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謹賀新年

今年もどうぞよろしくお願い致します。

本日は少し長めです。

『良いよ』、『☆』、ブックマークをして頂けたら、作者の励みになります。

どうぞよろしくお願い致します。

 同窓会はあれから3週間後にウチの王都店で再び開いた。

 今回はメグやヘルマン様は呼ばなかった。

 セシリオ様が参加するとなっても、アドリエンヌ様は参加を許されなかった様だ。

 前回の同窓会と同じ貸会議室を借り切って、全ての料理を一度に並べてもらって、誰も部屋に入る事のない状態で闇王様の今後について話し合いをすることにした。


「アウレリア。僕がアディに会った方が良いのか、それともしばらくは会わずに君たち経由でやり取りした方が良いのか、君はどう思う?」

「鉄道の特別車両は早々何度も用意は出来ないので、一度会いに行かれると暫く王都へは戻れなくなります。もちろん、泊まる所は私が用意できるので何か月でも泊まってもらって大丈夫なのですが、問題はセシリオ様が長期に王都を不在にした場合、ジェラルドが色々勘繰らないかと言う事です」


 セシリオ様は右手を顎の上に置き、その親指で下唇を上に押し上げる様にして考えている。

「あまり長い間不在にしない方が良い気がする。ただ何か理由を付ければ長期の不在でもおかしくは無いと思うけど、それだと普通の鉄道車両に乗って移動した方が問題を起こさずに済む気がする」

「と言う事は、理由をでっちあげる事が出来たら、一旦は普通車輛で王都から出て、そこから特別車両で夜中に移動って事かな?俺の理解で合ってる?」

「うん、そうだね。ランビットが言うので合ってるよ」

「セシリオ様。何か理由を付ける事はできますか?」

「そうだね・・・・。何か良い理由が無いかな?」

 私の問いに問いで答えるセシリオ様・・・・。


「俺、思うんだけどさぁ。素直にアドルフォ様を探しに行くでいいんじゃないか?」

 おおお!フェリーペ、意外とそれ良い案だと思う。

 セシリオ様もそう思った様で、頷いている。


 もしセシリオ様に追手がくっついて来るとするならば、まずは本当に闇王様が居る方向へ移動してこっそり会って、その後、反対側へ行き、見つからなくて王都へ戻るフリをして、夜中に特別列車で移動が一番良いかも。

 そう提案すると、セシリオ様が「じゃあ、それで」って事に決めた。

 最初の時にちょっとだけ闇王様に会って、直ぐに次の町へ、あっちこっちの駅を回って、最後に馬車を使って移動した様に見せて、実は夜中に特別列車で闇王様の所へ。


 闇王様の資産は現金にすると結構な量になるので、こちらは普通列車の運転席にちょっとづつ載せて運び出す事にした。

 今日も可成りの量をウチのホテルに持って来てくれた様なので、後数回、運び込んでもらえればそう遠くない日に全額を闇王様の元へ運べる。


 そして、その計画にそってそれぞれが動き、闇王様の手には個人の資産が全て現金として手に渡り、セシリオ様は鉄道や馬車を利用し国内を縦横無尽に移動しつつ、闇王様を探しているフリをした。

 ジェラルドの放った追跡者が居るのかどうかは分からない。

 でも、用心するに越したことは無い。


 ナイトル村駅では、こっそり私の事務所でセシリオ様と闇王様が会う事に成功した。

 二人はハグをして肩をお互いにポンポンしてたよ。

「個人財産は金貨一枚とてジェラルドの手には渡ってないから、奴ら資金不足でまだアディを探しているから、今後もしばらくは慎重にして欲しい」と闇王様を心配するセシリオ様に新聞事業の事や、最終的には別の土地に館を建て、そこで生活する心算であることなどを手早く話して二人は別れた。


 セシリオ様はその後も鉄道を利用し国内の主な駅町やその周辺で闇王様を探すフリをし、この捜索の旅の終盤ではヤンデーノから鉄道で出発しヤンモリ駅のビジネスホテルへは夕方にチェックした。

