episode2 依頼
「俺はメルウス・ユーネリアです。
オッサ…カルオさんの言う。メリウス・ユーネリアは俺の双子の弟です。」
オッサンと言いかけたのをなんとか飲み込み、事実を伝えるとオッサン…カルオさんは俺の両手をぎゅっと握り、縋るような視線を向けてきた。
正直気色が悪くて、突き飛ばしたくなったが、魔術での戦闘になってしまったら勝てないのは目にみえている。
仕方がなくこらえた。
「メリウスの双子の兄なのだね!?だったら、メルウス、君もさぞや素晴らしいんだろう?
どうだい?メリウスの変わりに依頼を引き受けてくれないか!?」
はい…?
ちょっと待ってくれよ、オッサン。
俺はメリウスと違って、落ちこぼれなんですけど……。
「無r……」
断ろうとした瞬間、足元に突き刺さった大きな剣。
否、足元ではなかった、靴のつま先に見事に突き刺さっている。
ぎりぎり、足には刺さっていないが…。
「引き受けてくれないか。」
ついに疑問符がとれた…
チキンな俺はにこやかな笑顔で「喜んでやらせていただきます。」と言ってしまうのでした。
「そうか、やってくれるのか!!」
そういった、オッサンのニタリとした笑みが忘れられない…
どんな依頼を受けるのかと思うと、背筋がゾッとした。
オッサンに依頼についての説明を受けて、数十分。
簡単にまとめると、魔物の討伐ということだった。
途中何度も、無理だといったが、そのたびに剣を振り上げられた。
最低限の装備は貸してくれるらしい。
それで少しは安心したが、勝てる気はまったくしない。
とてつもなく、行きたくなかったが、オッサンにmoveの応用で、相手だけを移動させる魔術をかけられ、小さな荷物と共に、俺は魔物がいる森へととばされた。
昼であるはずなのに、生い茂った草木に囲まれ、薄暗い不気味な森。
ここで俺の人生は終わるのか…。
絶望しきった気持ちで、荷物のはいっているリュックを開けてみる。
はいっていたのは、一枚の紙。
「………」
メルウスは黙り込んだ。
メルウスの気持ちに合わせるように、風が止み、草木のざわざわとした音が消える。
メルウスはゆっくりと目を閉じ、すぅっと息を吸い込む。
「なんでこんな紙切れ一枚をリュックにいれてんだよ、クソジジィィィィ!!!」
メルウスの大声に驚いたカラスが木からバサバサと飛び去っていく。
それっきり、森にはメルウスのハァハァとした息遣いだけが聞こえていた。