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精龍の血  作者: 落ちこぼれた烏賊
序章
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4人の師匠

 

 水の玉はだいぶ安定して作ることができてきた。維持することに慣れてきたため、極端に集中する必要もなくなってきた。


「んー、そろそろ違うことして見るか」


 水の玉に飽きてきたが他に何をすればいいのか分からないので石の玉を作ることにした。

 水の玉を簡単に作ることができるようになったので簡単だろうと思い水と同じ要領でやろうとするがなにやらうまくいかない。


「ん、もしかして4種類全部の感覚を覚えないと行けないのか?」


 試しに火の玉、次に風の玉を作ろうとしてみるがそれぞれ感覚が違うようだ。


「なるほど、全然違うな。」


 そこに気がついたユウは4種類全部の玉を安定させる事にとりあえずの目標にした。まずは今日1日を使ってロック、つまり土のコントロールを習得しよう。

 今回は土という事で庭(森)でやる事にした。

 これが思ったよりも大変で水は失敗すると水が落ちるだけだったがなんと土は失敗すると弾ける。顔や服に飛び散るのだ。

 目に入ると痛いし。

 その日はご飯も食べずに一日中やったが水のようにうまくはいかなかった。だがわかったことがある。どうやら水と土では同じ大きさの玉を作るのにも必要な魔力の量が違う。おそらくだがこれは風と火も違うのだろう。

 そこでふと気付いたのだがこれまで少しずつ魔法を使ってきて魔力を使う感覚が身についてきている。どれぐらいの魔力を使っているのかがわかるようになってきた。

 これはなんとも言い表せない感覚だが魔力は自分の周りの大気中にある魔力に自分の中にある魔力を合わせ、繋いで取り入れ、必要な分を利用するという感じだ。

 大気中の魔力と繋いでいる時は身の周りの状況が手に取るようにわかる。動物が走る、風が吹く方向、木が揺れる様子でさえわかる。そしてそこにかなりのスピードで近づいてくる4つの生命体を感じた。こんな森の中をかなりのスピードで一直線にこちらに近づいてくるのだ。

 このスピードは魔法での移動以外考えられない。明らかに怪しい、そう思ったユウはすぐさま家の中に隠れた。警戒を緩めずに玄関越しに様子を見ていると空から降りてきたのはレイラと3人のローブを着た人物だった。


「なんだ、ばあちゃんか。びっくりさせないでよー」

「はっはは!この坊主が4属性魔法の使い手か?」

「そうさ!私もびっくりしたがね、ほんとに4つの魔法を使えたのさ!」

「私たちの接近に気づいて家の中に隠れてたのね。」

「・・・」


 豪快そうな筋肉ムキムキの男が頭をくしゃくしゃにしてくるが力が強すぎて首の骨が折れそうだ。

 それに、綺麗な長髪を風になびかせて降りてきたチャイナ服のようなスリットの入ったセクシーな服をきた美人がまじまじと見てくる。

 最後の1人は黙ったままこっちを見ている。


「ちょ、ちょっと!痛いです!ばあちゃん!この人たち誰!」


 チャイナ美人に見惚れていたのを誤魔化すようにレイラに視線を移し尋ねるとレイラから自慢げな答えが返ってきた。


「こいつらはね、今私の知る限り各属性の魔法使いの中でもトップと呼ばれる3人だよ!」


 予想外の答えだった。この世界でトップクラスの魔法使いが3人もいるのだ。心なしか他の人たちも自慢げだ。ユウはもちろん魔法を使えるようになりたかった。そんな時に各属性のエキスパートに会えたのだ。こんなチャンスはないと思いユウはその3人に飛びついた。


「お願いします!僕に魔法を教えてください!」


 この時の自分の行動力に自分でもまさかこんな名前も知らない人達にこんな事を言うとは思っていなかった、が気がついたら口に出ていたのだ。それほどにユウは魔法を使いたいと思っていた。


「ん?わたしゃ元々あんたに魔法を教えてもらうためにこの3人を呼んだんだよ。そうだ、紹介がまだだったね。この筋肉の塊がリオン。火炎魔法のエキスパートさ。獄炎の魔法使いとも呼ばれてるね。脳まで筋肉だから馬鹿だけど腕は確かだよ」

