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それが勇者と魔王の出会いにつき

勇者は黒い塊から伸びる無数の手を、聖剣で切り付けながら、少し険しい顔で敵を観察する。



「これ、効いているのか?いや、これだけ斬っても、数が減らないということは、効いてないのか。物理無効かな?なら、四大元素魔法なら、どうかな?たとえば、“火”とか?」



再び伸ばされた手を斬って大きく下がると、聖剣を横に構えて、詠唱を始める。



「【 聖火小鷹(ファイアバード) 】!」



横にした剣を敵に向けて突き付けると、切っ先から炎が吹き出す。


炎は小鷹とは名ばかりの大鷲程に巨大に膨らみ、黒い塊に向かって一直線に飛んで、着弾した。



ー ギィオオオウゥー・・・!!?



身体に火が着いたことに慌てた様子で、黒い塊はジタバタともがきながら、無数の手で炎を払おうとしているが、一向に鎮火する様子はない。


むしろ、伸ばされた手にも炎は引火し、炎はより大きくなっていく。



「ふむ。火が効くのか・・・。ますます、正体が分からないな。」



やがて、全身に炎を巡った塊は、ジワジワと焼かれ、ゆっくりと活動を停止する。



「そろそろか・・・?」



それからしばらく、炎はメラメラと燃えていたが、少しずつ火が収まると、真っ黒な塊がその姿を表した。


元々が黒いので、一瞬遠目では違いが分からなかったが、近付いてじっくりと観察してみれば、表面は焼け焦げて、完全に炭と化していた。



「ふむ。火は効果テキメンのようだな。」



観察を終えた、ミラウェイドは聖剣を突き立て、生死確認をしようとした瞬間だった。



「・・・耐性を獲得・・・。」


「なっ!?人の声!?」


「対象の分析再開・・・。」


「っ!?」



突如、女の子の声が焦げた塊から聞こえたかと思えば、焦げた外皮にヒビが入り、中から再び、黒い手が無数に生えてくるではないか!


危険を感じ、慌てて離れるも、自身も触れられる程の距離に居たため、何重にも突き出された黒い手から逃れることができず、捕縛されてしまった・・・。



「くっ!しまった・・・!」


「・・・た・・・対象を・・・捕縛・・・分析中・・・。」



巨大な手に胴体を捕まれ、逃れようともがいていると、さらに腕が伸び、脚、腰、腕、肩、首と何重にも拘束されていく。



「捕まってしまったなー。このまま握り潰す気か ?」


「・・・分析中・・・。」



黒い手に全身を掴まれ、逃げることもできないミラウェイドだが、その声色は落ち着いたものだった。



「ふふ・・・。だが、私の鎧は硬いぞ?お前に砕けるかな?」


「・・・分析・・・完了・・・。」


「ん?」



さらに掴む腕が何重にも追加され、鎧にかかる圧が増加していく。



ーピシ・・・!


「おいおい・・・これは、まさか・・・!」



ついに限界を超えたのか、ミラウェイドの鎧にヒビが入り始め、それが徐々に、全身のあちこちから聞こえ始める。



ーピシ!ギギギギ・・・!ピシ!ピシ!



「これは、さすがにまずいか?とりあえず、火で相手を怯ませて、脱出を・・・。」



身を捩り、なんとか聖剣だけを、外に向けて突き出すことができた勇者は、先程のように、聖剣の切っ先から、燃え盛る鳥を飛ばし、黒い塊にぶつけることに成功したが・・・。


ージュ!


しかし、火はすぐに鎮火し、先程のように相手を包み込むことができなかった。



「な!?火が効かなくなってるのか!?・・・そういえば、耐性を獲得とかなんとか、言っていたな。それなら、他の魔法で・・・あっぐうぅっ!?」


「抵抗・・・しないで・・・。」



ーギリギリ!



