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その魔物、初戦の王道につき

部屋を出て、まず最初に出会ったのは、残念ながら人ではなく、モンスターの代表と言ってもいいスライムだった。



『……プルン!』



まぁ、初心者冒険者の俺たちには、持ってこいの相手じゃないだろうか。



「……スライム?」


「スライムだな。観月、倒してみるか?」


「え?倒し方とか、わかんないんだけど。」


「んー……踏めば?」


「ふっ!?え?そんなんでいいの!?」


「いいんじゃないか?見たところ……そんな攻撃力なさそうだし。」



マギアメモリ(魔法図書館)(以降は図書館)を探して、相手のスターテスを探る魔法を手に入れておいて良かった。


モンスターや人を対象に簡易的なステータスを見ることができる魔法だ。



「あ、ほんとだ。HP100。攻撃力10だって。」


「防御も低いし、踏め踏め。」


「うん!分かった!」



観月は俺の言葉に素直に頷くと、スライムに近付き、ぴょん!と両足飛びで、踏みつけた。



ー べチャッ!!



「…………やったー!倒したよー!」



初めてのモンスター討伐に、嬉しさを周りに振り撒きながら、どんなもんだと大きい胸を張り、はしゃぎ回る。


俺はそんな観月に、何度も頷くと、親指を立ててにこやかに笑った。



「…………ふふ。バカめ!油断したな!観月!!」


「わーい!私、つよー……え?」



俺は口端を釣り上げて大笑いすると、くるりと立てていた親指を下に向けて、観月にブーイングを送る。


冒険者にも安心のモンスター?

雑魚モンスター?


誰がそんなの決めたんですかね?


そんなデマを信じたあなた、ゲームのやりすぎ、漫画の見すぎですよ!!



相手は……ハレンチ界ではある意味最強のモンスター!スライム様ですよ!?


そんな、踏んだ程度で倒せるわけ……ないよね!!



「え?な、なんで!?なんでぇ~!?生きてる!生きてるうぅー!!?」



スライムは踏まれたことで観月を敵として判断したのか、観月の足の下でジタバタと暴れると、うねるように観月に絡みついた。


おぉ……!まるで触手のようだ!



「ちょ!ちょっと!やだ!やだ!どこ触ってるの!?いやぁ!気持ち悪い!ヌルヌルするよぉ!」



スライムは、観月の服の中に入り込むと、モゾモゾと服の中を這い回る。



「おぉ!スライム!!けしからん!もっとやれ!」


「ちょっと!ユーちゃん!何言ってるの!?バカ言ってないで、助けてよぉ!」


「いやだ!ヤラシイセクシーラッキーな状況で、手を出す男なんているもんか!」


「ふえぇーん!気持ち悪いよォ!服の中、ヌルヌル這い回ってるよぉ!あんっ!やだ!そんなとこ、触っちゃ、あん!」



徐々に艶やかな声出し始めた観月は、その場にへたり込むと、荒い息を吐きながら切なげに俺を見上げる。



「ゴクリ……。観月……えっちぃなー、お前。」



「えっち、じゃ、ひゃん!?ないもん……んん!た、助けてよぉー……。」


しばらく悪戦苦闘する観月を応援がてら、傍観していると、徐々に観月に変化が現れる。


舌を出し、目も虚ろになり始めた観月は、ハヒュー、ハヒューと喉から漏れるような息を吐きながら、その場で悶え始めたのだ。


あれ?もしかして……感じてるのか?



「あ、ああぁ!やだ!やだ!変になる……!たしゅけて、ユーちゃ……ん!」


「はぁ……はぁ……。観月……。」


「ユーちゃ……やだぁ……みないれ……みないれ……。」



蕩けきった顔に、俺は興奮が最高潮に達する。


幼なじみの彼女がスライムに襲われ、快楽に苦しむ姿に俺は興奮してるのか?


なんてこった……。


俺の変態もここに極まれりだな。

ついに、NTRにも目覚めてしまったらしい。



「って!だめ!スライムさん!そこはだめ!入ってこないで!そこはユーちゃんのために取ってるから!だめ!やめてえぇ!」


「(俺のため?)……っ!?」



スライムを見ると、腰が抜けて抵抗できなくなった観月を犬のような格好で這い蹲らせると……あろうことか、その下半身に触手を伸ばそうとしているところだった……。


なんだ、スライムよ……。

観月のソコに触れようっていうのか?


その可憐な花弁を押し広げ、己が快楽をぶつけ、熱き滾りを吐き出そうというのか……!


よりによって、俺の……俺のオンナ(観月)に!!



「……あぁ、分かった。NTRは無理だわ。俺。」


「ん!んん!や、やだ!入ってこないで!ユウちゃん、助けて!!!」



ズン!



「や、やめっ!ひぅ!?」



しなりをつけて、観月の蜜壷に飛び込もうとしたスライム。


その触手を掴み、すんでのところで、俺は観月の大切な想いを護り抜いた。


コイツ……マジで狙ってた……。

俺の最も大切な秘宝を、強奪しようとしていた!



