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その契約、間違いにつき

俺は膝からその場に崩れ落ちると、涙を流して、力なく首を振る。



「うぅ・・・嫌だぁ・・・。」


『ぷる・・・!?』


「え?ユウちゃん・・・。ちょっと、どうしたの・・・?仲間だよ?モンスターたけど、仲間になってくれたんだよ?」


「いやだぁ・・・。俺はハーレムを作りたいんだぁ。モンスターじゃない・・・。隷属したいのはモンスターじゃない・・・女の子なんだよぉ!」


『ぷ、ぷるる・・・。』


「うわぁ、感情だだ漏れ・・・しかも、女の子を隷属って、ただ、最低・・・。仲間のスライムまで傷付けてるし、最低・・・。いいじゃん、連れてってあげようよ。」



俺の言っていることが、伝わったのか、スライムはそのつぶらな瞳からポロポロと涙を流して、俺を見ていた。



「スライムだぞ!?どっから、どう見てもぷるんぷるんのつるんつるんの液体生物なんだぞ!?人間の国に行ったら、絶対に問題になる。なぜって?モンスターだからだよ!だから、ハーレムに加えることはありえないし、仲間にするつもりもない!なにより、“俺の描くハーレムに、可愛い女の子以外を入れるつもりはない!”」


「ユウちゃん!それは、あんまりにも・・・!」


「いくら観月でも、これは譲らない!こいつは、ここに置いていく!こいつの幸せのためにも!」


『ぷるるるる・・・!!』


ぷぅーーーーー・・・!!



ついに、耐えきれなくなったのか、スライムはそのつぶらな瞳から、ジャージャーと涙?を流して号泣を始める。


おまけに、ブルブルと震えながら変な音まで出す始末。

そういえば、スキルに超音波とかあったな。


まるで、子供の泣き声にすら聞こえてくる音に、俺は揺らぎそうになる気持ちに蓋をするように踵を返す。

これ以上、ここにいたら、情に流される。



「もう、我慢の限界だ!観月、俺は行くぞ!」


「ちょっと、ユウちゃん!待ってよ!」


『ぷぅーーーーーー!!』


「ついてくるな!一歩でも、この部屋を出たら、その残りのHPをゼロにしてやるからな!!」


『ぷ!?・・・ぷぅ・・・うぅ・・・。』



俺は強く叫び、着いてこようとするスライムを睨みつける。


スライムは怯えたようビクリと、身を震わせたが、それでも、すがるように触手を伸ばして来た。


俺は取り合うこともせず、観月の手を取ると、そのまま部屋を出るために歩き出す。



「ユウちゃん・・・。」


『ぷぅぅ・・・うぅ・・・うー!!』



観月は後ろから聞こえる泣き声に、後ろ髪を引かれる思いで何度も振り返る。

俺だって、心が痛まないわけではない・・・。


だが、スライムはモンスター。

俺たちは人間だ。

きっと、いくら仲間になったといえど、将来、歪みが生まれる。


そんな誰かが不幸になるかもしれない未来、来ない方がいいに決まってるだろ?


だから、今は悲しくとも、無茶苦茶な理由をつけてでも、厳しいことを言ってでも、離れるべきだ!



『ぷ・・・ぅ・・・ううぅ・・・!うー・・・!うー・・・!』


「え?あ、あれ!?ちょっと!ユ、ユウちゃん!」


「相手に同情しなくていい!行くぞ!」


「ま、待って!そうじゃなくて・・・あっ!!」



ー た、た、た、た!・・・とんっ!