別の魔法を放とうとした勇者に気付いたのか、掴んでいた腕にさらに力が込められる。



「まだ、圧が、ぐっ・・・上げられる、のか・・・。くっ・・・これは・・・さすがに、油断・・・してたな・・・。」



ーピシ!ピシ!ピシ!


ついに、鎧の全身にヒビが巡った。


このままでは、握り潰されてしまう・・・そう、思った時だった・・・。



「あ・・・あれ・・・?アナタ、なんで?」


「かはっ・・・こほ!こほ!な、んだ?急に力が緩んだ・・・。助かった・・・のか?」



急に間の抜けた声が聞こえたと思えば、力が緩み、フワリと地面に下ろされる。


何事かと思い、咳き込みながら、黒い塊を見ると、黒い塊は小刻みに震えながら、無数の腕をしおしおと引っ込めてしまった。


まるで何かに怯えるように、黒い塊はミラウェイドの背後を見ている(目もないので、見ているように感じる、と言った方が正しいか?)。



「・・・・・・後ろ?」



恐る恐る、背後を振り返るとそこには・・・



「はは・・・!また会えたね!愛しの黒い女の子ちゃん!会いたかったよぉー!お兄さん。」


「・・・あ・・・あ・・・やだ・・・。」



両手を広げ、うっとりとした表情で、目の前の塊に向き合う青年が立っていた。


対して、黒い塊は青年が一歩踏み出すと、まるで、怯える少女のように身体を揺すって、後退り始める。



「(こ、この青年に怯えているのか・・・?)」


「ん?あー、あれ?お話中?悪いね。俺が先約なんだ。彼女は俺が貰うから、これ以上の手出しは許さないよ?」



青年は座っているミラウェイドの頭に手を置くと、ポンポンと優しく撫でて、下がっててくれよと笑った。


そのまま、ミラウェイドの答えなど聞かず、二人の間に割って入る。


まるで、ミラウェイドを庇うように・・・。



「き・・・君は・・・?」



目の前の青年の背中を見た瞬間、ミラウェイドは不思議な感覚に陥り、思わず、へたりと尻もちをついてしまう。



「(何故だろう・・・。腰に力が入らない・・・。)」



もしや、あの黒い手に毒でもあったのかと思うが、すぐにそれは、ないと否定する。


勇者である自分は、異常耐性などとうの昔に習得していて、ヒュドラの毒でさえ、無効化できるのだ。そこらの毒など効くはずがない。


そこでふと、単にミラウェイドは自分が腰が抜けたのだと気付いてしまった。



「っ~!///」



自分の失態に恥ずかしさが込み上げてきた、ミラウェイドは、集中を乱してしまい光の武装を解除してしまう・・・。


もう、目も当てれない・・・。


そんな、半泣きで立てない自分に気付いたのか、青年は小さく微笑むと、さらに遠くに立つ少女に目を向けた。



「俺?俺は、栄咲 遊助!女の子と仲良くなるために、世界を旅してるんだ。あんたは少し休んでいるといいよ。あとは、俺が引き受ける。観月!悪いけど、この人、運んでくれないか?」


「うん!少し離れましょうか。肩貸しますよ。」


「え?あ、いや、でも!この敵は危険だ!私も闘うぞ!」


「大丈夫、大丈夫。ここはユーちゃんに任せて。」


「し、しかし・・・!うぉ!?」


「はーい、ダイジョブ、ダイジョブ~!」



ミツキと呼ばれた少女に軽々と、担ぎ上げられたミラウェイドは、何が起きているのか理解できないうちに、あっという間に、街道の端へと連れられていかれた。


その姿を肩越しに見ていた青年は、二人の安全を確認すると目の前にいる黒い塊に手を差し出した。



「やぁ、さっきは悪かったね。勢い余って、狙いを外してしまったよ。」


「や、こないで・・・。」


「くっ~~!やっぱり、素敵な声だね!もう、お兄さん、ヤル気マンマンだ!まずは、キミを隠す分厚い殻を綺麗に剥ぎ取って、キミの美しい姿を拝見しようじゃないか・・・。」


