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異世界に行きたい - 1

異世界に行きたい。

8月、例年よりも高い気温を記録した今日、僕はふとそんなことを思った。

異世界に行けば多分素晴らしい冒険があるに違いない。可愛い女の子や、剣や魔法なんかでモンスターと戦っちゃりしちゃって、魔王と戦うことを宿命付けられて勇者扱いとか、それか最近流行りみたいな転生とかして現代で生きる術をフルに活用して異世界で最強扱いされて、それでもスローライフ送ってのんびり豊かな田舎みたいな生活したりしたい。もちろん可愛い女の子が必須だ。


こんな理不尽な世界から脱したい。なんでこんなことになってしまったんだろう。僕はただ自分の好きなことで生きていければそれでよかった。自分の好きなことであればステレスなんて感じないし、それに触れているだけで幸せなはずだったのに。


仕事をするということはそれなりに覚悟はしていた。何もかもが楽しいことばかりじゃないってことも分かってったし、けど大学生の時の楽しい記憶がそれを邪魔したのかもしれない。今までのはその後の辛さを見ないための言わば霧みたいなもので、それが晴れれば地獄のような光景が広がっていることを知っていて大学というところは隠していたのかもしれない。けど、こんなことになるなら先に言って欲しかったし、結果はどうあれ初めから辛いんだということを前提に辛さを先にこの身に教えて欲しかった。もしこんなことがなければ僕は、、、


「おい!聞いてるのか!!」


オフィス内に上司の怒号が走る。

あたりはしんと静まり返ってその怒号は反響し発せられたボリュームよりかなり大きく僕の耳に入ってきた。


「お前この状況どうするんだよ!!どうすることもできねぇぞ!!あぁ?!」

「すみません」

「すみませんで済むなら、こんなこと起きねぇんだよ!!!」


僕、佐藤潤也は怒られている。しかもかなり。それもこれも僕のせいだということも分かっているし、どうすることもできないのも理解は出来る。けど謝ること以外の言葉が出てこないし、頭がパニックを起こしてそれしか出てこない。

こういう時に出てくるのは現実逃避の自分の好きなもの、漫画やゲーム、小説に、アニメ。けど今アニメのことは考えたくない。なぜなら、、、


「オールラッシュまであと10日、何としてもあと一週間で作画と作監見つけてこい!!」


そのアニメを作る制作進行の一人だからである。

さらにかなりの絶望的状況下に置かれた状態である。

こんなの終わるわけがない。僕の背中に冷たい汗が流れ、軽い目眩を覚えた。

それは猛暑のせいだろうか。残念なことにスタジオ内はエアコンがガンガン効いている。 今が8月ということを忘れてしまうほどにキンキンに冷えている。なら答えは一つしかない。


そう、それはストレスしかないだろう





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