お姫様とメイドさん
連続投稿です。
21話
----------夜
「よし、じゃあ訓練を始めるぞー」
「具体的にどうするんですか?」
取り敢えず通信機の説明はしてるから実践させるか。
「そうだな、15匹しかいないからそんなに数はいらない。今回は2つの班に別れてもらう。
1つは俺と一緒にゴブリンを殲滅する班。もう1つは周囲の警戒班だ。今回は俺が班編成をする」
という事で分けた結果が、俺、クロード、ネル、アイ、そしてソフィ。
警戒班は、ジェイク、キノ、リーシャ、カヤだ。一応確認、連絡班についての説明をした。
「私もご主人様と、一緒がよかったなぁ」
「ソフィ、そんなこと言わない。私だって一緒」
「そうだね、うん。頑張ろうっと」
「連絡の方法だけど、この耳につけてるヘッドマイクにボタンがあるからそれを押しながら長い棒に話しかけてくれそしたら聞こえるから...そんなに落ち込むなよ。まぁ次の夜戦の訓練はまた逆になるからそん時に頑張ってくれ」
「はい!」
「それじゃあジェイク達の班は散開!」
流石と言うべきか、レベル200ともなると本当に忍者っぽい行動が出来るらしい。実際消えたと思うほどの速さで散開していったからな。
「さてと、じゃあ俺らの方も始めるよ」
さっそく俺は、スキル『アナライズ』を発動した。
このスキルは、壁などの障害物があっても敵を可視化できるというスキルである。イメージ的には某アサシンゲームの『○の目』である。敵は赤色に表示され、味方は青、捕虜は緑、中立は、白だ。スキルレベルが上がると、可視範囲、体の向きがわかる。勿論俺は熟練度、スキルレベルともにレベルマックスだ。
勿論ゲーム時代は、NPCや、魔物などのプログラムされた者だけにしか使いなかったが、この世界ではどうなるのだろう。そう思い、『アナライズ』を発動した。
おー、きちんと発動しているのか。
洞窟の内部に敵を意味する赤と捕虜を意味する緑があった。
って、緑?
よくよく数えると、昨日までの数が15個だったのに、今日は17個確認できた。そのうちの2つが緑である。手を後ろに組んでいるので拘束されていると思われる。また、周囲にゴブリン5匹いるのを確認した。
あれは、もしかして生殖行為をしようとしているのか?
ゲーム時代のゴブリンの設定はオスしかおらず、子を作るのは他の種族の女性を攫って子を作るという設定であった。
「ちっ、急ぐぞ!クロード、ハルバードは洞窟などの閉所では不利だ。活躍するなら今の内だ」
そう言い、洞窟の正面で 屯している3匹のゴブリンを指差した。
「え、ですがこんなにも暗いと正直急所を当てれないのですが...」
「その頭の上に付いているのはお飾りじゃないんだぞ?」
少し、強張った声で言ってしまった。しかし、襲われそうになっているのをみすみす逃すわけにはいかないし、こうやって教えるのも大事だろう。
後で説明するから今はごめんよ、クロード。
少し、俺に怯えたクロードだったがすぐさま頭の上に上げていたNVG-7ver.FWOを目の位置に戻した。
「凄い...昼間のように見える。これなら...」
クロードは文字通り秒殺、それも2秒でやった。
しかし、俺は不満があった。やぁ!という声を上げていたのだ。まぁレベル上げしかしていないクロード達にそこまで言うと流石に八つ当たりになるのでそんな事はしない。あと出来れば秒殺と言わず瞬殺して欲しかった。
これからは、訓練三昧だな。
思わず微笑んでしまったが、それを見たクロードが安堵の表情をしていたのでまぁ結果オーライとしよう。
「洞窟には3つの部屋がある。この通りから右に1つ左に1つ奥に1つだ。
ジェイク達の班にも警戒はやらせているが行動範囲を広くしてあるからまだ無理があるだろうだからクロードは退路の確保、ソフィも大太刀だからアイと一緒に右の通路を、ネルは左の通路に行ってくれ。俺は奥に行く」
「「「「はい!」」」」
中に入ると、一本道だったので人工物なのだろうと思ったがその考えを頭の隅に置いてすぐさま走り抜けた。
途中から曲がり角が有ったので俺の指示通りに3人とも動いてくれたので今は1人だ。
「いやあああ!」
ちっ!声が聞こえる。やはり予想どおりだったか!
足場が悪かったのであまり速く走らなかったが悲鳴が聞こえたので全速力で走った。
悲鳴の方を見るとまだヤられてはいないようだ。しかし、ゴブリンが一生懸命に服を破いているあたり犯そうとしている最中だったのだろう。
幸いまだこちらに気づいている者はいない。なら一思いに殺ってやる。
すかさず左太もものホルスターからベレッタを抜いた俺は服を破いているゴブリンの頭を撃ち抜いた。
「ぐぎゃ!」
服を破こうとしたゴブリンは頭が無くなり全員が混乱している。その隙にも俺は構わず他のゴブリンを撃ち続ける。
「ぐぎゃあ!」
流石に2匹目を殺った辺りから反応し始めて、俺に襲い掛かってきた。
「そんな直線に走ると痛い目にあうよ?」
と、微笑みながら言った。
パシュっというサプレッサー特有の音が響き残りの4匹の人生いや、ゴブリン生か?を終わらした。
「ふぅ、もう大丈夫だよ」
と言いながら囚われていた2人を見ると、どちらとも女性だった。1人はまだ幼い少女だった。多分見た目的に12くらいだろう。もう1人は15〜17ってところだろう。
服装は、少女の方は貴族が着けそうなドレスをつけていて、もう1人はメイドっぽい服をつけていた。
服装から察するに何処かの貴族とその従者って所か。面倒ごとは避けたいなぁ。
「ひっ!」
え、こ、怖がられてる!?
