発信者情報開示請求に関するメモ・ひろゆきの発言についてのコメント
10月30日にAbemaTV内の番組で、弁護士唐澤貴洋弁護士と西村博之氏が対談するコーナーがありました。
このコーナーの後半あたりで発信者情報開示請求に関する議論があり、それについてひろゆき氏自身が記事としてまとめています。(【ひろゆき】AbemaTVで弁護士さんの嘘を追求した理由。|ガジェット通信https://getnews.jp/archives/2092391)
この記事に関して思ったところを書きました。ひろゆき氏の記事と照らし合わせながらお読みいただきたいと思います。
なお、Twitterでひろゆき氏本人に対してほぼ同一のリプを送っているほか、島下宗進名義のfacebookアカウントを作成して記事自体にもほぼ同一のコメントを書きましたが、後者についてはアカウントがロックされてしまったので見ることができなくなりました。
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>日弁連によると、年間に1万件ぐらい弁護士会照会の制度が使われています。
弁護士会照会制度は「必要な事項の報告を求めることができる」制度(弁護士法23条の2)であって、その内容は個人情報に限りません。また回答は一応義務とはされているものの拒否しても罰則はありません。「1万件ぐらい」という数字には個人情報でないものや拒否された件数も含まれるのではないかと思われます。
>また、弁護士会を通さなくても、個人でもプロバイダ責任制限法の趣旨に基づいた書式で請求すると回答が得られるという仕組みは、平成19年から用意されています。
プロバイダ責任制限法4条は「発信者情報...の開示を請求することができる」と規定するに留まり、その方法については指定していません。また平成19年に策定された「プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン」は、その名の通りガイドライン(運用指針)にすぎず、法的拘束力を持つものではありません。
ですので、1.被害者本人が個人で請求してもいいし、2.弁護士会や3.裁判所を通して請求してもいいのですが、1.個人で請求しても何の強制力もなく、また2.弁護士会照会は前述の通り回答が事実上任意で、逆に個人情報を開示したことで損害賠償請求が認められた事例もあります。そうすると、3.裁判所から仮処分をもらうのが強制力があって確実といえるでしょう。
>ちなみに、東京弁護士会が2013年に出してる冊子で、内容証明による裁判外の請求方法が実務上の解決方法として書かれています。
リンク先の資料に「発信者情報の開示については,発信者の同意がない限り,任意に応じることはほとんどない。」「裁判外の請求と裁判上の請求を両方行っておかなければ,救済方法としては不安定であると思われる。」って書いてあるじゃないですか。さらに言えば裁判上の手続きにおいても「プロバイダ責任制限法を根拠に削除請求を行うのは,適切でないように思われる。」って書いてあるんですけど。何で伏せるんですか?
たしかに削除請求については「発信者情報開示請求と比べて,柔軟に応じる傾向がある。」と書いてありますが、弁護士唐澤貴洋弁護士は「犯人を特定する手段」についての話をしているので、発信者情報開示についての趣旨が妥当します。
どうみても意図的に伏せたとしか思えません。嘘をついているに等しい悪質な書き方だと思います。本来裁判上の手続きだけで済んだ筈の人が余計な手続きを強いられることにもなりかねないので、嘘をついてることを認めさせなきゃいけないなぁ、、と思うんですけどどうでしょう?