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その男、色欲魔王につき!~みんな逃げて!超逃げて!~  作者: 黒崎黒子
第一章 ~ 色欲魔王転生 ~
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その者たち、加減知らずにつき

それから、俺と観月はかれこれ十分くらい抱き合っていた。


いい加減、落ち着いてもなお離れようとしない二人に業を煮やした神が間に入ることで、ようやく二人は名残惜しみながらもゆっくりと離れる。



「アオハルタイムは終わり!終わりですっ!若人たちよ!いつまでも見つめあってないで、チューするならチューしなさい。見てるこっちが、やきもきするから!」


「観月とキス…。」


「ユウちゃんとキス…。そ、それはダメだよ!そういうのは、好きな人同士でするものであって、幼なじみ同士がするような事じゃないから!それは、ちゃんとお付き合いしてからだよ!」


「…そうだよな。うん。そういうのはちゃんと想いを伝え合って、付き合ってからだよな。」



俺と観月は爺さんの冷やかしに、慌てて離れると背中を合わせにそっぽを向いた。


ダメだ、意識すると顔すら見れなくなる…。


でも、意識は確実に背中合わせに立つ観月に向いていた…。


キスか…観月と。



「「(キス…。キスキスキスキスキス…!!)」」



込み上がる気持ちに、自然と二人は肩越しに振り返ると、つい目が合ってしまう。


それでも、キスで頭がいっぱいになった顔なんて見られたくないもんだから、二人とも互いの視線が唇に向いていたことに気付くと、すぐに視線を逸らして、しゃがみ込んでしまった。



「「はぁ~…///」」


「うはは…なんだこれ、おもしれー。ずっと見ていたいわ。」


「も、もう!パパってば!初心(うぶ)な二人になにいってんの。…ごめんね?この人、そこら辺が疎くって。ママにも、そこは何度も怒られてたみたいだから。ほんと、ごめんね?デリカシーのない神様で。」


「そんなことはないぞ?儂は人の心の動きに敏感だ。相手の気持ちは手に取るように分かっているつもりだぞ。訂正を要求する!」


「本当に分かってたら、ママと結婚するのに、一世紀もかかってないって。本当、朴念仁なんだから。」


「な!?そ、それは、儂らは幼なじみだったせいで拗れに拗れてたせいでな?」


「あー、はいはい。その話は何度も聞いたって。本当に長いのよ、その話。それよりも今は二人の転生でしょ?急がないと“加護を与えた神様”にも“姉さん”にも気付かれて、いよいよ、どうしようもなくなるよ?」


「おぉ、そうだったな。二人とも悪いが、こっちに来てくれ。今から転生について話すから。」



神に呼ばれて部屋を移動すると、石の扉があった。


扉には【 地 】と書かれている。



「この石扉の向こうが、これから行ってもらう異世界だ。向こうは、朽ちた遺跡に繋げてある。近くに生体反応が多数見られるから、恐らく村があるはずだ。まずはそこに行って文化に慣れなさい。」


「あの…。あっちはどんな世界ですか?私たちの世界のように機械文明はありますか?」



本意ではない転生だ。


少しでも慣れた環境を欲するのが、一般的な人間の心理だろう。


だが、こういう場合、答えは大体は決まってる。



「残念だが、こちらのような機械文明は全くない。向こうは、剣と魔法が主流だ。大丈夫。慣れれば、意外と機械文明よりも便利に感じると思うぞ?」


「飛行機なんかなくても魔法で空は飛べるし、移動も車じゃなくて魔法のゲートでテレポできるしね。覚えたら超簡単なんだ♪」



魔法だから水も火も土も風も思うがままだと、お姉さんが続けた。


「魔法…。すごいけど、私にできるかな?」


「あぁ、できるとも。この世界の人類は科学を進歩させる未来を選択しただけで、あちらは、科学ではなく魔法を軸に進歩しただけの違いだ。ただ、こちらの人類は、発展の上で魔力に蓋がされてしまっているから、儂が二人の魔力の蓋をこじ開けておこう。」



