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食卓

次回から【無口な令嬢に拾われた執事】は【無口な令嬢と拾われた執事】にタイトルが変更となります。



 お風呂場を出ると一人のメイドが立っており「ご主人様に食卓へ案内するよう申しつかってまいりました。」といわれ、俺だけが食卓へと招待された。少し弟たちが心配だがシリルさんになら任せても大丈夫だろう。


 メイドの案内を受け、部屋に入るとクレイグさんと奥さん、娘さんと思われる人物が豪華な食事と共に俺を待っていた。

  

「待っていたよ、随分と綺麗になったじゃないか。」


 クレイグさんは席を立ち上がり、俺の元へとやってきて肩に手を置いて自己紹介を始めた。

「ケニー、こちから見て右に座っているのが私の妻、レジーナだ。」


「よろしくね。」


「よっよろしくお願いします!」


「フフ、昔のあなたにそっくりね……!」

 

「……!!えー、ゴホン!自己紹介を続けるぞ!」


 きっと俺と同じで昔のクレイグさんもレジーナさんを見て緊張したのだろう、そう思えるほどにレジーナさんは誰から見ても美しい人だった。そんなレジーナさんの言葉に同様してクレイグさんは顔を真っ赤にしながらも自己紹介を続けた。

 

「左に座っているのが私たちの自慢の娘!マーガレットちゃんだ!!」


「よろしくお願いいたします……」

 

「こちらこそよろしくお願いします……」


 綺麗な髪、綺麗な顔立ち、そして冷たく生気の抜けた瞳、普通なら娘を自慢する父親が嫌いな年頃なのかと思うとこだが、クレイグさんから馬車で聞いていた通りなにか問題を消えているようだ。


「とっとりあえず!席に座って食事をしながらケニーくんと他の子供たちの今後について話そう!」


 クレイグさんがそう言うと馬車を運転してくれていた執事のアーノルドさんがクレイグさんから一番遠い席を引いてくれた。


 席には前世でも食べたことのないほど豪華な食事(普通の家庭の食事と同じ)が並べられていた。

「さぁ、三人とも手を合わせて祈ろう。」


 俺はクレイグさんに言われた通り、三人に習って誰に祈ればいいのか聞けぬまま手を合わせた。一分ほど祈りの時間は続きクレイグさんの声で俺は閉じていた瞼を開いた。

「さぁ、ケニーくんも遠慮せずに食べてくれ。」


 俺はクレイグさんの言葉に甘え、料理を口にした。味はほとんどなく素材の味に近いが、この世界に来てから初めて食べる、まともな食事にナイフとフォークが止まることはなかった。

「それじゃあケニーくん、そろそろこれからの話をしよう。」


 料理を半分食べ終えると、クレイグさんとの今後についての話し合いが始まった。

「まず馬車の中でも話したが、君にはアーノルドの元、執事としての技能を身につけてもらう。アーノルドは一流の執事だが、君にはアーノルドと同等、またはそれ以上の執事に十年以内になってもらう。」


「あなた、それはいくらなんでも……」


「レジーナ、彼は転生者なんだ。」


「転生者!この子が!?」


「あぁ、それも別の世界から来たという前例のない転生者だ。これも馬車の中で話したことだが転生者である君を私は他の子供たちと同等には扱わない。とても大変だとは思うけど、それでもやるか?」


「もちろんです!ここで働かせてください!」


「わかった。アーノルド、食事が終わり次第ケニーのことを任せるぞ。」


「かしこまりました。」


「では、次の話に移ろう。君の弟や妹、他の子供たちについてだ。あの子たちのことはしばらく、この館で預かることになった。」


「本当ですか!ありがとうございます!」 


「安心するのはまだ早いぞ。しばらくと言っただろう、ケニー、お前に才能がない、またはアーノルドと並ぶのは無理だと判断した場合、全員出ていってもらう。」


 この人はなんて優しい人なんだろう……きっと自分では厳しいことを言っているつもりなんだろうが、言葉の節々に優しさが溢れている。

「クレイグ様の期待に応えられるよう精一杯頑張ります!」


 こうしてベンバートン家の使用人としての俺の人生は始まった。

 

  

 

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