「っ!?お前は!着いてくんなって、言ってるだろうが!」



観月が、どんなに呼びかけようが、スライムが泣き叫ぼうが、俺は一切振り返ることなく、出口に向かって突き進む。


しかし、ついに追いついたのか、俺の腰に小さな衝撃と共に、スライムが抱きついてきた。


本当、いい加減にして欲しい・・・。

これ以上は、本当に、情に流される・・・。


分かってくれよ。モンスター。


俺は怒りを込めて振り返ると、最後の脅しと、手にメラメラと炎を灯し振り返る。


目の前には、コバルトブルーの透き通った美しく大きな瞳に、沢山の涙を溜めた《《長い白髪の美少女》》が、俺を見上げていた。



「うわぁ・・・可愛い・・・。」


「ユウちゃん・・・?」



意表を突かれたことで、手の中の炎が霧散して鎮火していく中、俺は目の前の女の子に目を丸めて、その顔をマジマジと見下ろす。


対して少女も、負けじとマジマジと俺を見つめ返していた。


この身長差は、かなり絵面的に犯罪的だが、それでも俺は動けない。


なぜなら、そんなの理由にならないほど、目の前の少女は美少女だったからだ。


「うーん・・・可愛いな。」



そもそも、美少女がなぜ、俺の腰に抱きついているんだ?


しかも・・・。


ふよん!


確かに感じる、ささやかな胸の膨らみの感触から察するに、その白いワンピースの服の下には、下着すらつけていない。


痴女なの?この年で?

それはやばいよ。

お兄さん、ドキドキしちゃう。



「お嬢ちゃん、どこの子?どうして、お兄さんの腰に抱きついているのかな?お兄さんのこと好きなの?お兄さんのハーレムに入るか?あと、子供は何人欲しい?お兄さんは、豊胸ドームを埋め尽くせるほど、欲しいぞ。」


「おい、変態。ちょっと、いいか?なんだ、豊胸ドーム満員って・・・。こんな子供に何させる気だ。」


「ん?どうしたの、観月さん。そんな、怒って・・・?」



すみません。口調変わってますけど、僕なんかした?怖いんだけど。



「はぁ・・・。気づいてないみたいだから、言っとくけど・・・その子、《《ユウちゃんのスライム》》だよ。」


「・・・え?はっ!?うっそー!?」


「うー・・・?」



まさかの出来事に驚く俺を、少女は不思議そうに見上げている。



目が合って、互いに見つめあっていると、その青い瞳が細められ、俺に向けてにっこりと笑った・・・。



「あ、こいつは可愛い・・・。じゃなくて!スライムだって!?観月、またまた冗談を!」


「ちょくちょく、可愛い挟むな、変態。そんな見た目、子供に可愛い連呼するなんて、警察呼ばれたいの?」


「あー、この際、呼んでもらうか。ついでに、救急車も。どうやら、俺は現実と妄想の境がわかんなくなってるみたいだ・・・。こんな美少女が、スライムだなんて・・・現実とは思えない!これは、きっと、俺の幻想だ!!」



俺は少女を腰にくっつけたまま、頭を抱えて天を仰いだ。



「残念でした、現実だよ。私、振り返りながら見てたもん。スライムが一歩一歩追いかけて来るうちに、人間の姿に変わっていったの。ポロポロと涙を流しながら、その涙を必死に拭いながら、まるで捨てられそうになる子供が家族を追いかけるように走ってくる姿を見てたもん。」



観月はその時の光景を思い出したのか、胸をキュッと掴んで、辛そうに答える。


「そういわれても、にわかには信じがたいんだよなー。だって、スライムは、ぷるぷるでつるつるなわけだし・・・。」


「うー・・・。」



ぷるぷるの唇から、スライムと同じ声が漏れる。


つるつるスベスベ肌の腕が俺の腰に抱きつき、さらに何が気に入ったのか、スリスリと頬を擦り付けてくる。


お返しに、その胸に手を伸ばし、軽く揉んでみた。


むにむに・・・むに!むにむに!

ふむふむ・・・ふむ!!なるほど!!



「参ったな・・・。ぷるぷるも、つるつるも、むにむにも、どれもあるな・・・困った・・・。見極めが難しい・・・。」


「おい、変態魔王(ロリコン)。どこを確かめてた?今、唇と肌だけじゃなくて、胸も確かめてたろ。見るのはいい。だけど、揉むのは違うだろ?なぁ?揉むのは、幼なじみだけでいいだろう?犠牲になるのは、私の胸だけでいいだろう!?」