神様は俺たちの頭に、手を置くと、ポンポンと優しく撫でる。



▽ 魔力が全開放されました



「「え…?あ、あつっ!?」」



ただ、頭を撫でられただけ。


それなのに、俺と観月は腹の底から、焼かれるような熱さが込み上げてくるのを感じる。


それは、どんどんと熱く膨らみ、ついには立っていられなくなった俺たちは、その場にしゃがみ込んだ。



まるで、腹の中でマグマが渦巻いているような感覚だ。



「もうー、パパ?魔力があっても、使えなきゃ意味がないじゃない。私の魔法知識を必要と思う分だけ、記憶してあげるから、まずは、魔力を操作できるようになりなさい。大丈夫、簡単よ?魔法はイメージが大切だから。想像力を働かせて!」



次にお姉さんが、俺たちに歩み寄ると、同じように頭に手を置いて微笑む。


お姉さんの笑顔に、助かったと思った瞬間だった…



▽攻撃魔法学大全取得

▽防御魔法学大全取得

▽補助魔法学大全取得

▽生活魔法学大全取得

▽火魔法学大全取得

▽水魔法学大全取得

▽土魔法学大全取得

▽風魔法学大全取得

▽究極魔法大全取得

▽禁忌の理…etc…取得


取得!取得!取得!取得!!!



「「ぐっ!?あ、頭が…痛い!!割れる!割れる!ぐうぅぅ…くっ!がぁあぁ…!!?」」


「お、おい!?凄く苦しんでないか?どれだけの魔法情報を与えたんだ?生活魔法程度でいいんだぞ?」


「え?そんなんじゃ、最初の街で力尽きちゃうよ?究極魔法くらい覚えておいた方がいいでしょ?」


「究極魔法って、正気か!?それにお前さんたちのような《《化け物レベル》》の知識を常人に、しかも、一気に詰め込んだりなんかしたら、頭が破裂するぞ!?ちょっと、これはいかん!二人とも顔が真っ青になってきた!」



また神様が駆け寄ると、頭に手を置いて優しく撫でる。


まるで即効性の薬を投与されたように、すぐに痛みは治まってきた。


しかし、まだ頭の中は、ぐちゃぐちゃとうるさくて仕方がない。


なにかこう、頭の一角に、無理やり巨大な部屋を増設され、そこに何千という大量の本棚を設置して、さらに何万冊という大量の本をそこに一つひとつ並べていくような感覚だ。


辛そうな観月の顔が見える。

俺は無意識に、倒れた観月へと手を伸ばすと、観月も縋るように手を握り返してきた。


互いの手が…温かい…いや、熱い。



▽基礎身体強化Lv3(攻防Lv3)

▽基礎免疫強化Lv3(異常耐性Lv3)



「えー?身体強化Lv3?街を破壊する気なの?肩がぶつかるだけで、相手死ぬよ?」


「それぐらいしないと、この急激な知識増加による苦しみからは救えないんだよ。これ以下で放置していたら、今頃は脳が飛び出してきてたわ。本当に恐ろしいことをするな。」



互いに互いの与えた物に呆れ顔で見合っていたが、それも一瞬、次に必要な物を思い付いたのか、再び二人は俺たちに目を向けた。



「そうだった。向こうには、魔法に強い存在もいるらしいぞ。そいつらが襲ってきてもいいように、物理攻撃も身につけさせなければ。」


「そうだね。といっても、私たち二人とも武器は使わないから、これといって教えられないんだよね。だから、これをあげる。日々精進だよ!無敵で素敵な男性になりなさい!少女も見てるばかりじゃ置いていかれるよ!頑張って!」



▽武芸の心得を取得

(あらゆる武器を使った戦闘が可能になる。また経験が大幅に増加。理解した技は模倣が可能になり、研鑽を重ねることで、威力増加。)


▽心眼

(戦闘時に相手の動きが見え、理解できるようになる。)


▽|ENDLESS IDEAL《果てなき理想》

(限界を決めない限り、限界を突破し続ける。)



「人間らしいいいスキルだな。なら、これも必要だな。無駄に相手を挑発しないように。また、時には脅しも必要だ。」



▽隠匿スキル

(スターテスを隠匿する。本人の任意で解除可。)


▽威圧スキル

(任意の相手を威圧する。スキル総合値に大きな差がある場合、相手は戦意を喪失する場合がある。)



