「ぐすん・・・うぅ!リア!どうしよう!夢に見るほど、サカエくんが忘れられないよぉ!」



部屋に入り、布団に包まっているミラに近付くと、突如、起き上がったリアに飛びつかれる。



「ちょっと、どうしたの?そんなに泣いて。夢に見るほど気になるなら、会いに行けばいいじゃないか。」


「会いに行っても、絶対、拒絶される!」



会えないのは嫌っ!拒絶されるのはもっと嫌っ!と、リアの腰に抱きつき、声をあげて泣くミラ。

その頭を撫でながら、リアは何か解決の糸口がないか探す。



「まぁ・・・。会いに行けないなら、遠くから見守るしかないだろうけど・・・。」


「むりぃ・・・。一目見たら、話したい気持ちを、押さえられないよぉー。」


「乙女か。はぁ・・・困ったなぁ。何か方法ないかな・・・。サカエが話通りの男嫌いなら、さすがのミラも諦める他ないと思うけど・・・。」


「ヤダァ・・・。何もしてないのに、諦めるなんてヤダー・・・・・・。」


「だろうね。私と同じで、諦めの悪さは天下一だもの。だからこそ、勇者になれたんだろうけどねー。」


「うぅ・・・やだぁ・・・諦めるなんて、やぁ。」


「わかった、わかったって・・・。でもねぇ?アンタが男である限り、こればかりはどうにもならないと思うんだけど・・・。」



諦め悪く、首を振り続けるミラの頭を撫でながら、リアは苦笑を浮かべる。

どうしたらいいのか。どうすれば、サカエとミラが気を許し、話せる仲になれるかを考える。


アダンとサカエを見ている限り、ある一線を引いた関係なら、サカエも問題なく対応できることは分かっている。


しかし、目の前のミラは違う。


明らかに、その一線を超えたがっているのは、傍から見てもヒシヒシと伝わって来てきた。


本人は憧れなどと口にしているが、間違いなくそんなものでは収まらない、もっと親密な関係を願っている。


間違いなく。男女の関係にも似たようなところまではなりたいと、心の奥底では思っているはずだ。



『男は近寄んな!』

『ガーン・・・!!』



サカエも、ソコに気付いて、 少し強めに拒絶したのかもしれない。


世界は同性愛に寛容に見えても、その実、抵抗があるのは、誰が見ても明らかなのだから。



「(でも、それが逆に仇になったなー。他の人間とは違うと思わせてしまったことで、ミラの心に特別な感情を呼び起こしてしまったみたいだ・・・。)」


「ぐすん・・・。そうだよ。私が男である限り、相手にされないんだ・・・。」


「生まれながらの性別は仕方ない。そう、落ち込むな。きっと、何か方法があるはずさ。」



ミラの頭をポンポンと撫でると、リアは立ち上がり、努めて明るく振る舞う。


希望を捨てるなと、夢を諦めるなと。



「だって、お前は勇者なんだからさ。きっと、何か、方法を見つけることができるはずさ。私は信じてるよ。」


「リア・・・。うん・・・うん!そうだね!私は勇者なんだ。私が望むなら、きっと、方法は見つかるはずだよね!」



ミラはリアの励ましに、拳を握り強く頷く。


そう。ミラウェイドは男である前に、勇者なのだ。数々の危機や困難を、そのずば抜けた身体能力の高さと知識、そして、時の運すらも味方につけ、何度も乗り越えてきたのだ。


今回の件だって、きっとどうにかなるはずだ。


少し前向きに物事を捉えられるようになったミラは、ベッドから下りると、リアに再び抱きつく。



「ありがとう、リア。私、頑張るよ。きっと、何か方法を見つけて、サカエくんと打ち解けてみせるよ。」


「あぁ。大丈夫。ミラならやれるさ。」



リアはミラの頭から背中にかけて優しく撫でると、身を離し、手を引く。



「少し、ご飯を食べよう。腹が減っては、頭も働かない。考えもいい方に考えられないぞ。」


「うん!」



リアに手を引かれ、部屋を後にするミラ。


その二人の背中を見つめながら、スライムは首を捻る。



「・・・ぷ、ぷるん。」



サカエの従者であるスライムには見えていた。


“ミラの背中”にしかと、“猿”が抱きついているのを。



「ゥキー・・・キー・・・キー・・・。」


「ぷるん!?」



部屋を出ていく刹那。猿はスライムに目を向けると、シー・・・っと口元に手を当て、不気味に笑っていた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