176杯目 僕たちのユートピア
「ただいま!」
「おかえりなさい!」
「まさか魔王が崩御してシェアハウスも運営が変わるなんてね…」
「…私たち…ここはどこでしょうか…」
「みんな…家が…」
説明しよう!あらすじの通り魔王が崩御した!その後の三日戦争によって家を失った!そして、飛翔たちは大学の中で暮らしている!
「ゾンビがいないのはいいことだけどね。」
「飛翔、私が来たぞ。」
「初音様!」
「結花、君は呼び捨てでいいだろ。」
「なんか…嬉しくて…」
「わかります…みんながいるのがうれしいです…」
「京子、泣かないの。」
「はい…」
「それにしても…大学暮らしも悪くないねぇ…」
「そう?ベッドがないから腰が痛いわ…」
「真音は腰痛持ちだからね…」
「ちょっと!?」
「私の上で寝ますか?」
「京子!?…なんか堅そうだから嫌だ」
「真音さん!?」
「…疲れましたよね?お茶入れてきます。」
「ありがとう!」
ここは世紀末になってしまったからか、大学が住居となってしまった。ディストピアのように見えるが、ある意味ではユートピアなのかもしれない。
「お茶入りましたよ。」
「ありがとね。」
「食料品はまともに入るのか…」
「私たちのような建物に住んでいるものだけよ。みんな食べるものがないから戦争してるの。」
「私は戦争したくない…」
「わたくしも…したくないですわ!」
「戦争をしたくない気持ちは痛いほどわかるの。でも…いずれ私たちも…」
「僕は嫌だな。」
「そうね。」
「…暇だな。」
「なら…料理でも作るか。」
「そうだな。」
「私は料理が苦手だから食べる専門で!」
「初音、一緒に料理しましょう。」
「はい…」
「いろいろな食材があるのが嬉しいです…」
「久々だから腕が鳴るわね!」
こうして料理を始めることにした。調味料も食材もある、機材もある、技術もある…ただ、のんきに料理できる環境ではなかった…
「できたよ!」
「まず私たちね。」
「なるほど…チャーハンか…」
「具材は私たちが決めたわ。私が卵を選んで」
「私はねぎを。」
「え…あ、でも、私が味付けをして…」
「そして私が食べる。」
「初音さん!?」
「お主が選んだねぎ、うまいぞ。」
「それは良かったです…」
「私の卵は!?」
「ふわふわで善き…味付けも良い…あとスープも。」
「スープは…僕ですね。」
「いいぞ、これ。」
「私達も食べるわよ!」
「はい…あ、美味しい!」
「これ、美味しいよ!」
「チャーハンもスープも美味しい…涙が出ちゃうぐらい…」
「これ…星3つだな。」
「また星3つ…どれもそうじゃない。」
「へへっ!最近ハマってるんだ~」
「そうだね。」
暗い暗い闇の中、美味しい匂いがそこにあふれているという。幸せはもうすぐここに…