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隣国王を本気にさせる方法~誘拐未遂4回目の王女は、他国執着王子から逃げ切ります~  作者: 猪本夜
第三章 執着の行方

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36 賭け1

 オスカーがエスコートをしようと手を差し出したため、レティツィアはそっとオスカーの手に触れる。マリーナがレティツィアを気にするように見ていたが、第二王子から助けてくれたオスカーを一先ずは信用することにしたのか、レティツィアに先導して歩き出した。


 パーティー客たちの視線がオスカーと並んで歩くレティツィアに集まっている。それはそうだ、普段、第二王子を気にして、レティツィアは兄などの限られた人物にしかエスコートなどされないからだ。


 アルノルドを見つけたマリーナがアルノルドに近づく。客と話をしていたアルノルドは、マリーナの後ろにいたレティツィアとオスカーを見て、レティツィアに分かる程度に微々に表情を変えたが、すぐにいつもの冷静な顔でマリーナの手を握った。そして、レティツィアとオスカーに目を向ける。


「これは、アシュワールド王、お目に掛かれて光栄です」

「ヴォロネルの王太子、招待に感謝します。挨拶が遅れてしまいましたね。しかし、レティツィア王女を先に初めてお見掛けして、早く彼女の視界に入りたいと急いてしまいました。王太子は大変美しい妹をお持ちだ」


 みながレティツィアたちに注目しているからこそ、オスカーはまるでレティツィアと初対面かのような口ぶりである。お見合いは極秘だったため、オスカーのこの対応は正しいが、観客に向ける演技だと分かっていても、オスカーのレティツィアを熱心に見つめる目に恥ずかしさが募る。


「……ありがとうございます」


 そう言ってオスカーからレティツィアに視線を動かしたアルノルドを、レティツィアはじっと見つめた。アルノルドはその視線に何かを感じたのだろう、ちらっとマリーナを見て、再びオスカーに視線を戻した。


「マリーナとレティツィアは少し疲れているようだ。下がって休憩するといい。俺も俺の婚約者と一度下がろうと思いますが、アシュワールド王もご一緒にいかがですか」

「ええ、そうしましょう」


 注目を浴びる中、レティツィアたち四人は表向きにこやかにホールを退出する。宮殿の二階から階段を上り、本日は王族のみ立ち入りを許している四階へ移動した。個室に入室したレティツィアたちは、部屋に入った途端、アルノルドがレティツィアを見た。


「何があった?」

「第二王子と一緒にいた方がマリーナ様にナイフを向けました。第二王子はわたくしと話がしたいと。そして第二王子と二人で話をしていたところ、オスカー様が助けに入ってくださいました」

「わたくしのことも、アシュワールド王の付き人の方が助けてくださいました」

「二人とも、怪我は?」

「「ありません」」


 レティツィアとマリーナの言葉にアルノルドはほっとした顔をして、オスカーに顔を向けた。


「妹と婚約者を助けていただき、感謝します」

「当然のことをしたまでです。それに、俺はレティツィアのためなら、何でもしますよ」


 若干眉を寄せたアルノルド。オスカーの言葉に少し高揚した顔でオスカーとレティツィアを見比べているマリーナに、アルノルドは顔を向けた。マリーナもレティツィアとオスカーがお見合いをしているなど知らないので、「あら? 恋が始まるのかしら!?」と言いたげな好奇心の表情である。


「パーティーも終わりかけだ。マリーナ、悪いが陛下たちと弟たちを呼んできて欲しい。あと、君も今日は帰りなさい。怖い目にあった後で悪いが、今日は送れそうにない。代わりに、護衛を付ける。くれぐれも気を付けて帰るように」

「承知しました」


 王太子の婚約者の立場は心得ています、というようにマリーナは頷き、礼をして部屋を出ていく。


 それから、アルノルドがオスカーに椅子を勧めて、レティツィアはアルノルドの隣に移動しようとすると、オスカーがレティツィアの手を取った。


「レティツィアは俺の隣に」


 笑みを浮かべるオスカーにレティツィアは戸惑いつつも、オスカーの隣に座りたい気持ちはある。オスカーに頷いて、オスカーと共に二人用のソファーに座った。それをアルベルトが眉を寄せて見ていたが、何も言わずに一人用のソファーに座る。


「改めて、レティツィアを助けていただき、ありがとうございました。このことは、どうか内密に願えますか?」

「ええ。第二王子の騒ぎを見ていたものはいません。レティツィアの不名誉な噂が立つことはないでしょう」

「助かります」


 その時、次々と両親と兄たちが部屋に入室してきた。第二王子が起こした出来事、オスカーが助けてくれたことをレティツィアは再度説明する。アルノルドのように、両親と他の兄たちも、オスカーに礼を言う。


 そして、アルノルドが口を開いた。


「アシュワールド王、今回のことは、今度改めてお礼をさせてください」


 これから家族間で話し合いたいのだろう、暗に「お引き取りを」と言っているのだが、オスカーが穏やかに口を開いた。


「お礼は結構です。そのかわり、今後の対応を話し合われるのでしょう、俺も話を聞かせて欲しい。第二王子が気になるセリフを吐いていたので。レティツィア、あの男が去り際に『説得を忘れるな』と言っていたでしょう。何のことか分かりますか?」


 全員の目がレティツィアに向き、息がつまる。ここで言いたくない気持ちはあるが、第二王子が数日後には再度求婚すると言っているので時間がない。


「……プーマ王国のディーノ様と結婚したいです」

「レティ、この前、あの男にレティはやらないと話をしただろう」

「……あの時とは状況が変わりました。わたくし自ら第二王子と結婚したいと、みなを説得しろと。数日中には、再度求婚状を送るそうです。それには承諾してください」

「あいつ! 今度はレティに何と言って脅したんだ!?」


 三兄シルヴィオの怒りの声が部屋に響く。


「先日、プーマ王国に帰国した時に騎士団を作ったそうです。……第二王子の命令で武力を行使すると。今度の求婚を断れば、戦争になるかもしれません」

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