180杯目 暗い空に鮮血が咲き乱れる
「もう空を見るのやめようかな…」
「はい…これ以上空を見るのって辛いですよね…」
「…確かに…またみんなで空が見れたらなぁ…」
「そうですよね…」
教室の明かりは電気が壊れているせいで点かない。蝋燭の明かりや雪が家から持ってきたライトなどで凌いでいるが、これがいつ終わるかもわからない。だから空が見れたらどれほど嬉しいのだろうか…
「おはよう。さくらも空を見てたんだ。」
「…はい。でも今日も真っ暗です。」
「やっぱりそうだよね…どうして飛翔は空なんて見ているんだろうね…」
「…私、飛翔さんに聞いてきます!」
「あ、飛翔。ちょっとさくらが聞きたいことあるって。」
「どうしたの?」
「…どうしていつも空見てるのかなって…気になったんです。」
「あぁ、そういうことね…僕は転生前から起きたらいつも空を見て、それから準備してたんだ。だから空を見るのがくせになってね。」
「なるほど…習慣になっていたんですね…」
「本当はわかっているよ。空なんて見る意味がないこと…でも…もしかしたら見えるかもと思う希望があるとやめられないよね…」
「いきなりやめるなんてできないですからね…」
「…今日も空は暗かった。あと食糧は今日も来なかった。」
「…ちょっと待って!?食糧がないって…」
「普段ならこの時間に食糧載せた車が通ってなかったかい?」
「やっぱりそうでしたか…ここ数日どうしようか迷ってたんですよ…」
「京子…私どうしたらいいの…?」
「真音さん、私ので良ければ血を吸ってください。」
「いや、それはできないわ…友だちの血を吸うなんて…無理…」
「そうですよね…」
日に日に環境は深刻になっていく。この場所から電気も食糧も無くなる中、この中から1人消えていった。
「そういえば結花はどこにいるの?」
「結花さんですか…?確か私と食糧を…」
「京子、廊下に結花がいた。」
「ありがとうございます!」
「…待って!」
見つかったと言って駆け出した先にあったのは…彼女が血塗れで倒れた姿だった。
「…そんな…そんなのありかよ…」
「もう…悠長に構えてられないね。これは…戦争だわ。」
「私たちも戦わないといけなくなった。本当は…本当は誰1人欠けて欲しくなかった!」
「…これは僕たちのせいじゃない。ただこの場所の風向きが変わっただけだ。」
「やるしかないんですね。」
「飛翔…さん…」
「結花!?どうしたの!?」
「…わたくしの分まで…お願い…」
「…う…うぅ…」
「ひーくん、泣いてる場合じゃないよ。きっと大丈夫だから…」
「…雪、飛翔を私との二人にしてくれないか?みんな、玄関で迎撃だ!」
「わかったわ。」
「さぁ、飛翔…辛いよな…」
戦禍はとうとう大学の中まで広がってしまった。この戦争の行方はいったいどうなるのか!?