ここら辺の人の強さを知る
今回は長く書けました!
というわけで日曜日は出せるかわかりません´д` ;
22話
「連絡も終えたし行きますか。ネ...、すまんが皆んなと合流しといて先に予定の場所まで行っといてくれないか?」
「えっと、わかりました」
そう言うとネルは出口へと駆けて行った。
「じゃあ行くぞ」
そう言い2人を見ると唖然とした表情で突っ立っていた。
「その道具、もしかしてアーティファクト級の魔道具ですか?」
と、お姫様が言った。何か勘違いしているようだけどまぁそういう事にしておこう。
「ああ、まぁそうだね」
「凄いです!私とそんなに変わらない身長なのにもうアーティファクト級の魔道具を所持しているなんて!」
「ああ、うんまぁね」
「すみません姫様、少しお時間を頂戴しても宜しいでょうか?」
と言い、メイドは俺から姫様を少し遠ざけ2人で会話をした。
「他国のスパイかも知れない人に余り接点を持つのは危ないと思います」
「私も最初はそう思いましたがそうだとしたら助けるメリットがありません。確かに身長は低いですが実力は確かだと思います。既にゴブリンを瞬殺したのを見ていたでしょう?」
「で、ですが...」
「じゃあ、帰ったら他国のスパイかどうかを軍部に調べるよう伝えておきなさい」
「...それならば、わかりました。しかし、本当に大丈夫でしょうか?」
「貴方の心配性には昔からだけど困ったものね。きっと、大丈夫よ」
「そのような軽率でこの様な事が起きたとは思いませんか?」
「...あの人を待たせては行けませんわ」
「...」
どうやら、話が終わったようだ。メイドの警戒する視線も少し和らいでいるので何かあったのだろう。
暫く、何も話をせずに歩いていた。
俺は特段気にはしなかったが相手の方は気まづいと思ったのか姫様の方から話しかけてきた。
「あ、あのっ、貴方のお名前は何というんですか?」
明らかに素性を隠しているのにそんな質問をするなんてよほどのアホなのか、気まづい雰囲気をどうにかしたいという焦りかのどちらかなのだろうが教える事はない。
「無理、教えれないよ」
「じゃ、じゃあ年齢はどうでしょう?」
それも聞くの?まぁ場を和ませようとする努力を買って答えようか。
「まぁそれくらいなら...12だよ」
「わぁ!私と同い年なんですね!うふふ!」
そう言いながら姫様は笑った。
「あ、そう言えば魔法学園には入るんですか?もし、そうなったら三年後は一緒にいられますね」
と、もう入学が決まったかのように言ってくる。そもそも魔法学園すら知らないと言うのに。
「魔法学園って何だ?」
思わず聞いてしまったが、質問をされる事が嬉しかったのか嬉々として返答してくれた。
「魔法学園とは、簡単に言うと魔法を学ぶ場ですね。簡単な初級から人に到達できる最高ランクの上級まで教えてくれますよ!」
この世界において、魔法のランク分けはゲーム時代とあんまり変わっていないようだ。
だったら、初級、下級、中級、上級、特級、精霊級、王級、帝級、古代級、神級の10個でランク分けされている筈だ。しかも面白い事にゲーム時代では、神とステータスで書かれている魔物は精霊級か、王級レベルを使っていた。
しかし上級とは、この世界のレベル低くね?
大体のプレイヤーが普通に使っていたランクで大体特級か精霊級である。俺なんて廃人プレイヤーだった為課金をしては、課金をしなければ得る事の出来ない神級魔法をバンバカと使っていたものだ。無論MP消費量も抑えられるように課金してある。
とまぁそんな昔話は置いといて、どう考えても教えてもらえる魔法よりも高ランクの魔法を覚えているので魅力を感じなかった。
「へぇ、そんなのもあったんだね」
と、そんな風に色々と質問をされたが、楽しい?会話も街が見えると終わりを迎えた。
「ふふっ...あら、もう着いたのですか。貴方とのお話は時間が経つのも忘れてしまいますね」
当然、俺は適当に質問の答えを返しただけである。「へぇ」とか、「そうなんだ」とか「凄いね」とか簡単な返事しか返していない。それでも良かったのか、姫様の方はずっと話しかけていた。特に「凄いね」などと言い褒めたら、物凄く顔を赤くしていた。
恥ずかしがり屋?いや、男慣れしていないのか?まぁどちらでもいいか。
メイドの方は俺と姫様の様子をじっと見ていたが警戒するような様子はなく、寧ろ微笑ましいものを見るような様子で見ていた。
「おい、あれはお前を探しているんじゃないか?」
どう考えても、ここらを巡回している兵士達よりも重装備だし、何より見た目的に騎士団っぽいのでお姫様直属の護衛隊か何かなのだろう。
