その少女、ハレンチすぎにつき
観月と共に、シルクたちが進んだであろう方向に、向かって歩いていく。
「俺たちが店に入ってから、30分くらい経ってたよね。」
「うん。結構、待ってると思う。リアさん、大丈夫かな?」
「さすがに、30分も足湯には入ってないだろうから・・・・・・あれ?そもそも、スライムって、温泉に入れるのか?」
「そうだよ・・・・・・だって、スライムだもんね。た、大変だーっ!?」
俺たちは、歩む足を早めて、リアさんたちを探す。
「シルクちゃん、また溶けちゃってるのかな?」
昔、化学の実験でスライムを作ったことがあるけど、水分量でスライムの硬さは変わったはずだ。水分が多いと、トローッと流れるようなスライムになるんだよね。
もしも、そんなふうになったら、前みたいに形が維持できず・・・画的にやばい姿に・・・!?
「もし、温泉に浸かりでもしたら、間違いなく溶けてると思う・・・。」
俺たちは自身の頭に浮かんだ想像に思わず、青ざめる・・・。
「ユーちゃん!あれ!シルクちゃんたちだ!」
見ると、シルクとリアさんが、足湯に腰を下ろして、はしゃいでいる背中が見える・・・。
「やっばぁーい!!」
「あ、サカエ。」
俺たちの駆けてくる姿に気付いたのか、リアさんが手を振ってくる。
あの様子は・・・良かったまだ、バレてないようだ。
二人の元に駆け寄ると、慌てる俺たちの様子を不思議そうにリアさんとシルクは見つめていた。
「どうした、二人とも、そんなに慌てて。もしかして、急用か?」
「い、いーや、あはは・・・!店の近くの足湯に居なかったから、慌てちゃって!あはは・・・!」
「そうか・・・。それは、すまなかった。さぞ、心配したことだろう。色々と、あの後も露店に目移りしていてね。ようやく、この足湯にたどり着いて、一休みしているところだ。」
「シルクちゃん、た、楽しそうだねー?よかったねー?」
「うー!」
観月の言葉に頷くシルクは、初体験の足湯に嬉しそうに足をパチャパチャとばたつかせていた。
おっ!良かった!まだ、足あるぞ!
「シルク、温泉、大丈夫なんだな?」
「う~?うー・・・う!」
「ん?もしや、怪我や病があったりしたのか?」
俺の言葉にシルクが頷く横で、不安そうな顔を浮かべたリアさんが俺を見上げている。
まるで、アレルギーがあるのを知らないで、卵を食べさせてしまった家政婦さんのような表情に俺は苦笑を浮かべて首を振る。
「いや、シルクは敏感肌の持ち主でね。あまり、熱めのお湯や冷たい水は避けて来てたんだ。湯浴みも短時間に、かけ流す程度で済ませることも多いんだよ。」
というイメージで、話してみたけどー・・・実際は、出会ったばかりなので、お風呂に入れたことすらないんだよなー・・・。変なツッコミ、来ないでー!頼む~!
頭の中で、念じるように拝み倒す。
もちろん、顔には一切出すことはしない。
「な、なるほど・・・。そんなことが。確か、エルフの人たちの中にも、同じような症状で悩んでいる者がいると聞いたことがある。日に弱いとか、あとは、革製品が弱いとか。酷い場合は金属がダメだという者も居たな。確かに、それは、心配になるな。すまなかった。」
「いや、俺たちも伝え忘れていたので。でも、その様子だと、俺が心配性すぎたみたいだね。良かった。」
俺は、シルクに手を伸ばしてみると、嬉しそうに手を掴み、隣の席を叩いた。
あぁ、座ってみろってことね。
結構、気に入ったみたいでなによりだけど・・・本当に大丈夫?
