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教会を出る前からヤキモキしていた母さんが、館の中には入らずに納屋まで私の手を引いて足早に移動する。
「ここで待っててね」と一言いいおいて、庭で作業している父さんを呼んで来た。
「アウレリア、ここでならスキルボードを見せてくれるでしょ?」と父さんの前でスキルボードを開示する様に促して来た。
「うん。スキルボード開示!」とスキルボード呼び出すと、そこにはこんな記述があった。
メインスキル 料理魔法
サブスキル 食材鑑定
調理ストレージ
調理具製作
食材育成
母さんが文字通り飛び上がった。
「サブスキルが4つも?でも大聖堂では料理魔法の事しか宣言されなかったけど?」
「母さん、多分だけど、大聖堂の箱はメインスキルしか表示できないのかもしれないよ。でも大聖堂のスキルボードにもちゃんとメインスキルって出てたから、司祭様が気づいてたらもっと深い鑑定をされてたかも・・・・」
「私は初めてサブスキル持ちに出会ったよ。それが我が子とは!!」と父さんも酷く驚いている。
「難しい文字が多くて、よく分からないけど、全部メインスキルと関係しているのかしら?」と文字を読むのが苦手な母さんはサブスキルが4つある事は分かっても、詳細は分からない様だ。
「おお!ストレージだって?」
父さんはオルランドさんの授業を受けているので難しい文字でなければ読めるのだ。
「アウレリア、一つ一つのスキルの説明をしてくれるかい?」
「はい。まず『食材鑑定』。態々食材ってあるから、食材しか鑑定できないのかも?」と私は近くにあった藁、冬に木の幹に巻き付ける蓑を作るための藁を一本摘まんで「鑑定!」と言ってみた。
「こも巻き用の藁
食用ではない。調理に活用する方法としては①点火材②食材を包み菌を植え付けて発酵食品を作る③食材を包んで焼く④編んで食材等の入れ物⑤パン生地等に押し付け模様を作る等。こも巻き用として納屋の床に置かれていたため、不衛生であり、調理に使う事はお薦めしない」と出た。
私は、鑑定の結果をそのまま読み上げ、次に料理と全然関係のない物を求めて、納屋の壁のフックに吊り下げられていた如雨露を手に持ち、「鑑定!」と言ってみた。
「如雨露
植物に散水するための道具。食用ではない。但し、食材として使える野菜や果物などを育てる際、役に立つ」と出た。これも両親のために読み上げた。
何、これ?食材はもちろんのこと、食べられるかどうか、食べられないなら調理具として使えるかどうかって出るのね。食べられない物もちゃんと鑑定してそれが何かを教えてもらえるのなら、普通の鑑定より上位なのでは?
だって、普通の鑑定にプラスして料理関係の事まで追記してくれてるって感じだ。これってすごいんじゃあないの?
滅茶苦茶使い勝手の良いスキルじゃないの。
母さんが頭を傾げながら「ストレージっていうのはどんなスキルなの?」と聞いて来た。