「ちょっ!こわい、こわい、こわい・・・!」



般若の面でも被ったような姿で、観月は俺に槍を突きつけながら、ジリジリと近付いてくる。


気付かれないように確認したのに、よく見てらっしゃること・・・。



「うん!小さなおっぱいだけど、張りのあるいい弾力でしたよ!」


「うー?うーうー・・・。」


「ふふ・・・!ごめんね?スライムちゃん。せっかくできたご主人様だけど、今日でお別れになると思う。」



なんのことか分かっていないのか、はたまた、ただのスキンシップとして判断したのか、少女はスリスリと俺に擦り寄るばかりで特に恥ずかしがる様子も、照れる様子もなかった。


対して、修羅と化した幼なじみは、槍を関羽雲長よろしくで、猛烈な勢いで振り回すと、俺の喉元に矛先を突きつけ、にっこりと笑った。



「ま、待て!観月!確かに、この子の胸はよかった。だが、お前の大きな胸と張りのある肌は誰よりも素晴らしいと思ってる!それはもう、国の宝と言えるほど美しい美乳だ!俺は、そんなお前のおっぱいが・・・大好きだ!!」


「や、やめてよ!そんな、大声でなに言ってるの!?その子も聞いてるのに、バカじゃないの!?」



観月は胸元を隠すと、真っ赤になりながら、槍を捨てて後ずさる。



「観月の良さも、ちゃんと伝えておきたくてさ?」


「け、結局、胸だし・・・。胸ばっか・・・。ほんと、最低・・・。」


「観月・・・。胸だけじゃない。お前のその細いクビレも、丸く小さなお尻も、綺麗なうなじも、流れるような明るい髪も、その優しくて可愛い性格も・・・全部、大好きだよ。」


「うぅぅぅ・・・!!ばかあぁ・・・。」



褒め殺しに耐えきれなくなったのか、観月はそのまま、両手で真っ赤になった顔を隠す。

ようやく絞り出した抗議の声も、もはや、抗議としては無力と化していた。



「はは・・・!可愛い、可愛い。」


「うー!」


「もう・・・。」



俺は二人に笑いかけると、二人とも満更でもないように小さく微笑み返してくるのだった。


「一応、確認しておくか・・・。【|観察《observation》】」


俺はスライム少女の頭に手を置いて、スターテスを確認する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


Name:▷名前をつける

状態: 健康

種族:スライム

クラス:QUEEN

擬態中:人間


HP 120 / 1500

MP 900 / 900


スキル

溶解液/自己再生/分裂/擬態(人間も可能)/超音波(簡易的な発声)/技真似/パペット操作


魔法

アクアLv2

必殺技

クイーンの大号令


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「あー・・・。やっぱり、スライムなんだな。というか、いつの間にか、瀕死じゃなくなってる。自己再生のおかげか?」



しゃがんで見ていると、一緒になってしゃがんだ少女が見つめ返してくる。



「えらく見てくるよな、この子。」


「うー?」



俺が小首を傾げると、しゃがんだ少女も小首を傾げる。

なんと・・・パンツ見えそう・・・で、見えない・・・。


ていうか、履いてるのか?上はつけてなかったよな?


いやいや、さすがに、下は着けてるだろ。


着けてる・・・よな?


二人でこっくり?こっくり?と首を傾げあっていると、隣で見ていた観月が苦笑を浮かべて話しかけてくる。



「隷属したばかりだからかな?そういえば、

赤ちゃんって、親の顔をじっ・・・と見るらしいよ。親の顔を真似たりして、表情を学んだり、いいこと、悪いこと、危ないこと、楽しいこと、様々なことを学ぶきっかけにするんだって。」


