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レベル1の地図士は、世界の裏側を知ってしまった  作者: あめとおと
王都調整編

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25/32

第25話 王都全域調整計画

新しい章の始まりです。


公開は、0・6・12・18時の1日4回に変わります。

 王都の地図を、完全に開いたのは――

 これが初めてだった。


 机いっぱいに広がる紙面。

 いや、もはや紙じゃない。


 線が、重なり、絡まり、

 呼吸している。


【対象:王都全域】

【人口密度:過密】

【路線干渉:常時発生】

【整理予備判定:複数】


「……思った以上ね」


 リーナが、低く息を吐いた。


「ここ、ここも」


「“削除候補”が、点在してる」


「貴族街、下町、旧区画……」


 俺は、表示を切り替える。


【視点変更:整理者側】


 途端に、色が変わった。


 赤。

 灰。

 空白。


「……赤は?」


「負荷が高い」


「灰は、不要判断寸前」


「空白は――すでに“消されても問題ない”と

 見なされてる」


 リーナが、絶句する。


「……人が、住んでるのに」


「住んでるかどうかは、

 関係ない」


「**“繋がってるか”**だ」


 王都は、巨大な交差点だった。


 人は多い。

 道も多い。


 だが――

 役割が、途切れている。


「整理者は、

 “街”を見てない」


「“流れ”を見てる」


 リーナが、考え込む。


「じゃあ……

 全部繋ぎ直す?」


「無理だ」


「王都は、大きすぎる」


 俺は、ペンを置いた。


「だから――

 核を作る」


「核?」


「消せない場所を、先に作る」


 地図の中央。

 王城でも、神殿でもない。


 市場区に、印を打つ。


【調整核:設定】

【属性:生活・流通】


「食べる」

「働く」

「売る」

「買う」


「ここは、誰にとっても必要だ」


 次に、線を伸ばす。


 市場から、

 下町へ。

 工房街へ。

 宿場へ。


【生活路線:束化】


 線が、太くなる。


「次は、

 魔法街区」


 リーナが、即座に理解した。


「私がやる?」


「ああ」


「魔法は、

 “理解されなくても使われる”」


「整理者が、切りにくい」


 リーナが、小さく笑う。


「やり方、

 だんだん悪辣になってきたわね」


「褒め言葉だ」


 その瞬間。


 地図が、軋んだ。


【観測反応:増大】

【整理者:複数視点】


「……来た」


 空間の端に、あの“無色”が、二つ見える。


「一体じゃ、なかったのね」


「世界は、個体じゃない」


 俺は、ペンを走らせる。


「だから――

 一本じゃ止まらない」


【描画:冗長核】

【核:三重】


 市場。

 魔法街区。

 宿場街。


 三点が、三角を成す。


 流れが、循環し始める。


 無色の存在が、一瞬、動きを止めた。


「……負荷、分散?」


「そうだ」


「切るなら、全部切れ」


「一本じゃ、意味がない」


 整理者たちは、互いに視線を交わす。


 そして――

 退いた。


【整理判定:保留】

【理由:影響過大】


 リーナが、大きく息を吐いた。


「……勝った?」


「いや」


「先延ばしにした」


 俺は、王都全域を見渡す。


「でも――

 十分だ」


「道は、走り始めた」


 市場の喧騒。

 魔法の光。

 宿屋の灯り。


 王都は、何も知らず、

 今日も動いている。


 だがその裏で――

 **“消されない構造”**が

 静かに組み上がっていた。


 地図に、

 新しい章名が刻まれる。


【章名:王都調整編】

【副題:世界と交渉する者】


(……ここからが、本番だ)


 俺は、ペンを離さなかった。



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