「んじゃ、お隣、お邪魔して。」
「ミツキも、こっちが空いてるぞ。」
シルクの横に腰下ろして、靴と靴下を脱いで足をお湯に入れてみると、じんわりと温かさが染み渡る・・・。
観月も呼ばれ、リアさんの横に腰を降ろした。
あ、そんなに熱いってわけじゃないのか。
お湯の温度は、ぬるま湯程度になっていた。
熱くはないが・・・。
「チラリ・・・・・・。(観月、リアさんに話しかけまくってくれないか?)」
「(あ!うん!)・・・リアさん!」
「ん?どうした、ミツキ。」
「このお湯って、効能はあるんですか?」
「おぉ!若いのに、よく知ってるな。そうなんだよ、このお湯は湯船で沸かすお湯とは違い・・・ペラペラ・・・スラスラ・・・!」
「へ、へぇー・・・。」
観月の質問に、目を輝かせてリアさんは鼻息荒く、足湯について熱弁し始める。
どうやら、リアさんは大の風呂マニアだったらしい。
やはり、どうにも隣のシルクが気になる俺は、観月に目配せをして、リアさんの意識を逸らしてもらうことにしたが、まさか、地雷だったとは・・・。すまん、観月。
まぁ、今はありがたい。
観月の尊い犠牲を無駄にしないようにしよう。
「シルク。お湯、大丈夫なのか?また、溶けたりしないのか?」
「う?」
シルクに耳打ちすると、なんの事か分からないのか、キョトンとして俺の顔を見上げる。
「いや、だから、足がね?キミ、スライムでしょ?苦手じゃないのかなって・・・。」
「う?」
まだ、理解してくれないのか、シルクは首を傾げていた。
膝たけ程のワンピースを濡れないように、太もも近くまでたくし上げいた素足を指さすが、シルクさんは俺の顔をじっと見て、こくりこくりと傾げる。
あ、その姿は、単に可愛い・・・。
じゃなくて!ね!
お兄ちゃん、心配してるの!分かって!
「ほら、足、見せてみろ。」
「うー・・・。」
俺が足をチョンチョンと、指さすとシルクは素直に片脚を引き抜き、膝を抱える。
ちゃっかり、片足は足湯を楽しんでいる。
細く小さな足は、なんともないのか、ちゃんとその綺麗な足の造形を保ったままだった・・・。
「なんとも、ないな?大丈夫なのか?」
シルクの足を撫でてみるが、その肌は人間のそれと特に変わりはないようだった。
綺麗な脚だ。
自然と水分量を調整できるのか?それとも、表面にコーティングがあるとか?
よく観察していると、シルクは何を思ったのか、俺に向き直ると、抱えていた足を伸ばし俺の膝に乗せてくる。
子供らしい小さく細い足が俺の膝の上に乗っている。
「ん?心配しすぎ?よく見て安心しろってことか?」
「ぅ・・・・・・。」
不思議に思い、シルクの顔を見ると、先程までの子供の顔は消え去り、上気して少し火照った顔が上目遣いで俺を見ていた。
なんだろう、画的にやばい状況になってる気がする。
幼女が顔を赤らめて、人の下半身に素足乗せてるぞ?
変に、妙な色っぽさを感じる・・・。
「シ、シルク・・・。」
「・・・ぺろ。」
白い肌と対照的に、赤い舌でペロリと唇を舐める仕草に思わず、ぞくりと身の危険を感じる。
こいつ・・・もしかして、誘惑してるのか?
なんで?あ、足を執拗に見せろと言ったからか?
ち、違うよ!シルクさん!そうじゃない!
お兄ちゃん、そんなの望んでない!
今は!今はね!ほんとに、心配してね!?
でも・・・・・・いい足してんなー、この子。
って、そうじゃねぇよぉ!?
観月に助けを求めると、どうやら、話に夢中になってこちらの様子には気付いていない。
な・・・んでっ!?こんな時に、お前の得意の嫉妬センサー、反応してないの!?
た、助けてー・・・!皆の知らぬ間に、捕食されちゃう!
可愛い息子が、少女の足に優しくやらしく、なでなでされて、反応しちゃう!
って!いや!いや!そうはいかない!
今日の最高破廉恥は観月に捧げると決めてるんだ!
いくら目の前の女の子が、その綺麗な足で俺の下半身を刺激して誘惑してこようと、関係ない!!
俺は断固として、お前の主として、負ける訳にはいかない!
俺の色欲は俺だけのもの!
他人の誘惑などには、屈指など・・・。
「ぅーう・・・?」
「ゴクリ・・・。」
シルクは更に、ワンピースの裾を捲りあげると、より素足を露出して見せる。
なんと、真正面にいる俺には、ショーツも丸見えになっているではないか。
間違いない!この子、完全に誘惑に来てる!!
「ペロリ・・・。」
俺の興奮に気付いているのか、再び舌舐めずりすると、シルクは潤んだ挑発的な目で俺を見つめる。
こいつ・・・子供の見た目して・・・完全に女神アスモデウスのお姉さんと同じ表情してやがる・・・。
伊達にクイーンではないってことか!
だが、俺も漢だ。変態だけど、これは頂けない。
ハレンチは攻めてなんぼ。
責められて果てさせられては、【色欲魔王】の名が泣くってもんだ!!
