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堕ちた勇者の子(仮)   作者: 雪国竜
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第7話

 エドワード達は夕食を仲良く食べた後。


 エドワードとデュランダルの二人は屋敷の地下にある訓練場へ向かった。

「前に手合せしたのは、お前が学院に入る前だったから半年前か。どれくらい上がったかな?」

 デュランダルは両手持ちの剣を何度か素振りして、中段に構えた。

「前よりかは少しは出来ると思うぜ」

 エドワードは左手で片手剣を持ち逆手に構えつつ、右腕も拳を作り口元まで持って来る。

 そして、二人は剣を交えていた。

 金属と金属がぶつかり合う事で生まれる甲高い音と共に火花が散る。

 お互い持っている得物は訓練用の刃引きされた剣ではあるのだが、それでも当たりどころが悪ければ骨折する事も死ぬ事もある。

 それを分かっている二人だが構わず剣を交えた。

「おっ、半年前に比べるとキレがあるな。それに剣の持ち替え方も早くなったな」

 エドワードの攻撃を余裕で捌くデュランダル。

 対するエドワードは苦い顔をする。

 学院で習った技。自分なりに鍛練した技。どれを繰り出してもデュランダルには容易く受け止められていた。

(くそ。やっぱり、つええ)

 こうして対峙していると自分の父の強さが余計に分かるエドワード。

 このままでは負けると容易に想像できた。

(だが、易々を負けられないっ)

 男の意地。世に『英勇』といわれる者の子としての自尊心。そして、単純に親でも負けたくない。

 そんな気持ちでエドワードは攻撃を続ける。

 手合わせを始めてから終始攻撃に転ずるエドワード。

 守勢だがエドワードの攻撃を余裕で防ぐデュランダル。

 どちらが、強いのか明白であった。

 エドワードは攻撃を続けてながらデュランダルの動きを目で追い続けた。

(……一。二。三。良し、今っ)

 エドワードは剣を横一閃しようとしたが、其処で剣を手の中で回転させてを逆手から順手に変えた。

 そのまま横一閃して鍔迫り合う。

 デュランダルもその攻撃を受けて顔色を変えた。

「此処だっっっ」

 エドワードは拳をデュランダルの腹に向けて放った。

 狙いは横腹。

 そのまま進めばデュランダルの腹に当たると思われたが。

「残念だったな」

 デュランダルはその攻撃を予測していたのかエドワードの拳を柄頭で受け止めた。

「なっ⁉」

 必殺のつもりで放った一撃が容易に防がれた事に拳の痛みよりも衝撃を受けるエドワード。

「ほいっ」

 気が抜ける様な声と共にデュランダルはエドワードは押し出した。

 押されたエドワードは剣を弾かれて容易に仰向けとなり倒れた。

 飛ばされた剣は宙で回転しながらエドワード達から離れた所で落ちて、甲高い音を立てて転がった。

「なかなか悪くない攻撃だったが。もう少し我慢して欲しかったな。エド」

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、…………」

 デュランダルのエドワードの手ごたえを評した。

 エドワードは荒く息付くだけで、何も言えなかった。

 心の中でまた負けたと思ってしまった。

「まぁ、後数年鍛えれば、皇国の騎士団や戦士団に問題なく入団できるぐらいに強くなるぞ」

 つまり今はまだまだだと暗に言うデュランダル。

 それが分かっているのでエドワードは何も言わない。

「……親父」

「何だ? エド」

「お袋は家に帰らないのは、やっぱり俺が原因か?」

 エドの問いかけにデュランダルは頭を掻いた。

「無いとは言えんな……」

 それを聞いてエドワードは溜め息を吐いた。

 エドワードの母ラトレダが屋敷に帰ってこないのは仕事もあるが、エドワードの傷が原因であった。

 エドワードが攫われる事件。その時の警備を指揮していたのはラトレダであった。

 その時に怪我を負い、二度と妊娠する事が出来ない身体になった。

 愛息子を攫われて怪我を負ったラトレダ。

 治療もそこそこに後を追いかけようとしたが、周りの皆が止めた。

 そして、傷が癒えて半年に及ぶリハビリ生活をする事になった。この時期にクリュネ達を引き取った。

 ようやく、リハビリが終わりエドワードを探そうと思った所を救出された。

 片目を失った状態で。

 責任感が強いラトレダはその事で強いショックを受けた。

 以来、仕事を理由に頻繁に屋敷に帰らなくなった。

「俺が偶には屋敷に戻ったらどうだと勧めると。母さん、ラトもお前の顔を見るのが辛いと言うからな」

 困った様に息を吐くデュランダル。

 そして、何を思ったのか慌てた様に言葉を続ける。

「別に、お前の事が嫌いになったとかじゃないからな。ただ、お前の傷を見ると、昔の事を思い出して辛くなるだけだからな。お前は俺とラトの間に出来た大切な子供なんだからなっ」

「分かっているよ。そんな事」

 デュランダルの話を聞いたエドワードはその事については何の疑いを持っていなかった。

「ほっ、そうか。なら、良いんだ。まだ続けるか?」

「いや、もういい」

 エドワードがしないと言うとデュランダルはそうかと呟いて、剣を立て掛ける。

「体冷やすなよ」

 そう言って訓練場から出て行った。

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