「ふーん・・・。じゃあ、この子は俺を親と思ってるってこと?」


「かもね。だから、あんまり、変なこと教えちゃだめだよ?」


「それは、もちろん・・・保証しかねるね!」


「うー!」


「あぁ!早速、真似してる!?もう!ユウちゃん!」



ビシッと!親指を立てて、観月に答えると、それを真似て、少女も親指を立てて見せた。



「親云々もあるけど、スキルの影響もあるかもしれないぞ?」


「スキル?」


「あぁ・・・。スライムのスキルに、擬態や技真似があるからな。もともと、何かに化けたり真似したりするのが、好きなのかもしれない。」



試しに、目の前で立ち上がり、軽く適当な振り付けのダンスを踊ってみる。

様になっているのは当然だ。


ダンス部の女部長を目当てに足繁く通って、体得したからね。いやー、パンツを拝むまで、時間かかったから、しっかり叩き込まれたよ。

まぁ、部長の元気な黄色いショーツを見たことで、叩き出されたけどな。懐かしい思い出だ・・・。音巻先輩・・・引き締まったいい身体してたなー。


少女は瞬時に、オリジナルダンスの構成を理解したのか・・・。



「ワン、ツー、スリー、フォー、ファイ、シックス、セブン、エイッ!」


「うー、うー、うー、うー、うー、うー、うー、うっ!」



綺麗にモノマネしてみせる。完璧だ。

最後のキメの笑顔まで、完璧。

現代ならアイドルになれる素質があったろうに。



「俺が覚えるのに時間がかかったダンスを、いとも容易くやってくれるなー、この子・・・。しかし、分かったことが、一つである・・・。」


「ん?なになに!?」


「うー?」


「聞いて驚くな?この子、“パンツを履いてない”!」


「はいっ!?ちょ、ちょっと、ごめんね?」



俺の視界から隠すように、少女の後ろをチラリとめくって、観月は確認すると、真っ赤になって陰へと連れていった。



「だからね!・・・だから!・・・でしょ?・・・ね?」


「うー?・・・うぅ?・・・うー?」



あーだーこーだと、説明しているのが遠くからでも伝わって来るが、目の前にいる当の本人は小首を傾げるばかりで、パンツを履く様子もない。


そりゃ、少女に見えて、中身はモンスターだからな・・・。


仕方ないとも言える。

・・・でも、擬態やもの真似ができるなら、格好だけでも、真似ることはできるはずだ。



「観月ーどうだ?」


「だめだー。言葉が通じないから、理解してくれない。というか、そもそも、恥ずかしいって概念があるかも怪しいかも・・・。」


「理解させることは難しいが、《《履かせることだけ》》ならできるぞ?」


「へぇ!凄いね!さすが、変態。変態という名の紳士。紳士オブ紳士。見せてもらいましょう?あなたの紳士力を・・・。」


少女を連れて戻ってきた観月は、お手並み拝見と言わんばかりに、腕を組んで、俺と少女を見つめる。

その、どうせ無理でしょうけど・・・?って、顔がなんか、腹立つな・・・。



「バカにすんなよ?俺を誰だと思ってる。天下のハレンチ王だぞ?小学校から学園まで、数多の女の子たちの下着姿を拝んできた俺だ。見ることもできれば、見ないこともできる。脱がせることができれば、ふふ・・・!履かせることもできるんだよ・・・!」


「脱っ・・・!?またまた~!?ユウちゃん、童貞でしょ?」


「それはヒミツ。いいかー?観月を見てろよ?」


「うー?」


「えっ?ヒミツ!?ちょっと、それ、どうゆう意味!?」



俺は少女の肩に手を置いてしゃがむと、観月に向けて、指を指す。



「《Trick Wind(風の悪戯)》」


「うー・・・!!」


「え?きゃっ・・・!」



呪文を唱えた瞬間、観月の周りで風が起り、フワリとそのスカートを悪戯にめくり上げた!!


反応が遅れた観月が慌てて、スカートを抑えるも、もう遅い。


俺と少女は、バッチリと純白のショーツを見ていた。



「うー!(キラキラ!)」


「ちょ、ちょっと!ねぇ!まって!スライムちゃん!ユウちゃん!助けて!」



少女は興味津々で、観月に近付くと、スカートを引っ張って、中を覗こうとする。



「この前までの危険はないだろ。単に、観月の履いてるショーツに興味が湧いただけだ。満足したら、やめるさ。」


「で、でも~!これ、なんか、違う!や、やめて、スライムちゃん!スカートめくらないで!」


「うー!うー!」



観月の周りを、スライムとは思えない俊敏な動きで駆け回ると、あちらこちらとスカートをめくっては、目を輝かせて、覗き込む・・・。



「うー!うー!」


「うー!うー!」


「えぇ!?ユウちゃんまで!?うわあぁーん!誰か、助けてよぉ~!」



見ているだけでは、なんなので、俺も参戦して、一緒に観月の周りを回ってスカート捲りに興じる。



ダンジョンは危険だ。

いつ何時何が起こるか分からない・・・。


油断していては、命の危険すらある。


そんなダンジョンの真ん中で俺は、危険とは全く無縁のスカート捲りに興じる。


しかも、ボス?だったモンスター少女と共に。


なんと贅沢な・・・。


まさに、ダンジョンの無駄遣い。


どうだ?転生者諸君・・・。

こんな転生、したことあるかい?




