表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精龍の血  作者: 落ちこぼれた烏賊
セントラル編
18/40

大精霊教会

 

 ようやくセントラルの壁の内側に入ることができたユウとフィアナだったがその形はあまりいいものではなかった。

 ユウもフィアナも両手を後ろに縛られ、白いローブを着た黄色い髪の女性に先導され進んだのだから周りの人の目が痛い。

 しかしセントラルという街は本当に大きな街だった。ユウは前世の記憶があり、文明が進んだ国で暮らしていたから良かったものの、フィアナはもう大興奮である。

 両腕を拘束されて連行されている身ということを忘れたかのように右へ左へウロウロして紫のローブを着てフィアナを縛っている男性もあたふたしていた。


「おい、あまりウロウロするな!もう直ぐ教会に着く。そこでお前達の善悪が判明する。己が善だと言うならそれまで我慢しろ。」


 ピシャリと言われたフィアナは見るからにシュンとしているのが見てて面白いからまぁいいだろう。

 セントラルに入ってからまず初めに見えたのはここセントラルの中央に立つ大きな建物だ。門を入ると一直線に続く大きな幅の広い道が続いておりその奥に一際大きな建物が建っていた。道路の左右には大小様々な店が展開しており、杖や魔道書だろうか、他にも飲食店からは食欲をそそる匂いがする。衣服を売っている店やローブを売っている店。特にローブを売っている店は等間隔であるのかと言うぐらい多くあった。中にはあまり見たことはないが剣や盾、鎧を売っている店もある。魔法の国で誰が使うのかはわからないが。

 セントラルは街全体として統一されている感じがし、街の壁も建物も真っ白ではないが白っぽい素材が使われているので街全体が明るく感じた。とても綺麗な街だ。

 道も綺麗に舗装されていて道の中央は馬車が行き交い、端の方を歩行者が行き交っている。少し奥に進むと窓が等間隔である身長の高いビルのような建物が立ち並ぶエリアがあるようだ。

 しかしユウ達はそこまでは行かず左に曲がった。すると道の正面に堂々と存在している建物。おそらくあれが大精霊教会なのだろうと思わせる十字のマーク。

(どこの世界も教会は十字なのだろうか)


「お前たちはセントラルに来るのは初めてだったな?あの正面に見えるのが大精霊教会だ。素直に従っているところからお前たちが悪の者ではないと思っているがこれはセントラルにおける決まりなのでな。すまないが我慢してくれ。本来ならば銀貨10枚はかかるのだが今回はあの()()()()()()を捕獲してくれたお礼も含めて費用は私が持とう」


 門の前での態度とは一変してとても優しい人のように感じた。あの時は高威力も魔法を放ち、威圧的な話し方だったので警戒してしまったがおそらくまじめな人なのだろう。それに実際、()()()()()()?も簡単に制圧できていた。自分の力量と相手の力量を見誤るような人ではないようだ。従っていてよかった。


「いえ、こちらこそ世間知らずで身分証も持たずに銀貨2枚を渋ってしまってお恥ずかしい。あなたのような強い方がここにはたくさんいるのですか?」


 ユウはそれが気になっていた。ユウはどうしても強くなりたいわけではないがこれまでレイラの家でかなり厳しい訓練を受けてきた。そんなユウが驚くほどの魔法使いがいたのだ。改めてユウはこの世界が広いことを実感していた。


「ははは、子供にとはいえ強いといってもらえるのは嬉しいな。ここはあえて謙遜はしないでおこう。私の名前はサラ。ここセントラルの治安維持を担う魔法師団3番隊の隊長を務めている。そろそろ君たちの名前を聞いておこうか」


 魔法師団。セントラルにはそんなものがあるのか。それにこの人サラさんが隊長か、通りで強いと思わされるわけだ。

 セントラルはこの大精霊国家フェアリアルにおいて最も大きな街だ。かつて精霊と龍の戦争の二次災害で絶滅しかけた人間が最後の砦にしていたとも聞く。そんな街の治安維持を行っている隊の隊長様が弱くては意味がない。


「僕はユウです。最近旅を始めたばかりでセントラルへは龍の国へ行く馬車があると聞いてきました。」

「ンフィッ、フィアナです。あ、えっとユウと同じです。」


 盛大に噛み倒したフィアナにサラは優しく笑いかけていう。


「あっははは、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。ここは安全だ。私達も君達がおかしな行動をしない限り魔法すら使わないさ。さぁ、着いたぞ。ここが大精霊教会だ」


