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精龍の血  作者: 落ちこぼれた烏賊
序章
15/40

二人の共通点

 

 窓は木の板で閉ざされ太陽の光をあまり感じることの出来ない部屋でユウは目を開いた。今置かれている状況を徐々に理解しつつ、ユウは動こうとするがうまく力が入らず、やっとの事でベッドから立ち上がった。


 嗅いだことのある匂い、ガノル邸だ。覚えのある匂いを元に今自分がいる場所を把握した。


 そこで気づいたのだが、何やら外が騒がしい、町の人たちが何か言っているようだった。

 外の喧騒に聞き耳を立てると


「早くあの2人を追い出せ!」

「あいつらが大穴を開けたんだろ!」

「あいつらがいたら安心して暮らせないよ!」

「早く出て行け!!」


 誰かを追い出そうとしているようだ。気になったユウはフラフラと歩きながら部屋を出て外へ向かおうとした。

 その途中でガノル邸のメイドに捕まった。


「ユウ様!お目覚めになられたんですね。外は…今は行かない方がいいかと思います。すぐにセルガノル様を呼んで参りますのでどうかお部屋でお待ちください。」

「あ、ああ。」


 よくわからないが外は行かない方がいいらしい。もしかすると喧嘩のようにガノル邸付近が荒れているのだろうか。またフラフラと部屋に戻り、ベットに腰を落ち着けた。


 ガノルはすぐに部屋に来た。


「ユウ君、起きたか。体はどこか痛いところはないか?」

「ええ、少し力が入りにくいですが痛いところは無いですね。えっと…何でここにいるのか教えてもらえますか?確か暴龍のところに行ったのは覚えてるんですがそこからが…」



 ユウの記憶は暴龍のアジトに行ったところからモザイクがかかったかのように曖昧なものとなっていた。


「そうか、何も覚えていないのか。。。ユウ君が行った後、その方向で大きな爆発が起こってね、それで私たちも急いで駆けつけたんだ。するとユウ君を中心に大きな大穴、クレーターのようなものが出来ていてね。そこでユウ君は眠っていたんだ。とにかく私の家に運んだんだがね、町の人たちが君たちは危ないと言い出してね…暴龍から救ってくれたのにこんな事になってしまって申し訳ない。」


 ガノルは深く頭を下げた。その表情は本当に悔しそうな顔をしている。おそらく半年前からずっと暴龍に苦しめられてきたんだろう。


「なるほど、よくわかりませんが…フィアナはどこにいますか?」


 さっきの話にフィアナが出てこなかったのが気になる。まぁ、仲良くはなったが長い付き合いではない。俺が寝ている間にあいつはあいつで旅を再開したなら別にいい。

 そんなことをユウは思っていた。


「フィアナちゃんは、、よくわからないんだ。今はベットに寝かせているが爆発が起こったとき、何かに取り憑かれたように『ユウ君のところに行かなきゃ』と言って飛び出して行ったんだがね、」


「フィアナがですか?」


 よくわからない、なぜフィアナがそんな事になったのか、そして爆発とは何か、わからない事だらけで思考がまとまらない。ただ一つ、フィアナと俺の関係といえば、


(龍の血…か…)


「フィアナはどこの部屋ですか?」

「ああ、ここの隣の部屋だよ」


 話を聞き終わる頃にはユウは普通に歩ける程度にはなっていた。



 トントントン


「フィアナ、起きてるか?入るぞ?」


 ガチャリ


 部屋に入るとフィアナは起きて座っていた。

 入った瞬間フィアナの目は虚ろで現実ではないどこかを見ているように感じた。しかしすぐにいつものフィアナがこちらを向いた。


「あ、ユウ!ここは??」


 出会った頃のフィアナのままの反応を見て少し安心したユウ。さっきの印象はきっと自分が疲れているからだろう。しかしフィアナには他にも気になるところがあった。


「ん?お前、その体どうした?」


 ユウ自身の体は傷一つなく、綺麗なものだった。対してフィアナはというと腕や頭に包帯が巻かれている。服や布団で見えていないがその他にも包帯が巻かれているのだろうか、傷だらけだ。


「んー、私もよくわからないんだよね。なんかユウの声が聞こえたような気がして気がついたらここに寝てたの」

「そうか…」


 ここまで聞いたことを整理してみる。

 まずは俺が暴龍のアジトに行き、原因はわからないが大爆発を起こした。そしてその時にフィアナは俺の声が聞こえて駆けつけた。そのあとからガノルさんたちが駆けつけたが俺とフィアナは大穴の真ん中で寝ていた。


 暴龍のあいつの言葉『お前も龍の国から来たのか?』というもの、そして俺は確かに『気』を使えたのだ。これらを合わせるとどうやら間違いなく、俺には龍の血が流れていて、その関係でフィアナにも何かが起こった。のか?



「あのさ、、俺龍の国に行こうと思うんだけどどうかな?」


 今の自分達だけでは何もわからない。自分がまたいつ制御できない力で大爆発を起こすかわからない、だからまずは龍の国へ行こう。そしてこの力の真相を知るべきだ。


「んー、龍の国かー。まぁ、いいよ!」


「ここから龍の国へは結構遠いと思うよ。まずはここから北にある精霊大都市セントラルに行ってそこからは馬車でいけると思うが…」


 ガノルがなにか言い渋っている。


「なにか問題でもあるんですか?」


 ガノルさんは悪い人ではないと思っているため探る必要も無く、直球の質問を投げかけてみる。

 ガノルに聞いたはずがその返事はフィアナから返って来ることになった。


「龍の国はチカラを重んじる国だから精霊の国のように行くと思わない方がいいかもね」


「うむ、こっち(精霊の国)よりもあっち(龍の国)の方が階級制度が厳しいと聞いたからな、私が行った時は住みづらいところだと思ったよ。あと、、」


「まだ何かあるんですか?」


「龍の国は精霊魔法を特に嫌っている人が多くてね、ユウ君、君は確かに強い、でも龍の国では余程のことがない限り精霊魔法は使わないほうがいいだろう」


 現在ユウは精霊魔法しか使えない。こともないことが判明したのだが龍魔法はまだコントロールができない可能性が高い。つまり龍の国でユウは魔法が使えないとほぼイコールだ。


「なるほど、わかりました。できるだけやってみます。早速明日にはこの村を出ようと思います。村の人たちもそれを望んでいるようですし」


 苦笑いしながら言って見せたが嫌味に聞こえたのだろうか、ガノルはまた頭を下げて謝っていた。そのかわりに、旅に必要なものを揃えてくれるという。これは旅の経験が浅いユウからするととても有難い提案だった。


 この村での滞在期間はごく短いものだったが色々と濃い時間を過ごした気がする。明日からまた、ユウの旅が始まるのだ。


 そしてユウとフィアナとは明日に備えてこの日はゆっくりと休むことにした。





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