報告書
え、2週間くらい空くんじゃなかったのって?
まぁまぁ、かけたものはしょうがないし別にいいでしょ?
28話
最初の見学会から一ヶ月が経った。あれから陸、海、空と順番よく見せたが全員がどこの軍の志望ではなかった。
空軍の訓練風景の見学会が終わった後、サイカがカズトの近衛部隊...K.O.T.S.を再編制させたいと言ってきた。
K.O.T.S.とは、ゲーム時代からあるカズトの近衛部隊の名前のことで、カズトが悪ふざけで作った、Kazuto Only the Top of the Security.の頭文字をとったものである。訳すると、カズトだけのトップセキュリティという痛い名前だ。勿論、本人だって聞いた当時は悶えていた。
近衛部隊の中でも常日頃要人警護として活動するチームと、要人を攻撃した者の抹殺、その者に組織的なものがあればそれの殲滅と言ったチームに分けるというものだった。
それを実践すると言ってサイカとカズトが VR空間の中に入り要人警護の演習を始める事となった。
場所は森。この世界では移動の際木々の多いところがあり、最も狙われる可能性が高いとされている場所の為、今回予想襲撃地点とされた。
まだ、サイカの様な防御系スキルを持っている兵士はいない為護衛はサイカだけとなった。
カズトは基本何もしてはいけない事になっている為、サイカの活躍は凄まじいものだった。
まず、敵の人数が多かった。この世界で暗殺に長けた者がどういったやり方で倒すかわからない為、盗賊方式数で攻めてくるというシチュエーションで最初の演習は始まった。
今回の敵の予想レベルはだいたい100〜120程度。陸軍で相手にならなかったかのガレンツ王国の騎士団はレベル70〜80という見立てだった。それでも相手にならなかったのでレベルを上げたのだ。だが...。
カズト:(これはもう像と蟻の戦いを見てるみたいだ。戦力差に天と地の差があるな)
と、苦笑いを浮かべていた。
そう、実際に彼らの攻撃は届かない。例えカズトが座りながらお茶を飲んでいようが、相手に向かって走ろうが届かない。何故ならそこにサイカがいるからだ。
サイカの魔法、『アブソリュート プロテクション』で、相手の魔法は届かない。帝級魔法を使えば、サイカが相手を攻撃するか、神級防御魔法『 命の守り』を使って神級以外の魔法とレベル250以下の相手の物理攻撃無効という魔法を使う。
基本カズトは守られてばかりなので退屈である。俺も加勢させてほしいとカズトがサイカに言ったが、サイカ 曰く守る事が出来てるという達成感が嬉しいのことだったのでそれ以上は何も言わず、訓練だってのにカズトは相変わらず読書をしていた。
そして、サイカの考えは残りの彼らも同じであったらしい。
行きたい所を書けとカズトが言ったら全員がK.O.T.S.と書いた。
予想外の事に驚いたが、初めから行きたいところに行かせようと思っていたので結局は全員がK.O.T.S.に入隊する事となった。因みに教官はサイカになるらしい。
一ヶ月、訓練風景を見せたがそれだけではないのだ。
まず、数人をカズトがこの世界に来て初めて訪れたボッザーの街に潜入させた。任務内容は周辺の文化の調査、この世界の常識、そして、魔法学園の入学条件なども調べさせた。
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コンコンと、ドアを叩く音がする。
カズト:「どうぞ」
ガチャリと音を鳴らし、執務室に入ってきたのはサイカだった。
サイカ:「おはようございます、カズト様。本日は一月ほど前から潜入していた者たちから報告が上がってきたのでお伝えしようと思い参りました」
そう言って、サイカは資料をカズトに渡す。
カズト:「ほう、もうこんなにたくさんの報告が上がってきているのか、どれどれ...」
コーヒーを飲みながらゆっくりと報告書を見る。そこには信じられない事も書いていた。報告書の一部を抜粋すると
報告書
・魔法を使える者は少ない。これは、一般に魔道書と呼ばれる書物が高く、ある程度の収入がないと買えない為だと思われる。また、魔道書を買ってもそれを理解するのに時間がかかる為、魔法学園と呼ばれる学園で学び理解を深め、効率よく魔法を覚えるかと思われる。
・年月は1年365日24時間の、4年に1回閏年がある。
・冒険者と呼ばれる者は冒険者ギルドで登録した者である。
・食事は基本朝、昼、夜と3食で、日が暮れれば農民などは眠りにつくが冒険者と呼ばれる者は夜にだいたいが情報交換をする。その為、夜でも開いている酒場や人が多い。
・冒険者となる条件は特にない。また、重複も可能であるがメリットはない。
・冒険者にはランクと呼ばれるものがありF〜SSSまである。基本DランクからCランクになる時にランク昇格試験というものがある。
・冒険者ランクにはメリットもあるがデメリットもある。
・冒険者ギルド以外にも魔法ギルドや、商業ギルド、鍛冶ギルドや錬金ギルドなど沢山のギルドがある。
・人間至上主義を掲げている者は、大体がシーマニア教と呼ばれる宗教に入っている者が多く、それ以外の者には獣人やエルフ、ドワーフには至って人間と変わらない接し方をしている。
・シーマニア教は、獣人狩りという、獣人や亜人種などの村を襲う事がよくあるとの事。
・シーマニア教の信者は男性も多い為、男が少ないこの世界では無下に出来ず、対処が上手くいってないとの事。
・魔族と呼ばれる者は人が多い国とよく戦っている為比較的嫌われやすい傾向にある。
・この世界では男性が女性を襲う、「強姦」と言った事は稀で、逆に女性が男性を襲うという「強漢」と言った事例が多いとの事。中でも「集団強漢」という多数の女性が1人の男性を襲うというケースが多い。これは、筋力的な差を埋める為だと推測する。
