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いつも拙作をお読み頂き、誠にありがとうございます。
コメント、誤字報告、ブックマークもたくさん頂いており、心から感謝しております。
コメントや誤字報告はちょっとずつ拝見しております。時間が掛かってもちゃんと全部読むつもりです。
多くのコメントにキャラクターたちの年齢についてのご意見を頂いております。
実は私の好きな小説の分野の一つが歴史でございまして、結婚年齢については日本の戦国時代を参考に設定したので、多くの方がこんな年齢でと違和感を抱いていらっしゃるようです。そのかわり寿命もとても短かったらしいので本作でもちょっとだけ戦国時代より長めにはしておりますが50歳くらいとしております。
申し訳ございません。多くの方にストレスなく読んで頂けるように設定を変更しようにも、お話がここまで進んでしまっていては訂正も難しいです。
今回の本文中に主人公たちの年齢が記載されており、婚約したり結婚したりするには早い年齢と思われる方もいらっしゃると思います。
もし、どうしても違和感を感じられる方は申し訳ございませんが、読む時に好きな年齢に置き換えてお読み頂けたら幸いです。
引き続き拙作をどうぞよろしくお願い申し上げます。
ローマちゃんの研修先はあれから決まらないまま学園の卒園を迎えてしまった。
私としてはどこかで研修を受けてもらって、最終的には本人が望む所へ就職して欲しかった。
自分では研修を打ち切っておいて、そういういい子ぶる様な考え方他人がしていたら、「けっ!」って言っちゃいそうだけれど、願ちゃうものは仕方がない。エイファの友達だったからね。
結局、研修が終わってみると、エイファとローマちゃんの仲はもどらなかったけれど、エイファはエイファでグランドキッチンでの研修を無事終え、ウチのホテル王都店のキッチンに入社し、見習いとして頑張っている。
学生時代の友達とも結構な頻度で会っているみたいだけれど、その輪の中にローマちゃんはいないらしい。
もともと平民クラスには女子は少ないはずだけれど、エイファの学年は当り年らしく、全員で5名の平民女子学生が同じクラスに。ってか、各学年の平民クラスは1クラスしかないからねぇ。たまぁにローマちゃんなしで4人だけの同窓会みたいなのもやってるらしく、彼女たちと会う時は楽しみにしている様で、母さんによるとお洒落な服を着て、美味しい物を食べて、友達たちと近況について話すって喜んでいるらしい。今まで貯めていたお小遣いと研修や見習いになってからの給料でちょっとづつお気に入りの服を買っているらしい。周りの皆もお洒落とかに気が向く年頃だから、エイファも気になり始めたんだね。
エイファは立ち直り始めているのに、今現在、ローマちゃんがどこに居るのか、何をしているのか誰も知らない。
どこかで彼女のやりたい事が出来ているのなら良いんだけれど・・・・。
セシリオ様の事業は面白いくらいに儲かっているみたい。
社交界の淑女たちがこぞってセシリオ様の店のドレスを買い漁っているらしい。
デザイナーも一人増やして、ブランド名を2本にし、社内で競わせる様に次々と新作を打ち出しているのだが、片方はクラッシックなテイストで、もう一つは未来的なデザインと、棲み分けがちゃんと出来ている所もセシリオ様らしいよね。
そんなこんなで今夜はいつもの元あややクラブの定例集会だ。今年がそろそろその幕を閉じようとしている時期なのに、みんなが集まってくれた。
もちろん、王都に住んでいるメンバーだけで場所はウチのバーコーナーでだけどね。
「リア、何を飲む?」
「う~ん、いつものかなぁ」
「わかった」とユーリがスパークリングワインとその場で絞ってくれたオレンジジュースを混ぜたミモザを用意してくれている。
