そのステータス、化け物につき
ステータス開示要求に従い、二人の前に表示された。
まずは観月から見てみようということで、二人で観月のステータス画面に目を向ける。
観月は元々、成績もいいし運度神経もいい。
きっと、いいステータスを持っているはずだ。
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Name / 羽衣観月
状態 / 健康
HP / 300
MP / 500
攻撃力 / 125
防御力 / 325
スキル
迅速 / 剛腕 / 鉄壁 / 修羅 / 瞑想 /
心眼 / 隠匿 /威圧 / 聖女の癒し
特殊スキル
薙刀の達人 / 武術の達人 / 体術の達人 / マギアメモリの使用権
加護
神 エヴァグリア
魔法
ファイ Lv1/アクア Lv1/エア Lv1/アースLv1
必殺技
〇|ぶっとべ!《観月の本気のグーパンチ》(武器未装備中発動可能。属性をエンチャット可能。消費MP100)
〇迅雷(薙刀装備時、発動可能。消費MP300)
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「へぇ!こんな風に表示されるんだね!凄い凄い!数字になると、確かにわかりやすいね。」
「だな。数字は平均に比べてどうなんだろ。基準が欲しいな。あと、この必殺技ってどうやって出るんだ?出そうと思えば出るのか?」
「試しに、使ってみよう!あー、こっちは薙刀がないとだめなのかー。じゃ、こっちで。せーの……《ぶっと……》!」
「やめて!!なにナチュラルに使おうとしてんの?しかも、こっち向けて放たないで!今、死んだ気がした!多分、それが発動されたら、僕、死んじゃう!」
背後から拳を構える観月に気付いた俺は、素早く振り返ると、観月の細い腰に抱きついて必死に命乞いする。
「えー?だめなの?」
「“必殺技”って書いてあるでしょ!?必ず殺す技って書いて、必殺技なの!!死んじゃうでしょ!?どう考えたって、死んじゃうから!」
「軽く、ほんと、ちょっとだけだから、大丈夫だよ。大袈裟だなーまったく。」
しがみつく俺を易々と引き剥がすと、そのまま壁際に追い込む観月。
怯えて震える俺に向かって、彼女は拳を振り上げた。
え?こんな、観月って力強かったっけ!?
いや、そうだ!観月のスキルに《 剛腕 》が、あったはず!たぶん、それが影響してるんだ。
まさか、無意識にこの子、スキルを使いこなしてるのか!?
てことは……やばい!本気でやばい!
《 剛腕+必殺技 》は、本気で死ねる。
しかも、説明に書いてあるよね!
『観月の“本気の”グーパンチ』だってさ!!
てことは、本人の意思に関係なく、必殺技が発動した時点で、弱パンチも無理やり強パンチに切り替えられるってことでしょ!?
ねぇ!そうなんでしょ!?
「そんなの無理いぃー!死んじゃう!本当、死んじゃうから!ハーレム作れない!本当にステータス確認で、物語が終わっちゃう!スタートすぐで、ヒロインに殺されちゃう!やだやだやだー!そんなのヤダよー!」
「覚悟は、いいかーい?いっくよー?」
「俺の話、聞いてよ!来ないで!やめて!!やめてください!」
「やめない!せーの……《ぶっ飛べ!》」
ボッゴオォッ!!
「ひいぃやああぁー!!」
すんでのところで、横に飛ぶことで、なんとか難を逃れた俺は先程まで自分が立っていた場所に目を向ける。
そこには、象でも通り過ぎていったのかと思うほど、大きな穴がぽっかりと口を開けていた。
必殺技名と共に、軽く放たれた(本人の中では。)パンチは、やはり予想通りの威力だったようだ。
あらかじめ、避けていて本当に良かった……。
ほっと胸を撫で下ろし、怒りを込めて観月に目を向けると、必殺技を放ったままの姿勢で、本人は固まっていた。
「あ、あっれー……?必殺技って、こんな威力出るもんだっけ?私の想像と違うんだけど……。あれー……?」
「おい!それは、なんと比べてるんだ?なんだよ、その意味深な発言は!?」
俺はじとりと観月を見ると、突き出していた拳をサッと引っ込めて、俺を見つめ返してくる。
明らかに動転しているのか、目が泳ぎ、冷や汗を流していた。
幼なじみの勘だが、さてはコイツ、とんでもないものと比べてたな?
「み~つ~き~!?まさか、お前!子供のヒーローごっこ遊びと同じ感覚で技を使っただろ!?」
「えぇ!?な、なんで、分かったの!?」
誰でも子供の時には、やったことがあるヒーローごっこ。
そんな、お子様遊びでやってたら、確かに思わぬ威力に、あんな顔になるわけだ。
「お前のことなら、なんでも分かるわ!幼なじみですからね!」
「わぁ!嬉しいなー!さすが、ユーちゃん!」
「皮肉で言ってんだよ!」
「わぁ、悲しいなー。ひどい、ユーちゃん。」
ちょっとした出来心でやったことを、めいいっぱい怒られた観月はしょんぼりと項垂れる。
そのまましばらく、反省しといて欲しい。
危うく、こっちは上半身が消し飛ぶところだったんだからな。
変態だからって、下半身が本体だと思うなよ!?
