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辺境貴族の不正?

不正?


「あれは……マーガレット様?」


 五人の男女が裏庭にマーガレット様を連れて入るのを確認した俺は、最悪の事態に備え行動に移した。

 (今いるのは三階……だったら一番近いのは化学室!)


 化学室の扉を開け、実験をしている上級生を無視して、静かに窓を開けマーガレット様の様子を覗いた。


 「早く教えなさいよマーガレット!」


 (確かあれは同学年の……マーガレット様と揉めているのか?)

 

 俺は三階の窓から飛び降りられるよう自身の体に強化魔法を重ねがけした。

「……何度も言ってるけど、普通に勉強しただけよ。」


「嘘よ!一年の時からアンタの採点結果はよくても中の中。突然満点なんて……なるほどね分かったわ。アンタ採点官に色目使ったんでしょ。」

 

 (……!)


 言われもない言葉に拳に力がこもる。

「もしそうならロルフ様にお手付きにされたから、許嫁になったって噂も本当かもしれないわね!」


 三人の令嬢が声を出して笑い、それを黙って見ている執事に、俺は怒りを抑えられなかった。


 俺が怒りのまま窓枠に手をかけ飛び降りようすると、それに気づき止めようとしたのか、マーガレット様の大きな笑い声が三階の化学室まで響いた。


 「……何よ急に」


「ごめんなさい…フフ…あなたたちがおかしくって……フフフ」


「……バカにしてんの?」


「だって、本当に勉強をしただけなのに、あなた達は不正の仕方を探ってるんでしょ?そんな暇があったら勉強をする努力すればいいのに、本当に笑える!」


「……痛い目に合わないと分からないみたいね。」


 一人の令嬢が執事に命令を下すのを見て、俺は急いで窓を飛び降りた。

 (ダメだ……間に合わない!)


「な……!」


 執事の拳はマーガレット様に触れることなく弾かれた。

「マーガレット様!」


 俺は遅れてマーガレット様の前に着地した。

「……何故来たのかしら。私の防御魔法が破られないことは分かっていたでしょう?」


「それでもです!万が一が会ってからでは遅いのですよ!」


「……たまに思っていたけれど、アナタって母親みたいな怒り方をすることあるわよね。」


「話をそらさないでください!」


 突然上空から現れ、マーガレット様と話す俺を見て、困惑でもしたのか、令嬢と執事たちは立ち尽くしていた。


 「申し訳ありません。入学して間もないもので、お名前を存じ上げないのですが……一つだけ警告をさせていただきます。」


 俺は令嬢の前に立ち塞がる執事を軽く押しのけて令嬢へと詰め寄った。

「今回は幸いマーガレット様に怪我ガなかった、その上余程面白かったのかマーガレット様の機嫌がいいですが。もしもこの事がクレイグ様の耳に入れば……」


「なによ……脅しのつもり?」


「脅し?いえいえ、滅相もない!ただ、喧嘩を売る相手は選ばないと痛い目にあうという話です。国境沿いを守っている辺境伯なんかは特にお気をつけください。」


「ふん、田舎貴族が何よ!あんたが私を脅したってお父様に言いつけてやるんだから!」


「あまり言いたくはないのですが……」


「そんなのいいから早く食堂に行くわよ。」


「そうですね……失礼します。 マーガレット様、本日の昼食のリクエストはありますか?」


「そうね……今日は……」


俺とマーガレット様は何事もなかったかのように、食堂へと向かった。

 

  

 


 

辺境貴族(辺境伯)って字面だけ見ると悪く見えるけど、他国の侵攻とか移民とかを最初に対応するから信用されている人にしか任せられないのよね。(だから伯爵でも侯爵並の権力があったとも)


物語ではイジメられたりすることがある辺境貴族だけど、あまりに怖いもの知らずすぎる!

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