log:3 怪物
冷却水のながれるパイプが無数に走っている。その中の適当な一本に傷をつけ、こぼれ出た水を組み茶を沸かす。
自分と相手のために用意したコーヒーを目の前の人物に手渡し、「さて、それじゃ君のことを聞かせてもらうお」とブーンは話を切り出した。
( ^ω^)「いったい君は何者なんだお? どうしてあんなとこに倒れていたんだお?」
川 ゜ -゜)「うん、そうだな。話せば長くなるが」
いれたての熱い飲み物にふうふう息を吹きかけながら、クーと名乗る少女は自分の身にこれまでに起きた出来事を語りはじめた。
川 ゜ -゜)「私の生まれ故郷はこの壁のすぐ麓にあってな、君みたいな探索者が持ち帰ってきた遺物の復旧を産業にしていたんだ」
('A`)「おお、ひょっとしてヴィップ村のことか? あそこの技術者たちは凄腕だからな。俺も修理で何回か世話になったことがあるぜ」
川 ゜ -゜)「そうだ。知ってるなら話が早い。私の両親はそこでも名の知れたマイスターでね。特にエンジン関係の修復に定評があるんだ。村だけでなく国中に弟子がいるんだぞ」
( ^ω^)「ほうほう。それはそれは立派な方だお。素晴らしいご両親をお持ちで君も鼻が高いんじゃないかお?」
川 ゜ -゜)「うん、私は両親をとても尊敬していたし、いずれは後を継ぐつもりでいた。ところが──」
川 ゜ -゜)「あれは一昨年の秋のことだった。私の父の腕を聞きつけ、どうにか動かせないものかと王都からとある品が運び込まれてきた。
でもそれはこれまで私たちが扱ってきた機械とは全く異なる代物だった。まるで人間だ──本当に人間そっくりの素材で作られた、眠った妊婦だったんだ。
気味悪がりながらどうにか調査を進め、一年がかりで機動までこぎつけた……そこまでは良かったのだか、目覚めると同時にそいつは村人たちへ襲い掛かってきた。
ある者は首をもがれ、またある者は腹を裂かれて死んだ。奴は殺戮機械そのものだった。私は両親に庇われなんとか生き延びたのだか……」
すると突然、言葉を切ったかと思いきやクーは上着を脱ぎはじめた。
(; =ω=)「!? ちょ、ちょっと君なにしてんの?!」
あわてて視線を逸らそうとするブーンに、「見てくれ」としかし彼女が落ち着いた声で言う。
(; ^ω^)「い、いや、でも……」
川 ゜ -゜)「良いから。頼む」
動揺するブーンの腕を強引に剥ぎ、クーは素の上体を彼の眼前に晒す。
(; //ω//)「ちょおおおおおおお…………って、え?」
遮るものを奪われ、赤面するブーンの表情が突然、固まった。
( ゜ω゜)「何だ……それは……」
彼は──視た。
クーの白い肌の下で蠢く、異様な隆起の存在を。
麻疹のように点在するそれらが絶えず煽動をくりかえし彼女の身体を作り替えている。特に左脇腹から両胸元にかけてがそれらが顕著で、女性らしき腰のくびれも、膨らみも──何もかもが醜く失われている。
('A`)「化け物かよ」
機械だからだろう。歯にも着せぬ物言いでドクオが感想を告げると
川 ゜ -゜)「そうだ。化け物だ」
言われた当人であるクーもまた、それに憤することなく、ただ頷きかえしていた。