「むやみやたらに、必殺技やスキルは使用してはいけません!街の人をうっかりぶっ飛ばした日には、俺たちの転生人生は、転落人生に早変わりするからな!?犯罪者だ!犯罪者!」
「うぅ……。ごめんなさい……。注意するよぉ。」
「まったく。それで、どうするの?これ。」
「あー、うん。直すよ、頑張って。」
観月の空けた穴に目を向けると、壊れた壁の向こうに更に石造りの部屋があるとこが、分かった。
ダンジョンでは、セーブポイント的な場所には、モンスターが入ってこないのは暗黙の了解だが、こうなってはそれも意味をなさない。
観月の茶目っ気のせいで、モンスター大歓迎の吹き抜けの休憩所と化してしまったのだから、もはや、ここは休憩所としての役割を果たすことはできないだろう。
「…………これ、石壁だよな?観月の《土系魔法》で、壁作れないのか?」
「……あ、そうか!魔法も使えるんだよね、私!やってみるよ!」
「お姉さんが、魔法はイメージが大切って言ってたぞー。壁を作るイメージだぞ!いいな!壁だ!壁!」
「大丈夫!任せて任せて!私、美術は“3”だったからね!」
「そうか、さすが万能幼なじみ!って、3!?すごい、平均的!珍しっ!」
「いっくよー!《アース》!」
ズン!ズズズ……!
観月は早速、壁に手を向けると土系魔法を放った。自信満々に。
観月の足元に魔法陣が現れると、呼応するように地面から土が盛り上がる。
ズルズズズ……!と、土が穴を塞いでいった。
上手くいっているように見えたが、その結果は……。
「うえぇぇーん!!なんでぇ……?なんでぇ~……?土の壁を想像して作ったのに、すぐに砂になっちゃうよぉ……!?」
何度試しても、一瞬だけ砂の壁が出来て、すぐにサラサラと砂へと返っていく。
何度も試すもんだから、気付けば、観月の視線の高さほどに砂の山が積み上がってしまっていた。
「えぇぇーん!!」
「んんー……。《アース》。」
俺も真似てやってみるが、更に砂が積み重なるだけで、何も変化はなかった。
砂を手にして、よくよく観察してみる。
サラサラとまるで俺たちの淡い期待を裏切るように手から砂がこぼれ落ちていく。
よく乾いた砂だ。せめて泥なら、いくらか加工できたろうに……。
「…………あ!そうか!泥か!」
「え?泥?」
俺は砂に向けて、手を向けると大きく息を吸い込んだ。
イメージ!イメージだ!
泥!泥!少し固めの泥をイメージするんだ!
「《アクア》!」
「え!?《水魔法》?」
俺の示した空間から、水が流れ出ると魔法で現れた砂の中へと浸透していく。
程よく、泥へと変化したところで、更に俺は詠唱を続けた。
「あとは、操作だ。できる!俺ならできる!慎重にイメージして、動け!《Earth Wall》!!」
ズモモ……!!
「ぐぬぬ……!!はぁ!はぁ!ぬうぅー!!」
泥はゆっくりと、穴の空いた壁に向かって這いずるように動き出す。
そのまま、少しずつ穴を埋めていった。
時間をかけて、じっくりと穴を塞ぎ、丹念に壁らしく整えていく。
やっとの思いで完成させることに成功すると、大きく息を吐いて……その場にくったりとへたり込んだ。
「はっ!はぁー……!これは疲れるな……。土魔法と水魔法を同時に使うから、こんなに疲れるのか……。」
「お、おぉー!!凄い!凄い!ユーちゃん、凄い!」
へばって座り込んでいる俺の周りを回ったり、修復の終わった壁を見て、歓喜の声を上げたり観月は忙しなく動き回る……。
「まぁ、これで、とりあえずは大丈夫だろ。故意的に触れたり叩いたり、しなければ、そう簡単には……」
ボゴッ!!パラパラパラパラ……。
「え…………?」
「う、うぅ…………!(ぷるぷる……!)」
嫌な音に顔を上げると、観月が涙目で頬を膨らめて立っていた。
その横には修復したはずの土壁と……土壁とー…………あれ?
そこには、修復したはずの土壁はなく、吹きさらしの壁があった。
「みーつーきー!!?」
「ご~め~ん~!!」
観月が再び、壁を叩いて壊してしまったらしい。
その足元には、砕けた壁が散乱していた……。
「もう知らんもんね!自分で何とかしてください!」
「うぅ……!そんなこと言わないで、助けてよぉ!」
俺は布団に潜り込むと、すがりつく観月を無視して、不貞寝を決め込むのだった。
「うぅ~。しくしく……しくしく……。できないよぉ~。助けてよ、ユーちゃーん……。」
「はぁ……。もう壊すなよ?」
「うん!……うん!約束する!」
砂遊びかと言いたくなるほどの、大量の砂を空いた穴に振り積もらせていた観月はついに諦めたのか、涙目になりながら振り返る。
穴はもはや、砂で埋めた方が早いのではないか?と思うほどの高さまで来ているが、このままでは部屋の中ほどまできた砂が土砂崩れを起こすのも時間の問題だった。
ベッドから下りると、サクリサクリと先程とは違う感触が靴裏から伝わる……。
一体どれだけの土魔法を使えばそうなるのか……。
しかし、水魔法は使わなかったのだろうか?