「強欲だな……貴様!快楽に溺れて、分を忘れたお前は煉獄に堕ちろ!!〈ファイア(業火)〉!!」



ー ジュオッ!!



そのまま、スライムを観月から引き剥がすと壁に叩きつけ、ファイアで丸焼きにする。


スライムは抵抗する間もなく、瞬時に燃え尽きてしまった。


いや、スライムだから、瞬時に蒸発し消滅したと言うべきかもしれない。


後には灰も残らなかったのだから。



「ぐすん……うう……!!怖かったよぉー!」


「ごめんな、観月。悠長に構えず、すぐに助けるべきだった。怪我はないか?」


「大丈夫……。少し、擦りむいただけ。」



観月は座り込んだまま、膝を見せてくる。

血は出てないが、腰が抜けた時に少し擦ったようだった。



「……ごめんな。観月の乱れた姿が見たいばかりに……危険にさらしてしまった。」


「そんなことだと思った……。いつもなら、すぐに飛んできてくれるのに、助けてくれないから、また、ハレンチなこと考えてるんだと思ったよ。」



呆れたように、観月はため息を吐くと自身の膝に手を当てた。



「〈ヒール(聖なる癒し)〉」



回復か……。俺は残念ながら【アスモデウス】という称号が付いているため、回復系は不得手らしく習得はできなかった。


観月が傷ついた時に、回復してやる事ができないのはつらいな。



「はぁ……。」



綺麗になった傷口を見ても、浮かない表情のままの立ち上がると観月は俺を見上げた。



「回復魔法が使えるってわかった時は嬉しかったなぁ。これで、少しはユーちゃんの役に立てると思ってたのに。それなのに、最初に治療したのが自分自身だなんて、情けないよ。情けなくて、泣きそう。」


「……ごめん。俺のせいだ。」


「これは、反省して。」


「あぁ。すまん。」



もう、観月を悲しませることはやめよう。

そう心に誓い、俺は観月の手を取って、ダンジョン内を歩き出す。


ハレンチも時と場合によることを知った……そんな初戦だった。




その後も、スライムが続々と現れたが、観月と協力しながらスライムを倒していく。



「〈ファイア〉!」


「〈ファイア(業火)〉!」


「…………ちょっと待って、ユーちゃん。」


「ん?どうした?」


「なんか、明らかに威力が違う気がするんだけど……。」


「……確かに。レベル差もあるけど、おそらく、スキルの“アスモデウスの力”の影響かもしれないな。同じ系統の技を習得していても、スキルに影響されるのかも。観月でいえば、“聖女”だな。」


「へぇ。気になってたんだけど、その“あすもでうす”って、なんなの?」


「アスモデウスは、俺たちの世界では、悪魔の一人とされてた存在だ。色欲の王。激怒と情欲の魔神。とされてた。」


「ユーちゃんにピッタリだね!あはは!色欲魔王!」


「面白がってる場合か。この世界は神様たち曰く、厳格な世界だっていうし、色欲の魔王なんて周りに知られたら間違いなく討伐対象にされる。むしろ、秘匿対象だ。」


「それじゃあ、これからは品行方正を心がけて、真面目に生きていかなきゃね。」


「おぅ……そうだな。」


「ちょっ!?言ってるそばからなんで、おしり触るの!?」



モミモミ……!と、頭で分かっているが、ついつい観月の身体を見ていると手が伸びてしまう。



「え?す!すまん!おそらく、アスモデウスの影響だ!色欲にこの体が操られてるんだ!くそ!こんなことしたくないのに!観月を大切にしたいのに!この手が、この手が勝手に動くんだ!許してくれ!」



観月に懺悔しながらも、手はモミモミとおしりを揉みしだく。

なんて、柔らかくて安心する感触なんだ。

悪魔的魅力に、俺はたまらず鼻の下が伸びきってしまう。



「…………いや、元からでしょ。あんまりおいたが過ぎると、“去勢”するからね?」


「あ、はい、すみませんでした。」



据わった目で睨まれると、触れていた手を払われた。


目の奥『本気で(マジで)』の文字が見えたので、大人しく従うことにする。



「よし。たまには、私も抵抗しないとね。いつもなし崩し襲われてるから、私まで淫乱扱いされちゃ困るし。」


「なに!?違うのか?だって、お前、“性女”スキル持ちだろ!?」


「違うよバカァ!“聖女”だよ!」


「知らないのか?聖女もまた、ハレンチ界では、攻略対象になるだぞ?テンプレだ。」


「う……。ユーちゃんが言うと、本当に聞こえてくるなぁ……。やっぱり、自分の身は自分で護ろう。」


「それがいい。ふふ……。」



自身の胸を両手で隠して、観月はジリジリと俺から離れる。

俺はそれに苦笑を浮かべると、観月の手を取り囁く。



「でも……どんなに逃げても、お前は必ず、俺が貰うけどな。」


「はぅ……!?あうあうあうあう……!本気な顔で、そんなこと言わないでよぉ~。」


「本気だからな。」


「うぅ……。」



真っ赤なった聖女に、俺は微笑むと先に進むべく道の先を見た。


まだまだ、先は長そうだ。



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