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展海峰と小説家の卵

作者: 井の中の蛙(松永)

 自分なりに、『自分とは何者か?』『この自分を取り巻く者達とは何者か?』について考えました。こんな事考えるのは無駄だと感じる人が多いと思いますが、考えてしまいました。

 5,598文字くらいなので、直ぐに読めると思います。暇がある人は読んでください。よろしくお願いいたします。


 展海峰とは、佐世保市下船越町にある展望公園である。そこに行けば美しい九十九島が見られる。一人の佐世保市に住む男が、そこに現れた。時刻は夕方の4時頃である。男は憔悴しきった顔をしている。男は天海峰で一番九十九島を見るのに良い場所、展望台に歩いて行った。そして、九十九島を見ながら、「フー」と息をはいた。

 男はスマホを取り出し、ある事に関する検索した。『自分は何者か?』『この自分を取り巻く者達は何者なのか?』古今東西の哲学者を始めとする知識人の答えがスマホに表示される。すべてを詳しく読んでみたわけではないが、どの答えも男にはシックリこない。もっと勉強しないといけないのかもしれないと男は思った。男は、『自分は何者か?』『この自分を取り巻く者達は何者なのか?』という二つの問いについて、まず『自分は何者か?』について考える事にした。

 男は、『自分は生物であり、その生物の一種である人である。』と考えた。ありきたりの考えである。では…。『生物とは何か?』男の今迄生きてきて見たこと学んだ事を踏まえて考えると、『生物は、生物から生まれ、子孫を残すものもいれば、子孫を残さないものもいるが、いずれ必ず死ぬ者』である。『それでは最初の生物は?』男は見てきて学んだことを踏まえても分からないのだ。この世界には色んな宗教があるが、ある宗教の信仰深い人は『神が最初の生物を創造した。』と言う。男は無神論者ではないが、はっきりとした証拠が欲しいのだ。男には、この問いに対する答えは出せなかった。

 男は、『自分は、生物の一種である人である。』と先ほど考えていたが、『人とはどういう生物か?』について考え始めた。『色んな考え方があると思うが、この問に対する答えは慎重にならざるを得ない。』と男は考えた。なぜなら、『人とはどういう生物か?』と考え、人の定義をするとき、他の生物と人を自然と比べるが、良く出る答えに、『人は、他の生物よりも賢い。』という人たちがいる。これは間違いではないが『重度の知的障害のある人は?かなり認知症の進行具合がひどい老人は?』となる。人の定義を見た目ですると、人は二本脚であるとなり、『事故で片足を失った者は人ではないのか?生まれつき足が片方しかない者は人ではないのか?』となったり、見た目の中に、肌の色、目の色等をいれると人種差別につながる。人の定義とは、『人は、人から生まれた者』とした方が良いかもしれないと男は考えた。もちろん、現生人類に至るまでの進化の途中で現生人類に近い遺伝子を持つ者との混血はあったとは思うけど…。それらも人と考えても良いのではないかと、男は考えた。

 そこまで考えて男は「フー」とまた息をはいた。『自分は何者か?』という問いに対してザックリとしか答えを見いだせなかった。まだまだ絞り切る必要がある。この問いに関して、

男は答えを具体的に数個出して見た。『自分は日本人である。』『当然ながら男である。』『47歳である。』『独身である。』『介護士である。』『趣味は将棋である。』等などだ!男は、他にも数え切れないほどの具体的な答えをだせると考えた。

 展海峰の九十九島のある方向に太陽が沈もうとしている。実に美しい風景だ。男はその風景を少し見つめてはいるものの感動しているようには見えない。男はまた考え始めた。先ほど『自分は何者か?』という時に出した具体的な答えだが、自分とは生まれてから今迄に変わっており、今の自分はこうだが昔は違ったと言える事もある。例えば、5年前は無職であり、介護士ではなかった。逆に変わらないものもある。『生まれてから今迄ずっと男である。』等だ!

 男は、『自分とは何者か?』という問いに対しての答えの中で、変わっていくものについて考え始めた。男は大学では工学部に在籍していたが、不況でその分野での就職ができずフリーターになった。コンビニの店員の仕事もしたし、交通整理の警備員等の仕事等もした。つまり、男には、学生からフリーター等の変化があったという事だ。『人生は選択の連続であり、人はその選択により変わる。どのような人生を送るのか自己責任だ!』という知識人がかつていた。また、『人は自由の刑に処せられている。』という知識人もかつていた。男は、人生は選択の連続であるが選択肢が少ない人は多くいて、『自己責任だ!』または、『人は自由の刑に処せられている。』等と言う人は弱者の人生に思いを寄せる想像力が欠如していると考えた。