見ていたのなら、泥を作っていたのは知っているはずだが……。
「水と土の配分が分からないの。あんまり、水を増やして、泥水になるのも嫌だし。もしもそれが、操作を誤って濁流になっても嫌だし。」
「なるほどな。無意識に水の力をセーブし過ぎてたのか。魔法には、たまの思い切りのよさも必要だぞ?」
俺は手を壁に向けると、詠唱を始める。
「《Earth Wall》」
するとどうだ、先程までの工程をなぞるようにイメージすると、すんなりできるではないか。
疲れも先程の半分ほどしかない。
この疲れってのが、魔力を消費したものからくるのだとすると使用した魔力も半分くらいになっているはずだ。
あっという間に、修復できた壁を前に俺と観月は首を捻る。
「あれ?なんか、さっきより早くない?しかも、綺麗だし。」
「うん。もしかしたら、一度使用した魔法は、習得したことになるのかもな。呪文を唱えて完成イメージをしただけで、ここまでできたよ。」
物体を想像し、過程を想像し、結果を導き出して、詠唱する。
そして、発動。そこからの微調整って流れだが、今回は、『土壁を創ろう。』という想いから、すぐに頭に呪文が現れた。
まるで、ゲームウインドのように、ポンっとな。
だから、俺はその出てきたアイコンを頭の中で、ポチッと押した……そんなイメージで簡単に発動したのだ。
これは仮説だが、発動して結果を本人が認識すれば自分の中の“魔法のアイコン”にそうプログラミングされるのだろう。
ということは、《アース》も、さらなるイメージ次第でどれだけでも枝分かれしていくということになる。
《Earth Wall》はもちろん。
《|Earth lance《大地の槍》》を造型することも《|Earth Quake《地震》》だって思いのまま。
これは想像力を使うな……。疲れそ。
「へぇ。じゃあ、魔法はどんどん使った方がいいってことだね!」
「そうだな。多分、この“土壁”は応用みたいなもんだから、まずは旅をしながら、基礎の魔法を習得して、レベリングしていこう。」
「うん。まずは、勉強しないとね。」
「“マギアメモリの使用権” ってのがあったな。俺にもあるかな?」
「あ!ユーちゃんのステータス見るの?私も見る見る~!」
「おう。それじゃあ、《ステータス》!」
俺たちは二人でステータスを覗いて、確認してみることにした。
「ユーちゃん……。」
「うん……。言わんとすることは分かる……。もう、ここ出よう。早いところ、外に出て、お姉さんと世界を救っちまおう……。」
「うん。そうしよう……。いや、そうするべきだよ。」
俺たちはステータスを確認すると、無言でそれを閉じて部屋を出ることに決めた。
もう、ここでやることは何一つないな。
うん。
ステータスを見ただけで分かった。
この世界は俺には敵無しなんてもんじゃない。もう、化け物だ。
というか、もう『 魔王 』だった。
そのステータス、化け物につき、早急にハーレム攻略に勤しむことにしよう!!
俺は観月の手を取ると、ドアを開け放ち、まずはこの遺跡を脱出することを決めた。
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Name / 栄咲 遊助
称号 / アスモデウス
状態 / 健康 + 漢の自信
HP / 450(+150)
MP / 650(+150)
攻撃力 / 325
防御力 / 425
スキル
アスモデウスの力 / 心眼 / 隠匿隠蔽 / 威厳圧力 / 限界突破/幸運体質 / 滋養強壮 / 精力増強 / 超絶倫 / 隷属契約 / ハーレム勧誘 /
特殊スキル
ハレンチの達人 / 体術の達人 / 武術の達人 / 体技の達人 / にゃんにゃん無双 / マギアメモリの使用権
加護
神 エヴァグリア
女神 アスモデウス
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魔法
ファイ Lv2/アクア Lv2/エア Lv2/アースLv2
必艶技(消費MP0)
♡性癖暴露( 見た対象の性癖を覗き見る )
♡本能覚醒( 話した対象の性癖を書き換える )
♡相思相愛( 素手で触れた対象を快楽に堕とす )
☆M・M・M(五回、対象に淫らな夢を魅せることで、精神を崩壊させる。発動条件あり。)
必殺技
〇ハレンチパニック(常時発動可能。属性をエンチャット可能。消費MP0)
〇必中流星(弓装備時、発動可能。消費MP100)
〇|アスモデウスの盾《汝、我が物に触れるなかれ》(盾装備時、発動可能。消費MP200)
王権
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( 現在使用不可 )
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この内容は、マジでイカれてる……。




