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24

「捕まえたぞ!」

 父さんがいきなり調理場に来てそう言った。

 皆、何を?という顔だ。

 私も同じだ。


「盗賊を捕まえたぞ」

「「「おおお!!」」」

 私の案を採用した父さんは、ギルドへ行って現役の冒険者パーティを1組を2か月の予定で雇った。

 そしてその分の経費は料理の値段に上乗せすると同時に、複数の荷馬車で隊列を組んで、同時にたくさんの食材を運び込む様にして人件費の軽減を図ったのだ。


 そんな所へ例の盗賊たちが襲って来たらしい。

「大公様の政敵であるヨリモンド侯爵家の手の者だったらしい」

「「え?」」

 大公様に敵対する人もいるんだなぁ。

 あれだけ権力がある人に、どうして盾突くのかな?

 だって王位継承権を持ってる人で、もし今の王様やその長男に何かあったら王様になるかもしれない人なんだよ?


 大公様には今まで育てて来た各界のトップ人材が集まっているんだよ?

 例の魔力の流れを掴むスキルで今まで何人の平民や貧乏貴族の子弟を援助してきてると思ってるの?

 もしかして、そういう力が怖いとか?

 確かに国の根幹である鉄鋼業や医学のトップはそういう大公様の援助を受けて来た人たちがトップに座っているし、煙たいと思っている人はいるだろうけど・・・・。


「ほう。ヨリモンド侯爵家がな」と、事の顛末を伝えられた大公様は一言おっしゃったらしい。

 でも、その後、特にヨリモンド侯爵家がどうかなったって言う噂は聞かないから、お咎めなしだったのかな?



 そうこうしている内に、ウチの近くにフローリストパークなるものが建てられた。

 これもヨリモンド侯爵家の息が掛かっているらしい。

 ウチと同じく庭園を売りにしているレストランだ。

 ウチの倍の敷地の庭園と馬車の駐車場が売りらしいけど、温室は無し、料理は今までの普通の料理で目新しい物はなかったらしい。

 これでどうやってウチに対抗するつもりなんだろう・・・・?

 ウチの皆が頭をひねっていた。



「ギジェルモ、今日、俺、あそこの店長に声を掛けられたぞ」

「え?あそこって?」

「フローリストパークだよ」と、頭を掻きながらスティーブ伯父さんが答えた。

「へぇ?で?」

「今の倍の給料を出すからウチへ来いだと」

「兄さんが俺の兄弟って知らなかったんだろうか?」

「いや、しっかり調べてたみたいだぞ」

「ん?それなのに兄さんに声を掛けて来たの?」

「うん。給料が倍になってゆくゆくはあそこの店長にしてくれるんだと。兄なのに弟に使われるのも業腹でしょう?だって」

「へぇ~。で、兄さんはあっちへ行くの?」

「行くわけないだろう?技術だけ抜き取られた後は路頭に迷う事になるのが今から見えるぜ」

「しかも、ウチの調理技術はアウレリアのスキルが前提の調理器具がないと作れないものばかりだぞ。兄さんを引き抜いたところで同じ料理は作れないぞ」

「そこまでは調べがついていなかったんでは?」

「そうか・・・・」


 そんな事をスティーブ伯父さんと父さんとで話していたのが2日前のこと。

 今日は、トム伯父さんが同じ様な勧誘にあったらしい。

 伯父さんたちは誰もあっちへ鞍替えする気はないらしい。

 だって、いずれ店長になんて言われても、口約束なんて守ってもらえるかどうか分からないし、親族で一緒に働く方が他人と働くより信頼できるからね。


「とにかく、食材をパぁにされる事がなくなったので、それだけでもありがたいな」

 スティーブ伯父さんの言う通りで、例の雇われ盗賊を一網打尽にしてからは襲撃はない。

「でも、塩釜焼きっぽい物をあっちでも作り始めたそうだぞ」

「塩釜焼きだけだと、ウチのラインナップに太刀打ちできないんじゃないか?」

 あの店のせいで、兄弟3人でああでもないこうでもないと話し合っている事が多くなった。


 ウチの店はまだ予約なしでは入店が難しいので、料理は平凡でも綺麗な庭園を売りにした似た様な店に行く貴族や商人も増えているらしい。

 何より駐車場があるのが向こうのセールスポイントになっているらしい。

 ウチは夜は貸し切りだけだけど、あっちは普通に営業してるしね。


「おい、あっちもカクテルを出しはじめたそうだぞ」

「ウチのと同じカクテル?」

「いや、全然違うものだけど、それなりに人気らしい」

「そうか・・・・」

 兄弟3人での相談はこうやって延々と続いている。


 でもね、ウチで捌ききれないお客を取られたからって目くじら立てる必要はないよ。

 その内、ヨリモンド侯爵家とは別の商人や貴族も庭園レストランを真似るかも知れないんだから、ウチはウチの売りを守って行けばいいと思うよ。


 そんな事を思っていたら、王都にはウチを入れて全部で4軒の庭園付きレストランが出来てしまった。

 しかし、ウチは料理で頭一つも二つも抜けているので、そういったレストランの中でも老舗でランクも数段上くらいの扱いに落ち着いてる。

 これって、実際にはウチのレストランの地固めになったんじゃない?

 オルダル国の庭園付きレストランの最高峰はフローリストガーデン 光って。 

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― 新着の感想 ―
競合が起きて、こちらが負けないというのは、実は旨みしかないかもw
賢明な伯父上で良かった。
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