その村、自慢の名所につき
近くに村があると知らされた俺たちは、遺跡を離れることにした。
リアさんもちょうど戻る頃だったらしく、村に連れて行ってもらうことにした。
「村はこの国で力を持つホガラ族が治めるナガミ村だ。観光業に力を入れ始め近年では、みるみる大きくなり、町と変わらない程になってきた。近く、町になるよう国に申し出るつもりのようだ。私がここに派遣されたのも、それが適切か判断するためだよ。」
「観光業って、近くに有名なスポットがあるんですか?」
「色々あるが、一番の自慢は・・・温泉だ。毎年、多くの観光客が訪れる。最近は噂を聞きつけたエルフやドワーフなんかも、来ているぞ?なかなかに人気の名所だな。」
「・・・・・・おん、せん、だと?」
「あ、すみません。ちょっといいですか?この変態、村へは入れないようにできませんかね?」
「えぇ?どうした、急に?」
「間違いなく覗くんで!エルフさんとかドワーフさんとか、女風呂にいたら、間違いなく問題になりますよ!?」
「ここに来る連中は、“王都の奴ら”ほど、厳しくないから安心していいよ。覗いたくらいで、どうということはないさ。特にアイツらは逆に・・・いや、ふふ、それも面白いか・・・。」
口元に手を当て、くつくつと笑うと、ウキウキと楽しそうに歩き始めた・・・。
「「?」」
「いや、なんでもない!さて、そろそろ、村が見える頃だ。」
リアさんが、指し示す先には、確かに村があった。
あちらこちらの建物から、湯けむりがあがる様はまるで、日本の温泉街のようだった・・・。
丘の上から見下ろす俺たちの前にもちょうど温泉があり、その中には数人の女の子たちが居た。
「えっ!?意外と丸見えじゃん!?」
「ユーちゃん!目閉じて!捕まっちゃうよ!」
「せっかく、大自然の中にある温泉なんだぞ?屋根なんかつけたら勿体ないじゃないか。それを分かって、入ってるんだから、女の子たちだって、見られたぐらいで騒がないよ。何より、見られることが気になるなら、タオルを巻いとけばいい。」
「た、確かに・・・。」
俺の目を抑えたまま、観月は納得したように頷く。
え?大丈夫って分かっても、この手は離してくれないの?
・・・・・・嘘でしょ?
目の前に桃源郷が広がっているのに、見せてくれないの?
そんな、殺生な!!
「うああ!見せろ!俺にも女の子を、見せてくれえぇー・・・!」
「あ、だめ!ユーちゃんは、見ちゃダメだよ!そんなことしたら、歯止めが効かなくなるでしょ!?」
「あたぼーよ!それ以前に、理性のブレーキなんて、小学校の頃には、道端のエロ本と引き換えに置いてきたっての!」
「え、エロ・・・最低!!本当、最低!!」
騒ぐ観月を、引き剥がし、女湯を見ると、騒いでいる俺たちに気付いたのか、女の子たちがこっちを見ていた。
バッチリと目が合うが、そんなことなんてどうでもいいでしょ!!
まずは言いたい!!
「あぁ・・・き、綺麗だ・・・・・・。やっぱり、女の子は美しい。まさに、神が創りし芸術・・・。」
「むーー!!」
「あはは!本当、いいキャラしてるな、サカエは。」
がくりと膝をつき、両手を広げて天へと感謝の言葉を叫ぶ俺を、隣の観月は不満そうに見つめ、リアさんは楽しそうに笑っていた。
「リアさん?怒っていいんですよ?ユーちゃんは、本当に女の子が大好きで、しょっちゅう女の子を困らせるようなことばかりする変態なんです。」
「いいじゃないか。性に正直なのは、一つの美徳でもある。人が繁栄する上で、想いを伝えられることは確かな武器さ。まぁ、不特定多数の女の子にちょっかいかけて、迷惑かけるのは問題だけどね?」
「それが、目の前のこいつなんですってば!」
「おぉー!!美しい!ビューティフル !君たち、女の子は最高の宝!ドラゴンの秘宝など、霞むほどの最高ランクの宝だ!!」
「ふふ・・・。私も最初は驚いたが、冗談でもなく、本気で言っていると分かると不思議と嫌な気持ちはしなくなったよ・・・。彼はサカエは本当に、女の子を大切に思っているんだな。」
風呂場の女の子たちも、苦笑を浮かべつつ、俺の叫ぶ声に答えるように小さく手を振った。
どうやら、俺の言葉に悪い気はしていない様子で、観月は隣で密かにホッと胸を撫で下ろす。
良かった!!彼女たちが喜んでくれるなら、俺はどんなに止められようとも、愛を語り続けるぞ!!
「君たちは!最高だ!!」
「あー、はいはい。ユーちゃん行くよ。いい加減、お腹ってイライラしてきたから。」
「おぉー・・・!?待ってくれ!俺はまだ、彼女たちに想いを伝えきれてない!!」
ー クスクス・・・!
またねー・・・! ー
首根っこを捕まれ、引きづられていく俺に、女の子たちが手を振ってくれた 。
「やふ~っ!またね~!」
「ふん!!」
「がふっ!?」
俺も元気に手を振り返すと、観月に盛大なゲンコツを頂戴致し候う・・・。
「あはは!やっぱり、いいな、君たちの関係は。実にいい。とても見ていて、気持ちがいいよ。」
「そうか?こいつ、こんなに暴力ゴリラなんだぞ?」
「こいつ、こんなにエロモンキーなんですよ?」
「「はぁ!?なんだって!?」」
俺たちは互いに、拳を握り、睨み合う。
いくら、俺の彼女とて、言っていいことと悪いことがあるだろうが!!
