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【完結済】ぜったいハーレム世代の男子校生  作者: 馬頭鬼
第十六章「復活の日」
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~ 三姉妹 ~


 警護官のリーダーであるアルノーの諫言に従い、あの警護官三姉妹を呼び出すことにはしたものの……


「……どうするよ?」


 あの三姉妹とどういう話をするべきか……いや、市長としてあの三姉妹をどうしたいのかについて、俺は未だに決めかねていた。

 実のところ、「俺はあの三姉妹を恋人(ラーヴェ)候補として見ている」という誤解を解いてしまえば、あっさりとあの三姉妹はクビになるだろう。

 実際問題として、猫耳テロリストが攻めて来た時の『アレ』は……真っ当な警護官であれば擁護のしようがないやらかし(・・・・)なのだ。

 この未来社会では、たとえ過失であろうとも11万人に一人という貴重な男性を危険に晒してしまうだけで一発アウトであり……許されるのは、唯一男性に気に入られることのみ、という酷い社会である。

 それほどまでに男性が……いや、男性のみが作り出せる精子(・・)が希少なのだから仕方のないことなのだが。


 ──クビは、流石になぁ。


 俺自身、あの三姉妹を労働力というか警護官としてはどうかと思っているものの、クビにして都市から放逐し路頭に迷わせようとまでは思っていない。

 かと言って一生かけて養おうとまでは思えないのだが……そもそもアイツらは性格上、恋人(ラーヴェ)になると調子に乗るのが目に見えているし。


 ──しかも、養うと言っても、自分の稼ぎ(・・・・・)ですらない(・・・・・)んだよなぁ。


 そもそもの話ではあるが、今の俺は働いているとは言い難いという自覚はある。

 と言うか、俺の感覚に従ってしまえば、この時代で労働をしている男性なんて一人もおらず……男共はただ精液を提供するだけで威張り散らす、クズみたいなヒモ野郎ばかりになるのだが。

 要するに、今の俺はこの未来社会の現実をまだ容認出来ておらず……自分は正妻(ウィーフェ)に養われているだけの、『ただのヒモ』という感覚が拭えないのだ。

 それどころか今の俺はまだ冷凍保存の副作用か、精液すら生成できない身体なのだから、他のクズ共よりもまだ酷い。

 そんな俺が恋人(ラーヴェ)を養う。

 ……感覚的には、女に養われているヒモの身分で愛人を作ってよろしくやる、である。


 ──シリーズ人間のクズ、だろう、それは。


 当然のことながら、男は働くもの女は家庭を守るものだった20世紀から、600年という時間が経過し、価値観は男女平等を遥かに通り過ぎ、女性だけが働く時代になっているのは知っている。

 だが、「知っている」のと「それに納得できる」との間にはマリアナ海溝よりも大きな隔たりがあるのだ。


「……昔はあれだけ働きたくなかったのになぁ」


 宝くじ当ててのんびり暮らしたい、出来れば愛人を作ってよろしくやりたい……記憶が定かではないので何となくではあるが、昔の俺はそんな願望を抱いていた覚えが微かにある。

 だけど、多少形は違えどその夢が叶ってしまった今現在、俺は自分の身に訪れた幸運を掴み損ねているのが現実だった。


 ──宝くじ当たった気分になればいい、のか?


 そう自分を騙して好き放題やれれば、この未来社会でもそれなりに楽しくやっていけるだろうけれども……正直な話、俺の生まれ持った性格的に考えると、実行できそうにない気はしている。

 取り合えずはまぁ、自分の中の常識とこちらの常識とを擦り合わせながらそれなりに生きていかなければならないのだろうけれど。


「お、おおお、お邪魔、いたし、ます、る」

「おお呼びびびとのののことで」

「……おじゃまいたします」


 そんなことを考えている間にも、それなりの時間が経過していたらしく……呼びつけていたトリー・ヒヨ・タマの三姉妹から個人通信が入ったので、俺は自宅の扉を開くべく、B(脳内)Q(量子)C(通信)O(器官)経由で操作を……


 ──何か、大人しいな?


 いつもであれば、「ほいほ~い、来たよ~」程度のノリで部屋へと入って来る筈なのだが……少なくともスケベ顔で自室の仮想障壁にへばりついていたあの姿からは、こんな殊勝な態度は想像もつかず、俺は少しだけ首を傾げていた。

 とは言え、呼び出したのは俺自身であり……あまり部屋の前に女性を待たせるはどうかという常識的な感覚(・・・・・・)もあり、俺は彼女たちの様子に首を傾げつつも、ドアを開いて自室に招き入れることにした。

 それでも……


 ──まぁ、一応、念のため……


 彼女たちの声色に少しだけ疑念を覚えた俺は、自分自身の周りに仮想障壁を二重くらい貼っておくことにした。

 勿論、彼女たちが男子中学生くらいの性衝動の持ち主とは言え、いきなり飛びかかって来ることはないとは思うものの……プライベートで自室に招いた場合、警護官に働く電気的処理が機能しないらしいので、文字通り万が一を考えての行動である。

 そうしてドアを開くと同時に顔を出した三姉妹だったが……


「……お、おじゃま」

「……しまーす」

「……ます」


 これまた今までの無遠慮な態度とは打って変わって、まるでお化け屋敷にでも入るかのようにおずおずと入って来る始末である。

 しかも、今まで一歩引いていたタマは兎も角としても、堂々と先陣を切っていたトリー・ヒヨまでも勢いがなく、まるで身を隠すように三姉妹一丸となっているのだから、凄まじい違和感がある。

 いや、そんなこともよりも……


 ──何だ、その格好はっ?


 俺は、三姉妹の言動なんかよりも、服装そのもの(・・・・・・)に目を見開くこととなる。

 何故ならば、確か仕事中だった筈の三人の恰好は、布面積が少なく扇情的で卑猥な……肝心要の本体が年若すぎるために色気を感じる前にちぐはぐさが拭えない訳ではあるが、それでも明らかにこの格好で仕事をしていたとは思えないと断言できるような代物だったのだ。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公の感覚が古いな… これ女に例えると 毎月卵子を提供する代わりに仕事しなくてもいいよ 王女様感覚だよ これ精神的苦痛がかなりありそう 目線を変えて考えないと… [気になる点] まあ普…
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