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【完結】レベル1の地図士は、世界の裏側を知ってしまった  作者: あめとおと
王都外縁・連鎖異変編

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第48話 次の依頼は、静かに

 その文書は、王都経由ではなかった。


 正式な受付簿にも、載っていない。


 ただ――

 俺の机に、直接置かれていた。


「……これ」


 リーナが、紙を持ち上げる。


「誰が?」


「分からない」


 封蝋は、

 王都のものでも、北方のものでもない。


 色も、刻印も、曖昧だ。


「様式が、

 意図的に崩されてる」


「追跡、

 されたくないってことね」


 俺は、中身を読む。


 文章は短い。

 だが、核心だけを突いている。


王都式調整が、街を壊しかけた。


北方で、直したと聞いた。


同じことが、ここでも起きている。


 地名は、書かれていない。


 被害規模も、ない。


 だが――

 切迫感だけは、十分だった。


「……噂、広がるの早いわね」


「広がったんじゃない」


 俺は、紙を置く。


「届いたんだ」


 必要な場所に、必要な形で。



 俺は、地図を開かない。


 まず、考える。


 この依頼は――

 王都に知られたくない。


 つまり、

 王都の調整が原因で、問題が起きている可能性が高い。


「受ける?」


 リーナが聞く。


「正式には、受けられない」


「でも?」


「断れば、

 向こうは壊れるまで我慢する」


 沈黙。


 これはもう、技術の話じゃない。


「……選ぶ仕事ね」


「ええ」


 俺は、小さく息を吐く。


「だから、条件を付ける」


 紙の余白に、短く書く。


正式な依頼は受けられない。


だが――

観測として、行くことはできる。


「観測?」


「調整じゃない」


「見るだけ」


 リーナが苦笑する。


「……信用されない言い方」


「最初から、信用される仕事じゃない」



 夜。


 馬車の準備が進む。


 最小限。


 目立たない。


「……王都に、報告は?」


「帰ってからだ」


 それでいい。


 今回の仕事は、王都の外。


 だが、

 王都の影の話でもある。


 出発前、

 俺は、地図を一瞬だけ開いた。


【未記載地域】

【流れ:不明】


 白い。


 だが――

 怖くはない。


 白は、拒絶じゃない。


 まだ、

 引かれていないだけだ。


 馬車が静かに動き出す。


 次の街は、

 名も、姿も、まだ見えない。


 だが一つだけ、確かなことがある。


 王都式が

 “正解”でいられる世界は、もう終わり始めている。


 そして――

 それを直視する役目が、俺たちに回ってきた。



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