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第3話 消えたハンカチと学園七不思議! 探偵部、怪談調査に挑む!?

その日の放課後、私は珍しく、まっすぐ帰るつもりだった。


宿題もあらかた片付けたし、部活も今日は静かだろうし——


 


「ゆっきゆき〜〜〜っ!!! 白い影が出たそうですのよ〜〜〜っ!!!」


 


バァァン!!


 


帰り支度を整えていた私の目の前で、

廊下のガラス扉が豪快に開かれた。


案の定、探偵部の暴れん坊、もといポンコツ部長こと鷺ノ宮真白である。


 


「影!? 出たって……なにが!? 影はいつも出てるよ!? 夕方だし!!」


「違いますの!! これはもう、実体を持った心霊存在ですわ!!」


「はああああああ!?!?」


 


手にはなぜかEMFセンサー(らしき謎の機械)と、

紅茶の入ったカップを両手で持ってる。


よくそれでドア開けられたなこの人。


 


「そ、それはどこから出た話なの……?」


「購買前ですの!! 一年C組の誰かが見たらしいですわ!!

 夜の購買前に、ふわっと白い布のようなものが漂っていたんですって……!」


「それ風で飛んだプリンのカップとかじゃないの!? ホラーでプリン出てくるの聞いたことないけども!!」


 


「つきましては、本日、探偵部による“学園七不思議”調査隊を発足いたしますの♡」


「いま初耳なんだけど!! というか勝手に何かの長に就かないで!!」


 


そこへ、テンションMAXな部員たちが続々と登場した。


「お化け……きた!? いよいよ私の出番だね!!」


現れたのは、筋肉で全てを解決することでおなじみの犬飼茜。

なぜか手には木刀(備品の模様)。


 


「風が……呼んでる」


こちらは、電波受信少女こと天城しおり。

すでに懐中電灯を頭に巻いていて、登山家みたいになっている。


私は悟った。


——今日も平穏は来ない。


「それではまず、調査対象をまとめますわ!」


部室のホワイトボードに「学園七不思議(仮)」と書きながら、真白が張り切っている。


「ちょっと待って、“仮”って何!? そもそもそんな七不思議って存在するの!?」


「伝統ある学園には伝統ある怪談がつきものですわ。ほら、こういうのですわよ?」


 

1.夜の廊下に浮かぶ白い影

2.鳴るはずのない旧校舎のチャイム

3.誰もいない音楽室から聞こえるピアノの音

4.図書室の奥にある“禁書棚”

5.生徒会長に告白すると成績が上がる

6.食堂のカレーには記憶を改ざんするスパイスが入っている

7.校内のどこかに、願いを叶えるプリンがある


 


「後半ふざけすぎでしょ!! カレーとプリンが混ざるな!!」


「ふふふ、これらを順に解明していくのが我ら探偵部の使命ですわ!!」


「ちょっと待って、正式依頼じゃないよね!? 誰も頼んでないよね!?」


 


「……でも、影の話は気になる」


しおりが、窓の外を見ながら言う。


「風が言ってた。“白いハンカチが泣いている”って」


「いやそれ絶対風じゃなくて自分の妄想だよね!? 怖いよしおり!!」


 


「なにはともあれ、調査開始だー!!」


茜が先陣を切って飛び出していく。


「誰よりもビビってそうなのにノリノリなのなんで!?」


 


こうして、またしても探偵部は、

学園の平穏を“無駄に”かき乱す任務へと向かっていったのだった。


その夜。校舎内。


探偵部の4人は、放課後の許可を(取ってないけど)取った体で、七不思議調査に繰り出していた。


 


「ふむふむ……この廊下ですね。白い影が目撃されたのは」


真白はゴーグル(2話ぶり2度目)と謎のメモ帳を手にし、完全に探偵モード。


 


「っていうかなんで暗くなるまで待ってるの!? 調査する気満々すぎない!?」


「当たり前ですわ! 怪談は日が落ちてからが本番ですもの!」


「それホラー映画の都合!!」


 