「誰が脳筋だ!こちとらちゃんと考えて生きてきたんだよ!これからよろしくなユウ!筋肉を付けたくなったらいつでも大歓迎だからな!」


 そう言って手を差し出してきたのでガッチリと握手したのだが手が痺れるほどに力強く、本当に筋肉の塊なんだなと思わされたがフレンドリーで悪い人ではなさそうだ。


「そしてこのいやらしい格好のがアリア。水冷魔法のエキスパートで魅惑の水冷術師と呼ばれてるよ」

「ちょっと、変なこと教えないでレイラ。私は純粋な心を持ってるの。男が勝手に惚れて行くだけよ。よろしくねユウ君♡」


 なんともいやらしい顔つきである。しかも顔が整っているしスタイルもいい、スリムなのに双丘がなぁ、うーむ。そりゃあ男が放っておくわけない。ただ俺は今5歳だからな、そんな知識はないし性欲などないのだ。


「そして最後にこの暗そうなのがフェルト。土石魔法のエキスパートで沈黙の魔法使いって呼ばれてるよ」

「・・・ん」


 ほんとに無口で表情が変わらないから何を考えているのかわからないし関わりづらそうな人だなというイメージを受けたがこれからはユウの師匠になるのだ。失礼のないようにしよう。


「よろしくお願いします!ところで思ったんだけどさ、風のエキスパートさんはいないの?」

「ん?ここにいるじゃないか」


 そうなのだ。リオンは火、アリアは水、フェルトは土だ。属性はもう1つ、風があったはずなのはレイラの魔法実演でも分かっている。その問いにすぐに答えたのはリオンだったのだが、どう見回しても3人しかいないし、レイラも風のエキスパートについては紹介しようともしない。


「もしかして、風を操って自分を見えなくできるの!?」

「・・ぷっ、ははははは!!!なんだその発想は!面白いやつだな!レイラ、お前言ってないのか?自分が暴風魔法のエキスパートだって」


 ん?んん??今なんて言った?聞き間違えじゃなければレイラが暴風魔法のエキスパート!?


「え?ばあちゃんが!?ほんとに!?」

「あれ、言ってなかったかい?そうさ、私が風属性暴風魔法のエキスパートさ!これで4属性全てのエキスパートが揃ったんだ。明日から毎日私たちが直々に魔法を教えるから覚悟しな!」


 衝撃の事実だった。いつもそばにいたあのばあちゃんがまさかこの世界の風魔法のトップクラスの人だったなんて。いや、考えたらわかったのかもしれない。ただの魔法使いがこんな凄い人達を集められるわけがない。


「やっぱりばあちゃんはすごかったんだね!この前見せてもらったエアカッターすごい威力だったし。」

「そりゃあそうよユウ君。レイラは風殺の魔法使いと呼ばれていたこともあったからね。」

「アリア!余計なことを言うんじゃないよ!」

「はいはい。」


 風殺の魔法使い。そんな厨二病みたいな名前をつけられて恥ずかしくないのかな。俺だったら全身が痒くなるぐらい恥ずかしいし、ばあちゃんが言われたくないのもわかる。うんうん。などと考えが頭に浮かびばあちゃんを見ていると


「さて、今日はもう遅い。魔法を教えるのは明日からだ。明日からしばらくはここの家に暮らしてもらうからね。朝から夜までみっちり教えてあげるよ」

「うん!ありがとう!」


 ユウはまだ魔法の練習は楽しいものだと思っていた。これからどんな辛いものがあるのか知らずに元気よく返事をし、ユウを入れた5人は慣れたようにレイラの家の中に入って行った。


 それにしてもばあちゃん、1日で3人全部連れてきたのか、やっぱりすごいな。

 それともこの人たちって一箇所に集まってたのか?いや、各属性のトップクラスががそんな一箇所に集まってることかあるのか?

 まぁそんなことはいいや、明日から魔法を使えるんだ!今日は早く寝て明日に備えよう。







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