「あ、あれは私の護衛のものです!」
姫様がそう言い、騎士団に気づく様に大きく手を振った。幸い姫様はドレスの姿なのでわかりやすいだろう。
それに反応したのか、最初はゆっくりとそれでも走って此方へと向かってきた。しかし、こちらを目視で確認できる距離になると血相を変え、腰にあった剣などを鞘から抜き取り物凄い速さで向かってきた。
「おい、何か敵意剥き出しでこっちに向かってきてるんだけど?」
少し怒気の混じった声だった。当たり前だ。何せ、訓練なのに人を助け...いや、これは見捨てるのも後味が悪いから別にいいんだが...そして、街付近まで送ったら騎士の格好をした...実際騎士なんだろうけど...者に敵意剥き出しで襲われそうになって...頭は目以外隠してるしフードも被っていてなおかつマントも着けてるとか普通に怪しい人物っぽいが...少しくらい怒りをぶつけてもいいと思う。
よくよく考えると最初以外は全部自分のせいだと気づくも、その考えを無視したカズトだった。
「姫様ぁ!もう大丈夫ですぅ!おい、腐れ盗賊め覚悟しろぉ!」
両刃の剣、多分ロングソードなのだろう。目測で約100cm〜115cmくらいある。それをいきなり俺に斬りつけてきた。
「はあっ!?」
確かに、いかにも怪しいって格好をしているが、ちゃんと状況を確認して欲しい。
「ちっ、『アースバインド」」
『アースバインド』とは、地面の土を足や体に巻き付けて動けなくする拘束魔法である。それを不特定多数の騎士共にその魔法をかけた。
「くそっ、おいコラ!話しやがれ!そして正々堂々と俺に殺されろ、この腐れ誘拐犯が!」
「おい、何か勘違いしている様だが俺は誘拐なんてしてないし、寧ろ助けた方だ」
「ちっ、煩い!魔法隊、あのクソ野郎にブチかませ!」
色々と言葉が悪い奴だな。
そうは思いつつも、騎士達の後ろに控えていた魔法隊とやらに目を向ける。
数は約10人程、距離からして遠距離が得意なのだろう。
「火の精霊よ、我が敵を討ち滅ぼせ『ファイアボール』!」
え、何その呪文。と言うか人に向けてんじゃねぇよ。危ないなぁ。
「『マジックネゲーション』」
そう言い、魔法を打ち消した。
「な、何!?魔法が消えただどぉ!?」
五月蝿い、たかが精霊級魔法如きで驚いてんじゃねぇ。
「ちっ、合体魔法だ!」
合体魔法?え、体が合体しちゃうの?
そんな事は無いだろうとは思っているが気になっていたのでゆっくりと見ることにした。勿論こっちに攻撃して来るのは承知しているので、防御魔法『アブソリュートプロテクション』を掛けた。因みに帝級未満の魔法なら効果無効でその効力は失われない。つまり帝級以上の魔法が来ない限りいつまでも無敵状態なのだ。
魔法を掛け、魔法使い達を見ると1人の魔法使いの後ろに9人の魔法使いが控えている。その9人は片手を1人の魔法使いに向けて何かを放っている。
何をしているのかと思うと最初に突っ込んできた騎士が説明してくれた。
「ふんっ、どうやらまだわかっていない様だな。あれはな後ろの魔法騎士達が1人にスキルの『魔力譲渡』を使って魔力を渡しているんだ!そして一時的に人並み以上の魔力を出せる様になり、それは1人では出せない特級以上の魔法を打てる様になるのだ!」
俺は素直に驚いていた。理由は簡単だ、スキルで『魔力譲渡』など、なかったのである。考えたらさっきの魔法騎士?も既存の魔法ではあったが、「精霊よ〜」とか言っていたので精霊という媒体を使う魔法なのかもしれない。そしてその精霊を媒体として使う魔法も一切なかった。
俺はゲーム時代になかった魔法に興奮していた。
どんな威力が出るのか楽しみだ。知らない魔法を知りたいという探究心で俺はいっぱいだった。
「業火の精霊よ!我の膨大な魔力を使い、敵を灰と化せよ。『エイフュール』!」
出てきたのはバカでかい炎だった。確かにこの規模の炎だったら特級クラスだろう。だが-----。
「おい、そんなバカでかい炎を俺に当てるのは良いが俺の後ろにいる2人はどうすんだ」
と言い、後ろの2人を指す。
一瞬騎士も、魔法騎士もポカーンとした表情になったが、すぐに焦りの色が見えてきた。
「お、おいっ!魔法騎士達!早くその火を消せ!」
「む、無理です!普段の精霊魔法なら消せますがこれは魔力量が多すぎるので戻せません!」
大きさからして100人の敵と戦う時に使いそうな魔法だが今は適切な魔法では無い。
「じゃ、じゃあ早く何処かに投げろ!」
「は、はいっ!」
と、魔法騎士が投げた先は何も考えずに投げたのだろう。先の狙いと変わらず此方へと向かってきた。
「か、変わらないじゃないかぁ!」
「わっ!よ、避けてください!」
「きゃあああ!」