 男は、『自分とは何者か?』にいう問いに対しての答えの中で、変わらざるものについて考え始めた。男は、その要因は遺伝子であると考えた。『父親は誰でどのような遺伝子を持っているのか?』『母親は誰でどのような遺伝子をもっているのか?』『そしてそれらの遺伝子がどのような組み合わせになって自分を形作るのか?遺伝子の変異はないか?』で『自分とは何者か?』という問いに変わらざるものの答えがあると考えた。男は黄色人種の父と母を持ち黄色人種である。それは、遺伝であり、生まれて死ぬまで変わらない。それは、男にとって選択肢がなく変わらない『自分とは何者か?』についての答えである。

 男が展海峰に来てからかなりの時間が来たのか、太陽が完全に沈み星空が現れている。欠けた月は男の思考が満足してない様子を示しているかのようだ。男は星空を見上げ、「フー」と息をはいた。そして男は家路に着いた。

 一週間後、またあの男が天海峰に現れた。『自分とは何者か?』という問いに必死に考えたあの場所にである。男は前回この場所を選んだ時よりは、九十九島の絶景を前より楽しんでいる。男は『この景色は美しい』と感じている。

 男はこの景色を見ながら、自然と『この自分を取り巻く者は何者なのか?』について考え始めた。男はまず、自分を取り巻く者の総称を『環境』とした。別の表現で『世界』『宇宙』等があるのだが…。環境といえば、色々な分類ができる。例えば、『自然環境』『社会環境』等である。

 男の考えはとんだ!『誰がこの環境を作ったのか?』男は自分を取り巻く環境に不満があったので少し興奮気味である。男の脳裏に最初に浮かんだのは、神だった。『自分とは何者か?』という問いを考え答えを探し『それでは最初の生物は?』という問いにぶつかり、『はっきりとした証拠はない。』と考えた神である。男は本物の神と会話したいという気持ちでいっぱいである。なぜなら既存の宗教は皆、人の想像であると考えているからである。また神だけではなく、あの世の世界も疑わしい。天国も地獄も存在する証拠のかけらすらない。

 男はいつもの様に「フー」と息をはいて興奮を収めた。『誰がこの環境を作ったのか?』という答えに男の脳裏に最初に浮かんだのは神だったが、生物も一躍買っていると考えた。例えば植物は光合成を行い二酸化炭素から酸素を作っている。色んな生物が男を取り巻く環境に影響を与えている。その中で一番男を取り巻く環境に影響を与えているのは、男と同じ人であると男は考えた。

 男を取り巻く者達、すなわち環境は、神が作り、生物の活動が影響して作り変えているものなのか?男はもやもやとした感覚に襲われた。『しかし、自分も環境に影響を及ぼしているのではないか?』男は考えた。『ごみをポイ捨てし、自然環境を損ねた。』『他人と喧嘩し人間の作った社会環境に波風を立てた。』男は強者ではないから変化は微々たるものではあるが…。人により環境を作り変えられる度合いは異なる。男は先週ここで『自分とは何者か?』という問いに対しての答えの中で、変わらざるものについて考えたことを思い出した。遺伝による変化への限界があると考えたことである。『環境によっても変化への限界がある。』そう男は考えた。

 『自分とは何者か?』『この自分を取り巻く者達は何者なのか?』と男は考えてきたが、遺伝的要素、環境的要素によって男は縛られている。この世のものは皆そうであるかもしれない…。それをそれぞれの運命というのかもしれない。

 男は運命について考え始めた。最初は運命とは男を窮屈なほど縛るだけかと考えていたがそうではない。運命には縛られていると感じるものもあればそうではないと感じるものもある。例えば、黄色人種に生まれた。これは、男にとって誇りであり縛られている事に不満はない。問題なのは運命の中で窮屈なほどに縛られているものである。例えば、男は色覚異常があり自由に職業選択ができず運命に窮屈なほど縛られていると感じていた。

 運命は、遺伝的要素、環境的要素により生物を縛るが、同じ人という種族でさえ個々で異なる。そして『それぞれ何が縛られているか?』『その縛りをほどけるものとほどけない者の境界線はどこか?』男は考えた。『何でもかんでも運命と考えるのは危険だ!もし何でもかんでも運命と考えると挑戦ができなくなる。』男の意志は固まった。何らかの事に挑戦する。たとえ運命が行く手を阻もうと、男を縛り付けようとしようと…。展海峰の九十九島に太陽が沈もうとしている。男は暫くその風景をみつめ家路に着いた。

 次の日、男は佐世保市のアーケード街に接する松浦公園にいた。朝の8時である。男は9時からそこから近くの職場で働くのだ。なぜ?早すぎる出勤をするのか?いや、男はヘビースモーカーで働く前にタバコの吸いだめをするのだ。男はタバコを取り出し、火をつけた。「フー」とタバコを吸う。天海峰では備え付けの灰皿がなかったからタバコを吸わなかった。松浦公園には灰皿が多くある。男のお気に入りの場所の一つだ。

