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【試練】



「それで?二人で何の話をしていたの?」


 マーガレット様は【本の虫】を片手に持ち俺を正座させた。

 (ごめんねマーガレットちゃん、男の子に名前を呼んでもらえたのが嬉しくて、少し調子に乗っちゃった!)


「オリヴィアと随分と仲良くなったみたいね。ケニーあなたにも聞きたいのだけれど二人で何の話をしていたのかしら。」


「……マーガレット様が抱えているトラブルの真相をオリヴィア様から教えていただこうとしていました。」


「……そう。私があなたに話していてない……つまり秘密を探っていたってことね。」


「……はい」


「呆れた……執事失格ね。」


 (マーガレットちゃん待って!それは私が!)

 

「けど、今回は許してあげる。あなたに勧められた【試練】を読んで少し考えが変わったわ。」


「……マーガレット様。失礼を承知でお聞きしてもよろしいでしょうか。」


「言ってみなさい」


「お嬢様は何故、ご自身の身の潔白を主張なさらなかったのですか?」


「……これ以降、この件について私の許可なく動かないと約束するのであれば教えてあげるわ。」


「約束します。」


「わかったわ、だったら話してあげる。もう知っているとは思うけど、私に罪を着せたのはイザベルとリタ。二人は特別仲がよかった訳ではないけど、よく行動を共にしていたわ。」


「まぁ、その二人が私に命令されたと話したみたいだけど実行したのは二人。当然学園からは追い出されたし、家に泥を塗ったわ。」


 「けどね、それはあくまで私に命令されたという不確定要素があるから。もし私が命令などしていないと話して真実がバレた時に彼女達がどうなるかなんて誰にも分からないわ。」


「つまり、マーガレット様はお二人のために黙っていると?」


「まぁ、そんなとこよ。それにロルフ様が婚約破棄を望まれたのなら私はそれに従うわ。」


「……………………」


 優しいマーガレット様が二人のために黙っていたという言葉を聞いて合点がいったが納得はできなかった。

「だから、私はこのまま大人しく学園生活を過ごすつもりだった。」


「……だった?」


「そう、だった。あなたに勧められた【試練】を読んでいて思ったの。物語の主役のヴィンス・ジェファーズやお父様のように私を笑った奴らを見返してやりたいって。」


 こんなにハキハキと話すマーガレット様は初めて見た……きっとこれが本来のマーガレット様なのだろう。


「だから力を貸しなさいケニー・ボーマン!手始めに、あなたと私で学園の頂点を取るわよ!」


 

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