「ひ、姫様!」
俺の後ろでメイドが姫様をかばう様に抱きついている。
俺が今防御魔法として使っている『アブソリュートプロテクション』は、使用者の体全体を纏う様に掛かるので俺は助かるが、かといって助けたのに見殺しにするのも後味が悪いので守ることにした。
「はぁ、『マジックネゲーション』」
やはり、相手の魔法は消えた。『アブソリュートプロテクション』を使うのももったい無いと感じてしまったが、これでここら辺の人の強さがわかったと思えば特になっただろうと思う事にした。
「なっ...ば、化け物かあいつは...!」
失礼な奴らだ。そう考えたが耳につけた通信機からの連絡に思考を変える。
〈ヤング、こちらホーム01。間も無く規定の LZに到着する予定、オーバー〉
〈ホーム01、こちらヤング。付近に9人をレーダーで感知できるだろうが、それは搭乗対象者だ。攻撃はするな、また俺もそちらへと向かう。ヤングアウト〉
〈ラジャー。ホーム01アウト〉
さぁ、戻りましょうかね。
「あ、あれ?大きな火は?」
数秒前に終わったのにずっと目を閉じていたのか。
「俺が片付けた。それよりも俺はもう戻る。じゃあなお姫様」
「えっ、あ、待ってください」
いや、待ちたく無い。だってそこの騎士さんが凄く見つめてるのに。
「じゃあな」
俺はそう言って逃げる様に元来た道を戻ってきた。
数分走った後、昼に訓練していた場所に着いた。数分で3〜4km走るあたり、人外になってきていることを感じながらもその考えを無視し、9人の元へと戻ってきた。
「あ、お帰りなさい、ご主人様!」
まずは、セリアの元気な挨拶が聞こえた。
「ああ、ただいま。皆んな、もうすぐ到着するから少し広場から離れてくれ」
「え、到着するするって何がです?」
と、クロードが言う。まぁ無理も無いここのような平地を除けば殆ど獣道しかなく何かが来る気配は無い。
しかし、徐々にバラバラバラというヘリコプター独特の音が聞こえてくる。
「な、何この音!」
「だんだん大きくなってくる!」
「ま、魔物なの!?」
「皆んな落ち着け、今からくるものに間違っても攻撃するなよ」
「はいっ!」
〈ヤング、こちらホーム01。規定のLZ付近に到着。発煙弾での信号を要求する。オーバー〉
〈ホーム01、こちらヤング。発煙弾が無いため代わりにファイアボールを上空に撃つ。それでいいか。オーバー〉
〈ラジャー。ホーム01アウト〉
「威力を弱めて、範囲を広げて見やすくして...よし、『ファイアボール』」
上空に撃ったファイアボールは爆散し花火の様になった。
「わぁ、綺麗...」
〈ヤング、こちらホーム01。位置を確認、間も無くそちらへ到着する。アウト〉
〈ラジャー。ホーム01 アウト〉
「皆んな、通信内容は聞いていたな間も無く皆んなからは考えもしないものが来る。あまり驚くなよ」
「は、はいっ!でもどんなのかな?」
「つ、強い魔物だったりして」
「え、今から訓練するの!?」
「さ、さすがにそれは...」
「よし、見えてきたぞ!」
「え、どこどこ?」
「あっ...う、上」
「...へ?」
ゆっくりと降りてきたオスプレイだが着地しても、音の大きさはあまり変わらなかった。
〈ヤング、こちらホーム01。扉を開けますので入ってきてください。オーバー〉
そう通信から聞こえ、扉が開いた。
「よし、皆んなあの中に入るんだ」
「えっ、あ、あの中にですか!?」
「飛んできたよ!だ、大丈夫なのかなぁ?」
「これはさすがに予想外、飛んでくるなんて...」
「こ、これに乗るのかにゃ!?」
「はいはい急いで急いで」
俺は待ったなしに皆んなをオスプレイの中に押し付けた。
「わっ、ちょっとご主人様!こ、怖すぎます!」
皆んなビクついて中々ヘリに乗ろうとしない。なら、強行手段だ。
「ええい、『グレートオールスリープ』!」
「ん、急に眠く...」
「ふわぁ...」
「にゃあ...」
バタバタと倒れていった。それを俺は座席に無理やり座らせる。
「お久しぶりです、カズト様」
ヘリの操縦席からそう聞こえた。サイカのポニーテールになっている長い赤髪が見えた。
「ああ、久しぶりサイカ」
操縦席には、本体と似たサイカがいた。年齢的には20くらいで淑やかそうな女性がそこにいた。
「間も無く出発しますが、その間はご就寝なされますか?」
「ああ、そうだな。今日はもう疲れたし悪いけど操縦を頼む」
「わかりました。では、出発します」
バラバラバラと、ヘリの音をBGMとし、俺はそのまま眠りについた。
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