ボッザー出身の男性は比較的「強姦」をする事が多いが、1回きりであって、それ以降は大人しくなる事が多い。推測するに、この世界の男性は精力が乏しいと考えられる。或いは女性の方が高いかもしれない。
・冒険者として他の街に出てみたが、男は比較的少ない。ボッザーの街はこの国の中でも男が多い方という事が分かった。理由はまだ不明である。
一夫多妻制はあるが一妻多夫制はないとの事。これは男性が少ないせいでこの制度を取ると未婚の女性が増えるという事が予想される為であるから一妻多夫制はないと考えられる。
・魔法学園と呼ばれる学園は一つだけでなく大陸の中央に8個の魔法学園が存在するとの事。入学条件は学園によって異なり、特定の種族限定の学園もあればそうでない学園もあるとの事。入学に払う料金に至っては、通常金貨3〜6枚である。共通の条件としては15歳からでしか入学できないとの事。
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と、書かれていた。それを、カズトは食い入るように見ていた。
カズト:「強姦ではなく強漢だと!?」
カズトは自分の常識が壊れていくような気がした。
サイカ:「はい、ここでは常識とされています。私もここの管理しかしておりませんでしたので初めて知りました」
カズト:「は、ははっ、はははっ。.......はぁ、まぁいいか。それより、みんなはどうだ?昨日から部隊の訓練を始めているんだろ?」
サイカ:「はい、一昨日陸、海、空の専門的知識を埋め込み知識として得ているはずです。しかし、知識は知識。それを上手く使いこなせないと意味がないので昨日は射撃訓練を丸一日かけある程度は使いこなせる様になって来ましたが後3日ほどかけて、2丁拳銃でどんなに相手の動きが早くても狙い、それを当てれる様になれるレベルまであげようと思っております」
2丁拳銃で、戦争区域に入るのは基本バカである。仮にそこに陽気なおっさんがいるとしたらこう言うだろう。
陽気なおっさんA:「へーい、そこの若ぇの、2丁拳銃で戦争に挑むなんざぁ余程の映画好きかぁ?はははっ、ニカッ!」
陽気なおっさんB:「ほら、さっさと後ろ戻ってアサルトライフルでも持ってきな!ニカッ!」
陽気なおっさんA:「おい、ちょっと。へい、ボーイ!マジ突っ込むなんて止めとけって当たる前にお前が当たっちまうぞ!...おー、逝ってしまった」
陽気なおっさんB:「拳銃なんて最高でも50mしか、いいとこ飛ばねぇのにアサルトライフルは300mも飛ぶってのに、アホだな」
と、こんな風になるのだ。本来は。
しかし、サイカやカズトが今の体で2丁拳銃で挑んだ場合。
陽気なおっさんA:「へーい、そこの若ぇの、2丁拳銃で戦争に挑むなんざぁ余程の映画好きかぁ?はははっ、ニカッ!」
陽気なおっさんB:「ほら、さっさと後ろ戻ってアサルトライフルでも持ってきな!ニカッ!」
陽気なおっさんA:「おい、ちょっと。へい、ボーイ!マジ突っ込むなんて止めとけって当たる前にお前が当たっちまうぞ!...はぁ!?何だあのクレイジーボーイ!途中で走る姿見えなくなっちまったぞ!?ってもう倒しちゃってる!?」
陽気なおっさんB:「拳銃なんて最高でも50mしか、いいとこ飛ばねぇのにアサルトライフルは300mも飛ぶってのに、アホだn...はぁ!?何あの正確な狙い!もう、敵いなくなってやがる!マジでクレイジーだぜ、ヒャッハー!後で、あいつに奢ってやらねぇとなぁ!ニカッ!」
となるのだ。3日でこの様なレベルに持って行かれたら地球の特殊部隊は泣いてしまうだろうと、思うカズトだった。
サイカ:「ところでカズト様、先日の件についての話なのですが....」
と、サイカが話を区切り、別の話をしようとする。
カズト:「ああ、あれね。アレで良いんじゃないかな?俺も暇だったし」
サイカ:「ですが、カズト様自身がなさならくても私たちがすれば良いと愚考します」
カズト:「うーん、俺としてはこの世界を少なくとも3年は見渡せるし、それにこの先もしかしたら、これ以上にこの世界をゆっくりと見れなくなるかもでしょ?それならこうする方がいいさ」
サイカ:「...わかりました。ですがくれぐれもご無理はなさならないでください。私たちは貴方だけに忠誠を誓っているのです。もしも、カズト様が病気を患い動けなくなってしまったら私、どうしたらいいかわからなくなりますよ?」
と、心配そうな目でカズトを見る。見た目17位の美少女が俺の事を思って涙を流した。その光景は弟を心配する姉の様に見えただろう。自然とカズトの手がサイカの頭を撫でた。
カズト:「ああ、ありがとう。じゃあ約束な。俺は、無理をしない」
サイカ:「ええ、約束してください。約束を破ったら私の願いを何でも一つ聞いてくださいね?」
カズト:「それ、俺にメリットが...「約束してくださいねっ!」...分かった。約束する」
暫くサイカの頭を撫でていた。というか、手を離そうとしたらサイカがカズトの手を押さえつけた手が離れなくなったカズトは仕方なく頭をずっと撫でた状態になったのだ。別に嫌というわけではなかったが。
カズト:「じゃあ、早速明日から行ってくる。彼奴らの訓練を頼んだぞ」
サイカ:「はい、わかりました」
カズト:「じゃあ俺はもう寝るとするよ。お休み、サイカ」
サイカ:「はい、お休みなさいませ」
そう言って、今日という1日は終わりを迎えるのだった。
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今、風邪気味ですね




