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レベル1の地図士は、世界の裏側を知ってしまった  作者: あめとおと
王都調整編

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32/59

第32話 制限路線の試験運用あ


 認定から二日後。


 ミレアは、

 魔法街区の一角にいた。


 場所は、

 事故報告が最も多い

 小規模工房通り。


「緊張してる?」


 リーナが、

 隣で声をかける。


「……はい」


「でも、

 逃げません」


 俺は、

 少し離れた場所から

 様子を見る。


 監督官としての

 初仕事だ。


「始めて」


 合図に、

 ミレアが

 深く息を吸う。


 地面に、

 淡い線が浮かんだ。


【制限路線:安定】

【影響範囲:最小】


 魔力の流れが、

 ゆっくりと整う。


 工房の炉が、

 正常な音を

 取り戻した。


「……止まった」


 職人が、

 驚いた声を上げる。


「いつもなら、

 逆流する時間だ」


 ミレアの肩が、

 少し下がった。


「成功……?」


「成功だ」


 俺は、

 即答した。


 だが――

 地図は、

 完全ではない。


【持続時間:短】

【再調整:必要】


「十五分」


 俺は、

 ミレアに告げる。


「それ以上は、

 無理をするな」


「はい」


 時間が、

 過ぎる。


 線は、

 自然に消えた。


 だが――

 何も壊れない。


 それが、

 重要だった。


「派手じゃないけど……」


 リーナが、

 呟く。


「街向きね」


「そう」


「英雄技じゃない」


「保守技術だ」


 その時。


 少し離れた通りで、

 ざわめきが起きた。


「今度は、

 何?」


 地図が、

 反応する。


【別区画:干渉兆候】

【種類:制限路線】


「……同じ?」


 ミレアが、

 息を呑む。


「違う」


「これは――

 独学だ」


 俺は、

 歩き出す。


 路地の先で、

 青年が

 必死に線を引いていた。


「やめろ!」


 声をかけると、

 彼は振り返る。


「認定調整士……?」


「違う」


「俺は――

 見ただけだ」


 線は、

 不安定。


 崩れかけている。


「消せ」


「今すぐ」


「でも……!」


 青年の手が、

 震える。


 ミレアが、

 一歩前に出た。


「……私も、

 最初は

 同じでした」


「でも、

 独りでやると

 壊します」


 彼は、

 唇を噛んだ。


 線が、

 ほどける。


 事故は、

 起きなかった。


「……すみません」


「いい」


 俺は、

 短く言う。


「次は、

 申請しろ」


 その場を離れながら、

 リーナが言う。


「予想より早いわ」


「ああ」


「技術は、

 もう“広まり始めてる”」


 ミレアが、

 小さく拳を握る。


「私……

 足りてますか?」


「足りない」


 即答。


「だから、

 続けられる」


 地図の端に、

 新しい表示が浮かぶ。


【試験運用:継続】

【次段階:複数運用】


 王都は、

 静かに変わっていく。


 誰にも

 気づかれない

 ところで。


 それが――

 この技術の

 正しい形だった。


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