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190杯目 話せなくても伝わるものがある


「見て、あそこ。」

「夢川奏…歌姫の歌って回復効果があるのかな…」

「そう、でもあの子は死ぬわ。」

「どうして死ぬの?」

「あの子の歌は…自分を犠牲にしているの。」


夢川奏、彼女は世紀の歌姫だ。彼女の歌は誰かを蘇生することができる。ただ、その代償として歌うごとに寿命が減り、それが尽きれば…意思の疎通ができなくなるというものだった。しかし、その運命を背負いながらも一生懸命僕らを回復し続ける彼女を目にすれば、自然と活力が湧いてきた。


「黒崎さん、そういうことは卑怯ですよ。」

「勝つためには仕方ないじゃん。天使がいたら負けでしょ?」

「天使がいたら負け?」

「なにを言っているの?」

「俺が最強なんだからそんな劣等種なんていらない。」

「天使を劣等種呼ばわり…だと…」

「サーシャちゃん!…怖いよ…」

「俊一、サーシャを信じよう。」

「飛翔さん、ありがとうございます。」

「…どうした?寝返って俺のところに来るのか?」

「…!」

「いったいなぁ。なんだよ!」

「なにが劣等種ですか。天使が劣等種って言うなら、お前はその劣等種にもなれないゴミなんだよ!」

「は…はぁ?」

「飛翔さんがどれだけ悲しかったか、どれだけ辛かったか…お前にはそれが分かるのかよ!」

「…そうだよ…その通りだよ。飛翔がどれだけ悲しかったかわからないの?」

「きっと飛翔さんなら殺しはしないでしょう。でも私は…私たちはあなたを殺す!」

「…もうわかったでしょ?足りないものの答えが。」

「そんなの知らない。実力とかじゃないの?」

「…はずれ。」

「飛翔にあるのは人望よ。」

「私たちは互いを信じて互いを守る。あんたがやっているのはただの人形遊びよ。」

「どうして!」

「わたくしたちは自分の意志があるんだよ!…人形たち、目を覚まして!」

「…あれ?これなんですか?…もしかして私なにかやっちゃいましたか!?」

「…おかえりなさい。さくら、すいせい。」

「今ノエルは倒れているわ…あとで謝りに行きなさい。」

「…ごめんなさい、ありがとう。」

「さて…飛翔、みんな、私がこの人を…殺してあげます。」

「どういうことだ…っ!」

「あぁ。わざと外したんですよ…少しずつ苦しめながら殺すために…ふふふ、悪いのはどちらでしょう?」

「まぁ、それにしてもサーシャが洗脳されていた人たちの目を覚ましてくれた。ありがとうな。」

「…私たちはどうすれば…」

「…ハッピーエンドまであと少しだから、一緒に見る準備をしてほしい。」


裏切りというのは、友の裏切りで、仲間の裏切りだった。三日戦争から始まったこの戦争は、儚くも綺麗な歌声と共に終わるのだろう。そしてきっと…裏切りによって汚れてしまったこの世界も元に戻るのだろう…

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