『影満探偵事務所』長編ミステリー構成案・プロット 決定版
1. 基礎設定(キャラクター&世界観)
【主人公:御影 光】
職業は探偵。
前職は夢男と同期の新米刑事であった。だが、怪物に襲われ、吸収されてしまった。
【原点の一周目】
御影は大学卒業後、夢男とともに警察官採用試験を受けた。二人とも、事件を解決して、闇を解き明かすという仕事に憧れていたのだ。
二人は試験に受かった。警察学校の同期となり、新米刑事として働き始めた。
そんな平和な日常が続いていたある日のことだった。
行方不明者や、殺人事件などの恐ろしい事件が増えていった。
どこを探しても、どれだけの年月が経過しても、行方不明者は見つかることは無かった。
殺人事件には同様の手口が見られた。殺害されるのは決まって老人だという共通点があったのだ。
長年にわたる連続殺人事件として捜査が開始されたのだ。
老人連続殺人事件捜査チーム。その代表として選ばれたのが夢男と御影の二人だった。
二人は捜査を進めていくうちに、不思議な現象を確認した。
カラスが集団で行動している。群れで集まっているのは珍しいことではない。
そういうことではない。
まるで、何かに導かれるように、まるで、何かに命令されるように、まるで、何かに操られるように。群れ行動のそれとは明らかに違ったのだ。
二人はカラスを追ってみることにした。
カラスを追っていくうちに驚愕の事実が判明した。
カラスが集まるところに行くと、高確率で死体があった。それも、例の老人殺人の被害者だ。
何か裏がある。絶対おかしい。二人はそう考えた。
カラスは夕方になると、山奥の森林のような場所へ帰っていく。巣があるのだろう。
二人はそこに目をつけた。住処に行けば何かが分かるかもしれない。
二人は山奥へ赴いた。
山の入り口を車で突入し、どんどん奥へと入っていく。そして、舗装された道が無くなっていき、ついには車が通れなくなる領域に達する。
道というものがなくなり、人間の管理が届かない領域。
そこに、それはあった。
大きな黒い霧のような。何かの集合体のような。
とにかく、本能がそれとの対面を全力拒否するような、常軌を逸したオーラを放つ何かを見つけた。
何かがヤバい。おかしい。
その何かの周辺を無数のカラスが舞っている。
何が起きているのか分からないと言った状況だった。カラスが崇めるようにして引き立てている生命体なのかも分からないそれは、こちらに広がってきた。
動いている。ではない、蠢いている。蠢いて来た。
それは、影であった。
二人は近づいてくる影に恐怖した。命の危険を感じたのだ。
二人が、一連の事件について影に問いかけた。
いや、返答が返ってくるとは微塵も思っていなかったから、問いかけるというよりは、命乞いをする様に叫んだ。この方が適切かもしれない。
すると影は、存在しない口から答えた。
そうだ。全て私がやったことだ。と。
そう聞いて二人は、自分も老人たちのように殺されてしまうのではないかと恐怖し、無意識に後退りした。
どこへ行く。人間。私を認識してしまったからには逃がさん。
そう言って、影は、二人を鷲掴みにして、暗闇の中に取り込んだ。
(背景設定)
影に取り込まれた御影は、目覚めると、天国ではなく、地獄に来ていた。
ニート時代という地獄に。
だが、一周目の記憶はなく、いつもの寝起きとして、御影は認識していた、当然、影の怪物の恐ろしさも、何も知らない。
それだけではない。ニート時代は警察で活躍していたよりもずっと前の出来事であったから、影が存在しているかどうかすらも怪しい。
しかし、それもまた、御影は認識できていない。
そして、夢男は影に取り込まれ、ループするのではなく、影の世界へと連れて行かれてしまった。
何か通る管のようなものを間違えたのだろう。
暗闇、どこを見ても暗闇。何もない世界。