 男はタバコを吸い、缶コーヒーを飲みながら、昨日考えた事を振り返った。何らかの挑戦をするという意志を固めたのだが、『何に挑戦するのか?』男は悩んだ。しかし、一向に何に挑戦するか決めきれない。『やっぱり俺には無理かな?』男の心の声はつぶやいた。男は仕事が終わってから友人に助言を求めようと考えた。そしてタバコを3本吸い、コーヒーをガブ飲みして、職場へと歩いて行った。

 男は仕事を終え、夕方の6時15分頃に家に着いた。それから食事を作り夕飯を食べた。

風呂にも入った。時刻は夜の8時になっていた。F君からスマホに電話がかかってきた。

F君は言った。

「ヒャホー!元気?」

男は答えた。

「えらいハイテンションだね!何かあった?」

F君は、男のテンションが低いのに気付いたのか、こう尋ねた。

「また妄想?考えすぎだって!ハハハ!」

男は答えた。

「妄想といえば妄想だね!ハハハ!F君!突然だけど俺は何に向いていると思う?」

F君は言った。

「何にも向いてね~!ハハハ!」

男も一緒に笑った。F君は続けて言った。

「妄想を小説にしてみたら?」

男はびっくりして言った。

「え!」

F君は言った。

「冗談だよ~ん!俺!小説読まないから、あまりその世界知らないしー。」

男は、その後F君と2、30分ほど雑談した。男の脳裏には「小説家になる。」というのはハードルが高すぎるとの考えがよぎった。しかし、なれたらどんなにいい職業だろうとも考えた。そして、男は薬を飲んで寝た。

 次の日の朝、また男は松浦公園にいた。時刻は8時!男は昨日と同じようにタバコを吸っている。コーヒーも左手に持っている。男は自分が小説家になったら何を書くかについて考えていた。検討もつかない。男は工学部出身だが平均的日本人から比べると小説を読んできたと考えている。もちろん文学部出身の人達には負けるが…。彼等に比べると自分は無知である。

 無知といえば、昔のギリシャの哲学者に『無知の知』を説く人がいたなと男は思い出した。

男は、『人は無知である事を、あらゆる事について知らなければならない。』と考えた。男は『既存の宗教は全てまやかしで、本当の神を人は知ることはできない。本物の神が存在しても…。人は無知なのだから…。その事を自覚しなければならない。』と考えた。そうこうしている間に、出勤しなければならない時間が来た。男は職場に歩いて行った。

 男は、仕事を終え、食事を食べ終え、風呂に入った。夜の7時半になっていた。男はスマホをにぎり、U 君に電話した。

「こんばんは!U君!今日も仕事で疲れた!」

U君は答えた。

「こんばんは!疲れちゃたの?仕事大変だね!」

男は言った。

「突然だけど!昨日F君と電話で小説家になったらと言われたよ!」

U君は答えた。

「ハハハ!F君から聞いたよ!「俺は何に向いていると思う?」と聞いたんだよね?」

男は答えた。

「うん!」

U 君は言った。

「俺たち精神障害者には難しいかもね!多分疲れるよ!大変な世界らしいから…。」

男は答えた。

「確かにね。」

その後、男とU君は5、6分ぐらい雑談して電話をきった。

 男は、出勤表を見て明日は休みであることを確認した。今日は少し遅くまで起きていられる。男は今朝に考えていた事を断片的に思い出した。『人は本物の神を知ることができない。』

と考えた事である。人はそれぞれ異なる。『自分は何者か?』『この自分を取り巻く者達は何者なのか?』この二つの問いの答えも人により変わってくる。であるから、人により本物の神も変わってくる。人の数よりも多くの神が存在する。男は「フー」と一呼吸した。そして、スマホで『小説とは?』と検索した。色々な答えがあった。しかし、男の心をとらえる答えはなかった。男は主人公に、『自分は何者か?』『この自分を取り巻く者は何者なのか?』の二つの問いを問わせ、男の信じる本物の神(天)の配剤を主人公に与える小説を書こうと考えた。

 男は小説を投稿するサイトを検索した。そして、一ヵ月後、『展海峰と小説家の卵』という小説を投稿した。投稿後、また展海峰に行ってみようかと男は考えている。『今度は、もっともっと美しい景色を楽しめるかもしれない...。』男はそう思った。


 色々考えるんですけど、世の中『なぜ?』『どうして?』等と思うことがいっぱいありますよね~!私なんかじゃ答えを見いだせないことが一杯ありますよ!でも、自分の頭で考えないといけないと思うんです。例え、頭がわるくても…。

 まだまだ小説家の卵なので読みごたえがなかったと感じられた方もいらしゃったとは思いますが、これから努力して頑張ります。読んでいただき、誠に有難うございました。

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