つかの間の休憩
今回は登場キャラクターがおおく、途中で誰か何を言っているかわからないという混乱をなくしたいためにセリフの前に話している人を書いています。今後もこの様な書き方がいいと思ってくれたのなら、文章評価か、感想などを書いてくれたら嬉しいです。
25話
30分ほど寝ていたが起きた時のカズトの顔色は悪く、心配になったセリアは。
セリア:「あ、あの。大丈夫ですか?ご主人様?」
と、瞳に涙を溜めて聞いてくる。相当心配していたようだ。
カズト:「ああ、大丈夫だ。にしても1穣かぁ。単純に1セロン=1円だとしたら日本の国家予算の約14年分だからなぁ。だけどあっちではハンバーガー100円に対しこっちは5セロン...。1セロン辺り20円だから...30年分?うわぁ多すぎ。まぁ多いに越した事はないかぁ。うん、そう考えないと頭痛がする」
セリア:「あの、今日はもう休んだ方がいいと思います!」
まだ、セリアは心配のようだ。
カズト:「いや、今日はまだ少ししかやってないし...」
セリア:「昨日は訓練もして夜戦もしたのでお疲れなんです。だから今日は休んだ方がいいと思います!」
セリアが少し強気でいう。彼女にとっては倒れたカズトを見てから心配でしょうがないのだ。
カズト:「...そうだな、今日はもう休むか」
セリア:「はいっ!」
カズト:「じゃあ今日は何をしようか」
サイカ:「折角なので皆さんとこのサラジュを周ってみては 如何でしょうか?幸いここには娯楽エリアなどもありますし」
そう、サイカが提案する。
カズト:「そうするか...サイカ、済まないが娯楽施設の運営は如何なっている?」
サイカ:「いつでも使えるようにしてあります」
カズト:「そうか...セリア、先に皆んなを起こしに行ってくれ確か娯楽エリアに銭湯があったはずだから皆んなで行こう。その後で沢山遊ぼうか」
セリア:「はいっ!わかりました!」
そう言って隣の部屋へと走り去っていく。
トテトテトテと、セリアが走る際に聞こえた気がしたのはカズトだけではないだろう。
カズト:「さて、セリアお前に頼みたい事がある」
そう、カズトは神妙に言う。
サイカ:「私は貴方のもの。なんでも言ってください」
カズト:「ああ、まずやってほしい事が2つある。1つは人工衛星の打ち上げ。2つ目を言う前に、まずホムンクルスが何体、そして感情表現が出来るものが何体いるか教えてくれ」
サイカ:「人工衛星の打ち上げはいつでも可能です。そして、今のホムンクルス達は清掃などの運営管理をしている者も合わせますと3000体。内、倉庫エリアにて眠りについているのが2000体その中でレベルが120以上を持ち合わせていますのが1000体です」
カズト:「軍事的知識のある者は?」
サイカ:「陸、海、空にそれぞれ300体、暗殺に長けた者が10、諜報に長けた者が30、残りの60は指令や情報処理に長けた者達です」
カズト:「諜報に30か...サイカ、俺がして欲しい2つ目の事はこの世界の情報の入手だ。それこそ農業や鉄鋼業、林業や魔法、軍事レベルや、この世界の平均レベルなど色々調べておきたい。まぁ先の人工衛星についてもこの世界の地図を見たかったから大まかに言えば1つなんだけどね」
困ったように、でもどこか清々しさのある笑みを浮かべた。
サイカ:(そ、そんな顔されたら、何でもやりたくなってしまうではないですか!)
顔こそ穏やかのサイカだが心の中では荒ぶっていた。
サイカ:(だ、第一500年ぶりですよ?愛しのカズト様に会えて興奮しているのにそんな笑顔を見せつけられたら...もう、押し倒したくなっちゃう!)