「こないで・・・って・・・言ってる!」



ブルブルと震えたかと思えば、無数の手が青年に襲いかかる。

しかし、青年は慌てる様子もなく、ゆっくりと歩き出すと、襲ってくる手を軽く弾いて、再び前へと進みゆく。


焦りに焦る黒い塊は、ミラウェイドの時とは、比べものにならないほどの数の腕を青年に伸ばすが、どの腕も髪の毛一本掴むことはできず、弾かれてしまう。


数など、さしたる問題ではない。

速さなど、問題にもならない。

そういうかのように、青年は気がつけば、あっという間に黒い塊の前に立っていた。



「ふー・・・!ふー・・・!」


「はい、タッチ・・・。うふふ・・・!あーあ、捕まっちゃった♡ 」


「くっ・・・!うぅ・・・!」



青年はにっこりと笑うと、黒い塊に手を置いて、仮の勝利宣言を告げる。


それは、まるで子供の遊びだった。

どんなに相手が本気で挑んで来ても、青年にとっては関係ない。


まるで、子供たちがじゃれ合う程度にしか、青年は感じていないのだと、手を触れた瞬間、ハッキリと相手に知らしめてしまった。



「やっぱり、疲れてるんだね?さっきの闘いより、手の発生速度が、遅くなってるよ?」


「っ・・・うぅ・・・!バカに・・・してる・・・!やっぱり、あなた・・・キライ!」


「え?いや、えー・・・?違うよ?そんなことないよ?俺はただ、無益な争いはやめて、俺のハーレムに入ってくれないかと・・・」


「うるさい・・・!キライ・・・!話しかけないで・・・!」


「ガーン!!しょ、ションナー・・・。」



黒い塊の言葉に相当ショックを受けたのだろうか、がくりと青年はうなだれると、膝から崩れ落ちて、しくしくと泣き始める・・・。


その涙は紛い物では決してなく、本気で泣いているのが、遠くにいるミラウェイド達にも伝わってくてるようだった・・・。



「か、彼は何をしているんだ・・・?」


「あー・・・。たぶん、ハーレムに勧誘したけど、全力で拒否されたから本気で落ち込んでるんだろうなー・・・。」


「ハ、ハーレム?彼はアホなのか?あんな化け物のどこに、そんな魅力があるっていうんだ・・・『シュッ!ドスッ!』って、危なっ!?なんだ!?急に何をする!?」


「おい・・・キミィー・・・!そこのキミィー・・・。いくら、綺麗な顔立ちで、周りからチヤホヤされてるからって、言っていいことと悪いことがあるぞぉ?」



ゆらりと立ち上がった青年は、肩越しに振り返ると、いつの間にやら手にしていた弓を構えてミラウェイドを狙っていた。


否。狙っているのでは無い。既に射られていた・・・。


ミラウェイドの数センチ横に、深々と刺さっている鉄製の矢が、状況を物語っている・・・。


「ぐっ・・・!?(見えなかった・・・この私が・・・。私は勇者なのに。幾千もの闘いを経験して、一般兵の矢など止まって見える私の眼で捉えられないなんて・・・。この青年・・・何者だ?)」