「あ、あのどうかしたんですか?」
「あ、貴方何者なんですか!」
と、メイドの女性学少のを代弁をするかのように言った。
「え、うーん。旅人ですよ?」
咄嗟に言われたので適当な事しか返す事が出来なかった。
「なら何故貴方の目は1つしかないんですか!」
え、1つ?
そう思いながら俺は目を触ってみた。途中、ガチャッと音がした。暗視ゴーグルだった。
あー、そう言えば暗視ゴーグルのver.FWOって少しアソビが入っているんだっけ。
そう、大体の道具にver.FWOと書かれている道具は少なからずアソビが入っているのだ。今回の場合は、対物レンズが光っている。
別に対物レンズの方を光らせなくてもいいのにわざわざ赤く光らせているあたり、普通のNVG-7を買った方が良かったりもする。
だが、今回の様に暗闇の中で赤い点だけが動いているというのは少なからず恐怖効果を生む。
まぁその点に関して言えば、ありなんだろうけど今回はいらなかったなぁ。
「ああ、これは道具だよ、道具。これは暗闇の中でよく見える様にすると言う道具なんだ。まぁこんな暗闇の中じゃ俺も見えないだろうし、明かりを灯すか」
そう言い、俺はアイテム欄からフラッシュライトを取り出し、洞窟の天井に向けてライトを点けた。
「ほらね、ちゃんとした人でしょ?」
「あ、本当に道具なんですね。...す、すみませんでした、うん?」
何故、謝りながら驚いた表情してるんだ。
「こ、子供?」
ああ、そういう事か。身長で判断したんだな。
「だったら何?」
「いえ、何でもありません。ですけど何で目の部分以外隠してるんですか?」
ぐいぐい突っ込むメイドだな。
「そんなのは知らなくてもいいでしょ。じゃその縛られてるのとるから腕こっちに向けて」
「は、はい」
メイドの方の拘束具をコンバットナイフで切った。
「じゃあ次は君だよ」
「ひゃ、ひゃい」
緊張しているのか言葉がたどたどしいが気にせずに切った。
「じゃあ、行くよ」
「姫様、私が守りますので」
「ありがとう」
え、姫様?...何か厄介ごとに巻き込まれる前にさっさと退散しよう。
「街の付近まで送ってあげる。そこから2人でも大丈夫でしょ」
「あ、あのっ!」
突然、お姫様の方から声がかかってきた。どうも嫌な予感しかしない。
「お礼をさせて下さい!」
ほらね。
「悪いけどこの格好じゃあ怪しい子供にしか見えないからね、遠慮しとくよ」
「そ、そんな。それではこの国の王女として面子が立ちません!」
「ひ、姫様!」
全くこの娘は、少しは危ないってことを知らないのかね?
「なぁ、俺みたいな誰とも知らない人に姫様って言う身分を明かしてもいいのか?」
「あっ...」
しまったという顔をしている。まぁその前にわかってたけど。
「はぁ、少しは危ないって事をわかった方がいいよ?」
「う、お、同じ位の歳の子に怒られたのは初めてです」
そう言うと、この暗さでもわかるほど顔が真っ赤になっていた。
いや、知らないし。それ、わりかしどうでもいい話だよね?
思わず心の中で突っ込んじゃったがすぐに終わりを迎える。
「ご主人様、終わりましたぁ?...誰です、その人達は?」
「ま、また1つ目!?」
ああ、みんなにも人増えたって連絡しておかないとなぁ。
人を保護したという連絡をし忘れていたのでお陰でネルが混乱している。この調子で洞窟を抜けるとアイとソフィも混乱するだろう。
「落ち着けネ...。取り敢えず、この2人はゴブリンに襲われていたのを助けた人達だ。すまん、連絡するのを忘れていた」
危うく、ネルと言いかけた。別に言っても良いと思うのだが何も情報を残しておきたくない。そして、さっさと連絡した方が良いのでヘッドマイクで連絡をする事にした。
〈あー、もしもしみんな聞こえてるか?〉
〈ご主人様?〉
〈そうだ、これはオープンチャンネルだからみんなに言っておく、ゴブリンに襲われていた女性だった2人を保護した。俺は一旦街の付近まで行くが、お前らは今日訓練した開けた森のところにいといてくれ。〉
〈...わかりました。皆んな聞いている様なので皆んなと合流した後向かいます〉
ふー、連絡は大事だよな。
そう思うカズトだった。
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