一応ね、妊活中だからね、アルコール度のひっくいのにしてるんだよ~。
なら、飲むなとか言わないでね。
みんなも思い思いのカクテルやお酒をユーリに申告して、ソファーに座る。
もちろんおつまみは既にスタンバイ済み。
みんなが来る前に作っちゃったものね。
今日は7種類のチーズと6種類のハム、プレーンクラッカーとチーズクラッカー。ディップは3種類。そして、目にも鮮やかなシーザーサラダ。
これならどんなお酒にも合うからね。
私のお薦めは七面鳥のブレストハムの中に緑色のオリーブと赤パプリカの欠片がいっぱい入ってる奴。
何なんだろうねぇ。オリーブだけをおつまみにするなら、実は黒オリーブの方が好きなんだけれど、ハムと食べる時は緑のオリーブの方が合う気がする。まぁ、単純に好みなんだろうねぇ。
さぁ、お気に入りのハムを食べようとフォークを伸ばすと、「実は、アドリエンヌの近況がウチのデザイナー経由で入って来た」とセシリオ様が真面目な顔つきでウィスキーのロックを持ったまま爆弾を落とした。
「ん?デザイナー経由って?」とフェリーペが不思議そうな顔をした。
だって私たちと違ってセシリオ様は生粋の貴族だ。
社交界での噂話も派閥の貴族からの極秘の情報も入手できる立場にある。
なのに何故それらの情報源ではなく、自社のデザイナーを通して入手した情報なの?と私も思った。
「アディ、覚えてるかい?サボーイ伯爵の所に嫁いだマリネ―を」
「ああ」
「マリネ―からの情報なんだ。彼女は俺たちと同じ学年で、アドリエンヌがあややクラブに所属していたから、あなたの雇い主は彼女と仲が良いから知りたいでしょうって耳打ちされたそうだ」
途中からセシリオ様はユーリじゃなくて貴族の事を良くしらない平民グループへ説明してくれたみたい。
「セシリオ様、焦らさず教えてくれよぉ」とフェリーペの好奇心はマックスになっているようだ。
「あまり楽しい話じゃない。アドリエンヌの輿入れの話だ」
ユーリと私は途端に安心した表情になった。
だって、ユーリと婚約破棄になった後、ユーリの従弟とも婚約破棄になり、15歳は平民女性ならまだ適齢期の最中だけれど、貴族の女性としてはこの年齢で婚約者がいないと言うのは特殊なのだ。
折角輿入れ先が決まったのに楽しい話じゃない?
相手がダメンズなの?
「アドリエンヌの年の離れた妹が王太子の正室にって話が出ている」
「え?なら良い話では?」
つい口から出てしまった。
でも、セシリオ様は顔を横に振った。
「アドリエンヌの父親はその話を成立させるために、アドリエンヌを人身御供にしたんだ」
「「「「えっ!?」」」」
「現王の側室にする事で、無理やり妹を王太子の正室にねじ込んだらしい」
「「「「っ・・・・」」」」
側室って、正妻じゃないの?
それに年だって離れているのに・・・・。
「セシリオ、それって決定なのか?」
「ああ、マリネ―が意地悪な顔して嬉しそうに教えてくれたらしいよ。私は顧客の客間までは行っても、貴族女性の部屋へは入らない事にしているから、聞いたのはウチのデザイナーとお針子たちだけだ」
「アドリエンヌの父親はバカなのか?」
「本当になぁ」
「まだ王権を確固たるものに出来ていない王とその息子に二人しかいない娘をそれぞれ嫁がすって、普通は分散させて自家の存続を確かなものにするのが普通だろう?」
「ってか、現王って何歳よ?アドリエンヌ様の父親と同じくらいの年では?」
「いや、リア、貴族の結婚は政略結婚だからそれくらいの年の差はザラだ。それよりも、二人しかいない娘を同じ家に嫁がせるにしては、現王家の力はまだ安定していないんだ。それなのに・・・・大博打だっ!」
「これは私の意見じゃないから、私に怒らないでくれよ。みんなに貴族ってどんなものか説明するよ。君たちは貴族の事は分からないだろうからね」
ユーリ以外の平民組は揃って頭を縦に振って、セシリオ様の説明を待った。