「と、こんなところだろうか…。ふむー…まだ心配だ…。」


「私たちの身勝手に巻き込んでしまった以上、二人には、波乱万丈な人生ではなく、悠々自適な生活を送って欲しい。まだまだ、まだまだ足りないけど、本当に足りないけど、時間もないからここまでになることを心より謝罪するね。本当にごめんなさい、二人とも。」



ようやく、二人の過度で過剰なお土産祭りは、終わりを迎えた。


正直、お土産に押し潰されて、ほぼ瀕死です…。


クラクラとする頭を振って、俺たちは立ち上がると、互いの様子を見る。



「ユーちゃん、大丈夫?」


「俺はなんとか…。観月は?」


「んん…少しふらつくけど、私も大丈夫そう。」



よかった、過度に過剰に異常な程に、スキルや知識を詰め込まられたから、最悪、化け物のようになっているかと思ったが、俺たちはちゃんと人間の形を保ってているようだった…。



「いや、ちゃんと確認をしておくか…。大切なことだからな。」


「え?何を…」



ぴらり…



俺はおもむろにしゃがみ込むと、そのまま、観月のスカートを捲る。


目の前には、白く眩しい太ももと、可愛い小さなリボンのついたレースの白いショーツ。


うむ…。いつも通り、美しい、純白の三角ゾーン(▽)だ。


もはや、芸術だな。額に入れて飾りたいくらいだ。



「へ…?ゆ、ユーちゃん…?何してるの…?」


「うん、大丈夫そうだ。変なものはついてない。ちゃんと、女の子だな。可愛いぞ、観月。」



そのまま、スクリと立ち上がると、キメ顔で親指を立てて、観月のおパンツ様を褒め称えた。



「ゆ、ゆゆゆ…ユーちゃんのぉぉ…ばかあぁー!!」


「ごふぅあぁらっしゃー!!?」



固まった笑顔がみるみると真っ赤に染っていく。


ついに、恥ずかしさの限界を超えたのか、はたまた、現実に帰ってきたのか、観月は涙目のまま、まるで拳法の達人のように流れる動きで、数回打撃を加えると、最後に大きく腰を捻り掌底を腹に打ち付けた。


