クロード&セリアの過去
お久しぶりです。
資格取得の勉強とか部活やらで忙しい(T ^ T)
11話
side:クロード
僕は、何処かの国のそれも森の茂った所にある村で生きていました。
別に、国の名前を隠したいわけじゃ無いんです。ただ知らないだけです。
その村には、吸血鬼と呼ばれる種族だけしか住むでいません。そんな所で父、母、僕そして妹の4人の家族と一緒に過ごしました。
僕達は他の吸血鬼の上に立つ家柄であるらしく、特に僕と妹は「先祖返り」と言う吸血鬼の中でも飛び抜けた強さを持つ者として囃し立てられていました。
父は、僕の尊敬する人にある人物でした。父曰く、才能に奢らず努力しろと。
しかし、僕は最初それがどういう意味かわかっていませんでした。それを聞いていた妹のセリアも多分同じだったでしょう。
それどころか僕は「父さんは、僕の才能に嫉妬してるんだ」と、思っていました。
実際に僕は父よりも高等魔法を習得出来ていたからです。
しかし、そんな事はある日を境に一蹴されました。
吸血鬼の村が人間に見つかったのです。
長い間見つかっていなかったので油断もあったのでしょう。村を見つけた人間を殺したと思ったらどうやらもう1人いたらしいのです。
それは近くにあった生活の跡でわかりました。
数日後、人間の軍が大量に押しかけてきているとの情報が入りました。
ついに吸血鬼と人間の争いが始まる...吸血鬼の皆んなは口々にそう言っていました。
最初は僕とセリアも父に無理を言ってもらい参加させてもらいました。
しかし、参加させられた場所は、戦場で一番安全だと言われている食糧などの補給部隊に配属されました。
僕と妹の2人はそれに不満を持ちこっそりと前線へと向かいました。
向かった場所は地獄でした。数は圧倒的不利、吸血鬼の皆んなも時間が経つにつれて疲弊しているのが見てわかりました。
死んでいる者には見知った顔の大人もいました。
「父上、母上...」
死んだ者の中には父もいました。その隣で横たわっている母の姿もありました。
才能に奢らず努力しろ。耳が痛くなるほど言われましたが僕が怪我をした時には慌てて魔法を使って怪我を治してくれたあの優しかった父もいなくなったのです。
母も私が寝付けないときに子守唄を歌ってくれたあの歌も聞けなくなったのです。
そう思うと怒りしか湧いて出てきませんでした。
「くそぉ!くそぉ!全員僕が殺してやる!1人残らずこの手で!」
僕は怒り狂っていました。
同じ光景を見て、普段大人しい筈のセリアも、
「ああ、あああ!父様、母様!...やる...殺してやる!」
と、怒り狂っていました。
その後は僕とセリアでの孤軍奮闘でした。
しかし、味方もどんどん倒れ子供の私たちも当然体力はないのでどんどん傷を負っていきました。
最初にセリアが運悪く敵の土魔法『ストーンスピア』が口元にあたり前歯がなくなり、口元は血だらけになりました。
「セリア!くそ!『ダークボール』!」
咄嗟に、左手を『ストーンスピア』を撃った魔術師に向け『ダークボール』を打ちました。
ですが相手の方もその隙を見逃すはずもなく僕と相手していた兵士が僕の左腕を肩から切り落としました。
「おひぃひゃん!」(お兄ちゃん!)
「ゔぐぐっ。ぼ、僕は大丈夫だ!セリア!お前は逃げるんだ!」
「ふぉんなほほへひはいよ!」(そんな事出来ないよ!)
「ダメだ!セリア今は勝ち目がない!このままじゃ負けてしまう!だから僕が時間稼ぎをする!そのうちに逃げて、そしてこいつらを殺してくれ!」
戦闘中に油断は禁物。それをさっき身に染みてわかったはずなのにその時は妹を逃がそうとするだけで精一杯だった僕はまた、油断してしまいました。
「死ね!吸血鬼が!」
「くそっ!がっぁぁあああ!」
今度は右耳から肩を斬られ右耳と肩から腕がなくなりました。大量出血。
意識が遠くなっていくのを感じました。僕が倒れ妹の方を見るといつの間にか目を斬られていて、今左足を斬られていました。
「もう、や、めてくれぇ」
僕は音として出たかもわからないぐらい小さな声で言いました。
その時、僕とセリアの止めを刺そうとしていた2人の兵士が倒れました。
そして、僕とセリアに止血の魔法『ヘモステイシス』、痛みを一時的に止める『ペインブロッキング』、そして回復魔法の『ヒール』それを同時にやってくれるのは、
「ちち、うえ?」
父しか知りません。案の定、僕の目の前には今にも倒れそうな父が立っていました。
「くそっ!間に合わなかった...お前達だけでも逃す!仇を取れとは言わん!せめて幸せに生きてくれ!『ランダムテレポーテーション』!」
『ランダムテレポーテーション』は、『テレポーテーション』の下位魔法で行き先を特定しない代わりに『テレポーテーション』よりも少ない魔力で使える魔法なのです。
魔法を詠唱している間は無防備です。なので父は兵士の槍で滅多刺しにされていきました。
「ち...父さん!父さんも一緒に!」
「父さん、か。そっちの方がいいなぁ。よそよそしくないからな。息子...いやクロード私の元に生まれてきてくれてありがとう。セリアをお前が守ってあげてくれ」
『ランダムテレポーテーション』の効果発動時間がきたため僕とセリアに光が灯りました。
普段はこんなに発動時間が遅くなるはずがないのですけれどあの時は父さんが遅らせたんだと思います。
「と、うさん。ぐすっ...ありがとう」
僕もいつの間にか泣いていました。セリアは幸か不幸か気絶していたので今の状況を知りません。
そして、僕とセリアの2人は『ランダムテレポーテーション』により見知らぬ場所にいました。
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