「次、“この子”の悪口言ったら、その左手貰うからね?」


「は、はい・・・分かりました・・・ごめんなさい。」


「う・・・ん・・・?」


ミラウェイドは何度も頷くと、黒い塊に向かって、謝罪の言葉を述べる。


先程まで、自分が殺されようとしたのに、何故自分が謝らなければならないのかと、いった不満もあるが、決して口にはしない。

いや、できなかった。


目の前の青年の冷たい視線が、それを許さないからだ。


あの目には逆らってはいけない・・・。


ミラウェイドにとって、初めての感覚に、思わず背筋に冷たいものが流れる・・・。


見られただけで、この威圧感だ・・・。

勇者である自分を抑え込める程の眼力・・・。


きっと、自分など足元にも及ばないほど、相当な修練を積んでいるに違いない・・・。そう、思わせる程に青年の眼光は鋭いものだった。


そういえば、旅をしていると言っていたな・・・。その中で多くの窮地を乗り越えたのだろう・・・。



「(まさに、井の中の蛙だったわけか。私もまだまだだな・・・。)」



少し落ち込んで、伏していた視線を戻すと、青年は弓を放り投げ、拳を握り、腰を落とす。



「あ、あれ・・・?」



弓は使わないのだろうか?と捨てた弓を見たら、青年の周りには弓は落ちていなかった・・・。


「目を離した隙にしまったのか?いや、どこに?そんな所作なかったぞ?」


「さぁ!再開だ!美しい声の女の子!その殻から今、俺が解放してあげるからねぇ~!?」


「・・・いや!・・・触らないで・・・!」



何が何やら分からぬうちに、青年と黒い塊は拳をぶつけ合い、戦闘を再開し始める。


何もかも次元が違う。


見たこともない戦闘スタイルに、ミラウェイドは目を丸めると、キラキラとまるで憧れのヒーローの戦闘を観る子供のように瞳を輝かせて、青年を見つめ続ける。


突き出される拳を弾き、流し、時に受け止め、青年は至近距離で無数に襲い来る手を、捌き続ける。



ーパシッ!バシッ!シュッ!ドッ!



その表情には、一切の焦りなどなく全くの余裕の表情で、飛んでくる手を捌き続けること二分。



「はぁ・・・はぁ・・・あなた・・・何者・・・?」


「俺かい?」



突き出された拳を掴んで、黒い塊は明らかに息が上がった様子で、目の前の青年に問いかける。


青年は嬉しそうに微笑むと、腕を掴み返して、一気に引き寄せる。


グラリと塊は傾く。


それを好機と見た青年は、渾身の力を込めて、拳を塊に向けて突き出した。



「ふっ!」


「なっ!?」



ードッ!・・・ゴオオォーッ!



青年の拳がぶつかった瞬間、青年と塊を中心に突風が起こる。突き抜けるような突風が塊を貫くと、塊は徐々にその外皮をぶっ飛ばされ、ついにその中身を青年たちの前に現した・・・。


「な・・・んで・・・?」


「ふふ・・・!やっと、会えたね。」



青年の前には、一人の女の子が立っていた。

暴風から身を守るように、顔を隠していた女の子は、風が止んだことに安堵して、手を下ろし、周りを見渡したところで目を丸めた。


その身を守っていた外皮がほとんど剥がされ、足元しか残っていないことに心底驚いた様子だった。


口元を隠すように、大きなガスマスクのようなものを着けた女の子は、その翡翠のような瞳で青年を見上げている。その瞳には、先程までのような怯えはなく、ただ純粋な疑問が浮かんでいた。


後ろで高めにまとめられた紅い髪が、傾げた首と共にサラリと揺れる。



「あなた・・・何者・・・?」


「あぁ、自己紹介が遅れたね。俺は栄咲遊助。女の子を幸せにするために、世界を旅してるんだ。」


「サカエ・・・ユースケ・・・?」


「そう。そして、もちろん、女の子である、キミも幸せにするために、俺はここに居る。俺のハーレムに来ないか?」


「ハーレム・・・?組織のこと・・・?それなら・・・わたしは・・・もう・・・入ってる・・・。」


「ハーレムは組織なんかじゃないよ。相手を想い、相手に想われる、そんな心が温かくなる場所さ。」


「なにを・・・言っているか・・・分からない。」



女の子は首を振ると小首を傾げて、青年を見つめていた。



「はは・・・。分からないなら、仕方ない。じゃあ、いつか、分かった頃に、また来てくれよ。今は予約ってことで。俺のハーレムにいつか来て欲しい。俺はいつでも待ってるよ。」