俺は部屋の壁まで飛ばされ、そのまま、激突する。

ゆっくりと、剥がれるという表現そのままに、壁から地面へと落下した。



「え…?なに、これ…?」



信じられない光景を目にした、いや、体験した観月は、まるでダンプカーのような破壊力を持って突き出された自身の拳を見つめる。



そう。此度の観月のパンチは通常の比ではなく、明らかに、ダンプカーか大型の鉄球がぶつかったような衝撃を俺に与えて来たのだ。



「うむ。ちゃんと、身体強化のスキルは発動しているようだな。」


「飛んでいくイメージを持って殴ったのかな?最後の一撃には、風魔法が乗っていたのを感じたね。無意識に、そんな応用ができるなんて将来が楽しみだな。ふふ…。」



そんな様子を、神様とお姉さんは満足気に頷きながら眺めていた。


「いてて…。」


「ご、ごめん!ユーちゃん!大丈夫!?まさか、こんな威力になるなんて思ってなかったの!本当、ごめん!」


「いや、大丈夫。派手に吹っ飛んだけど、痛みはいつもと変わりないくらいだ。」


「そんな…あんなの絶対に痛かったでしょ?」



身を案じて、すぐに駆け寄ってきた観月は、服についた埃を落としながら、全身をくまなく見ていく。


別段、ひどい痛みがあるわけではない。


こうして、くまなく見られている間に痛みも徐々に引いていた。



「本当?本当に大丈夫?」


「大丈夫だよ。そう心配すんな。むしろ、観月の下着も見れて、元気いっぱいだよ、俺は。」


「下着とか、どうでもいい。ユーちゃんが、無事ならそんなのどうだっていいよ。本当に大丈夫?」



観月を安心させるために、軽口を叩くが観月は取り合うこともせず、不安そうに胸の前で手を組んで俺を見上げていた。


冗談を言って、和ませようと思ったのだが、失敗したな。



「大丈夫だよ。ほら、怪我もない。」


「本当?本当にほんと?また、昔みたいに強がってない?いやだよ?もう、隠されるのは…。」


「観月…。」


「少年は、本当に大丈夫だよ。」



あまりに心配するものだから、見るに見兼ねたのか、お姉さんが苦笑を浮かべて、俺の肩に手を置く。



「見ての通り、身体強化の影響で、攻撃力が上がってるけど、防御力も格段に上昇してるんだ。つまるところ、二人の身体は…よっ!」


「っ!?きゃぁー…!ん…?あれ?」



お姉さんは、観月の腹に向けて拳を打ち付ける。観月は絶叫を上げて、その場から数メートル吹っ飛ばされ地面に転がる。


少し地面に横たわっていたが、ムクリと起き上がると、自身の制服をめくり、その細いお腹を見せる…。



「痛くない…。」


「わぁ!細いくびれ!若いっていいなー。」



自身の腰を擦りながら、観月の腰の細さを羨望の眼差しで見つめるお姉さん。



「いや、十分、お姉さんもくびれてますよ。とっても綺麗ですよ。」


「え?ふふ…嬉しいこと言ってくれるね、少年。ほんと、カワイイ~!好きになっちゃいそう!」


「お、おっぱい!むぐっー!?」



キューッとお姉さんは、俺に抱きつくと、可愛がる弟に接するように頭を撫でる。


しかし、俺はそれどころでは無い。


お姉さんのその豊満に包み込まれ、いい香りと最高の感触に俺のオトコは、尋常ではない昂りをみせる。


くうっ!幸せに溺れ死にそう…!



「おっぱ…おっぱ…ムフムフ…フンフン…!」


「ユー…ちゃん…?おい、ちょっと、こっち向けよ、遊助。」


「おぱおぱお…はっ!…。ガクブルガクブルルルルル…!!!」


「あんっ!すごい、振動…!まるで、振動オモチャみたい。ふふ…!」


「はっ!?振動オモチャって!この前、楽々天から届いた荷物のことか!?まったく、この淫乱娘は!親のアカウントで勝手に、変なもの買うな!」


「てへぺーろ♡…あん!本当、すごい、いい…。」



パフパフとお姉さんのお胸を堪能していた俺だが、背後から聞こえる低く唸るような声に固まる。振り返ることができない。否、振り返ってはいけない!


爺さんとお姉さんが、ワイワイしている間も、俺は微動だにできないでいた。


その間も、凄まじい殺気が、俺の背後から襲い来るものだから、俺の身体は完全に硬直し、恐怖にうち震えていた。


俺を抱きしめるお姉さんは、その震えがあまりに激しいものだから、まるで卑猥な玩具の感覚を思い出したのだろう。


荒い息で、胸の中の俺を、艶やかな笑みで見つめていた。



「も、もうおしまい!二人とも、離れて!」


「きゃ…!あぁ…もうちょっとで、イケそうだったのに…。」



俺を引き剥がされたお姉さんは、モノ欲しげに俺を見つめると、口に指をくわえて、切なげな声をあげた。



「卑猥すぎます!ユウちゃんに、変な遊びを教えるなら、近づかないでください!」


「あぁ!そんな殺生な~!」


「お!?うぉ!?」



擦り寄るお姉さんを軽くあしらうと、観月は俺を小脇に抱えて軽く数メートル後方に飛んだ。



「大丈夫?ユーちゃん。」


「観月…。」



軽やかに着地すると、俺の顔をチラリと覗き見て、安堵の表情を浮かべる。


ドキッ…!


なんなの!?この溢れんばかりの包容力は!

まるで、俺を護るナイトのようなイケメンぷり!



「いやー、すごい気迫だ…。もともと、感がいい子なんだね。すっかり、新しい体の感覚をものにしてる。今なら軽い戦闘なら難なくこなせるかもしれないね。」



真っ直ぐに見据えられたお姉さんは、降参するように手を上げると観月の動きを冷静に分析した。


これで、軽い戦闘って…。この動きは、もはや達人レベルに思えるのは俺だけでしょうか?


お姉さんの隣にいる神様に目を向けると、お姉さんと同じ意見なのか何度も頷いていた。



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