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「この前、『麦畑の誓』にいろんな種や苗を取って来てもらったんだけど、大量に育てて欲しいものがあって、裏庭ではスペースが足りないんです。だからフェリシアの家に委託するのはどうかなって思ってて・・・・」
「う~ん。これから天火を設置するとなると、家もそんなお金はないから何をどれくらい作って、それが幾ら位掛かるのかにもよるな」
「そうですよね・・・・。ここの所、私のせいで出費多いですものね・・・・」
「あ、いや。お前のお陰でたくさん稼がせてもらってるから損はしてないんだぞ。ただ、天火がどれくらいかかるのかが分からんと何にもできんなぁ」
伯父さんの言う事ももっともだ。
伯父さんと並んで作業していた爺さんがにっこり笑って助け船を出してくれる。
「まずは何を作りたいのか聞くのが先じゃろうて」
「かぼちゃとショウガなんです」
「かぼちゃはウチの村でも秋になったらたくさん売られるけど、ショウガはどんなものなんじゃ?」
「私が育ててもらいたいかぼちゃは甘いかぼちゃで、砂糖がなくても甘いパイを作るために必要なんです。最近、お貴族様がパイを求められる事も多かったので、肉のパイだけじゃなくって、お菓子になる甘いパイを作りたいなって・・・・」
「砂糖なしでも甘い物が作れるのか?」と伯父さんはびっくりしていたが、私が自信ありげに頷くと、考え出した。
そんな伯父さんを横目に、爺さんにショウガの説明をする。
「ショウガは根っこの所を食べるんだけど、ニンニクとか白ネギみたいな使い方をする物で、食べると体がポカポカになって冬にはとってもいいものです。料理だけじゃなくって飲み物にもできます」
爺さんは伯父さんの方を向いて「かぼちゃくらいなら作ってもらってもそんなに料金が掛からないんじゃないかのぉ」と援護射撃をしてくれた。
「かぼちゃかぁ・・・・」
伯父さんは踏ん切りがつかないみたいなので、「今度、学校の時、フェリシアの家に行って、どれくらいの料金で作ってもらえるか聞いて来ます」と何気に煽って見た。
「まぁ、聞くだけならタダだしな。おう、聞いてこい」と伯父さんからもGoサインが出たので、この話を進める事にした。
「それはそうと、マノロ。アウレリアが『麦畑の誓』の奴らに頼んだ種とか苗で作るのだろう?なら、彼らに払ったお金はお前が払わんといかん」
爺さんがいつになく真面目な顔で伯父さんに強めに発言した。
「ああ、それは俺も前から俺が払わにゃと思ってた所だ」
こうして私は、父さんがくれたお金を使う事なく、育てたい植物を育てられる様になった。
さて、栽培の方だが、結果として、苗は提供された物を育てるので、純粋な土地利用料と農作業の手数料しかかからず、かなり安いお値段で作ってもらえる事になり、マノロ伯父さんもその値段ならと了承してくれた。
フェリシアの家で新しい畑を作ってもらう時、こっそり『食材育成』スキルで、『土壌改良』『早く育ちます様に』『甘く育ちます様に』なんてのも施しておいた。
だから、カボチャの育ちが早く、フリアン伯父さん達はとっても驚いていた。
フェリシアの家に行く度に、カボチャの畑とショウガの畑に『食材育成』スキルを使い、家畜の方にもこっそり『たくさん卵を産みます様に』『牛乳がたっぷり出ます様に』『おいしくなります様に』ってのも願っておいた。
良い結果が出るといいな。
契約農家がある食堂ってこういう事が出来るからいいよね。
味の良い牛乳や卵、野菜にマノロ伯父さんもニコニコ顔だ。
定期的に現金が手に入るフリアン伯父さんもニコニコ顔だ。
うん!良い事ずくめだね。