サイカ:(...はっ!だ、ダメよ何故かはわからないけど昔よりお若くなっているからって!それに可愛くなってる...兎に角押し倒しちゃダメよ)
カズト:「大丈夫かサイカ?」
暫くの沈黙が長いと感じたのかカズトがそうたずねてきた。カズト的には、いくらホムンクルスと 雖も基本的な構造は人と変わらない。
妊娠だって出来るらしいし...これはゲーム設定で書かれていたものの為本当かは分からない...食事も出来る。
なら、もしかすると病気にもかかるかもしれない。そんな考えでサイカにたずねた。
だがサイカの方は違った。カズトが椅子に座り、サイカが立ったままなので当然カズトは上目遣い。それも関係したのであろう。
サイカ:(モウ、オシタオシテモイイデスカ?)
これを聞いたら重度のショタコンと呼ばれる者と変わらないだろうが、サイカはあくまでもカズトにだけしかこんな反応はしない。
ゆらゆらとサイカは動き出す。途中の机に身を乗り出し、カズトに近づこうとする。
カズト:「え、ちょっ、サイカ?」
勿論カズトにサイカが何をしようとしているのか分かりやしない。
そして、カズトの肩にサイカの手が付く。
カズト:「お、おいっサイカ?」
ドーンッ、と扉が開い勢いよく開く音がした。
セリア:「ご主人様!皆んなを起こしてきましたよ〜。あれ、サイカさん何してるんですか?」
サイカ:「いえ、カズト様の肩に埃が付いていたので」
咄嗟に嘘をつきカズトから離れる。いや、あながち嘘でもない、一応は付いていた。
カズト:「あ、ああそうだったのか。言ってくれれば自分で取ったのに」
サイカ:「いえ、これも私の仕事ですので」
セリア:「何かあったんですか?」
カズト:「いや、別に何も無いよ。それよりサイカ。移動の際に車を使いたい。頼めるか?」
サイカ:「はい、大丈夫ですよ。10分ほどお時間を頂戴する事になりますが」
カズト:「うん、宜しく」
サイカ:「はい、では一階のエントランスにてお待ち下さい」
そう言い、サイカは執務室を退出した。
扉を閉じたと同時にサイカはふぅ、と息を漏らす。
サイカ:(あ、危なかった...セリアさんが来てくれた事には私の理性を呼び戻す事が出来たから嬉しいけど、少し残念な気持ちもあるわね)
サイカ:(さて、運営をさせに行きましょうか。そして、男湯にはカズト様お一人...いえ、後2人ほど男の子が居ましたね。昔の様に二人きりになれないというものは寂しいものですね)
そう思いながら娯楽エリアへと向かう。
一方カズトの方は。
カズト:(埃を取るためにしてくれた事は嬉しいんだけど何というか...わざわざあんなに飢えた獣の様な目をしなくても良いと思うんだよなぁ。実際、俺が仔鹿でサイカが飢えた虎の様なイメージが浮かんだからな)
と、思っていた。自分の考えがサイカと同じ事を考えていると思っていないけど、的を外していない気がする事にカズトは少し笑っていた。
実際当たっている様なものだが。
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カズトがいた執務室は司令エリア。でもカズトが向かう風呂場は娯楽エリアである。このサラジュはエリア=一つの島、なので移動には車か、ヘリが必要だ。
勿論一番早いのは『ディメンションムーブ』などの移動魔法を使う事だが今日は車で行く。理由は簡単、彼らに色々な事を知ってほしいから。
カズト含め10人は司令エリアの中でも一番大きい建物の中にいる。執務室は全25階層の内21階だ。
最上階からのヘリポートから、執務室までのルートが予想どうりだったので、執務室から一階のエントランスまでのルートも思い出せて、難なく1階に降りる事が出来た。
途中でエレベーターに乗り、その中からはサラジュを見渡せる様にガラス張りにしてある。勿論、全方位ではなく一面の壁だけだ。
所謂、透明エレベーターというものである。エレベーターの中で。
ソフィ:「う、うわっ。お、落ちるー!」
セリア:「うわぁ綺麗な眺めだね〜」
アイ:「うん、凄く綺麗!」
カヤ:「にゃはは、ソフィは高いところ苦手にゃ?」
ソフィ:「うん、無理!...あっ!怖い〜!」