「ユウちゃんの・・・・・・バカあぁーー!」



まぁ、はい・・・。この後、めちゃくちゃ怒られることになるけどね・・・。


それも、転生の醍醐味ってことで、あしからず!!




「あたた・・・。」


「う、うぅぅ・・・。」


「二人とも、ちゃんと反省しなさい!」



頭にタンコブを作った俺と、少女は頭をスリスリと撫でながら、正座をさせらていた。


目の前には、おかんむりの観月さん。

やっぱり、怒らせるとこわいな、観月は。



「まぁ、これで、ショーツの存在は分かったろ?」


「うー!」



俺の質問の意図が分かってか、少女は立ち上がると、スカートをおもむろに、たくしあげた。



「はい!じゃじゃーん!!」


「ううーん!」



なんと、目の前には、観月とお揃いのショーツがあった。

スライムだから、擬態すれば、服もこのとおりってわけね。


うんうん・・・。クオリティバッチリ!



「ふむふむ。いいパンツですねー。ちょっと、キミには大人びて見えるけど、まぁ、履いてないより、世間体はいいでしょ。花丸を進呈しよう!」


「うー!」


「ちょっ!?ガン見してないで、下げさせてよ!スライムちゃん?だめだよ?人にスカートの中は見せちゃダメ。メ!」


「うー?」



少女は怒られたことを理解したのか、素直に頷くと、スカートを下ろした。


大丈夫・・・お兄さんがまたハレンチするから。

いつでも、見せてくれ。



「にっ!」


「うっ・・・!」



俺が微笑むと、少女も嬉しそうに微笑んだ。



「いやいや、子供にハレンチしないで。まじで警察呼ぶよ?」


「これは、同意の上でのハレンチだ。俺たちは主従関係なんだからな。どんなハレンチも許される。主従関係なのだから!!ねー!」


「うーうー・・・。」



俺は少女を抱き寄せると、少女も甘えるようにスリスリと擦り寄ってきた。



「はぁ・・・。あの時間、なんだったんだろ。あんだけ、拒否ってたのに。心配して損したー。」


「・・・ばかな。俺が、女の子を無下にするわけないだろ?女の子は宝だ。国宝だ。むしろ、こんな美少女なら、ウェルカムだ。ようこそ、栄咲ハーレムへ!!」


「うー!うー!」



スリスリと擦り寄る女の子を、俺はギューっと抱きしめる。

少女はあまりに嬉しかったのか、スリスリは激しさをまし・・・そして・・・・。


・・・無惨に溶けた・・・。



「うー・・・ぶくぶく・・・!!」


「「っ!!?ぎいぃやああぁー!!!」」



ドロドロの液体と化した少女に、俺と観月は絶叫をあげる!!


だって、目の前で急に溶けたんだぞ!?

俺に至っては腕の中で、だ!!


その恐怖は、ホラー映画のはるか上を行く!


全身に溶けたスライム感満載のドロドロが、まとわりついていた。


本人は、蕩けるほどの抱擁をしているつもりなのだろう。


実際、蕩けてるんですけどね!?



「ちょっと、たんま!たんま!戻って!美少女の姿に戻って!それか、せめてプリチーなぷるんとした状態に!」


「スライムちゃん!やばい!色々、絵面的にやばいから!ところどころ、美少女感が残ってるから、なお悪いよ!!ゾンビとスライムのミックスみたいに、かなり怖い状況になってる!!」