 西洋風の神殿に似たつくりをしている教会。その前には片膝をつき手を組み神殿に向かい祈る人が多数存在している。やはりこの街には、いや、この国には大精霊教を信仰している人しかいないのだろう。ユウが初めて見たその光景はサラやほかの住人が目にもとめないことから日常だとわかる。これだけ広い街で多くの人が住んでいるのに崇めるものが一つしかなく、人々がその一つを信用しているのだ。これはすごいことだろう。日本にも仏教やカトリック教、無宗教の人など多種多様な信仰をする人が存在した。それほどに一つのものを信仰させるというのは難しいのだ。おそらく大昔からある根深い宗教なのだろう。


「二人とも中に入ってくれ、すでに司祭様には話を通してある。」

「「はい」」


 そういわれて中に入る。入口にドアのようなものはなく、縦の長い楕円の穴が開いている。中は天井が高く壁や天井に無数の精霊が描かれている。その絵は角度を変えると所々光るようになっていて何とも美しい。そんな内装に見とれていると一人のおじいさんがこちらの向って歩いてくる。これまた白を基調としたローブにサラとは違い、中の服が少し透けるような布になっている。中には白のシャツに白のパンツを履いているようだ。そしてローブには金の糸で刺繍が入っている。左の胸にはこれまた金の糸で精霊の刺繍と十字がかかれていた。左右に男女を二人連れており、その二人も白い少し透けるローブをまとっているが金の刺繍は見当たらない。このおじいさんのほうが格上。そういうことだろう。


「お待ちしておりましたよサラ様。こちらの二人が今回真実の間に入れる者たちですね。」

「ご無沙汰しております大司祭アルバラン様。先ほど伝えてあると思います二人です。男の子がユウ、女の子がフィアナです。今回門の前でなりそこないを拘束した。と発言がありましたので連れてまいりました。どうかよろしくお願いします。」


 この街の魔法師団3番隊隊長ともあろう者がこの丁寧な言いぐさである。このおじいさんがいかにここセントラルで高位に位置するかを示しているように感じた。ユウとフィアナを拘束している二人は片膝をつき頭をあげている。

 その動作に自分たちも頭を下げたほうがいいのかと顔を見合わせたユウとフィアナが膝をつこうとしたとき、アルバランから制止された。


「待ちなさい、君たちは大精霊教を信仰していないのだから頭を下げる必要はない。信仰を強制しているわけではないからね」


 二人は片膝をつく動作をやめ、アルバランのほうを向いた。にっこりと気持ちのいい笑顔を向けてくるおじいさんにユウ達は少し動揺した。それはこの街において大精霊教というのはとても大きなものだったからだ。ユウはてっきり強制的に信仰させているのだと思った。だが違うということはみんなが心の底から信仰しているのだ。そんな街で二人だけ無宗教なんてまるで四面楚歌だ。本当にいいのだろうか?そういう疑問にユウは動揺してしまったのだ。フィアナはおそらく・・・何も考えていないだろう。


「本当にいいんでしょうか?その・・周りの目が・・」

「ああ、かまわんよ。大精霊教では自分とは別の考えを認め合うことを教えとしているからね。」


 素晴らしい。もしかして大精霊教は素晴らしい宗教ではないのか?

 ん?こうして信者が増えていたのだろうか。危うく信仰が始まるところだった。フルフルと顔を横に振り現実に意識を戻したユウはアルバランに自分から急かした。


「そろそろ真実の間に行きませんか?僕たちは急いでいるわけではありませんが、拘束されたままなのは少し気分がよくありませんから。」

「あぁ悪かったね。さぁ、こっちだ。少し変な感じがするかもしれないが特に悪い影響はないから気にしなくて大丈夫だよ。なぁに、すぐ終わるさ。」


 そういうと教会の入口から入ってすぐ右の方へ進んだ。そして突き当りにはこの教会の入り口と比べると圧倒的に小さな扉があった。とはいっても普通の家ほどの大きさなのだが、教会の入り口には扉が無かったのにここには扉がるんだな。中は小さい部屋になっており、二人はそこに通された。

 この小さな部屋の床や壁には奇妙な紋様が刻まれていた。その紋様は定期的に明滅している。この部屋に明かり自体はないのだがその紋様が明滅しているおかげで少し明るくなっている。部屋に踏み入れた瞬間、ユウは自分の中の何かが少しだけ影響を受けているのを感じた。つまりこの部屋、紋様には何らかの魔法の効力があるのだろう。そこから考えられることは、


 ここが真実の間だということだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