カズト:「おわっ!とと、こらソフィ急に抱きつくなよ。びっくりするだろ」
ソフィ:「えへへ〜、ごめんなさいご主人様!」
リーシャ:「私も怖い」
カズト:「って、リーシャもか。...全く、ははっどうしてこんなに楽しく感じるんだろうな」
アイ:「あっずるーい!ご主人様に私も抱きつく〜」
カズト:「うわっ、アイ、匂いを嗅ぐな!」
アイ:「ふがふが。んー、ご主人様の匂いだ〜!」
ネル:「残るのは背中のみ...ごくっ」
カヤ:「とったにゃー!」
カズト:「ちょっ、お前ら絶対もう怖くないだろ!」
カヤ:「にゅふふ〜、怖いよーご主人様!」
ネル:「あ、ああ最後の希望が...」
キノ:「うわー、本当に綺麗...ってあれ?皆んな何でご主人様に抱きついてるの?」
ジェイク:「うぉー!すげー!動いてる!」
クロード:「はぁ、わかったからそんなに興奮しないでよジェイク」
セリア:「あー!私がちょっと目を離した隙に何か楽しい事してる!」
チン、と音が鳴り、いつの間にか一階についても中々離れようとしない4人だったが、セリア、ネル、キノの3人のお陰で離れてくれた。
出口の方に向かって歩くと、次第にサイカが見えたので、行く準備は整ったらしい。
サイカ:「お待ちしておりました」
カズト:「うん、車の方はどうなった?」
サイカ:「はい、これだけの人数だと乗れる車両も限られてきますので軍用車両の 疾風を使う事にしました」
疾風、地球では自衛隊の人員輸送用車両である。最大で12名乗れることが出来、火砲などの武器や弾薬なども牽引できる事からトラックとしての性能も発揮出来る優れた車両だ。
カズト:「わかった。じゃあサイカが運転してくれ、俺は隣の席に乗るから」
サイカ:「はい!」
銭湯に着くまでは、特に何もなかった。何か言うとすればやはりカズトとサイカ以外は車に対して驚いていた所ぐらいだ。
車での移動で約20分程掛かるとサイカが言ったので、カズトはすこしサイカに運転を任せ、後ろの少し暇そうにしていた皆んなとトランプをして遊ぶ事にした。
七並べにババ抜きしか出来なかったが、遊びに飢えていたのかトランプの遊びは大盛況だった。
途中、女の子メンバー達が密かに何かを話していたが、何について話しているかまではカズトには聞こえなかった。
それから、銭湯に行き皆んなで風呂に入ってさっぱりとした後、近くの公園で遊んだ。
この世界にはあまり遊ぶ事はなく、鬼ごっこやかくれんぼなどの遊びはなかった。何でも家の家事手伝いや、親の仕事の手伝いなどで遊ぶ機会は滅多になかったそうだ。
日も暮れ始めた頃、流石に遊び疲れたのか皆んな眠そうな顔をしていた。
帰りの車には皆んなぐっすりと眠っていた。
カズト:「今日みたいにゆっくりするのも悪く無いな」
サイカ:「ええ、そうですね」
カズト:「サイカは大丈夫か?途中から鬼ごっこに参加していたみたいだけど、疲れてないか?」
サイカ:「ええ、大丈夫ですよ。しかし、鬼ごっこという遊びは知識では知ってはいましたが、あれほどハードな遊びなんですねぇ」
サイカは少し、困った様に言う。それに対しカズトは苦笑いを浮かべるしかなかった。
カズト:(あれは、もう鬼ごっこという遊びの域を超えているんだよ、サイカ...)
訓練の時もカズトは思ったが、まだ一人ひとりの体の動きがぎこちなく、自分の体に追いついていない様だった。
それもそのはず、2日しかかけないでレベルを100以上もあげたのだ。しかし、途中何度も転けてはいたがコツをつかんだのか段々走る速さも上がっていき、終盤にはぎこちなさは消えていた。
その為か、最後の辺りは最早鬼ごっこどころではなかった。カズト達は普通に走っている様に見えただろう。
しかし、あれを地球にいる人の視点で見たら、皆んな瞬間移動している様に見え、誰がどこにいるかすらわからなかった筈だ。
カズト:(まぁ、体にも慣れさせる事が出来たから、一種の訓練だと思えばいいか)
そう考え、執務室に着くまでの間は眠け覚ましにサイカと今日の事について話し合う事にしたカズトだった。
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