「・・・うー?」



俺たちの慌てた様子にようやく気付いたのか、スライムはゆっくりと離れると、手とは言えなくなった触手を伸ばして、自身の姿を確認する。



「うっ!?・・・・・・うぅ。」



慌てて、元の少女の姿に戻ると、シュン・・・と落ち込んだように俯いた。


たぶん、一瞬でもスライムに戻ってしまったことで、また、離れろと言われることを恐れているんだろう。



「あはは・・・大丈夫だよ。もう、離れろなんて言わないさ。君は立派な女の子だ。擬態ができるってだけの、立派な女の子なんだ。ハーレムを追放したりなんかしないさ。」


「ユウちゃん、そこら辺は、ちゃんとしてるから。大丈夫。私たちは、これからも仲間だよ。」


「あぁ、キミが居てくれる。それだけで、俺のハーレムはさらに、幅が広がり、奥行きも出てくるってもんさ。改めて、ようこそ、俺のハーレムへ。」



落ち込むスライムに、俺と観月は笑って、手を差し伸ばす。



「うー・・・。」



少女は俺たちの顔を見ると、ポロポロと涙を流して、抱きついてくる。


二人でギュッと抱きしめると、今度は溶けることなく、少女も強く抱きしめ返してきた。



「そうだ、そうだ。いつまでも、お前やキミじゃあ、ダメだな。いい加減、この子の名前を決めないと。」


「スライムちゃんじゃ、ダメなの?」


「さすがに、正体丸出しの名前はちょっと・・・。特に人間と魔物の関係が分からない今、安易に呼ぶべきじゃないさ。」


「そっか・・・。じゃあ、私が名前つけていい?」



観月が期待に満ちた目で覗き込むと、スライムは少し見上げて、ゆっくりと首を振った。



「あらー、残念。ダメっぽそう。」


「やっぱり、主従関係を結んだ相手じゃないとだめなんだろ?」


「うー。」



スライムはコクリと頷くと、俺にギュッと抱きついた。


となると、責任重大だな。主としても、しっかりとした名前をつけてあげたいところだが・・・。



「スライム・・・ライム・・・スラ・・・すら子・・・ライ子・・・スラミ・・・ライ・・・スイ・・・イム・・・。白いから、シロ。丸いから、タマ。スーさん。」



サッと思いつくだけでも、何通りも思い浮かぶが、これといって、ピンとくるものは無い。


一応、腰に抱きついて見上げている少女の反応も見ながら、考えているが、彼女自身も、並べられた名前は気に入らないのか、口角すら上がらない・・・。



「そういえば、実は君って、クイーンスライムなんだよな。ようは、スライムのお姫様だ。そうなると、余計に安直な名前は付けづらいなー・・・んー。」


「うー・・・?」



二人して再び、こっくり?こっくり?と小首を傾げ合いながら、候補となる名前をあげていった。

スライムから連想できそうな名前は、特に思いつかなかったので、次は見た目を元に考える。



「スライムの時の見た目は・・・やっぱり、白だよな。ホワイト。乳白色・・・真珠・・・パール・・・シルク・・・。」


「う、うー!」


「ん?気に入ったのが、あった?乳白色、真珠、パール、シルク『うぅー!』・・・シルクか・・・。」


俺は少女の頭を撫でながら、ゆっくりと考える・・・。


少女の髪はスライムとは思えないほど、サラサラで確かにその髪は、上質なシルクのような手触りだった。


天使の輪ができるほどの、サラサラ髪。

肌色も白く、髪も白色く、シルクやパールのような輝きを放っていた。


まるで、森に住まう妖精のような姿に、とても似合ってはいると思う。



「シルク。シルクか・・・。」


「シルクちゃん?なんか、変わってるね。」


「んー。きぬなら、古風で可愛らしさは、あるけど・・・。シルクか。」


「うー!」



シルクという名前を聞く度に、少女は嬉しそうに顔を綻ばせ、顔をスリスリと擦り付ける・・・。

あんまり、擦るとまた溶けるぞ?



「まぁ、本人が気に入ってるなら、それでいいか。」


「だね。やっぱり、本人の名前だから。本人が喜ぶ名前にしないとね。」



俺は観月は頷き合うと、少女の頭を撫でて、笑った。



《 ▷ クイーンスライムのNameが“シルク”に決定されました。》



その時、全員の頭に、綺麗な女性の声で、アナウンスが流れる。


俺たちは顔を見合わせると、不思議ではあったが、そういうもんだと、納得して立ち上がる。


さぁ、新たな仲間も加わったことだし、冒険を再開するとしますか!



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