「・・・待ってる?・・・再戦・・・?」



目を細めると、やるならやるぞ!と両手を広げて構えると、青年に向き直る。



「違う、違う。再戦、違う。俺、お前、気に入った。お前、俺の嫁に来い。分かる?」


「ヨメ・・・?何それ・・・。結局、あなたは敵?味方・・・?」



ジェスチャー混じりで、青年は一生懸命に伝えようとするが、女の子は首を傾げるばかりだった。



「理解できない・・・ごめんなさい・・・。」



女の子は軽く頭を下げると、困ったように、青年を見た。


対して、青年は苦笑を浮かべると、手を振って、気にするなと告げた。


そういいながらも、頭から足先までじっくりと、女の子を眺める。

まるで、網膜に焼き付けるようにじっくりと・・・。


青年は、全く、全然、毛ほどにも、諦める気はないようである・・・。


だが、青年の気持ちも分からなくもない・・・。


女の子の服装は独特で、まるで全身を包み込むように、皮のような、シルクのような真っ黒な服に身を包みこんでいた。


しかも、そのボディラインはくっきりと浮き上がり、細く長い手足も、豊かな胸も、丸いお尻も全て形が分かるほどだった。



「ムフフ・・・!」


「視線が・・・。」



女の子は青年の熱い視線にたまらず、身をよじると、両手で視線を遮るように、身体を隠した。全然、隠れてないが・・・。


見るところは沢山あるが、特に青年の視線を釘付けにしたのは、包まれた服から所々、わざと露出させられた絹のような白い肌だろう。


胸元からヘソ、腹部にかけて。そして、なぜか、又のVゾーンを強調するように骨盤から太ももまでの露出。ハイレグと言われるものだ。この世界でも、種族によっては好んで履かれるものだが、人間の間では珍しい。


見た目が明らかに破廉恥極まりないからだ。


遠巻きで見ていた、ミツキとミラウェイドも、その格好に思わず赤面している。



「だ、大胆すぎるよ~!あの格好は・・・。」


「た、確かに・・・。かなり際どい姿だな。」



二人はアワアワと、手にバスタオルを持って女の子を見ている。

今にも駆け寄って、布をかけたい気持ちでいっぱいなのだろう・・・。



「いいと思う!すごく、可愛いぞ。うん。これからも、そのままでいてくれ。」


「・・・そう?・・・ありがとう・・・。」



女の子は一瞬、キョトンとした様子だったが、青年の褒め言葉が嬉しかったのか、目元に笑みを浮かべて微笑んだ・・・。



「あ、笑顔も可愛いな・・・。」


「もう・・・それ以上は・・・いいから・・・///」



女の子は照れた笑みを零すと、耳元に手を当て、林を振り返る。



「・・・呼んでる・・・行かないと・・・。」


「・・・そうか。それじゃあ、また、どこかで。」


「たぶん、すぐ会える・・・。データは取れた。より強くなって、帰ってくる・・・。次は、あなたを消滅させる・・・。」


「お、oh......。全然、伝わってなかったね!?」


「?・・・それじゃ、また。」


「はぁ・・・。分かったよ!ただし、次勝ったら、おっぱい揉ませろ!これ、条件な!」


「あなた・・・サイテー。絶対、消滅させる・・・。」



女の子は小さく苦笑すると、足元に手を置く。

谷間!谷間!と青年が視線を、女の子の胸元に釘付けにしていると、みるみる、外皮が蘇り、元の黒い塊に戻ってしまった・・・。



「そうだ。俺は名乗ったんだ。キミの名前を教えてくれないか?」


「名前は・・・ない。組織から・・・『27号』だったり・・・『実験体』と呼ばれている。」


「27号ね・・・。それなら、ニナって呼ぶよ。」


「・・・好きにするといい。」



外皮で姿は見えなかったが、声は小さく笑っていた・・・。


そのまま黒い塊・・・ニナは、林に戻ると、やがて気配が無くなった。

辺りには再び、静けさが戻る。



「・・・また会おう、ニナ。」



青年は最後にポツリと呟くと、林から離れて、遠くで傍観していた二人の元へと、踏み出した。



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