俺はシルクの足に触れると、その足裏を優しく撫でる。
「う・・・うぅ・・・!」
俺が優しく触れたことで恍惚の表情へと変化したシルクの顔を見た瞬間・・・俺は小さく笑みを浮かべ・・・
「ふ・・・。うりゃあぁー!!喰らえ!【台湾式足ツボマッサージ】!」
「ぅっ!!?ぅうううー!!!!?」
渾身の足つぼマッサージを見舞ってやった!
「え!?急に叫び出したかと思えば、なにしてるんだ!?」
「足ツボマッサージだよ。知らない?足の裏のツボを刺激して身体を整えるマッサージなんだ。健康にいいんだ、ぜ!?」
「いや、マッサージは知ってるが・・・何故、急に?」
「いや、足湯で温まったから、丁度いいと思って。血の巡りもいいから、効果が高くなるし。」
「ぅ!?うぅー!!!?」
リアさんと話している間も、俺はぐりぐりとシルクの足裏をマッサージする。
それも結構強めに。大の大人が、泣きそうなほどに。
もちろん、お仕置の意味合いが強いけどね・・・。
シルクは壊れた水道のように涙を流しながら、バンバンと床を叩いてギブアップを宣言するが、俺はお構い無しに指圧を続ける。
「うるあぁぁー!参ったか!?参ったか!?」
「ぅー!ぅー!ううー!!」
まったく、見た目幼女が、一端に誘惑なんて、百年早い!!
《《俺から手を出すまで》》、大人しく待ってなさい!
もちろん、しっかりと身体の調子をよくしてから、ね!
「シルクさーん、ここが痛いのは胃が弱くなってる証拠ですよー?」
「ぷひぅー!!?」
ー ぐりぐり・・・くりり!
「っ・・・うぅ~~~!!」
※ シルクの横路
ほんと、死ぬかと思いました・・・。
ちなみに、シルの足裏には人間と同じような、神経が集まっていることはありません。
そもそも、神経がありません。
でも、痛かったのは、間違いありません・・・。
ミツキお姉ちゃんのゲンコツや、ご主人様のマッサージは私たち無形態の天敵なのかもしれません。今世紀最大の謎です・・・。
おしまい。( > <。)ぴえん・・・!
「もう、その辺にしてあげた方がいいのではないか?すごく泣いてるぞ?」
「ふん!これに懲りたら、ちゃんと、相手の気持ちも考えて行動すること!分かった!?」
「ぅ・・・うう・・・。」
腕で顔を隠しながら、シルクはグスリグスリとすすり泣きながら、こくこくと頷いた。
俺もね?したくはないのよ、女の子の痛がることなんて。でもね?今のは頂けない。
心から心配してる時は素直に、聞いて欲しい。
挙句、俺を奪おうなんて、許しませんからね!
「一体、なにがなにやら・・・。」
リアさんは困ったように、俺とシルクを見ると、頭を傾げていた。
「いや、なに。シルクちゃんが、ちょっとおいたしたので、お仕置きをね。人の足に足を乗せて何やら遊んでたので、指圧でちょこっと教育したんだよ。どう?リアさんもやる?」
「い、いや!私はいい・・・。」
指圧をするように、親指で真似して見せると、リアさんは手を振って仰け反った。
そんな、怯えなくても・・・。
シルクにやったのは、特別痛いやつだから、普通にすれば気持ちいいのに・・・。
というのは建前で、リアさんの引き締まった足に触りたいだけだけど・・・。
「あ、でも、リアさん。ユーちゃんの指圧は本当に効果ありますよ?本場で修行したからね。確か、修学旅行で覚えたんだよね?」
「そ。現地のお姉さんに教わったの。すげー気持ちよかったから習った。ついでに、ハレンチしてきた。」
「どちらといえば、逆の気だったような気もする・・・。」
観月に苦笑されて、俺も苦い思い出に苦笑を浮かべる。
そう。観月さんの言うとおり、修学旅行先の台湾のお姉さんに見とれてハレンチしたら、罰として、台湾式(めっちゃ痛いヤツ)をたっぷり、この身に受けたんですよ。
終わったあとに、興味が出たので、逆に教わると意外と、すぐに習得できたので、指導してくれたお姉さんにお返しにマッサージ(台湾式)して、更にマッサージ(俺式)して帰ってきたんだ。
気持ちよさそうに、ヒーヒー言ってたね。
「その後も、お姉さんと連絡取り合ったんでしょ?」
「うん!来月、マッサージ(俺式)をまたする予定でした。」
「私が・・・マッサージ(観月式)してあげようか?」
にっこりと、引き攣った笑みを浮かべて、観月が、俺に近付いてくる。
ヤフー・・・。
マッサージじゃなくて、拷問かな?