そんな世界で、夢男は孤独を感じていた。そんなとき、御影の視点が共有されたのだ。
影に接触したことによる異能的な繋がりだろうか。これがあの恐ろしい影にバレてはいけない。
そこで夢男は密かに、御影の行動を観察することにした。
そして、そんな夢男のことを御影は忘れていた。
影の世界に囚われてしまったことで、夢男は、世界中から存在を抹消されてしまったのだ。
御影は、夢男のおかげで人生が変わった。
ニート時代に御影を動かし、警察への道を切り開いてくれたのは彼だったからだ。
だが、その夢男ももういない。いないことになってしまった。なので、分岐点であるニート時代に戻って来てしまった。
【1周目以降】
ここは数年前、何もやることが起きずに死んだような生活をしていたあの頃。
ニート時代に戻っていた。
原点の一周目、御影はニート期間に夢男に励まされ、なりたかった警察官採用試験にもう一度挑戦。その後、警察として活躍していた。
だが、目覚めたのはそれ以前のニート期間。
そして何かが足りない。
御影は大切な存在を忘れていた。
影に取り込まれた夢男の存在を。
分岐世界は同じような結末を辿る。
御影がドン底人生を送り、食っちゃ寝生活を送る中、不思議な夢を見た。
「夢を諦めるな。」
御影は神のお告げだと思った。
このドン底から抜け出せるのかと。
御影は諦めていた警察官採用試験を受けた。だが、道は開けなかった。
何かに目覚めた御影は、ニートを脱しようと、働くことにした。
警察にはなれなかったが、事件を解決して活躍する刑事になる道は他にもある。
御影は探偵として活動することに決めた。
警察以外で事件にかかわれるとしたら、それ以外は考えられなかったからだ。
事務所名は、影満探偵事務所。
依頼はまだない。
だが、後に御影は知ることになる。
欠けていた友人の存在、幾億もの失敗、ループしているという事実。最近起きていた失踪事件、殺人事件の真相を。自分だけ認識できる夜の真実を。
怪物を倒せば夢男は戻り、全てが解決する。
【影を見る眼】
原点の一周目、御影は影に吸収されてしまった。それが怪物を見ることができている所以。
【フラッシュバック】
夢男は失敗してきた数々の御影を知っている。
見ている。
その記憶が共有されたもの。
御影の生死を左右する分岐点、手がかりに近づいた時、その記憶は呼び起こされる。
だが、それは完全なるリプレイ映像を観ることができるというわけではなく、静止画や誰かのセリフなどの、断片的な情報である。
【時間異常】
時間異常は削除。
物理的にも矛盾してしまうから。
夕方になると怪物が世界を覆う、に変更する。だが、一般人は怪物が見えないため、普通の生活を送っている。
御影は見えるので、暗くなったように感じる。
【騒音問題】
騒音は削除。
影の怪物の咆哮として成立はできるが、毎回決まった時間に唸るのも生物としておかしい。
【相棒:フランケン】
御影の家のベランダに住み着くカラス。
御影は勝手に名前をつけ可愛がっているが、実は最も影に対して、憎しみを抱いている存在。
彼は山奥のカラスを取り纏めるリーダーのような存在だった。だが、影が現れ、自分たちの住処を蹂躙していった。家族は殺され、友人は支配下に置かれ、全てを奪われた。
命からがら生き延びたフランケンは、自分と同じ何かを持つ人間を見つけた。
影に対する憎しみを感じた。微かな憎しみだった。まるで、無意識下で強く憎んでいるような。そんな何かを感じたのだ。
その男は御影という名前だった。
フランケンは御影のベランダに住み着くことにした。彼と一緒にいれば、何かを掴める気がしたからだ。
【案内人:夢男】
原点の一周目、御影と夢男は親しい友、同期の警察官であった。だが、二人は怪物に襲われることになる。
御影と夢男は怪物に吸収された。だが、寿命や生命力を奪われたわけではなかった。