 同じ便で移動した人の殆どがビジネスホテルに入ってくるのだから、チェックイン時の各々の会話などは周辺に丸聞こえだ。

「一部屋1泊で。それと事前に手紙でお願いしていたと思うけれど、明日の朝早く馬車でモンモリ駅まで行きたいんだが貸し切り馬車と御者の予約は取れていますか?」とセシリオ様にはレセプションてチェックインをしてもらった。

 ヤンモリ店でのやり取りはどう発言するか事前に私たちで決めていた通りだ。


「はい。ご用意できております。ただ、一番簡単なのは鉄道でモリスン村まで移動し、モンテベルデーノ線に乗り換える方が楽ですが、本当に馬車の方がよろしいのですか?」

「ヤンモリ駅とモンモリ駅の間の山間の途中の村にも泊まりながら行きたいので、鉄道だとちょっと・・・・」

「承知致しました。では、こちらの宿泊台帳にお名前やご住所をお書きください。それとこちらがお部屋の鍵になります。お部屋は3階になります」


 そしてセシリオ様のお部屋にはもう一人、セシリオ様と背格好の良く似た男が待っていた。

 髪は水色にも見え時には銀色にも見える鬘でセシリオ様の髪色を上手く再現できており、後ろ姿だけであればセシリオ様に見えるペペ君ところの商会の俳優だ。

 

 セシリオ様は態と夕食を食堂で摂り、そのまま部屋へ戻った。

 夜中の1時頃、こっそりと俳優さんに部屋を出てもらい、コンビニの方へ行ってもらった。

 コンビニは24時間営業ではなく、夜は1時が閉店時間なので、何か買い忘れた物があるのを装ってもらったのだ。

 もし、誰かがセシリオ様を付けているならば、この囮に誤魔化されるはずだ。


 後日、セシリオ様から報告を受けたところ、案の定、シルエットを見る限り男が偽セシリオ様を追う様に別の部屋から出て行ったそうだ。

 それを自分の部屋のドアから盗み見たセシリオ様は少し時間を置いて、ビジネスホテルの裏側の暗がりへこっそり移動した。

 偽セシリオ様が追跡者を連れて部屋へ戻るのを確認してもらい、セシリオ様は駅の方へ。

 線路に沿って20分くらい歩いてもらった所に用意していた特別車両に乗ってもらい、そのままヤンデーノへ移動、門が開くと同時に町中へ、そして港へ。

 貸し切りの船でゴンスンデへ行くと言う旅程を組み立てている。


 偽セシリオ様は朝5時に用意された貸し切り馬車でモンモリ駅へ向かう陸路を進み始め、ウチのレセプションからの知らせでは、その直ぐ後を馬に騎乗した男が付いて行った様だ。

 こっちの行程は5泊6日でモンモリ駅に着く予定だ。

 偽セシリオ様はモンモリ駅で鉄道に乗り、モンテベルデーノまで行ってもらい、そこで変装を解いて町中に紛れる予定だ。

 これが私たちが考えたストーリーで、実際上手く行ったとペペ君やゴンスンデで闇王様と再会を果たしたセシリオ様からも報告をもらった。


 1ヶ月前くらいに闇王様には既にゴンスンデへ移動してもらっており、ダンヒルさん名義で用意してもらったアパートに住んでもらっている。

 何かあれば勇者様経由で私達に連絡が入る様にもなっているので、安心なのだ。


 闇王様に起こった出来事を知ったメグはとても心を痛めたので、「何でも手伝うよ」と言ってくれている。 

 メグの協力でありがたいのは、メグだけでなく、数多い兄弟やメグの婚約者さんなど協力者の数が増えて、駅やウチのホテルへ連絡を入れる場合、同じ人ばかりでなく、都度人が変わる事でいらぬ注意を引かなくて良いと言う事だ。


「オレ、最終的にはヤンデーノに住もうと思う」とは闇王様の言だ。

 なぜなら、今雑誌を作っている書房がヤンデーノになるからと、何かあった時、鉄道も船も馬車も使える街であれば、より安全だからだとのこと。


 既にヤンデーノにはプライベートビーチ付きの館を建てている最中で、小型のヨットも係留できる様にボートハウスとヨットも建設中らしい。

 現金が手元に来てからの闇王様の動きは早かった。



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