「え、遠慮します!全然、健康なんで!?」
「まーまー。ほら!私に身を委ねて!」
「いや!やめ、や、いやぁぁぁ・・・・・・!」
逃げようと踵を返すも、すぐに組み伏せられて足を掴まれる。
まるで、プロレスラーのように機敏な動作で俺の上に跨りマウントを取ると、がっちりと、足裏をロックオンされてしまった!!
やばいやばいやばいやばいーー!!
やだやだやだやだやだやだーー!!
「あははは!ユーちゃん?痛い?痛い?」
ー ギリギリギリリリ・・・ボキボキ・・・!!
「痛い!痛い痛いいぃー!折れ、折れた!絶対、折れた!」
ー ボキボキキキ・・・!!
「あはははハハハハ・・・!ここが痛いのはねー!《《性欲が強すぎる》》証拠だよおぉー!ほら!よく、マッサージして、解さないと!二度と、性欲なんて、湧いてこないように・・・ね!!」
ー ボキボキキキ・・・シャリシャリ・・・!!
「く、砕けた!砕けたー!絶対砕けたあぁー!スライムと同じだー!プルンプルンになったあぁー!!」
「アハハハハ八八ノヽノヽノヽノ\/\・・・!!よかったねえぇー!?よかったねぇー?ほぐれて、こんなにプルンプルンだよぉー!?」
そのままぐりぐりと、ゴリゴリと、ボキボキ、ジャリジャリと、俺の足はめでたく粉砕されて、スライムの仲間入りになりましたとさ・・・。
めでた死めでた死。
「サカエたちの地方のマッサージって、じ、地獄の拷問だったのか・・・。なんて、恐ろしい・・・。」
「んんー?なぁーにぃー?」
ー ギラギラ!
「ひっ!?い、いや!なんでもない!私に構わず、続けてくれ!!」
「そーお?ふふ・・・あははは!」
リアさんに変な誤解を抱かせてしまった観月は、その後、再び誤解が解けるまで、地獄の刑罰の執行人と思われてしまったらしい・・・。
「ぅー・・・。」
「ん?どうした?」
粉砕された両足を、足湯につけて癒していると、隣のシルクが不満そうに俺を見上げてきた。
観月とリアさんは、話に華が咲いたのか、この村の観光名所の話題に話はとんでいた。
「うー?」
自身の足をお湯から抜いて、俺に見せつけてくる。
その表情や仕草から読み取れたのは、明らかな不満。
『うー?(私はハレンチの対象にはならないの?)』・・・だった。
「悪かったって。別に君に魅力がなかったわけじゃないよ。十分、魅力はあると思う。でも、ね?君も、クイーンなら分かると思うけど、序列ってあるでしょ?」
「うー・・・。」
言っている意味は伝わっているのか、シルクはこくりと頷くと、両手を出して、小さなスライムを出す。
そして、スライムを小さな王冠に変化させると、ちょこんと自分の頭に乗せた。
胸を張り、少し得意げな表情で、俺を見上げている。
あら、可愛い・・・。
「そうそう。でね?シルクはハーレムに入ったわけだけど、序列でいえば、君は観月お姉ちゃんの次になるんだ。分かる?」
「うー・・・?う!」
少し考えて、シルクは頷くと、俺を指さし、観月、そして、自分と順番に指さした。
「うん・・・・・・。そこに、俺は含めなくていいよ?」
「う?」
「俺は形式上一番ではあるけど、一番最後でいいんだ。だから、その序列には、入れなくていいよ。皆を優先して?」
「うー・・・?」
俺はにっこりと笑い、シルクの頭を撫でると、さすがにそれはシルクには伝わらなかったのか、コクリと首を捻っていた。
「はは・・・。とりあえず、観月お姉ちゃんの順番がまだだから、それまで待ってね?」
「・・・う!」
今、俺の一番伝えたいことは分かってくれたのか、シルクは強く頷くと、俺に擦り寄り腕に抱きついてきた。
膨らみかけの胸が、俺の腕でムニムニと形が変わる・・。
これ、本当に分かってるのかな?と少し疑問に思ったが、まぁ、それ以上、何かしてくることはないので良しとしよう。
「本当に二人は仲良しだなー。まるで、親子というより、恋人のようだぞ。」
「あはは・・・。シルクちゃんは、ユーちゃんが大好きだもんねー。」
話を終えたのか、観月とリアさんが俺たちを眺めて苦笑していた。