誰がエロモンキーだ!!
暴力ゴリラめ!!
「誰が、暴力ゴリラだ!遊助えぇー!!」
「お前、お前だっキィ!キィー!キィー!」
「待てぇー!!このエロザルがぁー!」
強大なコングパンチを避けると、猿のように身軽に、木や岩場を駆け回る。
「おー。サカエの身体能力はすごいなー。まるで、春先の雷電猿だな。」
『うー・・・。』
「こんの、ちょこまかと!」
観月に近付き、離れ、近付き、離れて、相手を翻弄し続けるお猿が、そこには居た。
※ここで、シルクの横路。
【雷電猿】とは、雷山岳地帯に生息魔物する魔物。落雷が発生しやすい地域に生息するため雷に対して、耐性が高い。
電気を纏って移動するためとても俊敏で、攻撃力は低い。
知能は高いが、繁殖期の春になると理性が皆無になる。凶暴になり、メスを追い回すようになる。
まさに、ご主人様そっくり・・・と、この時、シルクが思っていたことは秘密。
おしまい。(*´ b`)シー
「すっキィ~あり!」
ピラッ!
「ちょっ!?」
すれ違いざまに、スカートをめくると、観月は捲られたスカートを押さえ振り返る。
「キィー!キィー!キィー!」
「もう、完全にマンキーだな。サカエ・・・。」
『うー・・・(あれがシルのご主人様・・・。)』
嬉々として飛び跳ねる猿に、リアとシルクは、苦笑を浮かべて見つめていた。
「うぅ・・・こいつ~!もう、絶対に許さないから~!来いよ!エロザル!」
「ウゥウッ!ゥウキャ!ウキャアァー!!」
両者が地を滑るように駆け出し、ぶつかり合う瞬間だった!
『うー・・・!』
「ウキャ!?」
「あ!ちょっと、どこに・・・!?」
シルクの声に気付いたサカエ猿は、観月のパンチを躱し、突然、観月との戦闘から離脱する。
どこに行ったかと思えば、サカエ猿はリアの前に正座していた。
何をしているのかと、近づいて、驚いた。
シルクが木の枝で、リアのスカートをひっかけて、その中を晒していたのだ・・・。
これには、観月もさすがに顔面が蒼白になった。
まさか、道案内をしてくれた恩人にまで、手を出す変態だとは思っていなかったからだ。
遊助はまるで絵画を鑑定するように、捲られたスカートの中をあらゆる角度から眺め、唸っていた。
「ふむー・・・。なるほど・・・薄緑か。それは、想像してなかった・・・。リア = フレイムというから、赤を想像していたんだよな。やっぱり、決めつけは良くないな。だけど、これだけは、確かだ。リアさん、最高に可愛いよ!リアさんに、よく似合ってる!」
「っ~~~!!?サ、サカエく~ん!?」
自分がどういう状態に置かれているのか、ようやく現実に戻ってきたリアは、理解すると真っ赤になってスカートを抑えた。
「うん・・・いい物が見れた・・・。リアさん、ありがとう・・・。君のショーツは、しっかりとこの僕の胸しまっておくよ。」
「っ・・・そ、そりゃ、よかった・・・うん。ふふ・・・内緒で頼むよ・・・。」
胸を抑えて、ホゥ・・・と余韻に浸る俺に、リアさんは目をパチクリとさせると、小さく苦笑を浮かべた。
ーザッ!
「言うことはそれだけ?遊助。人様に迷惑かけるなって、いつも言ってるでしょ?ねぇ?」
「しまった!?目前の芸術に見惚れてしまって、接近に気づかなかった!に、逃げっ!?」
「し・・・ね・・・!!!」
ー ガシィィイッ!
「ふぐおぉづぁあがががか・・・!!?」
がっしりとアイアンクローで顔面を捕まれた俺は、グルグルとそのまま振り回される。
※ここでシルクの横路
遊助と観月は神様より特殊なスキルを授かっている転生者です。まともな人間は真似しないでください。
顔面が引き剥がされそうな握力と遠心力に、俺は悶え苦しむ。
※更にシルクの横路
この時の観月さんの握力は400kgを優に超えいました。
成人男性の平均は47kg、女性の平均は28kg。
成人男性の十倍近い数値です。
ちなみに、シルの握力は10kgです。
子供程度しか、ありません。スライムなので、そもそも筋肉もないので、鍛える術もありません、ごめんなさい・・・ご主人様。おしまい。…〣( º-º )〣ズーン
「うあぁぁー!!ぶっ飛べえぇー!変態ぃいいいー・・・!!」
「うおおぉぉー・・・・・・・・・ぐへッ!!?」
そのまま、観月は俺を放り投げると、見事に村の看板にクリーンヒット!
めでたく俺は、初めての村へ第一歩を果たしたのだった・・・。
「ははは・・・!さぁ、ようこそ、サカエ、ミツキ、シルク!ここが、この国有数の温泉郷!【ナガミ村】だ!存分に堪能してくれ!」
「・・・・・・。」
「あ、あれ?おーい、サカエ?生きてるか?」
まぁ、意識はなかったけどね・・・。