「こ、こわいけど、やるぞーっ!!」


茜はすでに腰が引けている。木刀はしっかり持っている。何用だそれ。


 


「……ここ、気圧がちょっと変」


しおりは、またしても電波発言をしながら、壁に手を当てていた。


「それただの気のせいだよね!? 風通しの問題だよね!? ね!?!?」


 


そのときだった。


——ヒュウゥゥ……


廊下の奥、カーテンがわずかに揺れて。


ふわり、と、何か白いものが通りすぎたように見えた。


 


「い、今の……っ!?」


「出ましたわね……! 白い影ですの!!」


「いやそれ風じゃない!? 空調じゃない!? とにかく冷静になろう!?」


 


茜が叫ぶ。


「追えーっ!! 走れーっ!!」


「廊下は走っちゃダメだって校則に書いてあるでしょおおおおお!!!」


 


私たちは騒ぎながら、白い影の見えた方向、旧校舎の裏手へと走っていった。



そして——。


「あった……!」


 


窓の下、古びたベンチの上に、一枚の白いハンカチがそっと置かれていた。


 


「……これか」


私はそっと拾い上げた。


白い刺繍のハンカチ。端の方に、控えめに名前が縫われている。


“Fuka”


 


「って、これ風香さんのじゃん!! 前の事件の依頼人!!!」


「ふむふむ……これはただの落とし物ではありませんわね」


「いや明らかに落とし物なんだけど!? これで怪談終了なんだけど!?」


 


だが真白は、諦めなかった。


「ハンカチ……それは古来より、悲しき恋の象徴。

 きっとこのハンカチは、風香さんの切ない想いがこもった、呪われた遺物なのですわ!!」


「なにその詩的すぎる解釈!? 恋文関係ないから今回は!!」


 


「……うん。これは、告白前の緊張が織り込まれてる」


「織り込まれてないよ!? 糸だけだよ!? しおり、落ち着いて!!」


 


そのとき、背後から声がした。


「あ……あの、それ……私のです……」


 


振り向くと、そこには風香さんが立っていた。

制服の上からカーディガンを羽織り、息を弾ませながら。


 


「やっぱり落としちゃってたんですのね!?」


「……はい、放課後、教室で鞄をひっくり返してしまって……

 拾ってくれた子が、たぶんこっそりここに置いたんだと思います……」


「じゃああの白い影って……」


「たぶんその子が制服のハンカチを持って走り去る姿……ですね……」


 


全員、無言になる。


 


「……つまり」


「七不思議その1、“白い影”の正体は——落とし物の返却途中」


「超・地味!!!!」


部室に戻った私たちは、ホワイトボードにでかでかと書いた

「学園七不思議(仮)」のうちのひとつを——


**『白い影』→“ただの返却者”**と線で結び、消した。


 


「……なんか……ちゃんと調査してるのに、

 全部がギャグにしかならないのはなぜ!?」


「それは……我々が探偵だからですわ!!」


「いやその答えは雑すぎるよ真白!!!」


 


「でも、なんか楽しかったね!」


茜が笑う。


「お化けは出なかったけど、ハンカチが出たからOK!!」


「どういう基準!?」


 


しおりは、まだハンカチを見つめながら、


「……優しい風だったね」


と小さく呟いていた。

……風、しゃべったのかな……たぶん、しゃべってないと思うけど。


 


「というわけで、次の怪談、いってみましょうか!」


真白がばばーんとボードに書く。


『学食カレーに記憶改ざんスパイス!?』


 


「それ怪談じゃなくてただのスパイスの効能じゃない!? 胃に優しい系のやつじゃない!?」


「“ごきげんビーフカレー”の秘密……暴いてみせますわよ……!」


 


探偵部の“怪談調査”は、今日もまたズレた方向へ突き進んでいく。


けどまあ、少しくらいなら。


怖くない怪談も、悪くない。


面白いな、気になるな、と思っていただけたら、

 ブックマーク、評価していただいたら嬉しいです!


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