そこは、見覚えのある街、家。
ループしてしまっていた。
だがそこに夢男の姿はなかった。夢男は、御影が眠るたびにランダムで干渉してくる。
今まで失敗してきた御影を知っており、見て、覚えている。
なので、ループの原因は怪物の何らかの性質であり、夢男の能力ではない。
怪物を倒せば御影はループから抜け出し、自分も現実へ帰れると信じている。
【ラスボス:影の怪物】
ある日、影は自我を持った。
影には欲望が芽生えた。
人間のようなあらゆる欲求が芽生えたのだ。
彼らの中で、膨張していく欲求があった。それは、広がりたいという人間には理解しがたい欲求。
ビックバン後、膨張し続ける宇宙、水滴が滴り落ちたときの波、あるいは、根を伸ばし続ける植物のように、自らの存在を広げたかったのだ。
彼らは元々は小動物や小物などの小さいモノの影だったから、尚更だ。
彼らは、物体や生物問わず吸収して、生命力、寿命を奪う。それにより肥大化する。
【老人化による殺人】
老人連続殺人事件として御影と夢男が捜査していた事件であったが、本当は老人を殺している。ではなかったのだ。
影が大きくなるためには、影の養分が必要だった。
ただの影であれば良いというわけではない。
寿命や生命エネルギーなどの養分を持つ生物の影が好ましかった。大きなビルの影などは食えたものではないのだ。
特に人間を好んだ。
一般的な動物は、それほどまでは長く生きない。だが、人間は百年は生きる。これほど絶好の獲物は他にいなかった。
人間であれば誰でも良かった。
御影たちが老人のみを殺していると、間違った解釈をした。だが、実のところはそうではない。
人間から生命エネルギーや寿命を奪った結果、老人のような見た目になってしまった。
これが真相であった。
【吸収がもたらす影響】
影の怪物は、影の吸収による殺人という攻撃手段を持つ。
活発な生命エネルギーを持つ人間の影を吸収することで、自身の存在を拡張する糧としている。
日が落ち始める時間、日没が近づくと、影は動き出す。
会社帰りのサラリーマン、子どもを迎えに行く主婦、部活帰りの学生、人種や職業、年齢は問わない。
彼らが街灯に照らされた大通りから外れ、少しでも完全なる暗闇へ入り込んだとき、影は襲う。
影を吸収されていく人間の肌は、皺の数を増やし、骨が浮き出始め、背を曲げ、倒れる。
影を奪われた人間は生き返ることはない。影を倒せば全てが元通りという夢物語などないのだ。
日が昇り、再び暗闇が消失したその時、影は撤退する。
殺された人々を日が照らしても、影はない。
【影の世界】
エネルギーが欲しいだけなら、影が何故このような機能を持つのか。
これは、影自身も自覚している能力ではない。御影と夢男を取り込んだとき、影は吸収したつもりであった。
だが、影すらも自覚せぬ未知の機能によって、二人は予想外の結果に。
影は夢男が体内で潜伏していることも、御影がループしていることも、それを夢男が観察していることも、何も知らない。
【ループのルール】
影が把握していなかった機能、対象を取り込むことによる影の世界への封印。そして、対象をタイムリープさせてしまうという能力。
御影はニート期間を初期位置として、死ぬたびにループを幾億も繰り返す。
そして、御影が眠りにつくとき、運がよければ夢男と、影に接触したことによる何かによって、夢の中で繋がることができる。
そして、御影は夢男から断片情報を受け取る。もちろん、これは予めヒントとして受け取るのではない。
夢として情報を提示される。
だが、そのように断片情報を受け取っても、御影は失敗する。相手は人智を超えた存在だ。そう簡単には勝てない。
御影が死んだとき、夢男は御影と対面する。
そして、再び地獄を繰り返す御影を何もできぬまま送り出す。
悲しげな顔をして。