「まぁ、戦争で身寄りを亡くした子供が引き取り手の親と結ばれることは、この世界でもある話だ。互いを大切に想う内に、“信愛”から、“恋”、そして、“愛”になるらしい。それをよく思わない人もいるが、私は二人が幸せなら、それでいいと思う。」
俺とシルクを眺めて、そうなることもあるし、そうしたことがあってもいいのだと、優しく頷く。
「う!」
シルクはリアさんの言葉を理解したのか、コクリと頷くと、俺の腕に再び擦り寄り、頬を擦りつけた。
「ふふ、本当に好きなのだな。シルクちゃんは。これはうかうかしていると、一番を取られてしまうかもしれないぞ?頑張らないとな!」
「え、ぇえ!?わ、私?私は別に気にしないし・・・。」
シルクの素直な反応に微笑むと、観月に振り返る。
「ふふ・・・そういうところさ。素直さも、大切だという話だよ。」
「は、はい・・・肝に銘じます・・・。」
思い当たることが多い観月は、しゅんと、肩を落として、リアさんの言葉に頷いた。
「その点、サカエは分かりやすくていいぞー?なかなか、この世界ではみない珍しい人種だ。その強引さは、見ていて惹かれるものがある。実に、好感が持てるな。」
「はっ!ここにも一人、ユーちゃんの犠牲者が!?た、大変!気を確かに持って、リアさん!」
リアさんの突然の告白に、観月を初め、俺たちはざわめき立つ。
まさか、こんなに早くイベントが起こるとはな!
だが、色欲魔王は常に心の準備はできている!
いつ何時も、女の子は大歓迎だ!!
さぁ、両手を広げ、新たな仲間を歓迎しようじゃないか!!
「はは!ようこそ!俺のハーレムへ!」
「はは!謹んでお断りさせてもらうよ!」
即座に俺の勧誘は斬って捨てられ、足湯の藻屑と化していった・・・。
あぁぁー・・・なんだろう。涙が出ちゃう・・・。
さすがの色欲魔王も、いい雰囲気からの急転直下のお断りは予想してなかったので、少し心にダメージ負ってしまった。
「あ、あははは!残念、振られちゃったかー。」
「私も、そこまで軽い女じゃない。というのは冗談で、今は仕事も充実しているし、男をつくる気にならないだけだ。私は今が、とても楽しい・・・。折角のお誘いだが、すまないな。」
目の前には温泉街を行き交う旅行者たちや、呼び込みを頑張る露店の人々。
活気に満ちた村の様子を眺め、リアさんは髪をかきあげ微笑む。
「そうか・・・。そりゃ、仕方ないな。あきらめよう。」
その満足気な横顔がとても綺麗で、俺と観月、シルクは思わず見とれてしまう。
たしかに、今の美しさを超えさせてあげられる自信は、すぐには湧いてこなかった。
今の彼女はとても美しい。
それを見られただけで、俺は十分に満たされた気持ちでいっぱいだった。
「ん?退くのか?意外だな。もっと、押して、押して押してくるかと思ってたよ。」
俺の言葉に、リアさんは少し驚いた顔をしていた。
俺が素直に退いたことに、余程驚いたらしい。
一体、どんな印象もたれてたのやら。
そっちの方が気になる。
「俺は女の子好きだ。だけど、俺が本当に好きなのは女の子の笑顔だ。ここを思う君の笑顔はとても素敵だった。だから・・・その笑顔が見られただけで、今は十分満足だよ。だから、その笑顔の邪魔はしたくない。君の笑顔が一番だから・・・。」
「っ・・・!?も、もう・・・。その答えはずるぃなぁ・・・。」
俺も胸に手を置いて微笑み返すと、リアさんは真っ赤になってそっぽを向いてしまった。
「はは、ごめんね。実はやっぱり少し悔しくてね。意地悪したくなっちゃったよ。でも、君の笑顔が素敵なのは本当だ。これからも、この村には訪れるだろうから、是非、見せて欲しい。」
「ふふ・・・。こんな私でよければ、いつでも、お相手しよう。もっと見せたい場所もたくさんある。」
「あぁ、楽しみだな。その時は皆で、お世話になるとしよう。」
「うん!」
「う!」
俺は頷くと、シルクと観月に視線を送ると、皆も満面の笑顔で頷いた。
そろそろ、日も傾き初めていた。
早いところ、宿を見つけないと。
俺は周り見渡し小さく息を吐いた。
ここは宿が多すぎるんだよね、ホント。




