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【完結】レベル1の地図士は、世界の裏側を知ってしまった  作者: あめとおと
王都外縁・連鎖異変編

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第85話 集められる判断

 変化は、すぐに現れた。


「最近、判断報告が増えてない?」


「増えてる。内容は薄いけど」


 現場から上がってくる記録が、急に増えた。


 ・違和感あり

・問題なし

・念のため遅延


 どれも間違いじゃない。

 だが、判断が“安全側に寄りすぎている”。


「見られてるからな」


「失敗したくないんだろ」


 結果、調整は遅れる。


 連鎖は防げる。

 だが、滞りが溜まる。



 反発も出た。


「判断を集めるって、結局どうするんだ?」


「中央が正解を決める気か?」


「だったら最初から任せればいい」


 現場の声は、荒れていた。


 若い魔導師は、会合で言う。


「集めるだけでは、意味がありません」


「判断は、使われ方で価値が変わる」


 だが、その言葉は、全員に届かない。


 判断を出す者。

 判断を避ける者。

 判断を“無難に薄める”者。


 同じ枠組みの中で、

 意図が分かれ始めている。



 夜、主人公は、判断記録の束を前にしていた。


 数は多い。

 だが、地図に落とすと、線がぼやける。


「……集めすぎだな」


 判断は、溜めると濁る。


 彼は、古い記録を一つ引っ張り出す。

 外縁で、使われなかった判断。


 それは、少ない言葉で書かれていた。


 だが、線ははっきりしている。


「残すべきなのは、数じゃない」


 独り言のように呟く。


 判断の量が増えた夜、

 王都は、少しだけ重くなった。


 連鎖は防がれている。

 だが、別の歪みが、静かに育っている。



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